Japan on the Globe-国際派日本人養成講座

Japan on the Globe(83)

★★★ 再配布は自由です。 知人友人にご紹介ください ★★★
Homepage(購読申込・交流掲示板・既刊閲覧)http://come.to/jog
Mail(お便り):nihon@mvh.biglobe.ne.jp
平成9-10年版総集編(\400) 電子出版中 http://come.to/jog

         _/    _/_/      _/_/_/  _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
        _/  _/    _/  _/           Japan On the Globe (83)
       _/  _/    _/  _/  _/_/      国際派日本人養成講座
 _/   _/   _/   _/  _/    _/    平成11年4月16日 7,727部発行
  _/_/      _/_/    _/_/_/   _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/_/
_/_/         人物探訪:石原慎太郎
_/_/        〜Noと言う国際派日本人〜
_/_/
_/_/           ■ 目 次 ■
_/_/
_/_/      1.都知事になったら
_/_/      2.NOと言わない日本
_/_/      3.東京湾沖の米軍射撃訓練にNO
_/_/      4.真の友好のためのNO
_/_/      5.NOと言うエネルギーの源泉
_/_/    
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

■1.都知事になったら■

 都知事に当選した石原慎太郎氏は、すでに9年前に次のように書
いている。

     私が東京都の知事だとしたら、党派の立場を越えて、神奈川、
    埼玉、千葉の県知事と計りあってまず横田と座間と厚木の基地
    のうちの一つの機能をどこか他所に集約して返してほしいと 
    交渉をするでしょう。

      仮に基地が一つ返還されると、たちまちにしてそこに巨大な
    民間空港が誕生するのです。航空騒音も軍用よりもはるかに少
    ないし、なによりも東京の至近距離に空港が新たに誕生するこ
    とで生じる経済的波及効果は大変なものです。アメリカが本当
    の意味で日本と友好国であろうとするならば、まず首都圏の基
    地返還という思い切りの良い一手を打つべきでしょう。
    [1,p60]

 その根拠として、氏は次の2点を挙げる。

    ・世界各国の中で首都圏周囲に4つのもの外国駐留軍基地(横
      須賀、座間、横田、厚木)を置いている国は日本だけ。
    ・横田基地はアンタッチャブルとなっており、使用頻度を米軍
      に聞いても教えてくれない。完全な治外法権となっており、
      アメリカのVIPが全く日本に知らせずに行き来するのに使
      われている。

 このように、根拠を明確にして、はっきりと自己主張するのが、
石原氏の流儀である。これは国際派日本人の見習うべき点だ。

■2.NOと言わない日本■

 ソニーの会長だった故盛田昭夫氏との共著「『NO』と言える日
本」は、アメリカの国防総省が無断で英語に翻訳して、(しかも石
原氏によれば、意図的な誤訳の多いまま)、配布し、議会でも取り
上げるなど、米国内でヒステリックな反応を引き起こした。

 この本を現在読み直してみると、アメリカに対するストレートな
批判は多いが、感情的になるほどのものはない。たとえば次のよう
な話が出てくる。

 盛田氏が、いつも「日本はアン・フェアだ、けしからん」と言っ
ているアメリカの友人の家に行ったら、テレビもステレオも、ゴル
フクラブも、モーターボートも、スノーモービルも全部日本製だっ
た。盛田氏は言った。

     おまえさんは日本がアメリカのものを買わない買わないと言
    って怒るけれどもども、あんたが全部日本の物を使っていなが
    ら何を私たちに買えと言うんだ。[2,p25]
    
 アメリカ生活の長い盛田氏ならではの具体的で明快な指摘だ。し
かし、この程度の当たり前の主張が、なぜアメリカで騒ぎを起こし
たのか? 石原氏は改めて「あの本のようなメッセイジがどうやら
今まで一度も日本からアメリカに向かって発せられたことがなかっ
た」という事実に気がつく。

 そして「アメリカにとっての日本とは所詮いかなる『NO』も許
され得ぬような存在でしかない」と実感し、それは「アメリカの責
任であると同時にそれ以上に日本の責任でもある」と説いている。
[1,p11]

 「『NO』と言える日本」は、後に正式な翻訳が出版され、アメ
リカでもベストセラーとなった。石原氏はアメリカに呼ばれ、テレ
ビや講演会で発言する機会をもったが、多くの人に支持されたとい
う。ある友人からは「私たちは日本からこういう人物にもっと来て
ほしい」と言われた。[3,p140]

■3.東京湾沖の米軍射撃訓練にNO■

 それでは、石原氏が発した「NO」の例を一つ、紹介しよう。

 昭和63年11月、石原氏が運輸大臣をしていた時のことである。
アメリカの駆逐艦「タワーズ」が東京湾沖で、海上保安庁の巡視船
「うらが」を仮想標的として、射撃訓練をした事が明らかになった。

