Japan on the Globe-国際派日本人養成講座

Japan on the Globe(92) by mag2

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        _/  _/    _/  _/           Japan On the Globe (92)
       _/  _/    _/  _/  _/_/      国際派日本人養成講座
 _/   _/   _/   _/  _/    _/    平成11年6月19日 10,355部発行
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_/_/   地球史探訪:「小さな水の惑星」に浮かぶ「庭園の島」
_/_/        〜川勝平太氏の海洋史観(3)〜
_/_/
_/_/           ■ 目 次 ■
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_/_/    1.敗戦のたびに、成長する日本
_/_/    2.生物の棲み分けに学ぶ
_/_/    3.「平和の海」での百花繚乱の世界
_/_/    4.「美しい水の惑星」に浮かぶ「庭園の島」
_/_/    5.「富士」は物と心の豊かさ
_/_/    6.魅力と感動のソフトパワー
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■1.敗戦のたびに、成長する日本■

     日本は敗戦によって相手国のシステムを受容し、相手から離
    脱して自立するという過程を繰り返してきた。[1]
  
   国際日本文化研究センター教授・川勝平太氏はこう喝破する。

   最初の敗戦は、唐を相手とした天智2(663)年の白村江の戦で
  ある。この後、唐の政治システムを取り入れて、律令国家体制を
  築き上げた。
  
   第二の敗戦は、文禄元〜慶長3(1592〜98)年の秀吉による朝鮮
  征伐である。戦いに敗れた後、明の経済システムを学び、それに
  勝る経済社会を作り上げた。
  
   第三の敗戦は、幕末の薩英戦争、下関戦争である。敗者となっ
  た薩摩、長州が中心となって、明治日本は西欧の軍事システムを
  取り入れて、イギリスと対等の同盟を結ぶまでになった。
  
   そして、第四の敗戦が、大東亜戦争である。アメリカの圧倒的
  な物質文明に負けて、戦後日本は強力な工業力を発展させた。
  
   第三、第四の敗戦は、近代世界システムとの戦いであった。我
  が国は、平和に満ちた江戸システムから、暴力的収奪を事とする
  近代世界システムに飛び込み、敗れ、そしてそのシステムを受容
  してきた。今後は、それから離脱し、自立する時だ。今こそ近代
  世界システムを乗り越える新しい文明の創造を目指そうと、川勝
  氏は語る。

■2.生物の棲み分けに学ぶ■

   近代世界システムは、暴力的収奪によって、地球全体を覆った。
  暴力の極みが核兵器であり、収奪の果てが地球環境危機である。
  両者によって、人類は今や生存の危機に瀕している。近代世界シ
  ステムを超克し、新しい文明を目指さねばならない。
  
  「世界は万物の生存闘争の場であり、強者が弱者を駆逐し、収奪
  して、支配を広げる」−このダーウィン的弱肉強食の世界観が、
  近代世界システムの根底にある。近代世界システムを乗り越える
  には、この世界観そのものから変えていかねばならない。
  
   ダーウィンの自然観察が、ガラパゴス諸島と、イギリスの自宅
  の庭先に限られてたのに対し、90年の人生の大半を世界各地の
  自然観察に費やした結果、「自然とはそのような生存闘争の場で
  はない」と異議を唱えた人がいる。京都大学の今西錦司である。

   今西によれば、生物の進化とは、数百万の種に分化しながら、
  それぞれの多様な環境に適応してきた歴史である。
  
     すべての生物がこのようにして、それぞれ特殊な環境に適応
    し、その主人公になったならば、そこに成りたつ生物の世界は
    「棲みわけ」によるすべての生物の平和共存の世界である。
    [2]
    
■3.「平和の海」での百花繚乱の世界■

   1961年のソ連のガガーリンによる最初の宇宙飛行以来、我々の
  地球観は大きく変わった。果てしない水平線、地平線という広大
  な「世界」から、暗黒の宇宙にぽっかり浮かぶ、小さな美しい水
  の惑星、「地球(Globe)」へと。
  
