2010.05.28

キャリア形成支援者の無養生

点滴が終わるまで、現実と夢との間に身を浮かべるように微睡んでいた。



人材の流動化~不確実性時代を迎えた社会・組織状況のなかで、個人がより良い人生の歩みを行うためには、職業キャリアを通じた、個人生活(人生)のなかで、「キャリア形成」という個人視点を機軸とした新たな価値観を見つめ、社会・組織に依存をし過ぎない、自律・自立(=個立)した生き方を実践するための、自己概念の形成と具現が必要になるといえる。

この時代を迎えては、個立した生き方(選択判断・実行)が人生の備えとして必要であり、このための歩みの機軸を成すものがキャリア形成の概念であり、これを育み援助し得る者が、キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラーとなる。

ワーク・ライフ・バランスもイクメンも、仕事・組織が最優先課題&終身雇用をはじめとした、組織依存型の選択・判断を価値観とする人生設計のあり方に決別を行い、人生の本来の主体者である個人視点に立って諸事を見つめ直し、自らが、自分らしい人生を過ごすことの価値観・生き方等を機軸とする歩みこそが必要だと問い直すことがキャリア形成の概念・具現であり、不確実性時代には必要なことと考えられる。


キャリア形成のイズムは、個人のみではなく、組織にとっても必要・必然性を見出せなければ、社会に根付く実現を果たすことは難しいだろう。

社会主義化へ向かうのかと思える国内状況のなかで、果たして個人主義的にも見えるキャリア形成の概念がどのようなバランスを取れるのかの答えは見え難い。

大切なことは、他者と自分との両者間のバランスであろう。



厚生労働省の「第7次職業能力開発計画」によれば、キャリア・コンサルティングとは、「労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練の受講等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう、労働者の希望に応じて実施される相談」とし、キャリア・コンサルタントとは、「キャリア・コンサルティングをはじめとして、キャリア形成支援を担う人材」をと定義されている。

  ※詳細(概要)は、こちら

言葉を変えるなら、過去の単なる「職業紹介」や「進路指導」ではなく、個人視点を明確にした、雇用のミスマッチの解消やキャリア開発を支援(=キャリア・コンサルティング&カウンセリング)することが、個人・社会に必要だとの課題認識に立っており、今の時代には必要なのだと示されているのだろう。


経営組織に対して、180度間逆の労働価値観の転換を求めるのでは、個人の概念は形成されたとしても、企業側においては、組織利益を損ないかねず、逆に脅かすモノとして排除される可能性も残る。

新たなテーゼを投げ掛け、これを唱えるのは当然にあり得ることだが、社会にこれを根付かせるためには、企業組織が頷ける具体的なロジックとバランス調整の有効性の検証提示が必須となるであろう。

肝心なことは、個人と組織の労使間バランスであり、キャリア形成の概念を宗教にしてもならないし・何かの免罪符にしてもならず、より現実に即した社会認知の完成を目指さねば、本質・理想論だけに終わってしまうことに成りかねない。



キャリア形成の概念が、個人を社会を幸せに導いてくれるモノであるならば、コンサルテーション&カウンセリング等々の支援行為を論じる前に、個人・社会がキャリア形成の概念の実践こそが、現代において「人生を幸せに導いてくれるもの(価値観の機軸)なのだ」として、社会全体に受け容れ・認められることが前提・必要となるだろう(本来は、啓蒙活動と支援活動が同時進行で一体化されるべきだろうが)

欧米型となるのかキャリア教育推進の結果、社会にキャリア形成の概念が根付いた時に、少なからず自らで自らの悩みに対峙して解を導ける力も育めることが期待される。
その時、キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラーとは、どういう存在者たるポジションとミッションを築き上げるのかが大切なことになるだろう。

キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラー資格保有者は、「教育・普及活動」といった試験項目を示されていることからも、少なくともキャリア形成の概念に価値を見出し、同意をしているものだと言えるであろう。

  キャリア・コンサルタントの行動原則より

  1.キャリア・コンサルティングの本質を理解し、自己研鑽を行い、活動する
  2.相談者の「自分らしさ」の追及と、問題解決の支援を行う
  3.個人では対処できない環境の問題を発見し、改善する
  4.自己の経験や自説にこだわることなく、相談者の視点に立って、活動する
  5.客観的な評価を行い、適切な指導を受けることによって、活動の質を高める