 アメリカ側は爆発しない訓練用弾丸だったと釈明しているが、そ
の単層速射砲「マーク42」は重量32キロの弾丸を1分間に36
発、最大23キロの距離まで飛ばせる代物である。もし当たれば
「うらが」は重大な損害を受ける。

     仮に、小さな漁船などだとそれこそ大変な事態になる。東京
    湾沖といえば、アメリカだとニューョーク湾沖に相当するわけ
    で、アメリカのテレビ報道番組が、アメリカが外国の軍隊にこ
    んなことをされたらアメリカ人は烈火のごとく怒るだろう、と
    放送していたくらい、許せない暴挙だった。

     それを外務省は、よくあることだから、しばらく発表を待っ
    てほしい、と押えてきた。一体、何を考えているのか。腹が立
    ってきて、いずれにせよわかることだから私の責任で発表する
    と抗議させた。日本の領海内でしかも射撃訓練は全面禁止にな
    っている海上交通の要衝で射撃訓練を行なうとは常識的には考
    えられない。あきらかな主権侵害です。[2,p43]

 石原氏の強硬な抗議を受けて、アメリカ海軍は異例なほど素早く
遺憾の意を表した。

■4.真の友好のためのNO■

 しかし、この時の「NO」は、アメリカの為にもなるものだった。
たとえば、外務省のように「よくある事だから」などと言って、見
て見ぬふりをしていたらどうなるか。

 いづれ、日本の巡視船か漁船が、本当の被害を受けた場合に、日
本の世論は激高し、感情的な反米論議が一気に高まるであろう。そ
れは日米関係に取り返しのつかない傷を残す。

     不満を内向させ、ある日突如として離反するような愚かなこ
    とはするべきでない。そのためにこそ言うべき「NO」を言え
    と言っているのです。[1,p75]

     アメリカにとって目本は欠かせないし、日本にもアメリカは
    必要です。しかし瞬間的には、私たちは近い関係がゆえに激し
    く対峙することもあるでしょう。
     だが、強いプレッシャーを克服するには逃げてはだめです。
    正面から立ち向かい、腰を据えて言うべき「NO」をはっきり
    と告げ続ける気力を持つしかないのです。「NO」に対して相
    手も「NO」で返してきてもひるむことはない。「NO」のボ
    レーの交換こそがお互いの一致点を見つける最良の方法だと思
    います。[1,p226]
    
 都知事となった石原氏を、CNNや香港各紙は、「日米安保反対
者」、「国家主義者」、「反米」、「極右」などと形容しているが、
これまた事実に反するヒステリックな報道だ。しかしこの程度のプ
レッシャーには、タフ・ガイ石原氏はひるむまい。

■5.NOと言うエネルギーの源泉■

 東京湾沖の射撃演習に対して、外務省は事を穏便にすまそうとし、
石原氏は強硬な抗議をした。この違いはどこから来るのか?
 
 実際にどうだったかは分からないが、もし担当の役人が、アメリ
カ海軍と面倒を起こしたら自分の出世にひびく、と思ったら、やは
り「よくあることだから」と言って済まそうとするだろう。NOと
言わない事なかれ主義は、往々にして国家公共よりも、自分の利益
を優先する所から来る。

 石原氏が「許せない暴挙」に「腹が立ってきて」とまで感ずるの
は、それだけ国の利益や名誉を「我が事」として切実に感じている
からだろう。断固NOと言うエネルギーは、ここから来ている。

 なぜ、石原氏は、国の事をそれほど、自分自身のものと感じるの
だろうか。それはおそらく次の少年期の体験からきている。
 
 昭和20年、湘南中学の1年生だった氏は、帰路の途中、米軍機
の標的にされた。背後から迫ってくる爆音に振り向くと、敵機が超
低空で突っ込んでくる。本能的に麦畑の中に伏せると、敵機の機銃
掃射が前方の芋畑に猛然と土煙をあげた。その機体にはなにやら極
彩色の漫画が描かれていた。

     恰好の獲物を取り逃がしたいまいましさを機体にあふれさせ
    敵機は急旋回していったが、再び襲われる恐怖で私たちは三百
    メートルほど先の松林に駆け込むため一斉に走った。

     林まであと五十メートルほどのあたりでまた爆音がしたが、
    今度は芋畑だったので隠れようがない。それでも、わずかばか
    りの浅い畝に身を伏せた。掃射の銃弾を予期してひたすら身を
    縮めたが、不思議に銃声がなく爆音だけが過ぎていった。助か
    った、と頭を上げたときに見えたのは、先刻とは違うカーキ色
    の胴体と翼に日の丸を描いたわれわれの戦闘機でした。