   この小さな地球において、これ以上、人類が自然を収奪し、核
  兵器で対峙しあっていては、未来はない。人類だけが棲み分けの
  原理から逸脱し、自然を征服し、相互に戦争を繰り返してきた。
  我々はもう一度、自然から「棲み分け」の摂理を学び、この小さ
  な美しい地球において人間どうし、そして人間と自然とが平和共
  存しうる世界を目指さねばならない。
  
   地球とは7割を海に覆われた水の惑星である。大陸ですら、海
  に浮かぶ島と見なせる。この「小さな水の惑星」の中でも、日本
  から、朝鮮、台湾、海洋シナ、フィリピン、東南アジア、そして
  オーストラリアに至る西太平洋世界は、もっとも島嶼の多く、か
  つ、異なる言語・文化・宗教の混在し、ダイナミックな発展を遂
  げつつある「多島海世界」である。
  
   かつては、この海洋アジアの豊かな物産へのあこがれから、辺
  境のヨーロッパに近代世界システムが生まれ、地球上をすべて
  「戦争の海」と化した。しかし、東アジアの限られた地域ではあ
  ったが、江戸システムは「平和の海」を現出させた。
  
   それは各民族が棲み分けながら、活発な交易ネットワークを維
  持し、それぞれの個性的な生活様式を発展させてきた平和共存の
  世界である。
  
   この「平和の海」を西太平洋世界に現出させる。様々な民族が
  それぞれの言語・文化・宗教に基づく個性的な生活様式を発展さ
  せ、その文化的多様性を保持したまま、活発なネットワークによ
  る交流を行う。
  
   グローバル化とは、すべての人間と自然とが、一つの強いシス
  テムの支配のもとに置かれることではない。それでは近代世界シ
  ステムの延長に過ぎない。自然とは、本来、多様なものの共生で
  ある。
  
   したがって、そこに住む人々も、無個性の均一な「国際人」や
  「地球市民」ではない。それぞれの文化と歴史に根ざした個性的
  生活様式を持つ国際派日本人や国際派マレー人や、国際派シナ人
  でなければならない。それぞれの文化が百花繚乱の豊かな世界を
  生み出す。

■4.「美しい水の惑星」に浮かぶ「庭園の島」■

   その中で、日本はどのような国を目指すのか。日本列島も、こ
  れまた大小様々な島からなり、北は亜寒帯から、南は亜熱帯に及
  び、その中で、山岳、渓谷、盆地、高原、里山、平野が多様な国
  土を織りなし、四季折々の自然の美を生み出す。日本列島の自然
  は、地球生態系のミニチュアとも賛嘆される。
  
   この日本列島を、「美しい水の惑星」に浮かぶ「庭園の島」と
  して、新たな国土を作り上げようというのが、川勝平太教授の海
  洋史観からの提言である。
  
   Garden City(田園都市、より正確には、庭園都市)すなわち
  緑、自然を庭として育てる都市の概念は、1898年に出版された英
  国人ハワードの「明日の田園都市」により、人口に膾炙されるよ
  うになった。しかし、その起源をたどっていくと、幕末から明治
  初年に日本を訪れた外国人たちに行き着く。
  
   幕末の英国初代公使オールコックは、「大君の都」で、日本の
  園芸農業を賛嘆し、手入れの行き届いた農村の風景を、英国自慢
  の庭つくりと引き比べて激賞した。明治5年に来日した近代観光
  業の創始者トマス・クックは、日本の「豊かな自然の恵み、次々
  に移り変わって終わることを知らない景観の美しさに呆然」とし
  て、日本を理想郷として宣伝した。[1,p238]

   自然と人が調和して共生する庭園都市は、江戸システムが長い
  年月をかけて作り上げてきた生活様式である。このモデルを日本
  列島に適用すれば、「庭園の島」となる。
  
