KISARAGI

KISARAGI vol.952


カテゴリー: 2018年02月18日
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K I S A R A G I vol.952                              2018/02/18
                                       編集/発行:みやこたまち
                       E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                                 http://mmkisaragi.blogspot.jp/

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通信欄:井筒俊彦さんを徹底的に読んでみよう

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今週のお話

◆ "古典へのいざない" [722]
    伽婢子《おとぎぼうこ》[31] 黄金百両 [8]
    作者 たまさん

◆ 大学ノート狂詩曲 宇祖田都子の話
    第十六回 スライドショー 3
    作者 宇祖田都子

● KISARAGIについて

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古典へのいざない [722]
伽婢子《おとぎぼうこ》[31] 黄金百両 [8]
作者:たまさん

コココココココココココココココココココココココココココココココココココ

 ある日の朝、兵次《へいじ》は家を出ると泊瀬《はつせ》観音に参詣《さ
んけい》し、行く末を深く祈念した。その帰り道、山奥に分け入ったところ
で見知らぬ池に誤って落ちてしまったが、突然、水が両側に割れて道が現れ
た。
 道伝いに二町ほど進むと、城の総門《そうもん》にたどり着いた。楼門
《ろうもん》の上に「清性館《せいせいかん》」と書かれた額が掛けてある。
中に入ってみると人気《ひとけ》もなく物静かで、どれだけの年月を重ねた
のか分からない老松《おいまつ》が枝を交わすように並んでいる。廊下を巡
って奥へと向かい、主殿の階段までやって来たが人の姿はなく、咎める者も
いない。ただ、遙か遠くから振鈴《しんれい》と鐘の音が混じり合って響い
てくるだけである。
 兵次は空腹と疲労のために横になると、屋敷の礎《いしずえ》を枕にして
休んだ。
(続く)
                                  ★

 初瀬《はつせ》観音(奈良県桜井市の長谷寺)に参拝した主人公は、その
帰りに山中で池に落ちてしまいますが、旧約聖書の「葦の海の奇跡」(モー
ゼの奇跡)のように水が割れて道が出現し、不思議な屋敷へと誘われます。
 続きは次回にお届けします。それではまた。

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ウェブサイト:
 かたかご http://yamanekoya.jp/
 山猫屋本舗 http://yamanekoya.net/

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大学ノート狂詩曲 -宇祖田都子のはなし
第十六回 スライドショー 3
作者:宇祖田都子

コココココココココココココココココココココココココココココココココココ

 いたるところに降る雨の音は、このスタジオの内部にもくまなく満ちていま
す。目に映るものがみな、濡れているようでした。スクリーンも、そこに映し
出された、懐かしいゼロハリバートンのスーツケースも、しっとりと露を滴ら
せているようでした。その隣にある、内臓をごっそりと奪われたかのように皺
くちゃになった茶色の袋も、てらてらと濡れているようでした。

 「このスーツケースには、大学ノートが74冊入っていた。サイズは全てA
4のA罫またはU罫だ。美刷堂という印刷会社の書生ノート40枚が3冊。松屋
の大学ノート30枚が7冊。ツバメノート100枚が5冊。同じくツバメノート30枚が
40冊。後は、コクヨキャパスノート30枚だった。それぞれが発売されていた年
代がわかっていることから、これらのノートが書かれた時代と順番はおおよそ
見当がつく。

 カシャッ! カシャッ!と小気味の良い音で、スライドが切り替わっていき
ます。パワーポイントを切り替えるタイミングで音を流すプラグインを導入し
ているのでしょう。この音があった方が、確かに気分は出ます。それにしても、
細かな雨の音が耳の中にまで入り込んでくるようです。私の眼には、スクリー
ンを垂れていく雨だれの影が見えているようでした。

 「美刷堂の三冊は、もはやノートとしての体裁を保てていない。糸が擦り切
れてしまって紙がバラバラになってしまっているのを、表紙で挟んで保持して
いるという状態だった。無論、この三冊が最も古いものだ。先ほど君にいった
70年というのは、ほぼこのノートが書かれたころを示している」カシャッ!

