KISARAGI

KISARAGI vol.966

カテゴリー: 2018年05月27日
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

K I S A R A G I vol.966                              2018/05/27
                                       編集/発行:みやこたまち
                       E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                                 http://mmkisaragi.blogspot.jp/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

 配信システム
KISARAGIは「まぐまぐ」で配信しています
「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/

登録解除の方法
KISARAGIを解除するには、次のアドレスへアクセスして
『購読及び解除はこちら』のフォームをご利用いただくか、
まぐまぐHPへアクセスして下さい。
解除できない場合は、メールして下さい。
--> http://mmkisaragi.blogspot.jp/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

通信欄:たまさんの「十津川の仙境」最終回です。次回からは新しいお話!

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

今週のお話

◆ "古典へのいざない" [736]
    伽婢子《おとぎぼうこ》[45] 十津川の仙境 [9]
    作者 たまさん

◆ 大学ノート狂詩曲 宇祖田都子の話
    第三十回 誘い 5
    作者 宇祖田都子

● KISARAGIについて

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

古典へのいざない [736]
伽婢子《おとぎぼうこ》[45] 十津川の仙境 [9]
作者:たまさん

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

既に夜は更け、山中は物静かで、梢《こずえ》を伝う風の音が軒《のき》
近くで聞こえる。魂が澄み渡り、清々《すがすが》しく感じる。三位中将
《さんみのちゅうじょう》が何度も酒を勧めるうちにやがて夜が明け、山の
端《は》が赤く染まり、横雲がたなびき、鳥の声がはっきりと聞こえてきた。
「それではこれにて失礼します」
 拝礼しつつ立ち上がると、三位中将は長次に念を押した。
「我らは仙人ではなく幽霊でもない。多くの年月を重ねたことは思い掛けな
い幸いであった。貴殿はここより帰った後に、見聞きしたことを他人に話し
てはならぬ」
 そう言って歌を詠んだ。

  みやまべの月はむかしの月ながらはるかにかはる人の世の中
 (山奥に昇る月は昔と変わらないが、世の中は随分と変わって
  しまったことだ)

 別れの挨拶をし、三位中将が屋敷に戻ったのを見届けてから切り通しの門
を出ると、一町毎に竹の枝を差して印としながら歩き、十津川《とつがわ》
の宿に帰り着いた。
 翌年の春、酒や肴《さかな》を用意して再びあの山路に分け入って訪ねた。
しかし、松や槐《えんじゅ》の古木が横たわり、巌《いわお》が峙《そばだ》
ち、茅《ちがや》や薄《すすき》が茂り、木こりの通り道には鳥の声が微か
に聞こえ、草刈り場には谷の水が流れるばかりで、印にした竹も見つからず、
訪問がかなわぬまま空《むな》しく帰った。
 恐らく彼らは仙境《せんきょう》に住まう世捨て人だったのだろう。当て
のないものを探し求めるのは到底無理な話なのである。
(了)
                                  ★

 主人公は仙境から無事に帰り、翌年に再び訪れようとしましたが、かない
ませんでした。
 次回から新しいエピソードをお届けします。それではまた。

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

ウェブサイト:
 かたかご http://yamanekoya.jp/
 山猫屋本舗 http://yamanekoya.net/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

大学ノート狂詩曲 -宇祖田都子のはなし
第三十回 誘い 5
作者:宇祖田都子

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

第三十回 誘い 5

 トンネルはひんやりとしています。どこかの水滴の音が幽かに反響してきま
す。両方の口が均等に、小さなかまぼこ型になる地点に、かまぼこ型の凹みが
現われます。その凹みの内部のレンガ組は、簡易的なベンチとテーブルとして
使えるよう出っ張っています。そこはいつも湿っていて、少し苔も生えていま
す。お尻にミドリの後がついてしまうかもしれません。

 「白いスカートじゃ、座れないな」

 と、私はその凹みの前で躊躇しました。
 しかし、そうして腰に手をあてた時、私はジーンズを履いていることに気付
きました。そして、尻ポケットにはタオル地のフェイスタオルが窮屈に押し込
まれていたのです。

 「これじゃ、座るときに邪魔だったはずなのに……」

 バルテスにいたとき、私は全く違和感なく腰掛けていました。第一、今朝寝
巻きからジーンズに着替えたかどうかも定かではありませんでしたし、ノート
も財布をもっていたかどうかも曖昧だったのと同じく、普段はポケットにもの
を入れる習慣などない私が、こんな嵩張るものを尻ポケットに突っ込むとした
ら、それは必ず意図的に行っていたはずだと思いました。

 そして、改めて自分の服装を確認し、パーカー付きのスエットと、コンバー
スのハイカットのスニーカーを履いた足元を見たとき、そもそも、こういうア
イテムを自分が持っていたという事実さえ、遠くでゆらめくトンネルの出口の
果にあったかのように思われるのでした。

 「入る前は入り口でしかなく、入ってしまったら、出口でしかなくなるんだ
な」

 そんな言葉が頭をよぎります。

 私は、フェイスタオルをレンガに敷いて、その上に腰を下ろし、スエットの
ポケットから当然のように、折り畳んだ新聞紙を取り出して、レンガに敷いて
その上に持っていたノートを広げました。

 「何も不思議なことはないんだ」

 このトンネル内部で起きることに、いちいち立ち止まっていたら、出られな
くなってしまいます。ここはそういうトンネルなのだと、思えば済むことでし
たし、そのように済ませることしかできないのが、このトンネルなのでした。

 そういう場だからこそ、私はこのノートNo.45を持ち込もうとしたのですか
ら。(20180527)

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

星空文庫 過去作品上げていきます https://slib.net/a/20077/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノ

投稿随時募集中
    http://mmkisaragi.blogspot.jp/2013/10/blog-post.html

このメールマガジンは、投稿によって全てが成り立っています。
ぜひ、あなたの小説を投稿して下さい。

投稿はkisaragi HP の投稿要綱
 http://mmkisaragi.blogspot.jp/2013/10/blog-post_6740.html

または、直接のメールでも結構です。

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

作者情報が必要ですので、以下の内容をお送り下さい。

タイトル(必須):
種別:ショートショート/短編/中編/長編/エッセイ
ジャンル:(時代、現代、SF、冒険、推理、ファンタジー、など……)
作者名(ハンドル可;必須):
メールアドレス(必須):
HPアドレス&名前:
一行コメント:

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

なお、発行の都合上、一行の最大文字数は全角で35文字(原則)までです。
それを超えるものはこちらで修正させていただきますのでご了承下さい。
投稿作品の著作権は各作者にあります。

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

<運営よりお知らせ>
メルマガの配信ドメインが変更になります。
全てのメルマガが受信できるよう、以下のドメイン全ての受信設定をお願いい
たします。
・mag2.com
・mag2official.com
・mag2-tayori.com
・mag2tegami.com
・mag2premium.com

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

発行者について

編集者 みやこたまち

E-mail :tamachim@yahoo.co.jp

WebPage:http://mgkisaragi.web.fc2.com/index.html

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

KISARAGI

発行周期: 週刊 最新号:  2019/01/13 部数:  50部

ついでに読みたい

KISARAGI

発行周期:  週刊 最新号:  2019/01/13 部数:  50部

他のメルマガを読む