ACADEMIC RESOURCE GUIDE

[ARG-241]2-1


カテゴリー: 2006年05月05日
                            1998-07-11創刊
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        ◆◇◆ ACADEMIC RESOURCE GUIDE ◆◇◆
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         Science, Internet, Computer and ...

      2006-05-05発行   ‡No.241‡   4293部発行

 "Ask not what the net can do for you
                 -ask what you can do for the net."
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  ◇ 目次 ◇
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○対談「新着だけではもったいない −学術分野でのRSS普及に向けて」
                          (林賢紀・兼宗進)

○新着・新発見リソース
 −東京大学大学院情報学環、第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター・
  コレクションを公開
 −国立国会図書館、近代デジタルライブラリーをリニューアル
 −東京大学附属図書館、東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository)を
  公開など、15サイト

○連続企画
「『これからホームページをつくる研究者のために』(仮題)
                    の刊行に向けて」(第7回)
 −「研究者の個人ホームページの歴史」年表(稿)改訂情報
 −進捗状況(編集者と筆者の追い込み作業録)

○過去の本誌から ― 既掲載記事の紹介

○イベントカレンダー

○新刊紹介

○サイト更新情報

○編集日誌

○奥付

〜<注目の新刊>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜<注目の新刊>〜

         永崎研宣編著、吉永敦征・畔津忠博著
       『OpenOffice.orgで学ぶコンピュタリテラシー』
          (東京電機大学出版局、2835円)
            http://tinyurl.com/khtd3

〜<注目の新刊>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜<注目の新刊>〜


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 ◆ 対談 ◆ - Science, Internet, Computer and ...
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[編集部より]

久しぶりに、書き下ろし記事を掲載します。題して、対談「新着だけではもっ
たいない −学術分野でのRSS普及に向けて」。対談いただいたのは、林賢紀
さん(農林水産研究情報センター)と兼宗進さん(一橋大学総合情報処理セン
ター)のお二人です。

対談にはYahoo!メッセンジャー<http://messenger.yahoo.co.jp/>のカンファレ
ンス機能(多人数でのおしゃべり機能)を使いました。対談を実施したのは
2006年4月24日です。約2時間かけて行われたオンライン対談のログ(履歴)を
まず編集部で整理し、その後、対談者である林さん・兼宗さんの確認を経て掲
載します。

*

  対談「新着だけではもったいない −学術分野でのRSS普及に向けて」

                対談者:
                ・林賢紀(農林水産研究情報センター)
                ・兼宗進(一橋大学総合情報処理センター)
                司会進行:
                ・岡本真(ACADEMIC RESOURCE GUIDE)

