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言葉の森新聞2018年8月3週号■低学年は習慣作り、受験生は作戦作り■「まず感想文コンクールありき」ではなく


カテゴリー: 2018年08月15日
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■■低学年の勉強は習慣作り、受験生の勉強は作戦作り 
 低学年のころの勉強は、ただしっかりとやっていればいいだけです。 
 勉強をする習慣をつけることが目標ですから、短時間でいいのです。 
 決まったことを決まったとおりにやって早く片付けて早く遊びに行くということが大事です。 

 しかし、高学年や更に受験生になってからの勉強は、ただしっかりやっていればいいのではありません。 
 勉強をする方向を考えて、勉強の作戦を立てることが大事です。 
 小さなところでがんばるのではなく、大きな方針を立てることにまずがんばる必要があるのです。 

 ところが、小学校から人に言われて勉強をしてきた子は、この方針を立てるということが苦手です。 
 だから、自然に中学生になっても、人に言われた勉強しかしなくなります。 
 それは、もちろん恥ずかしいことでも何でもありません。 
 やっていないことはできないのが普通です。 

 そのときに役立つのが受験勉強の方法に関するさまざまな本です。 
 夏休みには、この勉強法の本を10冊ぐらい読んで、勉強の方向のつかんでいくといいと思います。 

 その詳しい内容は、次の記事に続きます。  

■■受験生の夏休みの勉強法 
 夏休みの勉強は次のように取り組んでいきます。

 まず、夏休みに本格的な受験勉強を始めるために、志望校の過去問を解いておきます。
 解くと言っても、自分の力で解くのではありません。
 答えを最初に書き写し、問題と答えを読んで、どういう傾向の問題か、自分ならどこまでできるか、今後どういう勉強が必要かということを考えるのです。

 問題を自分で解こうと考えると、心理的な負担が大きくなり、過去問に取り組む勉強がどうしても後回しになってしまいます。
 過去問は、勉強の仕上げのためにやるのではありません。勉強の準備のためにやるのですから、まず取り組みやすい「答えの書き写し」という作業から始めるのです。 

 過去問の答えを書き写し、自分で問題と答えを読んでみると、これから力を入れなければならない分野が自ずからわかってきます。受験勉強は、得意分野を伸ばすのではなく、苦手分野を伸ばすことを第一に考える勉強です。 

 人生や仕事は、得意分野を伸ばして取り組むものです。それは、正解のない分野だからです。しかし、受験勉強は正解のあるものですから、自分の苦手を補強することを第一に考えるのです。 
 得意教科の90点を95点にする時間よりも、苦手教科の60点を70点にする時間の方が短いのが普通です。このように考えると、苦手分野に取り組むことの大切さがわかってきます。
 受験の合否は総合点で決まるのですから、苦手分野の点数を上げる方が能率がよいのです。  
 自分がこれから力を入れて勉強する分野がわかったら、全教科の教材選びをします。
 大きい書店に行き、参考書コーナーなどで、自分が勉強するのにふさわしいと思う問題集や参考書をできるだけたくさん買ってきます。ネットの書店では、中身が確かめられませんから、評判のよさそうなものを、これもできるだけ多く買います。この最初の投資が重要ですから、ここでの出費は惜しまないことです。

 参考書と問題集を買ってきたら、ひととおり全部少しずつやってみて、自分に相性のよいものを選びます。原則として1教科1冊に絞り、その1冊を受験までに5回繰り返して完璧に仕上げることを目標にします。
 夏休みは最も時間の取れる時期ですから、夏休み中にどの問題集を何ページやるか、どの参考書を何ページ読むかというページ数の配分をします。

 夏休み中は、1日の勉強時間の目標を決めます。
 目標の絞られた勉強ですから、成績がどれくらい上がるかは、どれだけ時間をかけたかで決まってきます。1日7時間やるとすれば、朝3時間、午後3時間、夕方1時間などと大体の目安を決めておくとよいでしょう。
 自分の立てた計画で、夏休み中に1日6~7時間勉強すれば、成績は必ず上がります。それも、驚くほど上がります。だから、夏休みは、塾の夏期講習などに行っている暇はないのです。(笑)