 「あの、すいません」

 私は手を上げました。スクリーンに私の掌の影が映りました。いや、光は後
ろからきていますから、手の甲の影といったほうが正しいのかしら。一体、影
に表と裏の区別はあるのだったかしら……

 「はい。どうぞ」

 手藻蔓さんは、自身が開いている文化講座かなにかの癖が出てしまったので
しょうか。そんな慣れた風に質問を促しました。私は立ち上がったり、振り向
いたりして話すべきなのかどうかちょっと考え、目の前のスライドが並木さん
の結婚式での写真だったことに、遅れて気付いて驚いてしまって、そのスライ
ドから目を逸らすことができず、それでいながら、質問だけは、スラスラと口
に出していました。

 「この、最も古いノート群は、並木さんが、おいくつの時に書かれたノート、
ということになるのですか?」

 「それについては、これから説明する。少々、込入っているんだ」

 手藻蔓さんは、妙にフランクな口調で応えました。私は口を噤みました。手
藻蔓さんは、このレクチャーを行うにあたって、周到に準備をしていたのだと
いうことに、気付いたからです。そして、その準備の際にスライドの順番はも
とより、それを見せたときの私の反応や、疑問点なども可能な限り洗い出して
いたはずだからです。

 それならば私は、このレクチャーから、手藻蔓さんが仮想した「私」を逆に
知ることが出来るのだと思いました。彼が私をどのような人間だと(女だと、
とはいいません)考えているのかを踏まえて、今後の参考にできると思ったの
です。

 「すいませんでした。つづけてください」
 私の声は、雨だれの音で掻き消えそうでした。

 「並木さんは、今年76歳になるはずだ。つまり、この美刷堂のノートを本
人が書いたとするのは無理がある。もちろん、六歳であれば読み書きは可能だ
し、裕福な家庭の早熟な少年であれば万年筆に慣れている可能性もゼロではな
い。それでも、私はこのノートを並木さんが書いたとする仮説をとらない。そ
の理由は内的要因と外的要因にわけられる」

 「内的要因としては、6歳の少年が書いたにしては首尾一貫しすぎていると
いう点。そしてこのようなものを書く理由が全くわからないという点だ。この
二つは根拠としては非常に薄弱だろう。だが外的な要因を過不足なく捕捉する
ことができる。その外的な要因というのが、こういうものを書き残すに相応し
い人物が並木さんの周辺に存在した、という事実だ」

 説明がスライドに結びつきません。
 これまでは、言葉に連動するカシャッ! カシャッ! が説得力をもって響
いてきたのですが。スライドは結婚写真に固定されたまま、冗長な説明が続い
ています。

 文金高島田の目の印象的な奥様と、真っ直ぐ前を見つめた若々しい並木さん。
奥様のよこには、ちょこん、という感じで座っている年配の女性。並木さんの
横にはモーニングをピシリと着こなした老紳士です。並木さんには全然似てい
ません。鷲鼻で唇が薄く、目つきの鋭い人でした。
 奥様のご両親なのだろう、と私は思いました。すると、この写真には、並木
さんのご両親が不在、ということになります。結婚式に両親が不在というのは、
尋常ではありません。

 戦争……

 もしかしたら、当時すでに、並木さんのご両親はお亡くなりになっていたの
かもしれません。カシャッ! (奥様のアップ)

 「並木稔子さん。奥さんです。30年前にお亡くなりになりました。カシャッ!
 その父親、並木畿央(イクオ)さん。カシャッ! 母親、並木祥子(サチコ)
さん。この祥子さんには、またの名がありました」(カシャッ!)

 白衣、緋袴に千早を纏い、長い髪を丈長でまとめて腰まで垂らし、赤い鼻緒
の下駄。頭には金色の烏帽子をかぶって赤い顎紐をきりりと締めて、手には鉾
先舞鈴を携えて。護摩壇にあがる炎に照らし出されて、一心に舞っているとこ
ろが映し出されたのでした。

 巫女さん?

 ですが、そのスライドの場面からは、もっと緊迫した雰囲気が伝わってきま
した。カシャッ!

 誰もいない和室です。三面鏡が開いていて、裳がかけられていました。藤色
の風呂敷堤みがいくつか壁際にあったり、壁には女性のツーピースと帽子がか
かっています。祥子さんの部屋でしょうか? カシャッ!

 同じ部屋。同じ時間のようです。三面鏡の一部が写真のハジに映りこんでい
ます。中央には文机。そこには何か書きかけているノートと、インク瓶が見え
ます。そのノートの上に閉じた状態で数冊のノートが確認できました。

 カシャッ! そのノートのアップです。

 不規則な波線がかかれたノートを覆い隠すように置かれているノートの表紙
に、私は見覚えがありました。

 「美刷堂の書生ノート、今後はオリジナル、と呼びますが、このオリジナル
を書いたのは、並木さんの奥さん稔子さんの母親、祥子さん。またの名を 並
木ミツキ尊宮です」 低頭…… (20180218)

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星空文庫 過去作品上げていきます https://slib.net/a/20077/

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