*

岡本:ACADEMIC RESOURCE GUIDE<http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/>
   の岡本真です。
 林 :こんにちは、農林水産研究情報センター
   <http://ss.cc.affrc.go.jp/ric/home.html>の林賢紀
   <http://toshokan.weblogs.jp/>です。
兼宗:一橋大学総合情報処理センター<http://www.cc.hit-u.ac.jp/>の兼宗進
   <http://kanemune.cc.hit-u.ac.jp/>です。
岡本:兼宗さん、林さん、本日はよろしくお願いします。
 林 :こちらこそ、よろしくお願いします。
兼宗:よろしくおねがいします。
岡本:本日は主にRSSとの出会い、自らの活用事例、RSS配信の注目事例、RSS
   配信の利用アイデア、RSS普及に向けた課題といった観点でざっくばら
   んに意見交換ができればと思います。兼宗さんと林さんは互いに一方的
   に知っている関係ではありますが、直接会ったことはないですよね。
兼宗:機会があれば、一度林さんにお会いしたいです。
 林 :ありがとうございます。筑波にもぜひ一度お越しください。
岡本:では、簡単にそれぞれの自己紹介いただけますか。
 林 :農林水産省農林水産技術会議事務局筑波事務所研究情報課レファレンス
   係の林と申します。長いので、農林水産研究情報センター
   <http://ss.cc.affrc.go.jp/ric/home.html>で通常は通しています。平
   成5年にいまの職場に採用後、データベースのメンテテンスからはじめ
   て、翌年からWebサイトの構築、Webによるサービス提供を中心に活動を
   してきました。また、平成6年に国内図書館OPACリスト
   <http://ss.cc.affrc.go.jp/ric/opac/opac.html>の提供を開始してい
   ます。
岡本:もう10年前ですね。
 林 :そうなんです。もう10年たちました。
兼宗:これはよいお仕事でした。
 林 :ありがとうございます。現在は、レファレンスの傍らRSSやCMSなどを使
   ったサービスのテストなどを行っています。最近の成果については、
   「情報管理」<http://johokanri.jp/>をご参照ください。RSSとその可
   能性について触れています。長くなりましたが、こんなところで。
岡本:「情報管理」に掲載されたのは、宮坂和孝さんとの共同執筆「RSS(RDF
   Site Summary)を活用した新たな図書館サービスの展開 −OPAC2.0へ
   向けて」
<http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/49/1/49_11/_article/-char/ja/>
   ですね。
 林 :はい、これです。宮坂が主にperlスクリプトを書いてくれました。
岡本:この論文ですが、農林水産研究情報センターでの実践に基づき、RSSの
   具体的な活用が論じられており、非常に触発されました。副題に掲げら
   れている「OPAC2.0へ向けて」が印象的です。
兼宗:インパクトありましたね。あと、前半はわかりやすい解説になっていて、
   知り合いの図書館員の方に読んでもらっています。
 林 :当初は、RSSの図書館での利用方法にとどめようと思っていたのですが、
   勢いがついてWebサービス的な発想になり、OPAC2.0とか書いてみたとこ
   ろ、共著の宮坂から「これはいいコンセプトですよ! これで押しまし
   ょう!」といわれ、「XMLを使うと便利になるよ」という視点で書いた
   のがこの原稿です。
兼宗:これで他のコンセプトを「OPAC2.0」と呼べなくなったので、どんどん
   推進しましょう。
 林 :ありがとうございます。
兼宗:後の話題かもしれませんが、個人的にはWeb2.0というのは厳密な定義も
   ないしどうでもいい話なのですが、2000年代に入って、みんなが漠然と
   「Webは何かが変わってきている」と感じていて、Web2.0とはその気持
   ちを代弁したものと理解しています。OPACについても、「最近、昔の
   OPACとは何かが劇的に違っている」と感じられるようになりたいですね。
 林 :わかります。
兼宗:その重要な一歩を、「変わらなければいけない」と宣言したという、
   とても大切な論文かもしれません。
岡本:同感です。
兼宗:よかった。感覚を共有できる人がいるのは貴重です。感謝。
岡本:徐々にではありますが、小さなところでは、トップページにOPACの検索
   窓を設ける大学図書館が増えてきた印象もあり、OPACに対する期待や可
   能性にあらためて光があてられつつあるように感じます。
兼宗:なるほど。
岡本:それでは、OPACの歴史をベンダーの立場からご覧になってきた部分も含
   めて、兼宗さんから自己紹介いただけますか。
兼宗:はい。私は一橋大学に来て2年経ちました。専門はコンピュータ屋で、
   今日の話とは遠いです。最初に毎日新聞の報道を紹介させてください。
   「ITのある教室:日本語でも書ける 初心者向けプログラム言語を紹介
   プログラミング・ワークショップ」
<http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20060419org00m040104000c.html>
   という記事です。これは先月開いた催しで、真ん中のドリトル
   <http://kanemune.cc.hit-u.ac.jp/dolittle/>というスライドが私の研
   究です。
 林 :わかりやすいですね。「ぴゅう太」*1が進化したみたいですね。
兼宗:わはは。Javaなどのオブジェクト指向プログラミングを初心者や子ども
   が学べる、というのが目的です。本題に戻りますと、もともとはデータ
   ベースをやっていました。筑波大学での学生時代にオブジェクト指向デ
   ータベースを研究していて、SQLに代わる問い合わせ言語をつくってい
   たので、いつの間にかさっきのようなプログラミング言語屋もしていま
   す。
 林 :すごいですね。林には縁遠い。
兼宗:そして、商用のデータベースシステムを作りたくてメーカーに就職しま
   した。ただ、そのうちにOracle<http://www.oracle.co.jp/database/>
   やSQLServer<http://www.microsoft.com/japan/sql/>のひとり勝ちがみ
   えてきたので、単独の製品化をあきらめました。でも5年かけて作った
   ので捨てがたく、それを使って特許システムや図書館システムを使った
   のがこの世界と触れたきっかけです。1994年頃には、日本の商用製品で
   は初めて、Web版OPACを作りました。Cで書いたCGIでした。当時、林さ
   んのOPACリストに載せていただき、感激しました。
 林 :電気通信大学に納品されたんでしたっけ?
兼宗:はい、そうです。
 林 :電通大は、telnet、WWW、Gopherと3点そろってました。「すごいなー」
   と眺めていた記憶があります。
兼宗:まったく図書館のことを知らなかったので、ゼロから考えて作るのは楽
   しかったものです。でも、完成してしまったので以前からやりたかった
   言語開発をはじめ、いまに至ります。長くてすみません。以上です。
岡本:言語開発やその普及に携わる一方で、
   「インターネット検索の原理とメタデータの利用」【PDF】
   <http://kanemune..cc.hit-u.ac.jp/kanemune/data/tpd2004.pdf>、
   「図書館で役立つWeb技術」
   <http://kanemune.cc.hit-u.ac.jp/kanemune/data/dtk0503.txt>など、
