KISARAGI

KISARAGI vol.622

カテゴリー: 2011年10月09日
><><><><><><><><><><><><><><><>><><><><><><><><><><><><><><><><><><
K I S A R A G I vol.622                         2011/10/09発行
                        編集/発行:みやこたまち
                      E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                      http://mgkisaragi.web.fc2.com/index.html
><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><
--------------------------------------------------------------------

◆古典へのいざない【428】 古事記[194]   作者 たまさん

----------------------------------------------------------------------
宣化《せんくわ》天皇

 広国押建金日命《ひろくにおしたけかなひのみこと》である建小広国押楯
命《たけをひろくにおしたてのみこと》は、檜隈《ひのくま》の廬入野宮
《いほりのみや》で天下を治めた。
 天皇が意祁天皇《おけのすめらみこと》の御子である橘之中比売命《たち
ばなのなかつひめのみこと》を娶って生んだ御子は、石比売命《いはひめの
みこと》と小石比売命《をいはひめのみこと》と倉之若江王《くらのわかえ
のみこ》である。
 また、川内之若子比売《かふちのわくごひめ》を娶って生んだ御子は、火
穂王《ほのほのみこ》と恵波王《ゑはのみこ》である。
 この天皇の御子は男が三柱、女が二柱の合わせて五柱である。
 火穂王は志比陀君《しひだのきみ》の祖先、恵波王は韋那君《ゐなのきみ》
・多治比君《たぢひのきみ》の祖先である。
(続く)
                                  ★

 第二十八代・宣化天皇です。
 続きは次回にお届けします。それではまた。
----------------------------------------------------------------------
><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><
------------------------------------------------------------------------

■薄紅通夜 第五部                          作者:みやこたまち

------------------------------------------------------------------------
 樹記の言葉で、文男は激昂したようだった。祥子には文男が拳を握り締める音
が聞こえ、腕や肩の筋肉の隆起する熱を感じた。目の前の樹記は、涼しげに昆布
茶をすすって、小袋から雷おこしのようなお菓子をくるくるとほどいて齧ってい
た。
 沈黙の重圧と、文男から発する熱い怒りに、祥子は耐え切れなかった。 
「説明して。ねえ。樹記。」
 声を出してしまうと、今度は話を止めるのが恐ろしくなっていた。
 「私がお花の教室で会った睦美さんは、こんなおばあさんじゃあないわ。それ
に今朝テレビでインタビューに応えていた睦美さんと、このおばあさんとはまっ
たく別人に決まっているじゃない。ここに睦美さんはいるんでしょ。だったら、
早く文男さんに会わせてあげて。あとは、二人に任せておけばいいじゃないの。」
 話せば話すほど、祥子は不安になり、声は上ずり、呼吸も荒くなっていった。
「だいたい私も、市子に早く会って、これまでの事を聞きたいし、二人で温泉に
はいってのんびりしたいの。今日はなんだかとてもいろいろなことがあって疲れ
ているの。睦美さんが突然現れて、それで突然消えて。消えたと思ったら、樹記
にあえて、ほっとしたのに、樹記はなんだか様子がおかしくて、文男さんをわざ
と怒らせて、悪ふざけにつきあえるほど私たち元気じゃないのよ。睦美さんのお
父さんの工房も変な風だったし、名村とかいう人のことを話したときの、紬几先
生も普通じゃなかった。シフォンケーキを買った時にいた女の人も、なんだか変
な歩き方をしていたし、帰りにはバロンもいなくて。だいたい、六波羅睦美さん
とか、名村道行とか、私ぜんぜん記憶にないし、そんな人たちの下らない冗談に
つきあわなきゃいけない理由なんて、ないんだし・・・」
 祥子は目を赤くして、膝に硬い拳を二つ握って、まくし立てた。樹記のほうへ
目を向けていたが、焦点は樹記には無かった。文男は、祥子の様子に初めは毒気
を抜かれたかのように呆然と祥子を見ていたが、やがて、何も言わずに冷たいま
なざしで祥子を見ている樹記に対して、義憤ともいうべき新たな怒りが沸き立っ
てきた。
「この、後藤樹記という、いい年で定職にも就かずに、この祥子という女に食わ
せてもらっているに違いない無責任な男が、全うに生きているわれわれを馬鹿に
していい道理は無い。祥子さんがこんなに混乱しているのに、そんな冷徹な目で、
祥子さんの怒りを楽しんでいるようにしかみえない。それにこのばばあが睦美だ
という。くだらない。俺がそんなこけおどしに騙されるとでも思っているのか。
なめられたもんだ。自分が一番偉いんだっていうその高慢な態度が許せない。俺
と睦美のことに首をつっこみやがって、こいつ、殺してやろうか。長い冬が終わ
るまで、いや、あそそこなら、冬が終わっても、死骸はみつかりゃしないだろう。
今ここに俺たちがいるということを知っているやつは、ここにいるやつらだけだ
し。殺しちまおうか。いっそ。な。簡単だぜ。吹雪の夜にさ。」
「裏の井戸は、先年塞いでしまいましたので、いまじゃあ、もう、使えません。」
 唐突に老婆の声が響いた。窓の外を横殴りの雪がひっきりなしに飛んでいる。
「宿帳を返していただきます。婆はもう眠る時間ですから、これで失礼をいたし
ます。夕食は後ほどお部屋の方へ運ばせますので、しばしお待ち無さい。ああ、
それから明日はまだ雪はさほどは積もりません。お帰りはお早いほうがよろしい
と存じます。御予定がおありかもしれませんが、それは反故になさるがよろしい
でしょうな。」
 文男は「ハッ」として老婆を見た。祥子はひどい寒さに歯の根が合わなくなっ
た。樹記は雷おこしのような菓子を食べつくし、急須から昆布茶を注いで、前の
二人にも勧めた。
「ああそうするよ睦美さん。おそらく明日にはみな帰れるだろう。文男君。祥子。
寒くなってきたから、これでも呑んで、部屋で続きをしようじゃないか。」
 文男は不意に身を乗りだして、樹記に詰め寄った。
「何だ。今のは。いったい何をした。」
 今にも襟首につかみかからんばかりの勢いだったが、樹記はただ笑って手を顔
の前で横に振ってみせただけだった。
 祥子は文男の言葉にも動作にも全く関心がないかのように湯のみを両手で包み
こんだ。その手には、いつのまにか、桃色のミトンがはまっていた。祥子は樹記
を見て、唇の端を少しだけ左右に広げると、静かに湯のみを置き、ミトンをはず
して床に捨てた。その時、樹記は少しさびしそうな顔をした。
------------------------------------------------------------------------
_/_/ KISARAGIについて _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■配信システム
 KISARAGIは「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/で配信しています。
■登録解除の方法
  KISARAGIを解除するには、次のアドレスへアクセスしてフォームに記入を。
 -->http://mgkisaragi.web.fc2.com/index.html
_/_/ 発行者について _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
 編集者 みやこたまち
 E-mail :tamachim@yahoo.co.jp
 WebPage:http://www.odn.ne.jp/~cak87430/index.html
<><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><>><><><><><><><><><><><><><> 

KISARAGI

発行周期: 週刊 最新号:  2019/03/17 部数:  49部

ついでに読みたい

KISARAGI

発行周期:  週刊 最新号:  2019/03/17 部数:  49部

他のメルマガを読む