KISARAGI

KISARAGI vol.1000

カテゴリー: 2019年01月20日
文字作品投稿メルマガ KISARAGI       (毎週日曜日発行)
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KISARAGI vol.1000                     2019/1/20
                                       編集/発行:みやこたまち
                       E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
            KISARAGI:HP http://mmkisaragi.blogspot.jp/
     まぐまぐ内HP:https://www.mag2.com/m/0000007077.html
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――通信欄――――――――――――――――――――――――――――――

1000号をお送りいたします。皆様に感謝の気持ちをお伝えいたします。
ありがとうございます。ありがとうございます。本当にありがとうございます。

――今週のお話――――――――――――――――――――――――――――

◇ Inter_view 5 minutes
    ゲスト:KISARAGI
    インタビュアー 宇祖田都子

◆  古典へのいざない  [769]
    伽婢子《おとぎぼうこ》[78]  梅花屏風 [5]
    作者 たまさん

◆ 大学ノート狂詩曲 宇祖田都子の話
    第六十四回 小坂頼藻8 
    作者 宇祖田都子

● KISARAGIについて

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 Inter_view  5minutes
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BEFORE MINUTE
インタービュアーを勤めます、宇祖田都子です。(以下M)なんて、久しぶり
すぎて照れてしまいます。15年前、145回目のIV5Mをもって休載して
以来、15年ぶり。当時のアーカイブが少しずつ、KISARAGIのHPに
掲載されているようですので、当時の雰囲気にご興味をもっていただけたなら、
そちらを是非。
さて、KISARAGI一千回号目のお客様は、メールマガジンKISARA
GIさん(?)(以下K)です。

FIRST MINUTE
M:1998年初頭から、1000回。振り返ってみて、いかがですか?
K:それは「中の人」に尋ねるがよい。私は彼らの「念」の結集した現象であ
り、集合と離散とを繰り返すその場限りの存在である。私はそれを1000回
繰り返したという記憶を持たない。そもそも繰り返しなどという現象は不可能
だ。一回限りの生と死が1000回あった。一人が1000回死んでも、千人
が1回死んでも、1000回だ。私は1000という数字を冠して、今この世
に初めて召還された、念の集合体であるに過ぎない。
M:あ、なるほど。(わりと面倒くさいタイプだな…)

SECOND MINUTE
M:つまり、KISARAGIとは、依童のように、文章で何かを表現しよう
という人々の想いが乗り移る、霊的な現象であると?
K:いや。私は完全に物理的な存在だ。ただし、私は私のみでは存在しないし
「中の人」はKISARAGIの中でしか存在できない。
M:作者の方は、別の媒体でも作品を発表していらっしゃいますから、作者と
しての存在は、KISARAGIに依拠してはいないのだと思うのですが…
K:別の媒体に書いている作者は私とは無縁だ。私は私という場で作者に出会
う限りにおいて、αでありΩでありうる。KISARAGIとは出会いの場な
のだ。
M:作者と読者、作者同士、読者同士、が交流する場としてのメルマガ。とい
うと、ぐっとわかり易くなりますが、それがあなたの意思と考えてよろしいの
でしょうか?

THIRD MINUTE
K:同じ名前で1000回も生き死にすると、前世が薫習されるものだ。それ
は記憶と呼ぶにはあまりにも儚い「面影」のようなものを残している。かつて
作者達はたくさんの投稿の中から、自らの作品が掲載されることを祈っていた
し、メルマガという形式を離れて学園祭などで冊子として販売されたりもした。
250部から300部という化身を世の中に顕現せしめ、私は私を手にする
人々の記憶に根付いていた。存在は強固であり、影は濃かった。
M:当時が羨ましいと?
K:過去を、今でないという理由で懐かしむのであれば、人はなぜ未来を懐か
しまないのか? なぜ改変不可能な過去を慈しみ、自らが生み出す未来に絶望
するのか? そして絶望していながらなぜ、人は生き続けるのか?
 質問の答えは、NO!だ。
 私には過去はない。ただ「環境」があるだけだ。「環境」は「私」を規定し、
「私」は「環境」を改革する。

FOURTH MINUTE
M:「消滅」は恐ろしいですか?
K:私はそれを999回経験している。今回が1000回目だ。恐ろしくはな
い。私は再生や復活を望んだことは一度も無い。1001目の私は、今の私で
はないし、1001回目を確信することも、期待することもない。
M:「中の人」次第であると…
K:彼らもまた、小さな渦のひとつひとつに過ぎない。君もそうだ。私は渦が
作り出した潮流だ。次回が第一回とカウントされたとしても、改名されたとし
ても、渦は止まないし、潮流はなくならない。私はまた、別の潮流の一本とし
て、別の「中の人」の意思を存在させる場となるだろう。
M:1000回は通過点ですらないとお考えですか?
K:無論だ。君も分かっているはずだ。KISARAGIとは共時性の縁起だ
ということを。共時態だということを。そしてそれ以外に存在は在り得ないの
だということを。