   図書館に向けて新たな可能性の示唆にもつとめてらっしゃいますね。
 林 :読ませていただきました。あまりこの手の話は図書館業界の雑誌には載
   らないので、助かります。
兼宗:メーカーを辞めたので動きやすくなりました。図書館の方にはたくさん
   お世話になったので、いろいろな形で恩返ししたいという気持ちが強い
   のです。来る原稿依頼は拒まないということもありますし、このままだ
   と図書館や図書館員の地位がとても不安です。なので手助けをしたいと
   いう気持ちがあります。みんなが林さんみたいではないですし、先の技
   術がみえないという意味で。
岡本:私が兼宗さんにお目にかかったのもまさにそのような場で、昨年の夏に
   開催された大図研オープンカレッジ
   <http://www.daitoken.com/kenkyu/doc.html>ですね。
兼宗:岡本さんの「図書館のホームページはだめだ」という指摘に愛を感じま
   した。
 林 :業界では話題になってましたね。
岡本:「How to Find? −変わりつつある情報探索−」というテーマで、兼
   宗さんが「インターネット検索と大学図書館」を、岡本が「大学図書館
   のホームページを「再」設計しよう −OPACを中心に」とそれぞれお話
   をさせていただきました。大図研のように非図書館員を講師に呼ぶなど、
   図書館の世界も変化への対応とさらなる進化に向けて歩みだしています
   が、今日のテーマであるRSSを中心に話題を広げていきましょう。
岡本:それでは、林さんとRSSの出会いから。
 林 :2003年の初めぐらいにブログというものを知り、そこでRSSを知りまし
   た。あ、新着情報「だけ」来るのか、ということで、Movabletype
   <http://www.sixapart.jp/movabletype/>でプレスリリースを書いて、
   XOOPS<http://jp.xoops.org/>のRSS用モジュールで受信、というテスト
   をしていました。で、使えそうだなと。
兼宗:Movabletype + XOOPSというのは、時流に乗っていたのですね。
 林 :そうみたいですね。ただ、ブログそのものは時期が早かったかなと思い、
   その年にリプレースを予定していたWebサーバシステム一式の中に各研
   究所の新着情報のHTMLファイルをRSSに変換する仕組みと、各研究所図
   書室の新着雑誌、図書の情報をRSSで提供してもらうシステムを構築し
   ました。リリースは2003年の12月です。
兼宗:早いですねー。
 林 :で、しばらく様子をみていたのですが、ちょっと早すぎたのかなと。
兼宗:なぜですか?
 林 :単にRSSのアイコンを張っただけで特に利用方法も広報せずにいたので、
   いまひとつユーザーの利用が少なかったのです。
兼宗:わかります。
 林 :そこで、見せ方などを工夫して、MAFFIN News Feeds Center
   <http://www.affrc.go.jp/ja/rss/>みたいに飾りつけをして、目次情報
   リンク+雑誌到着状況の表示
   <http://www.affrc.go.jp/ja/rss/coinsplus.html>なども作ってみまし
   た。組み合わせ次第で変わるなあと感じました。
兼宗:このページは最近拝見して、びっくりしました。このあたりは、自由に
   作れる環境なのですか。つまり、お仕事として認知されているという意
   味で。
 林 :はい、ときに周囲のお手伝いを仰ぎながら自由にやらせていただいてお
   ります。OPACリストのときもそうでした……。
兼宗:OPACリストを作ったのは、何歳のときですか?
 林 :23歳のときですね。情報収集はその前年、12月からですが。
兼宗:社会人1、2年目でしょうか。
 林 :そうですね、ちょうど1年目でした。
兼宗:それは初めて知りました。ものすごく感動しています。すばらしい業績
   です。
 林 :1993年は農水省の研究所がインターネットに接続された翌年で、単なる
   電子メールの送受信などにとどまらず「インターネットでの情報発信事
   例を集めてほしい」という上司からの指示が元です。
岡本:先進的ですね。農林水産系の研究機関は、もちろん数が多いということ
   はありますが、それを差し引いても、非常にインターネットの活用に熱
   心であり、また同時におもしろい、と思える試みが多いですね。
 林 :ありがとうございます。
兼宗:林さんはもともと、図書館がご専門ですか?
 林 :採用はII種図書館学ですが、大学の専門は社会学です。
兼宗:なるほど。
 林 :農水省の研究は先端を争うバイオテクノロジー系から成果が出るまでに
   何年もかかる育種系までいろいろなので、インターネットの使い方もさ
   まざまですね。ユーザーのレベルもまちまちです。幸いにも、情報セン
   ターは計算機とネットワークインフラを担当する農林水産研究計算セン
   ターと協力して、わりと自由にいろいろなことを試させてもらえる環境
   にあるので、テスト的なことは本務の合間をみてちょくちょくやらせて
   もらっています。兼宗さんのところと図書館とはどのような関係にある
   のですか?
兼宗:いまのところ、とくに関係はないです。図書館のお知らせRSSを作った
   人など、個人的に気になる人がいると、たまに話をする程度ですね。歴
   史がある立派な図書館だと、特にインターネットサービスをしなくても
   構わない、という気持ちなのかもしれません。
 林 :なるほど。
兼宗:逆に、古文書のようなものに力を入れているようです。
 林 :社会科学系に強い印象があります。
岡本:しかし、危機感を持つ職員の方もいらして、そういうなかでRSSを知っ
   たという感じでしょうか。
兼宗:個人が作ったRSSなので、1年前に異動した後は維持が簡単ではないよう
   です。
 林 :それは難しい問題ですね。
兼宗:というわけで、林さんの活躍と、それを支援する環境には、大いに敬服
   しております。
 林 :ありがとうございます。現在は、図書資料管理システム(ALIS)でのXML
   による書誌情報の出力テストなどの試験を行っており、
   A9<http://www.a9.com/>のOpensearch<http://opensearch.a9.com/>対
   応と、RSS1.0+MODSで書誌情報全体を出力するAPIを作っています。論文
   に書いたのでウソはつけません。有言実行です。
兼宗:このあたりは、いつか詳しくお聞きしたいです。やはり遊びに行かねば。
   先ほどの話では、RSSに対する最初の興味は、「新着」ですよね。今回
   のものはその延長ですか?
 林 :むしろ、「RSSを使ったリッチコンテンツの配信」的な側面が強いです。
   もちろん、アラートにも使えますが。
兼宗:それは今日お話したかったポイントです。
岡本:そこの点、大きいですよね。
兼宗:はい。とても。
 林 :新着だけだともったいないなあと。
兼宗:そうなんです!
岡本:ですねえ、もっと可能性があるはず。
 林 :「既存のインターフェースにとらわれないOPAC」を作りたいのです。
兼宗:ぱちぱち。
兼宗:実は今日、授業で10年ぶりくらいにOPACを使ったのですが、基本機能は
   自分が作っていた頃と何も変わっていなくてショックでした。
 林 :確かに、金太郎飴的ですよね。どのベンダーでもあまり変わらないとい
   うか。
兼宗:はい。
 林 :なら、玄人好みでもお好きな入出力ができるほうがいいかなあと。図書
   館総合展で聞き取りをしましたが、ほとんどの図書館システムベンダー
   さんが、「利用者からのニーズがない。社内でも開発の予定はない」と
   いうことでRSSへの取り組みは遅れているようです。
兼宗:目に浮かぶようです。
岡本:温度差が大きいですね。
兼宗:図書館からは、まだみたことがないような新しいOPACを想像することは