 中学3年生は、昔で言えば元服ですから、大人として一人前の行動ができる年齢です。
 自分の意志力に自信がないから塾の夏期講習に行くというような気持ちでは、将来も人並みのことしかできません。
 また、お父さんやお母さんも、子供が自分の意志で勉強することを見守る勇気を持つ必要があります。最初は試行錯誤の不安があるはずですが、自分の立てた計画で1か月勉強したあとは、成績だけでなく人間としても大きく成長しているはずです。 

 ただし、自分の成績を客観視するために、模擬試験は、夏休み中から何度か受けておきます。
 しかし、模擬試験はあくまでも模擬試験で、最も大事な基準は、志望校の過去問で自分がどれぐらい得点できるかということですから、時々過去問に立ち戻り勉強の軌道修正をしていく必要があります。

 夏休みの勉強に使う、具体的な教材としては、 

 国語は昨年の全国入試問題集の読書。実力さえつけておけば、成績はすぐ上がります。
 数学は、解法の詳しい問題集1冊を完璧に。学校や塾で配られる問題集は解法が不十分なことが多いのであまりおすすめできません。
 具体的には、苦手な人なら「これでわかる数学」、得意な人なら「ハイクラステスト数学」など。 

 英語は、昨年の全国入試問題集の長文読解問題をばりばり解く練習。 
 理社は教科書を繰り返し読む。問題集には答えを先に書き込んでやはり繰り返し読む。理科は数学と同じく計算問題を完璧にするよう心がけましょう。  

■■国語の成績を上げるなら、まず作文、感想文の勉強から 
 英語や数学の勉強は知的に理解する勉強ですから、数か月で成果が出ます。 
 夏休みなどに集中してやれば、一ヶ月で驚くほど力がつき、二学期からの成績が見違えるほど変わります。 

 しかし、国語だけはそういうわけには行きません。 
 国語の成績を上げるコツということで言えば、短時間ですぐにできるようにする方法はあることにはあります。 
 しかし、その生徒の本当の国語力をつけるというのは、きわめて長い時間がかかります。 

 例えば、夏休みに漢字の勉強をしっかりやったから二学期から漢字テストがいつも満点になったというようなことはあります。
 しかし、夏休みに作文の勉強をしっかりやったから二学期から作文が急に上手になったということはまずありません。 
 作文に現れるような本当の国語力は、上達するのに時間がかかるのです。  
 国語の成績が今ひとつだから、塾にでも入れたいという人がよくいますが、国語の勉強で国語の実力がつくということはないと思います。 
 国語は国語的な勉強で力がつくのではなく、読んで考えて書くという作文・感想文の勉強を長く続ける中で、初めて力がついてくるのです。

 国語力が最もよく現れるのが作文です。 
 しかし、作文の勉強をしたからすぐに作文が上手になるということはありません。 
 だから、「この上手な子の作文のように書いてごらん」というアドバイスは、子供の自信を失わせるだけの結果になります。 

 国語が苦手というのは、英語が苦手だったり数学が苦手だったりするのとは性格が違います。 
 国語の力をつける○○トレーニングのような教材もありますが、何もしないよりはましという程度であって、それをやったから国語力がつくとは思えません。
 国語力は、読んで考えて書くという過程で少しずつついていきます。 
 そして、その土台になるのが、小さいころか聞いたり話したりするという親子の対話なのです。

 この夏休みに国語や作文の勉強に注力しようという方は、そうしたことにも留意しておく必要があると思います。  

■■「まず感想文コンクールありき」の宿題ではなく、子供のことを考えた宿題を 
 以前、ある新聞社から取材があり、「Twitterで話題になった感想文の宿題に関する議論について感想を聞かせほしい」というものがありました。 

 その議論の発端は、小学5年生の宿題で、「シンデレラ」の話を例にとって、見本となるような書き方が印刷され、それを参考に書けというような内容のものだったそうです。 

 Twitterで最初にその宿題について発信した人は、このような枠が決められた感想文では誰もが同じような書き方になるのではないか、という批判的な意見を述べたそうです。後に、学校の先生の立場も考えて、そのTwitterは削除したということですが。 
 このTwitterの意見について、さまざまな賛否両論の意見が寄せられたというのです。 

 私は、その話を聞いて、これまでいつも感じていた感想文についての疑問を思い出したのです。 

 言葉の森では、かなり昔、保護者からの要望を聞いて、夏休みに感想文指導の講座を開いたことがあります。対象は、確か小3~小6たと思います。 
 ところが、そこで教えた子の多くがその後、クラスや学校の代表に選ばれ、中にはコンクールに入賞してしまった子もいたのです。 

