2013.07.31

キャリア形成支援の職能開発「活用」のフェーズを見つめる

都内のホテルのラウンジで待ち合わせとなり、少し早目に到着したため「先に店内で待っています」とメールに入れた後、席へと案内されました。

珈琲を頼み、書類を眺めながらひと時を過ごしていると、腰を降ろした斜め前の席からの会話が、聞くとはなしに耳に届いてきました。

「はっ」とする自分を瞬間的に抑えるようにしたのは、大学生のクライエントに対する、就職活動支援のキャリアカウンセリングが行われていたからでした。

女性のカウンセラーと思しき方の背中越しに見える女子学生は、この夏の暑さのなかでもきっちりと黒の就活スーツを着込み、カウンセラーの方のお話しに必死に集中しようとしているように見えました。

エントリーシートの添削をやっていることは漏れ聞こえてくるお話しから直ぐに分かったのですが、カウンセラーの方の熱が入る都度、声のトーンが高くなってしまっていること・ウェイトレスの方が水の交換にテーブル近くを通る都度、広げられた書類を気にしてか、何かに弾かれたようにびくんとなり集中が途切れて、またお話しに向き直しているような女子学生の方の姿に、何とも云えぬ切なさを感じ続けてしまっていました。



キャリアコンサルティングの国内導入から十数余年の月日が経ちました。

大学等の就職課員・ハローワークの支援員等々、既に社会的な職掌・機能として世に存在したモノの名称変更等ではなく、新たな社会機能としてキャリアコンサルタントが求められ・存在する先とは、どこの・どんなモノになるのかと思うことがあります。

ジョブカフェをはじめとして、ジョブカード関連(HWの一環ですが)や雇用対策支援の環境の場での勤務等がこれに当てはまるといえるのでしょうか。

キャリアコンサルタントの名称を各メディアから聞くことは皆無になったと思っていますが、キャリアコンサルティングの社会認知は、経過してきた月日のなかで確実に増大したのでしょうか。そして、社会機能としても資格に相応しい効果を確実に上げているのでしょうか。

公的に開示される諸データによれば、一定の社会的な期待効果が上がっているとするのかも知れませんが、個人的には微塵もそう思えないのは、歪んだ性格のせいなのか、類友でなのか、日常的に過ごす環境の違いからなのか・望み描く理想形の違いなのか・・・う~ん・・・


国内に溢れるキャリアコンサルティング関連のWebの配信情報のなかで、対支援者ではなく、対クライエントに向けて発信されている情報はどれ位あるのでしょうか?

キャリアコンサルティングが実施出来る場所は、どれ位増えたのでしょうか?

国内に於けるキャリアコンサルティングのリテラシーは、向上したのでしょうか?

国内に於ける実質的な対人支援スキルは向上して、目的に対する効果を上げたのでしょうか?


ホテルで見掛けたキャリアカウンセリングの場面に対して、云々を申すつもりは微塵もありません。

国内のキャリアコンサルティングに係わる資格体系は、整いつつあるのかも知れません。
が、キャリアコンサルティングを実施することの目的は何なのか・目的を最善に履行するための諸事の整備(職能開発)については、果たしてどうなのだろうかと思うと、手放しで「よくぞここまで来ましたね」・・・などと言えぬ自分がいるのかも知れません。


医療機関を含めたリファー先の共有は整備しないのか(対全国)

クライエントの利益確保はどのように担保されているといえるのか

感情転移についての危険性の注意喚起・情報開示は少なくないのか

キャリアコンサルティング実施の数値的な効果測定判断はしていかぬのか

キャリアコンサルティング実施の記録保持についての詳細は取り決めないのか

キャリアコンサルティング実施による障害発生時の保険の有無の説明開示はしないのか

支援者の責任と権限と、専門性を限定しない中での瑕疵に関する扱いをどう捉えるのか etc.