   難しいですから、やはり林さんのところなどで、みた人が「いままで気
   づかなかったけど、本当はこういうOPACがほしかった!」と思うような
   ものを作り、それを仕様書に盛り込んでいくのがよいと思います。そう
   すれば世の中が変わります。
 林 :そうですね。
岡本:先の雑誌新着目次情報<http://www.affrc.go.jp/ja/rss/coinsplus.html>
   が示すように、目にみえる効果は大きいですね。
兼宗:国などのお達しを待つのではなく、図書館から変わっていくのが理想
   です。
岡本:そこはやはりグラスルーツでいきましょう!
 林 :あと、インターフェースとして、いわゆるタグクラウドとかも使ってみ
   たいです。たとえば、新着図書を検索しなくても内容がわかるように、
   このサンプル
<http://toshokan.weblogs.jp/.shared/image.html?/photos/uncategorized/newcolud.jpg>
   のようにですね。
兼宗:これはよさそうですね。文字をきちんと利用しています。
 林 :専門用語の抽出など、実装方法については、
   <http://toshokan.weblogs.jp/blog/2006/03/post_7654.html>をご参照
   ください。
兼宗:ところでRSSですが、私は2002年頃に知ったときに、新着というより、
   メタデータとして興味を持ちました。全文検索(Googleなど)からの視
   点から、やはりHTMLというコンテンツだけでなく、何らかのメタデータ
   もついた形でWebが発展しないかなあ、と思っていました。
 林 :図書館屋さん的には、「目録つけたいなあ」という感じですね。
兼宗:過去にHTMLのMetaタグとか、Webの作者でもかけるという触れ込みの
   Dublin Core<http://dublincore.org/>などが普及という意味で頓挫し
   ていたので、その「普及なんて無理」と思われていた「作者が作るメタ
   データ」が、ブログを通していとも簡単に広まったのに感激しました。
 林 :不思議ですねえ。ユーザーの目にみえないところで生成・流通されてい
   る、というのがいいのでしょうか。
岡本:メタデータとしての可能性は大きいですよね。
兼宗:と思います。
岡本:ブログサービスが勝手にRSSを吐き出してくれるという面もありますが。
兼宗:そうです。ブログのRSSは、コンテンツ作者が生成していて、でも、自分
   がメタデータを生成していることは気づいていない人が多い。しかも、
   手間もない。
 林 :うんうん。
岡本:ですね。かくいう私自身、そうでした。たとえば、はてなダイアリーで
   すと、私のブログの場合、<http://d.hatena.ne.jp/arg/>の内容が、こ
   のように<http://d.hatena.ne.jp/arg/rss>、まあ、極めて単純な形で
   すが、RSSになる。
兼宗:統制されていませんが、分類も正確ですよね。本人がつけるから。「夕
   食」「ネコ」など、変なキーワードですが。
 林 :フォークソノミーですね。
岡本:さきほどのメタデータとしての普及にも関わるのですが、いまのところ
   コンテンツの発信者からしますと、このRSSがどのように有効活用され
   るのか、それがイメージしにくいのではないでしょうか。もちろんRSS
   リーダーは普及してきていますが、もっと、目にみえる形が必要ではな
   いかと思います。
兼宗:そう思います。
岡本:自らの例で恐縮ですが、ACADMIC RESOURCE GUIDEのRSSは国立国会図書
   館のデジタルアーカイブポータル<http://www.dap.ndl.go.jp/>でこの
   ような形<http://www.dap.ndl.go.jp/home/modules/xhld2/index.php?id=11>
   で活用していただいています、これをはじめてみたとき感じたのですが、
   このように第三者のサイトで有効に活用してもらえるということが目に
   みえる形、いわば自分で発信しているコンテンツの利用者に自分がなれ
   るという状態になると、メタデータとしてのRSSの書き方に対する意識
   も高まるのではないか、と思います。
兼宗:これはどのようなページなのですか? 国立国会図書館が作ってくれた
   ページですか?
岡本:国立国会図書館が、デジタルアーカイブ系のサイトへの総合的な入口と
   して実験的に構築しています。国立国会図書館サイトの内外かを問わず、
   デジタルアーカイブサイトを一括して検索できるというものですね。
兼宗:今日はものすごく勉強になっています。
岡本:XOOPSを使い、外部の個人サイトのRSSを取り込み表示するなど、国の機
   関としては相当冒険していますね。
   RSSの普及という観点でいけば、Yahoo! JAPANのMy Yahoo!
   <http://my.yahoo.co.jp/>にRSSリーダー
   <http://my.yahoo.co.jp/promo_jp/rss_reader/index.html>が組み込ま
   れ、gooも独自のRSSリーダー<http://reader.goo.ne.jp/>を配布し、と
   ポータルサイトが取り組みだしたことで、配信を受ける、それを個人的
   に活用するという段階は一定の到達点に来ています。今後のRSSの普及
   は確実と思いますが、やはり、林さん、兼宗さんが指摘するように、そ
   こで終わってはもったいない、ですね。
兼宗:一般的な使われ方は、やはり新着ですよね。
 林 :外国雑誌のRSSはかなり詳細な書誌事項が埋め込まれているので、使い
   ようによっては、受信→SFX<http://www.exlibrisgroup.com/sfx.htm>
   などのリンクリゾルバを介して複写依頼、オンラインジャーナル閲覧、
   その他のデータベースとのリンクなどができるかなと。
兼宗:その場合、RSSの形式はどうなっていますか。外国雑誌のRSSです。
 林 :RSS1.0にPRISM<http://www.prismstandard.org/>を載せています。
   サンプルは<http://www.pnas.org/rss/current.xml>です。これは
   Proceedings of the National Academy of Sciences
   <http://www.pnas.org/>の例です。
兼宗:RSSはシンプルで拡張性があるので、こういう形で各種メタデータの交
   換コンテナになるのは正しい使い方だと思います。
 林 :とりあえずRSSリーダーで読めて、さらに使いでがある。
兼宗:とりあえずみえる。
 林 :確か、RefWorks<http://www.refworks.com/>というサーバ型の文献管理
   ソフトがRSSにも対応して、文献データベースの出力結果と同様に自分
   の参考文献として整理できる機能がついたはずです。
兼宗:それはいいですね。通常のRSSリーダーだと、拡張部分はみえませんよね。
 林 :そうですね。
兼宗:将来は多少でも拡張される気配はあるのでしょうか。
 林 :descriptionにその手の情報を入れようとするのは、microformat
   <http://www.microformats.org/>ですね。HTMLのclass属性でメタデー
   タをつけてゆきます。
兼宗:ふむ。
 林 :人が読んでも普通の文字列ですが、機械はメタデータとしてみてくれ
   ます。
兼宗:それは面白いかも。
 林 :一部は実用に入っています。
   <http://www.goodpic.com/mt/archives2/2005/08/gtools_hreview.html>
   <http://www.goodpic.com/mt/aws/>
   これは主にレビュー用のフォーマットですね。