FINAL MINUTE
M:存在するものの業として、強固かつ濃い影を持ちたいという欲望はありま
せんか?
K:KISARAGI。おもしろい名前をつけたものだと、つくづく思うね。
陰暦二月の異名。寒さに衣を更に重ねる。草木が生更ぎ(生えかわる)する時
期というような由来をもち、一年でもっとも短い月の名前だ。気候が陽気にな
る気更来、という説もあるらしいね。今の気分を、どれもぴったり言い当てて
いるように思われる。初代がこの名前を採用した理由を私は知らない。しかし
名は体を表すことになる、ということも事実だ。ならば、如月は、その真髄は
変わらんさ。厳寒のさなか、春を予感する精神。私はそれを崇高だと思うよ。
M:人々がそれぞれに「予感」を持ち寄る場、としてのKISARAGI。
そういう場が存在する、ということを、周りに広めていきたいと思います。


AFTER MINUTE
 KISARAGIは、未来を志向する。そんな場なのだと感じました。
 はじめは、面倒なタイプのゲストだと思ったのですが、話しているうちに、
「中の人」と「場」という関係性が入れ子になっており、そのすべてが「渦」
なのだということ。潮流もまた渦の流れの一部なのだということを感じること
ができました。
 現在、KISARAGIは、私とたまさんとの二人の投稿によって成り立っ
ています。もちろん、この形がKISARAGIの完成系ではなく、最終形で
もなく、限界でもないのだということは、間違いありません。
 現在の編集発行人「みやこたまち」氏(デスクです)は、こういう場のある
ことを積極的に発信してはこなかったのではないか、と思います。
 次回、そのあたりのことを、本人にインタビューしてみたいと思っています。
1001回まで、は、1000回スペシャルでいいですよね? デスクッ!

■□■次回のゲストは、編集発行人兼投稿者 みやこたまちさんです■□■

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古典へのいざない [769]
伽婢子《おとぎぼうこ》[78] 梅花屏風 [5]
作者:たまさん

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 尼は北の方に語った。
「その昔、淳和《じゅんな》天皇の后《きさき》が出家して武庫《むこ》の
山に籠《こ》もり、如意比丘尼《にょいびくに》と名乗りました。その御方
《おかた》が修法《すほう》の合間にやって来て浦島子《うらしまこ》の箱
を納め、空海和尚に供養させたのがこの寺です。しかしながら時世《じせい》
が移り変わり、物寂しい廃寺《はいじ》と化してしまいました。往時に空海
和尚が作った、胸部に浦島子の箱を納めた桜の木の如意輪《にょいりん》観
音が寺の霊仏《れいぶつ》でしたが、国守《こくしゅ》に奪い取られ、その
後、国守の屋敷と共に焼失してしまいました。しかるに、この寺は浜に近い
ために波の音が騒がしく、訪れる人も少なく、境内に蓬《よもぎ》や葎《む
ぐら》が生い茂る有様です。稀《まれ》に友とするのは、後ろの山で叫ぶ猿
の声、前の干潟で鳴く千鳥《ちどり》の声、松を吹く風、岸を打つ波だけで、
それ以外に言葉を交わす相手はいません。わたしと一緒に修行をしている尼
は他に三人いますが、いずれも五十代です。召し使われている侍者《じしゃ》
も若い尼ですが、慎ましく修行をしています。今のあなたの美しい花のよう
な姿を墨染めにやつし、柳髪《りゅうはつ》を剃《そ》り落として尼になる
のはひどくもったいないことだとは思いますが、愛着や執心を切り離して仏
道に入れば、その身は幻となり、命は霧のようになりましょう。今、出家し
たならば、座禅の床が妄念《もうねん》の雲を払い、灯明《とうみょう》の
光が無明《むみょう》の闇を照らし、香《こう》の煙が自然に心の穢《けが》
れを祓《はら》います。花を摘めば煩悩《ぼんのう》の炎も収まり、まった
く涼しくなります。朝に粥《かゆ》を食し、午《うま》の刻《こく》に食事
を取り、仏縁に従ってあるがままに年月を送ることになります。恨みも妬
《ねた》みもありません。心は静かで、身も穏やかです。いたずらに世に関
わって物思いに苦しみ、来世の憂《うれ》いを求めるよりは、世を捨てて出
家の道を歩む方が遥《はる》かに優れているとわたしは考えます」
 話が終わると北の方はすぐに仏前に赴き、髪を切って頭を剃《そ》り、
「梨春《りしゅん》」という法名を授けられた。
(続く)
                                  ★