関係当事者の関心及び実施対応は、カウンセリング・スキルを高めることのみであり、職能開発の一部をみても、活用フェーズでの諸整備は全く進んでいないようにも思えます。


キャリア教育の進捗は重要なことですが、クライエントに対するキャリア形成の予防的観点の情報・知識提供から、キャリアコンサルティングのリテラシーを育むことも実施効果を高めるためには必要でしょうし、公的機関等がマクロ形成の動きを行い、政策決定の助言に関与を果たしていけるような実績環境作りも必要でしょう。

資格内容の人事事項の改定についても、パラダイムシフトが起こり、労働環境や諸状況が大きく変化している最中にあり、形式論に囚われた内容や企業組織規模を視野に入れていないと感ずるところが多く、資格のための資格なら致し方なくも、日常的な「活用」にもう少し近づけられる内容の改変が進んで欲しいものだと感じ続けています。

学びの活用・・・ここに拘って現状の諸環境を見つめ直し、社会機能としてのキャリアコンサルティングの価値を高めていって欲しいと思います。



時間通りにやって来た待ち人との打ち合わせを終え席を立つも、2人のやり取りは、変わらずに続けられていました。




65歳からの就活、60代前半の倍大変? 厚労省が集計
朝日新聞デジタル 6月30日

ハローワークを通じて仕事に就いた人のデータを厚生労働省が分析したところ、65歳以上の求職者の「就職率」は、60~64歳の求職者の半分程度にとどまった。「観光案内」や保育士など年齢による差が小さい職業もあり、厚労省は就職指導に役立てる考えだ。


大学生の就活支援・女性のキャリア形成支援・セカンドキャリア支援等には活況を呈しているのかと思われますが、少子高齢化の影響のひとつであろう、キャリア教育の推進・中高年のキャリア形成支援の領域にはビジネスになり難さ・限られたキャリア展開が理由なのか、広がりを見せているようには感じていません。
10年後の国内状況を経済性と比較検討した時、どう変化していくのでしょうか・・・




「顛末書書き直せ」何度も命じた会社に賠償命令
読売新聞 7月2日

勤務中の事故で顛末(てんまつ)書などの書き直しを何度も命じられて精神的苦痛を受けたとして、神戸市中央区の運送会社に勤務する運転手ら2人が同社に計40万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、神戸地裁が計13万円の賠償を命じていたことがわかった。工藤涼二裁判官は「書き直しの指示は執拗(しつよう)で、業務命令権の逸脱」と指摘した。


教育現場のいじめ問題には一定のメスが入り始めていますが、経営環境へのメスの入り方は、ブラック企業としての情報公開・内部告発者保護等の進捗はありますが、様々な思惑が交差するせいなのか過去から大きな変化はまだまだ少ない状況なのかと感じます。

企業経営者にキャリア形成・支援の必要性・効果性についての認識調査の結果をあまり見たことはありませんが(経団連等の一部のデータは除き)、ニーズ促進加速の一番のキーパーソンは、ここなのではないかと思います。

教育現場のいじめ問題以上に企業内のいじめ問題は根が深く(経営そのものですから)、状況の解決のためには難しい幾つもの難題にぶつかるかとも思います。
現在のキャリアコンサルティングは、ソリューションとしてのポジショニングを主軸としているのかと思いますが、対処療法的な解決と根治療法としての解決、どちらに主眼を置くのか・置けるのかによって様々な現状改善の必要性・課題が見えてくるのではないでしょうか。




ハローワークの求人情報を自治体に開放へ
日本経済新聞 電子版 7月2日

政府の地方分権改革推進有識者会議は1日の雇用対策部会で、今夏にまとめる提言に公共職業安定所(ハローワーク)の求人情報を自治体に開放する方針を盛り込むことを確認した。自治体が持つ情報も組み合わせ、国と地方が一体で地域の就労支援ができる仕組みをつくる。2014年度の運用開始を目指す。


民間の職業紹介会社との連動(ジョブカードを含み)や、キャリア形成支援者との施設開放~キャリア形成PGのレクチャー等の実施援助などの連携、教育機関(新卒者)とHWの連携等々、国内最大の就業情報を抱えるHWの有効活用は、雇用開発の観点からしてもまだまだ多くの可能性があるのではないかと感じています。

HW勤務者の方々が発信されているHW改革情報を見る限りにおいては、組織体質を含んだ構造的問題に触れていかなければ、改善には繋がらないのかとも思えますが、政策の大きなテーマにして欲しいと願って止みません。




仮設見守り事業 人手不足 不安定な雇用形態敬遠 被災3県
河北新報 7月7日

東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県で、仮設住宅を訪問する見守り事業の人員確保が難しくなっている。訪問員の雇用は、契約期間が1年の国の補助制度を活用しており、不安定な身分が敬遠されているとみられる。仮設住宅での生活は長期化が予想され、被災自治体は制度の抜本的な改善を国に求めている。