岡本:なるほど。これはAmazonの書誌を利用していますが、RSSがメタデータ
   として確立されてきますと、OPACに収められた書誌という形でデータベ
   ースを有している図書館にも十分同じことができますね。
 林 :microformatみたいな軽い実装か、うちみたいに大掛かりにMODSとか
   MARC21入れちゃうとか、どちらがいいのですかね。
兼宗:同じことを少し考えています。自分の考える書誌的な用途は、3つ浮か
   びます。
   (1)目録記述のような書誌データベースを作るためのめたデータ記述、
   (2)他のシステム間とデータ交換するための形式、
   (3)ユーザーが画面でみるための形式。
   どれも、必要とされるデータの粒度が違っている気がして、林さんと同
   じようなことで悩んでいました。で、目録記述はMODSやMARC21かな、と。
 林 :もうちょっと大掛かりになると、OAI-PMH<http://www.openarchives.org/>
   でデータを持っていってもらうとか。
兼宗:しかし、ユーザーがみるのはずっと簡単でいいですよね。
 林 :心配しているのは、せっかく作ったWebサービスを使ってくれる人はい
   るのかと。
兼宗:それは、なんとしてもユーザーを増やしてPRしてほしいです。
 林 :Amazonみたいにアフィリエイトはありません。
岡本:とはいえ、たとえば農林水産系の場合、図書の新着情報だけをとっても、
   農林水産と限定された分野で、図書館員によってセレクションされた農
   林水産関係の新刊の塊ですよね。
 林 :そうですね、果樹研究所とかだともう果物の本や資料ばかり。
岡本:ええ。このようなデータが配信される、あるいは直接引き出せるとなれ
   ば、JA(農協)のような組織をはじめ、個人にも重宝されるのではない
   でしょうか?
 林 :そのあたりは売りにしたいですね。
兼宗:狭い分野でもいいので、成功事例は大切です。
 林 :手に入りにくい官庁の資料や研究報告もありますし。先日のRSSのプレ
   スリリースでは、「ホームページからだと、どうも研究者向けで堅そう
   で入りにくいが、RSSでいいとこ取りできるのは便利」とコメントいた
   だきました。農家の方からです。
岡本:やはり。
兼宗:一般的なRSSの使い方ですが、いま、普通のユーザーの典型的な使い方
   は、特定の興味のあるサイトのRSSをリーダーに登録してチェック・閲
   覧する、アンテナ的な使い方でしょうか?
 林 :自分もそうです。気に入ったブログのまとめ読み用というか。
岡本:まだまだその段階でしょうね。
兼宗:慣れるとどうということはありませんが、最近は簡単になってきたとは
   いえ、エンドユーザーが、サイトを登録したり、削除したりしてメンテ
   ナンスするのは大変ではないでしょうか。
 林 :メンテナンスは確かに大変ですね。消えてしまったサイトの処理とか。
岡本:同感です。googleの様々なサービスが示すように、あらゆることがブラ
   ウザ上で可能になりつつあるいま、RSSリーダーという別のソフトとい
   う形式である限り、RSSの大爆発は難しいかもしれませんね。ただ、IE7
   がリリースされると状況は大きく変わるのでしょうが。
兼宗:そのあたりが、いまひとつ「RSSが一気に普及!」するのかと、気にな
   ります
岡本:RSS普及に向けた課題という点では、いまのRSSリーダーの操作性があり
   ますが、図書館を含め学術系の情報のRSS普及が進むかどうか、そのう
   えでの課題として他に懸念されていることはあるでしょうか?
 林 :図書館においては、図書館システムでの実装が進むかどうかですかね。
   メールで新着情報を個別に配るよりは効率がよいと思うのですが。この
   へんは普及・啓発が必要でしょうか?
兼宗:はじめに紹介していただいた私が2004年に書いた文章(「インターネッ
   ト検索の原理とメタデータの利用」では、全国の大学図書館の新着HTML
   をすべてRSSに変換するWrapper*2をゲリラ的に作ってしまおうと考えて
   いました。忙しくなって何もしていないのですが。
 林 :Webcat<http://webcat.nii.ac.jp/>が対応すればOKなのですが。
兼宗:Webcatは新着があるのでしたっけ?
 林 :書誌レベルでは何とか取れるかもしれませんが……。そもそも新着の検
   索ができませんね。
兼宗:それと、新着だと、どうしてもアラート的な機能がほしくなります。
 林 :当面は、うちのOPACでは「こんなこともあんなこともできる」というデ
   モを繰り返すぐらいでしょうか。
兼宗:それは大切ですね。そして、私や岡本さんは、機会のあるごとに「あそ
   こをみろ」とPRすると。
 林 :ありがとうございます。あと、今年度のデジタル・ライブラリアン講習
   会【PDF】<http://www.kinokuniya.co.jp/03f/es/18_pl.pdf>で公共図
   書館の方向けにRSSの話をしてきます。
兼宗:それはどういう切り口ですか?
 林 :前日にXMLの話があって、それを受けて図書館での情報発信手法として
   メールマガジンとRSSを取り上げます。メインはRSSです。実習もできる
   かもしれません。
兼宗:XMLというのがすごい。ある種、進んでいるというか、突き抜けていま
   すね。
岡本:実習まで入れれば、可能性が広がりますね。
 林 :あとは図書館員側の意識でしょうか。新しいサービスに憶さない、みた
   いな。
兼宗:今日はそこまで結論は出ませんでしたが、
 林 :それほど難しいものでもないですし。そのためにCSV > RSS変換サンプ
   ルスクリプト<http://www.affrc.go.jp/ja/rss/csv2rss.html>まで用意
   したのに。
岡本:私も5月に情報科学技術協会(INFOSTA)の総会で図書館とWeb2.0のよう
   な話をする予定なので、今日のお話を借りて、普及にいそしみましょう。
   そのうえでやはり重要なのが、林さんのように目にみえるものをつくり、
   提供してくださる方です。
兼宗:ぱちぱち。
岡本:引き続き、新たなアプローチを開拓していただければ。兼宗さんのヘル
   プもありますし。ですよね!!?
兼宗:もちろん!
兼宗:私は、5月に図書館情報学会というところで関連する発表をします。
岡本:「図書館員の勉強会と連携したメタデータ実験システム」
   <http://wwwsoc.nii.ac.jp/jslis/events/spring_2006_3.html#kanemune>
   ですね。
兼宗:はい。今週原稿を書きます。林さんの論文を参考文献に入れさせてもら
   います。いいタイミングでした。
 林 :ありがとうございます。時間をとって、聴講できればと思います。
岡本:では、三人とも普及・啓発につとめる機会があるようですので、兼宗さ
   んと岡本の発表で刺激を与え、7月の林さんの講義に人がなだれ込むよ
   うになるといいですね。
兼宗:いいですね。
 林 :ですね。
岡本:そこでの実習経験に基づいて秋には、全国各地で面白い取り組みが出て
   くることを楽しみに。その際は、祝勝会ですね。
 林 :そうしましょう。
兼宗:楽しみです
岡本:はい。
 林 :それまではプロトタイプ作りにいそしみます。
岡本:楽しみにしています。
 林 :実は、隣に共著の宮坂もいるのですが、よろしくお伝えくださいとのこ
   とです。
岡本:ありがとうございます。>宮坂さん
兼宗:こちらこそです。一度筑波に遊びに行きます
 林 :お待ちしています。
岡本:では、たいへん長くなりましたが、本日はここで〆としたいと思います。
   兼宗さん、林さん、ありがとうございました。
 林 :こちらこそありがとうございました。よい勉強をさせていただきました。
兼宗:とても楽しかったです。また機会がありましたらよろしくお願いします
岡本:はい。今後ともよろしくお願いいたします。