 北の方は尼から話を聞いた直後に出家します。どのような心中であったか
は一切描かれていませんが、無情な戦国の世を厭《いと》う気持ちもさるこ
とながら、殺された夫や臣下を弔う意味もあったと思います。
 なお、尼の言葉にとても力が入っているのは、作者・浅井了意が僧侶だか
らです。ここに記されているのは、作者の生きざまや心構えそのものと言っ
ていいかもしれません。

 続きは次回にお届けします。それではまた。

――ウェブサイト―――――――――――――――――――――――――――

 かたかご http://yamanekoya.jp/
 山猫屋本舗 http://yamanekoya.net/

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大学ノート狂詩曲 -宇祖田都子の話
第六十四回 古坂頼藻 8 
作者:宇祖田都子

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第六十四回 小坂頼藻 8

「……たんだって」
 遠くの金木犀のように、小坂さんの声が残り香のように響きました。私は
フォークにパスタをまき付けたまま、静止していたのでした。
「今度は、何処行ってたのかな? ミヤコちゃんは」
 小坂さんは、ため息をつきました。
「あのお店に通い始めてから、ミヤコちゃん、ヘンだよ。大丈夫?」
 私は、いつの間にこんなにまき付けたのかと思われるほどのパスタを頬
張って、「今何もしゃべれません」という状態を作ってから、頷いたり、頭を
下げたり、首を横に振ったりして、いわば、言語以外でのコミュニケーション
の可能性を探っている人みたいなフリをしました。
 きまりが悪かったのです。
 小坂さんは私に何か話したいことがあって、だから、こうして会っているの
に、私は、私自身でも不思議なほど、最近は、自分の想いに囚われてしまうこ
とが多くて、動作に前後の脈絡を欠いてしまうことがよくあったのでした。

「ごめんなさい。なんだか、私最近、自分でも驚くくらいに、自分の考えてい
ることに囚われてしまうことが多くて、動作が途中で止まってしまうことがよ
くあるみたいで…」
 と、私は正直に言って、謝りました。
「私と話すの、イヤだなとか…?」
 小坂さんが、おずおずと尋ねました。私は思い切り首を左右に振りました。
フォークからぶら下がっていたパスタの尻尾から、ミートソースが跳ねました。
生成り色のコットンのテーブルクロスに染みができました。そのしみはやはり、
「ボイ~~ン」と読むことができました。

「そんなことない。小坂さんには聞いてみたことがたくさんあったの。でも、
その聞いてみたことがこんがらかっていて、それを解きほぐすのに時間がか
かってたんだ」
「で、『土鈴の会』だったんだ…」

 小坂さんは、伏目になって、メロンクリームソーダを真っ赤なスプーンでク
ルクルとまわしています。私には、その赤と緑の対比が強すぎるように感じら
れて、彼女の腕に光る産毛や、豊かではないものの、ピンと張り詰めた胸元の
肌を視野にいれることが躊躇われました。
 鼓動が早くなっていることを感じます。
『まるで、恋してるみたいだな』と、私は想い、そんな風に思う自分の心に吃
驚して、あわてて首を振っていました。

「頭痛いの?」 と小坂さんが私を覗き込みます。
「ん。大丈夫。冷房のせいかも… で、土鈴の会のことなんだけど。あ、それ
より小坂さんの方が、なにか話があったんじゃない? わざわざ坂上まで来て
もらって、私の話ばかりじゃ申し訳ないわ」

 そんなこともないんだけど… と小坂さんは隣の椅子においてあるリュック
をポンポンと叩きました。
「大きな荷物ね。これから発掘っていってたっけ?」
「えっ? ミヤコちゃん。どうして知ってるの? 今日はお城の西の区画を掘
るんだけど、会報にも載ってない話だったんだよ?」

 私は、逆に驚いていました。
 私はなぜ、発掘だと思ったでしょうか。でも、今そこを掘り下げても、おそ
らく何もでてこないような気がしていました。

「え? まぐれよ。まぐれ。で、何か新発見があったの?」
「…そっか… ま、これ見てよ」
 小坂さんは、リュックから何冊かのzineを取り出しました。

「これが、前にオウムでみた『土鈴の会 ××支部 vol.524― 魂振り』の号
で、主任が研究したもの。で、こっちもそのとき見てた手藻蔓さんの『暴』」

 その二冊には見覚えがありました。そしてその夜に…

「で、こっちがそれぞれの最新号、っていうか、コラボバージョン。先月の中
頃に届いたんだ。鸚鵡にもおいてあるけど、ミヤコちゃん、まだ読んでないで
しょ?」
「え、ええ。コラボって、一体…」

 小坂さんが、表紙を指差しました。
 そこには、土鈴の会 ××支部 vol.525 ― 並木神社縁起 のタイトルの
下に、主任の名前である、土岐司峯尾と、手藻蔓空也さんの名前が並んでいた
のです。(20190120)

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