KISARAGI

KISARAGI vol.962


カテゴリー: 2018年04月29日
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K I S A R A G I vol.962                              2018/04/29
                                       編集/発行:みやこたまち
                       E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                                 http://mmkisaragi.blogspot.jp/

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通信欄:G.W 絶対に楽しんで。

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今週のお話

◆ "古典へのいざない" [732]
    伽婢子《おとぎぼうこ》[41] 十津川の仙境 [5]
    作者 たまさん

◆ 大学ノート狂詩曲 宇祖田都子の話
    第二十六回 誘い1
    作者 宇祖田都子

● KISARAGIについて

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古典へのいざない [732]
伽婢子《おとぎぼうこ》[41] 十津川の仙境 [5]
作者:たまさん

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「その後、紀伊《きい》国の和歌《わか》の浦・吹上《ふきあげ》の浦を過
ぎて由良《ゆら》の港で下船し、恋しき都の方角に目をやりつつ高野山へと
向かった。再会した滝口《たきぐち》時頼《ときより》入道の案内で院や谷
を巡った後に、熊野詣《くまのもうで》に出発した。三藤《さんとう》、藤
代《ふじしろ》、和歌の浦、吹上の浜、古木《ふるき》の森、蕪坂《かぶら
ざか》、千里《ちさと》の浜、岩代《いわしろ》の王子《おうじ》を越え、
岩田川《いわたがわ》で水垢離《みずこり》を行って身体を清めた。

  岩田川ちかひのふねにさほさしてしづむわが身もうかびぬるかな
 (岩田川から涅槃《ねはん》へ向かう船に乗り、現世で穢《けが》れた
  我が身も浮かばれたことだ)

 本宮《ほんぐう》・新宮《しんぐう》・那智《なち》を参詣した後に、浜
の宮から船に乗り、磯の松の木を削って辞世の句を詠んだ。

  権亮《ごんのすけ》三位中将《さんみのちゅうじょう》平維盛《これ
  もり》、戦場から離れて那智の浦で入水《じゅすい》する。
  元暦《げんりゃく》元年三月二十八日
  維盛二十七歳、重景《しげかげ》同年、石童丸《いしどうまる》十八歳


  生《むま》れてはつゐに死《しぬ》てふことのみぞ
  定《さだめ》なき世にさだめありける
 (「生まれたものは最後に必ず死ぬ」ということが、定めなき現世での
  唯一の定めである)

 世には入水したと見せ掛けてこの山中に隠れていたところ、肥後守《ひご
のかみ》貞能《さだよし》が跡を追って訪ねてきた。
(続く)
                                  ★

 平維盛と名のる老人の話によると、屋島《やしま》から戦線離脱した後に
紀伊国に上陸し、高野山・熊野三社を参拝した後に、入水したように見せ掛
けて十津川の奥地に隠れ住んだそうです。
 ちなみに、平維盛が生き延びたという説は「源平盛衰記」などにも記され
ています。
 続きは次回にお届けします。それではまた。

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

ウェブサイト:
 かたかご http://yamanekoya.jp/
 山猫屋本舗 http://yamanekoya.net/

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大学ノート狂詩曲 -宇祖田都子のはなし
第二十六回 誘い 1
作者:宇祖田都子

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第二十六回 誘い 1

 各階に停止するエレベーター、そのたびに「閉」のボタンを押して、このボ
タンを押すのは日本人だけ! と誰かが書き込んでいたっけなと思う。ひんや
りとした玄関ホールに、つや消しステンレスのポストが静かだ。「ぼい~~ん」。
 通るとき、自分の郵便受けをチラ見する。「ぼい~~~ん ぼい~~ん」。
封書の影が目の端を横切った「ぼい~~ん」「ぼい~~ん」ような気がするけ
れど、おおかたDMだろうと気にも留めない。
 それよりも、さっきから、目の端々に、毒々しい緑色の「ぼい~~ん」が二
重写しになって、邪魔で仕方が無かった。

 自動扉を出ると、亜熱帯の太陽が天辺から髪を焙った。「あっついなぁ」

 と見上げると明るい空に目が眩んだが、その空一面にあの「ぼい~~ん」が、
スターウォーズみたいにズラズラと流れていくのだ。

 一瞬のうちに、網膜に焼きついたあのページ。自分の眼球に「ぼい~~ん」
の文字の連なりが、張り付いているみたい。しかもこの緑色の文字列は、現実
世界を完全に隠してしまうほど密だった……

「意味ありげなのが苛立つのよね」と恨み言を一つ。

 太陽を凝視すると太陽のサイズの黒いマルが、眩しい太陽に重なって、案外
眩しくなくなったりするけれど、脳みその奥がじりじりと焦げる匂いが鼻腔に
漂い始めると、不安になって目を逸らす。

 夜? 日食?

 というぐらい辺りは陰鬱で、肌を焼く陽光でさへ失われてしまったかのよう
な寒気に鳥肌がたった。

 その、日光写真のようなもので、おそらくあの明るい床の「ぼい~~ん」を
見つめてしまった私の視神経に、ぼい~~んが露光してしまったのだろう。

「ぼい~~ん」だなんて、ふざけた言葉だ。

私は、その文字列を意識するたびに、そう呟いていた。(20180429)

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

星空文庫 過去作品上げていきます https://slib.net/a/20077/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノ

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