[注]

*1 ぴゅう太
1982年、トミーが発売した子ども向け用コンピューター。プログラミング言語
として日本語記述のG-BASIC、グラフィックソフトにG-GRAPHICを標準搭載し、
ゲームを自作できた。

*2 Wrapper(ラッパー)
ここではプログラムの意味とご理解ください。


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◆国立女性教育会館、メールマガジン「NWECだより」を創刊

国立女性教育会館がメールマガジン「NWECだより」を創刊した(2006-04-14)。
月刊で毎月中旬に発行され、だれでも配信登録できる。

・NWECだより
http://www.nwec.jp/mailmag/
・国立女性教育会館
http://www.nwec.jp/


◆国立民族学博物館、ネパール写真データベースを公開

国立民族学博物館がネパール写真データベースを公開した(2006-04-12)。デ
ータベースに収められた写真は1958年の「西北ネパール学術探検隊」(隊長:
川喜田二郎さん)に参加した高山龍三さんらが現地で撮影した3,584点と、同
隊がネパールで収集した標本資料の295点の合計3,879点。検索には、地図から
探す、物から探す、テーマから探すの3種類があり、特に地図から探すは、ネ
パールに詳しい人、詳しくない人のいずれにとっても使いやすいだろう。
なお、制作者の紹介ページでもふれられているが、制作を統括したのは同館の
南真木人さん。他の関係者の氏名も制作者の紹介に挙げられている。

・ネパール写真データベース
http://www.minpaku.ac.jp/Nepal/
・南真木人さん
http://www.minpaku.ac.jp/staff/minami/
・国立民族学博物館
http://www.minpaku.ac.jp/


◆産業技術総合研究所、バーチャルミュージアムをリニューアル

産業技術総合研究所が「バーチャルミュージアム」をリニューアルした
(2006-04-11)。同研究所の研究内容をまとめている。だが、全体的にはバー
チャルミュージアムを名乗るには内容が乏しい。もう少し改善してほしい。