     あの瞬間のふるいつきたくなる愛着と渇仰は先刻とはまさに
    対照的だった。あのすがりつきたいような激しい感動は多分一
    生忘れまいと思う。それは命を賭けて凌ぎあう戦争の不条理さ
    不本意さを越えたところで、自分が抜き差しならぬかたちで日
    本という国に属しているのだということを悟らされた瞬間だっ
    た。[4,p154]

 日本人だというだけで、見も知らぬアメリカ人から機銃掃射を受
ける戦争の不条理さ。民間人を、しかも子供を狙うのは、国際法違
反だ、と訴えようにも声は届かない。しかし、逆に、日本人だとい
うだけで、見も知らぬ自分を命を懸けて守ってくれる同胞がいる。
これが、国に属するという事である。国が侮辱されれば、我が事と
して怒り、NOと言う気持ちはここから来ているのだろう。

[参考]
1. 「それでも『NO』と言える日本」、石原慎太郎・渡部昇一・
  小川和久、光文社、H2.5
2. 「『NO』と言える日本」、盛田昭夫・石原慎太郎、光文社、
  H1.1
3. 「亡国の徒に問う」、石原慎太郎、文芸春秋、H8.12
4. 「断固『NO』と言える日本」、石原慎太郎・江藤淳、光文社
  H3.5

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/★★読者の声★★_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
            アメリカ・ナッシュビル在住 Megumi Kimura様より

 私が小学校で教師をしていた頃,運動会の開会式で,国旗掲揚の
際に,子供たちや教師が脱帽するかどうかという事が,職員会議の
議題になった事があります。その時の先生方の意見の多数は,「国
旗掲揚の時に,なぜぼうしを脱がなければならないのか,と子ども
にきかれても,わたしは説明できない。」というものでした。
また,「子供たちに,帽子を脱ぐ事を強制する事は,民主主義に反
する事だ。」という意見もありました。それで結局,こどもたちに
は脱がなくていいという指示が出て,私たち教師は,個人の意志に
任せる,という事で一件落着したのを覚えています。

 この話からわかるように,私たち日本人は,数世代にわたって,
国の象徴である国旗を敬う術さえ無くしてしまっているのです。本
当は,私たち大人が,教師が,教えていかなければならないのに,
私たち大人もまたその術を知らないのです。

 私もその一人でした。しかし,ある日を境に,考えが変わりまし
た。それは鹿児島にある知覧特攻記念館を訪れた日からでした。そ
こには神風特攻隊員として若い命を散らした人たちの,家族や恋人
にあてた最後の手紙などが展示されていました。

 戦争のために自分は死んでいくのに,みんな「日本万歳」といっ
て死んでいったという話を聞いたとき,また日の丸を抱いて出撃し
ていった人たちを考えたとき,私は国旗日の丸の重さを思わずには
いられませんでした。日の丸が抱えている重さは,私たちの国日本
が歩んできた歴史の重みなのです。

 それは,繁栄や成功や失敗,責任,そして反省などすべてのもの
を内包しているのだとおもうのです。私たち日本人は,この国旗に
象徴される日本という国を,ありのままに受け止め,次世代へ伝え
ていく義務があるのではないでしょうか。最後まで日本国を思って,
日本国のために,自らの命を散らした人たちがいたという事を,忘
れるべきではないと思います。

                      大石 郁夫様より

 こんにちは、いつも愛読させてもらってます。JOG80号、「ミラ
ー大尉の残したもの」を読み返して涙が止まりませんでした。何か、
いてもたってもいられない気持ちになり感想を送らせてもらいまし
た。ものすごく意味深な内容であり、また誰もが琴線に触れる名文
であると思います。

「自分も命をかけて誰かを愛せるだろうか。また、知らないうちに
もそのような愛を受けているとしたら、どのようにしてお返しでき
るだろうか・・・」と深く考えさせられました。

 すんでる所の近くに江田島の海軍兵学校跡があることもありまし
て職場の者とか友人数人にプリントアウトして配りました。皆涙ぐ
みながら読んでいました。

(江田島の海軍兵学校跡について)
 今の教育問題など、若者たちをここに連れて行くだけでも相当解
決するんじゃないかと思います(笑)。特攻隊の青年たちが遺した
遺書の数々・・・。人生観がいっぺんで変わってしまいます。私の
サイトでも、ちょっと書いたことがありました。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~newhope/roots-00.htm
 「ROOTS・原点を求めて」の7.明日は明日の風が吹く、という
ところです。

★編集部より 知覧、江田島とならんで、東京では靖国神社の遊就
  館に展示があります。
http://www.yasukuni.or.jp/
 感想をお送り下さい。本メールでの返信の形で届きます。特に体
験的なご意見を歓迎します。採用分には、本講座平成9-10年度版総
集編を贈呈します。

---------------------------------------------------------
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
を利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
---------------------------------------------------------

ついでに読みたい

Japan on the Globe-国際派日本人養成講座

発行周期:  週刊 最新号:  2019/03/24 部数:  31,042部

他のメルマガを読む