■5.「富士」は物と心の豊かさ■

   その「庭園の島」の中心であり、象徴であるのが、富士山であ
  る。
  
     幕末開国を機に日本を訪れた外国人は、富士山をあおぎ、そ
    れを訳して、rich and civil mountainと訳した。内外の人士
    からあおぎみられてきた天下の秀峰・富士山は、広い裾野をも
    って高くそびえ、その姿は品格に満ち、だれが決めるともなく
    日本の象徴となっている。それは地球社会に向けてはばたく日
    本の姿にふさわしい。たくまずして日本の象徴になった富士山
    のごとき姿こそ、日本の理想であろう。
    
     富士の字義は、富は物の豊かさを、士は心の豊かさを表して
    いる。富士の国(民)を英訳すれば、Rich and Civilized Nat
    ion、あるいは、the Nation of Wealth and Virtueである。
    [3]
    
   川勝氏は、これを富国強兵になぞらえて「富国有徳」と訳す。
  ここでの富とは、近代世界システムでの大量生産、大量消費、大
  量廃棄の事ではない。それは人間による一方的な物質の収奪と浪
  費に過ぎない。
  
   真の富とは、人間と物との親密な関係から生み出される。たと
  えば、茶道では、人間が茶器を愛し、茶器を使って、茶の世界を
  作り出す。人が物を作り、物が人を生かす。物に感謝し、大切に
  する所から、真の豊かさが生まれる。文化とはそのような豊かさ
  を味わう生活様式の事である。

■6.魅力と感動のソフトパワー■

   川勝氏の「庭園の島」構想は、平成10年に策定された戦後五
  度目の国土計画「二十一世紀の国土のグランドデザイン」に反映
  されている。従来の国土計画は、高速道路網を作るというような
  国土の経済的発展に主眼があったが、今回は文化、生活様式の視
  点から、新たな国土作りを目指している。その基本目標は2015年
  ごろをめどに、
  
     歴史と風土の特性に根ざした新しい文化と生活様式をもつ人
    々[日本人]が住む美しい国土、庭園の島ともいうべき世界に
    誇りうる日本列島を現出させ、地球時代に生きる我が国のアイ
    デンティティを確立する
    
   ことである。小さな水の惑星「地球」のミニチュアたる日本列
  島に、自然と調和し、歴史に根ざした生活様式を確立する。それ
  は江戸システムをモデルに、現代科学技術を適用したものである。
  そのような「庭園の島」は、世界の人々のあこがれを集めるであ
  ろう。
  
   文明とは、外部の諸民族からあこがれられることによって、模
  倣され普及されるだけの魅力を備えた文化の事である、と川勝氏
  は定義する。「庭園の島」に具現化された生活様式は、日本文化
  の新しい段階であるとともに、近代世界システムから地球を救う
  新しい文明のモデルになる可能性を持っている。
  
   新しい文明は、暴力と威嚇を本質とするハードパワーよりも、
  魅力と感動を本質とするソフトパワーに力点を移すべきだろう。
  「庭園の島」での豊かな品格ある生活様式の生み出す魅力と感動
  のソフトパワーによって、地球社会で独自の地位を占めていくこ
  とが、我が国の次の目標である。
  
  (注:本講座では、川勝氏の膨大かつ、広範な研究とビジョンを
  一般読者に短く、分かりやすくご紹介するために、表現や論旨の
  面で、あるいは、原著者の意にそぐわない部分もあるかもしれま
  せん。関心を持たれた方は、ぜひ、下記の原著をご覧下さい。)

■ 参考 ■
1. 「文明の海洋史観」、川勝平太、中公叢書、H9.11
2. 「私の進化論」、今西錦司、思索社、S45、[1,p85]より再引
3. 「日本再生の大計」、川勝平太、Voice、H11.6

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発行周期:  週刊 最新号:  2019/03/17 部数:  31,053部

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