・バーチャルミュージアム
http://www.aist.go.jp/aist_j/museum/
・産業技術総合研究所
http://www.aist.go.jp/


◆産業技術総合研究所、「産総研・サイエンス・タウン」を公開

産業技術総合研究所が「やさしい科学解説」をリニューアルし、「産総研・サ
イエンス・タウン」を公開した(2006-04-11)。商標登録出願中のキャラクタ
ー「産総研ありす」と「産総研てれす」が同研究所の研究内容を解説するとい
う体裁をとっている。
なお、以前の「やさしい科学解説」のページはすべて削除されてしまったよう
だ。内容は充実していたと思うだけに、全面的な差し替えは残念に思う。なぜ、
新旧のコンテンツを併用しないのだろうか。

・産総研・サイエンス・タウン
http://www.aist.go.jp/aist_j/science_town/
・産業技術総合研究所
http://www.aist.go.jp/


◆信州大学、リニューアルに伴いRSS配信を開始

信州大学がサイトをリニューアルし、同時にRSS配信を開始した(2006-04-10)。

・「信州大学ウェブサイトをリニューアルしました」(2006-04-10)
http://www.shinshu-u.ac.jp/news/htm/00043.htm
・信州大学
http://www.shinshu-u.ac.jp/


◆日本近代仏教史研究会、サイトを公開

日本近代仏教史研究会がサイトを公開した(2006-04-08)。会誌「近代仏教」
の総目次や過去の研究大会の発表題目が公開されている。

・日本近代仏教史研究会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/mjbh/


◆東京国立近代美術館、サイトをリニューアル

東京国立近代美術館がサイトをリニューアルした(2006-04-07)。全般的にデ
ザインは変更されているが、新たに公開された資料はない模様。

・東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/


◆文部科学省、報告書「これからの図書館像」を公開

文部科学省が、「これからの図書館像−地域を支える情報拠点をめざして−」
(「これからの図書館の在り方検討協力者会議」報告書)を公開した
(2006-04-06)。

・「これからの図書館像−地域を支える情報拠点をめざして−」
 (「これからの図書館の在り方検討協力者会議」報告書)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06040513.htm
・文部科学省
http://www.mext.go.jp/


◆東京大学大学院情報学環、第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター・コレ
 クションを公開

東京大学大学院情報学環が第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター・コレク
ションを公開した(2006-04-04)。このポスター・コレクションは、同学環が
所蔵するもので、現在661点が電子化されている。5年を要した電子化にあたっ
ては、ポスターの印刷方法を確認する版式調査を行い、現在とは異なる独特の
技術でつくられた第一次世界大戦期のポスターの実態を明らかにしている。こ
の経緯は「Enterprise Watch」誌が詳しく伝えている。アーカイブの構築には
同学環の吉見俊哉研究室が中心となってあたり、FileMaker社をはじめ、内外
からの幅広い協力があったようだ。

・第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター・コレクション
http://archives.iii.u-tokyo.ac.jp/
・「東京大学大学院情報学環「戦争とメディア」研究プロジェクト デジタル・
 アーカイブ「第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター コレクション」の
 インターネットでの一般公開」(東京大学大学院情報学環、2006-04-05)
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/gnrl_info/news/list06/01.html
・吉見俊哉研究室
http://www.yoshimi-lab.org/
・吉見俊哉研究室のブログ(2006-0404)
http://d.hatena.ne.jp/yoshimi-lab/20060404#1144163696
・東京大学大学院情報学環
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/
・「東京大学 大学院情報学環 第一次世界大戦期プロパガンダポスターのデー
 タベース化やインターネットでの一般公開のために、FileMaker 8 製品ライ
 ンを採用」(ファイルメーカー株式会社、2006-04-04)
http://www.filemaker.co.jp/news/p20060404_1.html
・「東京大学×FileMaker 知の文化遺産、いまこそ広く未来に伝えたい」
 (ファイルメーカー株式会社)
http://www.filemaker.co.jp/solutions/posters.html
・「「第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター コレクション」のデータベ
 ース化およびインターネットでの一般公開について」(ファイルメーカー株
 式会社)
http://www.filemaker.co.jp/solutions/posters_db.html
・「「職人芸」をデジタル技術で伝達」(Enterprise Watch、2006-04-07)
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/04/07/7576.html
・「東大、第一次大戦期のプロパガンダポスターをアーカイブ化して一般公開」
 (INTERNET Watch、2006-04-04)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/04/04/11508.html
・「第一次世界大戦期のポスター661点をデジタル化、東大」(@IT、2006-04-05)
http://www.atmarkit.co.jp/news/200604/05/iii.html


◆国立国会図書館、近代デジタルライブラリーをリニューアル

国立国会図書館が近代デジタルライブラリーをリニューアルした(2006-04-04)。
今回のリニューアルに伴い、同館が所蔵する明治時代の書籍6万7千冊が新たに
電子化され、公開されている。6万7千冊が追加されたことで、合計12万7千冊
が公開されていることになる。同館が著作権調査を行ったのが約16万冊という
から、約8割の書籍が電子化されたということになるだろうか。
電子化された書籍が倍増したことは、実際に使ってみると実感する。たとえば、
「転石ハ苔を生ぜず」ということわざの日本での初出事例である『一語千金』
(1888年)と『和漢泰西俚諺集』(1890年)で検索すると、それぞれ以下のよ
うなデータがみつかる。

・『一語千金』(1888年)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40000954&VOL_NUM=00000&KOMA=16&ITYPE=0 
・『和漢泰西俚諺集』(1890年)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40000954&VOL_NUM=00000&KOMA=16&ITYPE=0 

