KISARAGI

KISARAGI vol.718

カテゴリー: 2013年08月25日
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K I S A R A G I vol.718                           2013/08/25
                                           編集/発行:みやこたまち
                      E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                   http://mgkisaragi.web.fc2.com/wkh/index.html
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◆古典へのいざない【509】     春雨物語[20]   作者 たまさん

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 天津処女[1]

 嵯峨帝《さがのみかど》は君主として類《たぐい》ない英才で世を治めた
が、あらゆる政《まつりごと》が唐土《もろこし》の優れた律令を選んで行
われたので、国土までが唐風になったようだと人々は噂し合った。

  木にもあらず草にもあらぬ竹の節《よ》の
  はしに我が身はなりぬべらなり

 (木でもなければ草でもない竹の節の中空のように
  我が身は中途半端になってしまったようだ)

  直き木に曲れる枝もあるものを
  毛を吹き疵《きず》をいふがわりなさ

 (まっすぐな木であっても曲がる枝があるのに
  毛を吹いて疵を求めるのはどうにもつらい)

 これらは帝の后である高津《たかつ》内親王の慰み歌だが、詠みぶりが無
骨で、和歌を詠む人はおのずから口を閉じた。
 平城《へいぜい》上皇がわずか四年で退位したことを嘆く人も少なくなく、
「いま一度、皇位につきたいと思っているだろう」と、額をつき合わせて語
り合ったという。帝が上皇を慰めるために弟の大伴皇子《おおとものみこ》
を皇太子に立てたのは尊い思慮によるものだったと人々は語り合った。
(続く)
                                  ★

 今回から「天津処女《あまつおとめ》」をお届けします。前作「血かたび
ら」は平城《へいぜい》天皇が主人公でしたが、「天津所序」ではその後の
時代の物語となります。
 それではまた。

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中庭と三階 2
                           みやこたまち
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6 サイバーパンク
6-5
 顔を向けた方向を高画質で録画し、赤外線走査もできる。2DKほどの部
屋の情報を取り込み、再現することはたやすい。画像の認識処理によって、
本棚に並んでいる本タイトルまで読み上げることができる。もし洗濯物が干
してあったらその色形形状までも、文章に起こすことができる。先生は僕が
それだけの装備をしているなどと想像だにしない。ちょうど、あの三階で、
先生の鞄の中を、私に自由に閲覧されていたなどとは、想像だにしなかった
ように。
 だが、繰り返すようだが、私は先生に対しても、先生の部屋に対しても、
そんなことはしない。途中に立ち寄ったショッピングセンターで、そっと手
を置いた先生の肩の儚さが、私にとっての先生の存在の全てだ。
「お鍋とか、大丈夫かしら?」
『位置関係さえ、おさえれば、めったなことにはなりませんよ。鍋は好きで
す』
「じゃ、しゃぶしゃぶのセットを買っていこう」
 それは奇妙な感覚だった。今が、いつ何処であり、自分が何者なのかが、
まるでつかめなかった。先生の身体が、私の感覚器官となって、様々な臭い
と、雑踏の中を、すいすいと進んでいた。先生が右へ曲がろうとしたのか、
私が右へ曲がろうとしたのかの区別もつかず、私という存在が先生と一体と
なって消える。いや、決して消えたわけではない。先生は、こうやって、人
を、包み込んでしまう。それはとても心地よい感覚だ。
 思い出したのは、メスにかみつき、吸収され、単なる精子袋に変貌する
ちょうちんアンコウの雄だ。私は先生に「言葉」を射精し続けている。先生
の脳に、私の種が着床する様は、エロテッィクだ。そしてタツノオトシゴの
ように、先生は私にその卵を戻してくれる。結局、先生は先生のままで、卵
を受け取った私の方が、再生するのだ。
「ちょっと奮発しちゃった」
「tuo te nmwo tanmwo suhi nmuhi」
 私はつい自らの発語で応えた。先生はレジでカゴから取り出される品物を
眺めながら、
「そうね。私もしゃぶしゃぶは久しぶりだから。』
と応えた。
 先生には、敵わない、と思うのはこういう瞬間である。(20130825)
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