 もちろん、その講座に参加した生徒は、もともとよくできた子も多かったので、その成果自体は問題ないのですが、私はそれを見て、この調子で毎年入賞者が出るのは何か問題だなあと感じ、それで夏休みの宿題の感想文指導はその年かぎりでやめることにしたのです。 

 そのかわり、言葉の森では、小3以上は、週に1回から3回の感想文指導があります。(小3と小4は月1回、小5と小6は月2回、中学生以上は月3回) 
 これは、コンクールのためにやるものではなく、通常の作文の勉強としてやるものです。だから、この通常の指導でよい作品が書けた生徒の中には、それをふくらませて感想文の宿題にしてしまう子もいます(笑)。 

 つまり、子供の勉強として力をつけるためにやる感想文指導ならいいのですが、コンクールに出すために感想文指導をするというのは、何か勉強の目的を取り違えているのではないかと思ったのです。  
 そこで、Twitterの意見についての話に戻りますが、学校の感想文の宿題の出し方に対する批判的な意見も、またそれに対する批判、つまり学校の指導に対する擁護の意見も、どちらも、子供の教育ということ以前に、まず感想文の宿題があるのが当然というような考えがあるのではないかと思ったのです。 

 日本の社会は、伝統墨守というか、一度行われたことは毎年定例化して行われるようなところがあります。小学校の運動会で、鈴割りとか、綱引きとかいう定番のものがあるのも同じです。 
 そういう行事的なものは、ある程度定番化された方が、見ている方も安心できるということがありますが、子供の教育については、やはり何のためにやるのかという原点をときどき見直した方がいいと思ったのです。 

 特に、学校の感想文の宿題で明らかに問題だと思うのは、小学校2年生あたりから感想文の宿題が出ることです。この年齢の子がコンクールに入選するレベルの感想文を書こうと思うと、大人の手助けが必要になります。何のための宿題だかわかりません。 

 それから、もうひとつ問題だと思うのは、中学生の感想文の宿題で、税金についてとか、人権についてとか、中学生にあまり興味の持てない課題が出て、それが別にその生徒の成長などを考えているわけではなく、どこかの外部の機関向けに行われているような感じがあることです。 

 そして、この小学生の感想文の場合も、中学生の感想文の場合も、夏休みの宿題として出されるだけであって、学校で日常的に感想文の指導が行われているわけではないことです。 
 つまり、何か教育的な意義や意図があって行われているのではなく、毎年出さなければいけないようになっているから宿題として出すということなのです。 

 学校が、言葉の森のように通常の授業の中で感想文指導をしていて、その延長で、夏休みに宿題を出すというのなら話はわからないではありません。
 しかし、そういう通常の授業での指導のようなものはたぶんなく、ただ宿題が出されて、子供も親も苦労するという形になっているのです。 

 小学生は、感想文など書くよりも、本をたくさん読んで、あとはたっぷり遊んでいればいいのです。昔の小学生はそうでした。 
 中学生は、社会的なことよりも、もっと自分にとっての切実なことを自由に論じさせればいいのです。その切実なことが人権などの問題であれば、それはそれでいいのですが。 

 というようなことを、その新聞社の取材の方に話したのですが、うまく伝わったかなあ。  

■■作文試験、面接試験の対策は、家庭の対話の文化から 
 学校の勉強はきっかけで、その勉強を支えているのが家庭です。 
 特に、日本語力はそうです。 
 国語の勉強は、教科書や参考書や問題集で力がつくのではなく、家庭での日本語文化で力がつくのです。 
 中学、高校の入試でも、思考力、表現力が問われるようになり、作文、小論文、面接などの試験が増えてきました。 

 その対策は、面接問答集を覚えることではなく、家庭で両親と対話をする時間を作ることです。 
 作文試験の模範解答を見るのは有効ですが、それもあくまで構成的な書き方の見本なのです。

 ただ、対話はひとつの文化ですから、これまで何もなかったところに、突然、「はい、対話」と言われても話すことがありません。対話の仕方にも、最初は工夫が必要なのです。 

 その工夫のひとつが、感想文の課題となるやや難しい長文を毎日音読し、その音読した長文をテーマにして親子で話をすることです。
 その中から、作文や面接の試験に生かせる、個性的な体験談や意見が見つかるのです。  

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