これまでには考えられなかった体験である。12万7千冊という近代デジタルラ
イブラリーの蔵書数の効果だろう。

さて、今後の課題として、電子化の継続以外に次の点を挙げておきたい。

1. NDL-OPACとの連動
2. 本文検索の実現
3. 本文画像画面の操作性向上

特に、明治期の書籍をほとんど電子化したいま、NDL-OPACと近代デジタルライ
ブラリーを接続しない理由はないだろう。NDL-OPACで検索してみつけた書誌情
報に近代デジタルライブラリーに収められた当該書籍へのリンクを設けるだけ
のことである。技術的な困難はまずないはずだ。これが実現すれば、明治期の
書籍については、いきなり現物を利用するのではなく、一度近代デジタルライ
ブラリーで内容を確認し、そのうえでなお必要があれば、現物の閲覧を求める
という形になる。国立国会図書館の業務を画期的に変えることになるはずだ。
また同時に本文の検索が可能となるように電子化を推進してほしい。目次まで
しか検索対象にならない現状では、近代デジタルライブラリーが本来発揮でき
る力を削いでしまっている。ある言葉の初出を調べるといった用途にも本文の
全文検索は役立つことだろう。
画面の操作性については異論があるだろうが、アイコンに依存しすぎている印
象を受ける。一般に視覚的なナビゲーションは有効なものだが、アイコンの意
味を解説しなくてはいけないようでは、その役割を果たしていない。

電子化そのものには十分目途がついたいま、次の向かうべきは利用しやすい近
代デジタルライブラリーへの進化ではないか。さらなる前進を期待したい。

・近代デジタルライブラリー
http://kindai.ndl.go.jp/
・国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/
・「明治期図書75%がネット公開 国立国会図書館 4日から大幅増に」
 (京都新聞、2006-04-03)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006040300152&genre=M1&area=K20


◆国際基督教大学図書館、バンクス植物図譜を公開

国際基督教大学図書館がバンクス植物図譜を公開した(2006-04-04)。これは
同館で2006年4月4日から7月14日まで開催される特別展示の内容を紹介するも
ので、1991年12月11日に同大学で行われた公開講演「ジョセフ・バンクス卿の
生涯 −18世紀の偉大な植物研究家・探検家−」(演者:勝見允行さん、「国
際基督教大学図書館公開講演集 第7集」、1993年3月似収録)の内容を全文電子
化し提供している。

・バンクス植物図譜
http://www-lib.icu.ac.jp/Tenji/200604Banks/
・国際基督教大学図書館
http://www-lib.icu.ac.jp/


◆東京大学附属図書館、東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository)を公開

東京大学附属図書館が東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository)を公開
した(2006-04-03)。公開されている資料はまだ数千点の規模にとどまるが、
今後どの程度成長していくか注目したい。
サイト構築には学術機関リポジトリの共通仕様の一つであるDSpaceが使われて
いる。これはDSpaceそのものの問題だが、DSpaceで構築された学術機関リポジ
トリは見た目や使い勝手に大きな課題がある。東京大学学術機関リポジトリ
(UT Repository)の場合も、せっかく美しく見やすいトップページを用意し
ているが、実際にリポジトリを使おうとするとがっかりしてしまう。かねてよ
り指摘している「機関リポジトリ」という名称の是非とともに、機関リポジト
リのサイトとしての使い勝手や見栄えも検討されていく必要があるだろう。

・東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository)
http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/
・「「東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository)」の公開について」
 (2006-04-03)
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/koho/news/news/fuzokuto_06_04_03.html
・東京大学附属図書館
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/
・「機関レポジトリ」のままでよいのか −訳すことを通した理解と浸透
 (2006-03-25(Sat)の編集日誌)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060326/1143337490


◆東京大学附属図書館、鴎外文庫書入本画像データベースを公開

東京大学附属図書館が鴎外文庫書入本画像データベースを公開した
(2006-04-03)。東京大学総合図書館が所蔵する森鴎外の旧蔵書コレクション
を収めた鴎外文庫のうち、主に森鴎外の自筆写本や書入本を電子化している。

・鴎外文庫書入本画像データベース
http://rarebook.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/ogai/
・「鴎外文庫書入本画像データベースの公開について」(2006-04-03)
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/koho/news/news/soto_06_04_03.html
・東京大学附属図書館
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/
東京大学情報基盤センター
http://www.itc.u-tokyo.ac.jp/


◆奈良県立図書情報館、奈良県地方新聞所在目録を公開

奈良県立図書情報館が奈良県地方新聞所在目録を公開した(2006-04-01)。目
録では、全国紙の奈良版、奈良県の地方紙が県内のどの図書館に保存されてい
るかをまとめている。制作にあたったのは、奈良県図書館協会地域資料研究会。

・奈良県地方新聞所在目録
http://www.library.pref.nara.jp/publication/lnewscat/
・奈良県立図書情報館
http://www.library.pref.nara.jp/


◆国立公文書館、デジタルアーカイブに新たな資料を追加

国立公文書館がデジタルアーカイブに新たな資料を追加した(2006-04-01)。

・国立公文書館デジタルアーカイブ

・国立公文書館
http://www.digital.archives.go.jp/news/


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 ______________
  ■ 掲載希望の送り方 ■
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 連絡先:zd2m-okmt@asahi-net.or.jp
 きまり:自薦他薦不問。添付ファイル禁止。個人サイト・組織サイト不問。
 その他:掲載可否は編集部判断。公開予定サイトの事前連絡歓迎。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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[ARG-241]2-2 へつづく

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