KISARAGI

KISARAGI vol.184


カテゴリー: 2003年03月29日
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K I S A R A G I vol.184   2003/03/29発行
                          編集/発行:みやこたまち
                     ★ E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                     http://miytako.hp.infoseek.co.jp
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KISARAGI通信
最近ようやく春に身体がなじみはじめ、さきほころんだ桜を満喫するゆとりも出来
てきました。NUMBER GIRL のDVDを買ってきて楽しみながら、人にもらったタブレッ
トで落書きなどするのどかな日々です。
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今週の目次
 ◆古典へのいざない【42】   花桜折る中将 [5]   〜堤中納言物語」から〜 
                              作者:たまさん
                                
 ◆Inter_View 5 minutes【142】          Guest/舞踏演出家 蛭人辰雄氏

 ◇ KISARAGIについて
 ◇ 発行者について
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|連載|小説|
    ◆古典へのいざない【42】                           作者: たまさん

       花桜折る中将 [5]  〜「堤中納言物語」から〜
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 夕方、光季《みつすえ》は女童の元を訪ねて行った。光季は口先の上手い男なの
で、言葉巧みに女童を説得していた。
「……大将殿がいつも口うるさく注意しているので、殿方の文を姫君に取り次ぐ事
でさえ、祖母君はとてもやかましく言うのです」
 その頃の屋敷は、姫君の入内《じゅだい》が近づき、めでたい話で賑わっていた。
だが光季が強く責め続けると、女童は思慮分別が足りなかったからか、
「よい機会がありましたら、すぐに知らせます」
 と折れてしまった。姫君に不審な気配を見せたくないと考え、中将からの手紙は
取り次がなかった。
 光季は中将の屋敷に参上した。
「童を説得してきました。今宵が好機です」
 この報告に中将は喜び、少し夜が更けてから行く事になった。

 中将は光季の車で例の屋敷まで行った。女童は辺りの様子を見張っており、都合
のよい折に中将を導き入れた。灯火が後ろの方にやってあったので、部屋は薄暗か
った。母屋でとてもこじんまりとした格好で寝ている人がいたので、中将はその人
を抱きかかえて車に乗せ、急いで車を走らせた。
「これはどうした事ですか。誰がこんな事をするのですか」
 女は訳が分からず、ただ自分の身に降りかかった災難に心痛めた。
 ――実は、中将の乳母《めのと》から「姫君強奪を計画しているようだから用心
して下さい」と伝え聞いた姫君の祖母が、心労のあまり、姫君の部屋で臥していた。
元々が小柄な上に年を取っており、更に、頭を剃り法師になっていたので、頭が寒
いと衣を頭から被って休んでいたのであった。中将が姫君と間違えたのも仕方がな
かった。
 屋敷に着いた車を寄せると、震えた声で、
「いやまあ、これは誰ですか」
 と姫君の祖母は言った。
 その後、どうなったかは分からないが、何とも間の抜けた話である。――確かに、
祖母君の容貌はこの上なく美しかったのだが。

(了)
                                   ★

 以上で「花桜折る中将」は幕を閉じます。登場人物の配し方や時間の流れ・オチ
の付け方など、現代のショートショートに劣らない作品だと思いましたが、皆さん
はどう感じましたか。
 次回も引き続き「堤中納言物語」から作品をご紹介します。
 それではまた。
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ジャンル:古典レビュー
メール :miztam@nifty.com
HP  :【山猫屋本舗】http://homepage3.nifty.com/miztam/
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 ◆Inter_View 5 minutes【142】 
                       Guest/舞踏演出家 蛭人辰雄氏
       
                          作者:宇祖田都子 さん
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before minite
古尾谷雅人さんの自殺は、やっぱり金田一少年の事件簿への出演を後悔したのだっ
たでしょうか。私にとって彼は、ヒポクラテスたち、であり、三上博史版中原中也
における佐古(小林秀雄)です。松田優作になれなかった男という気がしてなりま
せん。それは、高倉健になれない小林念侍に似ていたのかもしれません。天本英世
氏のご冥福をお祈りいたします。それでは、お客様です。舞踏演出家 蛭人辰雄氏
をお迎えいたしましょう。

first minute
M:先日のローザンヌでは、フリーバリエーションでタップダンスをした参加者が
いました。彼が優勝したんですが、バレエというのは、間口が広いんだなと感じま
した。
B:クラシックに懲り固まった見方こそが、バレエを衰退させるものです。バレエ
すなわち身体表現であるとするならば、ありとあらゆる芸術はバレエの範疇にある
といえるでしょう。
M:むしろ、バレエと名づけられる事で、より自由に、ラディカルな表現が追求で
きる、という風に思いますが。
B:ジャズでも、モダンでも、クラシックでも、タップでも、ロックでも、ない。
バレエという形態においては、身体を拘束する要素のすべてを除去できるのです。