雇用のミスマッチ、被災地で深刻 経済財政白書
日本経済新聞 電子版 7月23日

内閣府が23日発表した2013年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、東日本大震災の被災地で求人と求職のニーズがかみ合わない「雇用のミスマッチ」が起きていることを指摘した。復興需要で仕事の数は急増しているものの、失業率の改善は鈍い。


遅々として進まぬ被災地復興。 これらの記事の多くは、被災直後に容易く予想出来たことだと感じており、砂を噛むような思いの中で過ごしています。
被災地のボランティアをやってみて下さいなどと申すつもりは微塵もありません。が、各県に被災避難者の方々が多く暮らされてもおり、機会があればぜひ生身の声を聞いてみて欲しいと思っています。




経団連、「就活」繰り下げ=大学3年3月から―政府要請受け改定
時事通信 7月8日
経団連は8日、就職を希望する大学生らに対する企業の採用ルールを改定する方針を決めた。安倍晋三首相からの就職活動の繰り下げ要請を受け、会社説明会などの解禁時期を遅らせる。会社説明会を大学3年生の3月(現在は3年生の12月)、選考開始は4年生の8月(同4年生の4月)に変更する。

3年間の休職制度創設へ=配偶者の海外転勤に対応―人事院
時事通信 7月12日(金)

人事院は11日、配偶者が海外転勤する場合の対応策として、国家公務員に3年間の休職を認める制度を創設する方針を固めた。特に女性職員の離職を防ぐ狙い。

「仕事中はうつ、プライベートは元気」新型うつの理解されづらい全貌
週刊SPA! 7月12日

「仕事中はうつ状態だがプライベートでは元気」という症状に悩む20~30代サラリーマンがここ数年増えている。これは非定型うつ(通称“新型うつ”)と呼ばれ、従来型のうつよりも軽度に分類されるが、“新型うつ”の増加は決して軽視できない社会問題だ。


近年の政策を眺めていると、各企業の経営負担を求めることがあまりにも多くないのかと感じています。
障がい者の方々や女性活用をはじめ、育休のあり方等々、人事的には、最適な経営バランスの調整を図ることに相当な無理を感じていると思っていますが・・・支援者の知識として企業経営・人事関連の状況変化にどれほど対応が出来ているでしょうか・・・





「真実はひとつ」されど、投げ掛ける視線の角度によって、物事の真実の姿は変わってくるものなのだと思います。

キャリア形成支援の業界があるとして、これまでの十数余年の経過のなかで結果が出たのが、資格制度の構築のみだとしたら何とも寂しい話しだと感じます(社会的損失の意)。

職能開発~「活用」のフェーズに辿り着けるのか否か・・・東進ハイスクールの林修さんは仰りました「いつやるか?」

この問い掛けに対する答えは、5W2Hのなかで果たしてどうなるのでしょうか。



お知らせ> 月刊人事マネジメント 2011.10 明解ガイド「人事担当者のためのキャリア・コンサルタント講座」の寄稿記事 ですが、雑誌の特性を考慮して、これまでファイルの開示を控えていましたが、相応の時間が経過したので公開させて頂きます。ご興味があれば、お手透きの時でもご覧になって下さい。

※書籍の発売から相当の経過時間があり、既に変化した内容部分もありますこと、ご注意ください。


http://www.career-wing.jp/media/23.pdf



笑顔の行方を見つめて




【ディスカッション・ペーパー】キャリア・コンサルティング業界形成に向けて
* 笑顔の溢れる社会に向けた*キャリア形成支援の業界形成のための提言 *
 A. キャリア形成支援の全体像から見た課題形成(192 KB)
 B. キャリア形成支援の業界形成に向けた具体的な検討諸案(132 KB)
キャリア・コンサルタント技能士会に関わる課題形成




career wing

仕事を通じて、“自分「らしさ」の実現”を追求する、
キャリア形成支援のトータル・ソリューション・サービス
ヨシダの徒然 < 編集後記>

各地で異常気象の雨の被害が伝えられています。
みなさんの地域ではいかがでしょうか?

被災者の方々に向き合うことの支援は、キャリア形成支援としての領域内のものなのかどうか、一度、熟考してみることが必要に思います(意義・段階・レベル等を含め)。

8月に入り、お盆休みも間近となります。
暑い日々が続きますが、熱中症には気を付けてご自愛ください。



一日一膳?の思いで書き綴っているブログ* キャリアの翼 *「笑顔の行方を見つめる」キャリア*ノート*あんなことも・こんなことも・・・


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Career wing  tadashi yoshida


特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会 会員
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属

厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格
キャリアカウンセラー

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