second minute
M:バレエにおけるリアリズムが、私にはよく分からないんです。そもそも、リア
リズムを必要とするものなのでしょうか?
B:バレエにはさまざまな理論があって、身体論も多種多様。バレエにおけるリア
リズムは、自由な肉体が本来ならば表現したいであろう動作、形を取り戻す、といっ
た意味合いがあります。しかし、そもそも自由な肉体を獲得するために、ダンサー
は厳しい自己規制を強いられます。そもそも、自由ではないのです。
M: 身体表現そのものが、ある制約を前提にしていますね。それは、表現される
モノによる制約です。純粋な身体表現というものは、何を表現しうるのでしょうか。
B:即興では駄目です。感情の発露としての身体表現では、従来の固定回路から離脱
することが難しい。何者をも表現しないでいながら、身体表現の極限を追求するた
めには、特殊なメソッドが必要です。

third minute
M:時間、空間という区分が芸術にはありますね。私はダンスには、ストーリーは必
要が無いと思うんですよ。過去を重ねていく時間はいらない。かといって、空間は
必要ですけれども、そこにとどまるという意味で空間もまた意味をなさない。
B:それは私の考えに非常に近いですね。瞬間だけがある。連続性というのは錯覚
です。また、身体各部の連動もまた錯覚なのです。私はまず、こうした錯覚を取り
除くメソッドを確立しなければならないと考えたのです。
M:せっかく身体のみになれたのですから、他の余分なものを加える必要がないな
と、思うんです。
B:共感や理解を求めるためには、ストーリーや感情というト書きがあった方が簡
単なのだということなのだと思います。 

forth minute
M:身体をつかうという意味では、体操や、雑技などにおいては、ある種の極限を体
言していると思うのですが、バレエという観点から、こういった技芸はどう捕らえ
られますか?
D:それぞれの技芸においては、身体運動の限界をみせつけられているような気に
なりますね。しかし、それらはそれぞれの制約の中に置かれてこその表現であり、
体操では難易度による技のランクがあり、審査員における芸術点という古式ゆかし
い価値観がありますね。メソッドの一貫として、こうした訓練は取りいれています
が、やはりバレエではない。このバレエでは無い、というところに、バレエの独自
性が生じるわけですけれども、ではそれは何か、といわれると私にはまだ整理が出
来ていません。雑技はたしかに極地といえるでしょう。ヨーガでもそうですが、問
題点は、時としてそれはグロテスクだという事です。動き、形に重点が移りすぎる
きらいがあるように思われます。無論、こうした訓練を終えた人に対して振りつけ
をする事を考えると、それはとても楽しいものになるでしょう。振り付け師自身の
観念を破壊してくれるほどの身体は、それほど多くはありませんからね。

final minute
M:あらゆる分野で、ジャンルの融合が起きていますね。良い意味でも悪い意味で
も。バレエはクラシック、コンテンポラリー、フリーという大まかなジャンルがあ
り、ある種、クラシック音楽に似ています。現代音楽とコンテンポラリーダンスの
コラボレーションは多いですね。
D:そうですね。音は形ある物を求め、身体は音を求める。補完しあうものとして
あるのですが、それぞれを理解するその深度において、それは陳腐になる。動きと
音楽との融合を理解するということは、従来の価値観においてその融合を見とめる
ということが多い。だが、私達は、新たな価値観を創出し、それを認めさせるので
なければならない。芸術とは、そういうものではないでしょうか。
M:まだまだ、理解されるには早すぎる。そんな表現に出会い、それが新しいのだ
と気づく時の喜びは格別です。本日はどうもありがとうございました。

after minute
非常に明快だった。分かっていることがではなくて、分からないことが明確だった
ということです。バレエのすばらしさは、視覚によるバーチャルな身体感覚だと思
います。ですが、それすらも拒否するバレエに出会うとき、それを見てしまった私
達の身体も、大きく変革するのです。バレエは面白いか、陳腐かの二つに一つです。

<<次回のお客様は、無限愛好家 晴渉素螺氏です>>
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種別  :小説短編
ジャンル:架空対談
作者名 :宇祖田都子
メール :cak87430@geocities.co.jp
HP  :非所持
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 E-mail :tamachim@yahoo.co.jp
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 前編集者 仙ちゃん
 E-mail :slowhand@sea.plala.or.jp
 WebPage:http://www7.plala.or.jp/slowhand/
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 初代編集者 牧瀬佑樹(マッキー)/スタック作家
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