キャリア形成の概念を世の中に浸透させるためには、広報宣伝を含むマクロ形成を行う必要性が確実にあろうかと思うが、どの組織がこれを担うのか。
そのためには、片側のエゴを押し付けても意味はなく、キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラー視点ではない、クライエント視点が必要になるのではないのか。


キャリア・コンサルタントの試験に問われる対面式面談の場面を行動原則に従い純粋に実施できる先は果たしてどれくらいあるのだろうか・本当にそれは必要なのだろうか。

諸事の経過背景を判断するならば、キャリア・コンサルタント資格とは、対人支援のための資格ではなく、自らを見つめるための資格であることが本質なのではないのか(その是非論や既対人支援実施者は別であるとは思っている:資格の概要・現状と環境について)。



微睡は、さらに深く夢へと誘い、キッチュな理想とリアルな現実が交じり合うような息苦しさに加え、針を刺された腕が痛み・痺れていた。



ルービック・キューブは、1面ずつ同一色で6面体を完成させることが最終目的となる。 一面が綺麗に一色に揃った状況を目の前に突きつけられれば「おぉ凄い!」となるが、他の5面の状況は分からない。俯瞰で6面全体を見なければ、目的を容易く見失うことになる。

社会の中のキャリア形成の根付きの状態を・ルービック・キューブの6面として例えて見るなら、今は何面に何色が整っているのか。
キャリア形成支援に係わる諸氏は、俯瞰で6面の全てを見えているのか・目の前の一面だけを見て、残る5面に目が行っていないのではないのか。
誰が縦・横のキューブを動かし、目的の面の色を合わせるのだろうか。


キャリア・コンサルティング(業界)の最終的なゴールとは、社会・個人に対して、

キャリア形成の概念は「人生を幸福に導くモノ」だと、必要性が認知され・浸透し
推進・実践者とするキャリア・コンサルタント/カウンセラーの存在が求められ
対人支援者の活躍の場・機会が適正に確保され・実践の有効性が実証され
社会的な機能・役割の認知と支援者の地位保全がWin-Winの状態で形成される

斯様な姿がゴールになるのではないだろうか。

最終的な業界形成へのゴールを目指すためには、キャリア・コンサルタントの養成のみを実施しているだけの状況・その有資格者のみが活動する状況から、社会全体へのマクロ対応を図るための「キャリア・コンサルティングの業界形成」を目指すことが必要で、そのための推進組織が必要なのではないだろうか。

支援効果が発揮できるためには、社会認知を得て、キャリア形成&カウンセリング・リテラシーを高めた背景の中でこそ、キャリア・コンサルタント/カウンセラーの存在価値と実施効果が生まれるのではないのか。

過ぎ行く時間に危機感を感じても、失った時間を戻すことは出来ない。


キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラー諸氏に問いたい。


キャリア・コンサルタント/カウンセラーの立場からではなく、社会・個人にとって、

キャリア形成の概念は、本当に必要なのか・要らぬのか。
キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラーは、必要なのか・要らぬのか。
マクロ形成推進(業界形成)のための組織は、必要なのか・要らぬのか。


あなたの答えはどちらですか?


もしもキャリア形成の社会認知が必要だと感じるならば、

あなたは、何をしましたか? 何をしますか?



キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラーとは、他者の人生を少なからず左右する存在者であるといえるだろう。自らが求めるゴールに自らが向かわないとするならば、キャリア形成の対人支援者として何とも笑止なことに思える。

医者の無養生との言葉に習うなら、キャリア形成支援者の無養生とは、イラショナルビリーフを自らに課して歩まぬことと依存心なのではないのか。

個立の必要性を唱えるならば、自らが行動を行う必要は当然の如くあるだろうし、時に強力な過信なくして道を切り開くことが出来ぬことは、ビジネスの常識でもあろう。
アカデミックな心理「学」のみを唱えている者には、結してこれを成す事は出来ないだろうし、社会に対するマクロ活動など必要がないと考える諸氏に当てはまることでは無論ない。


キャリア・コンサルティングの業界形成は、私見であってもマスト事項であると思っている。 だが、その目的達成においては、キャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラーが主体者であって欲しいと望むも、目的達成を果たせるならば、ここに拘る必要はないとも思う。私欲・名声欲・自己顕示欲等に犯されている者でなければ構わないだろう(当然に同業界内も含めて)


目指すは、6面の完成・・・いま見えているのは、感じているのは、どの面の・どんな色の整い方であるのか・次の一歩がどんな色と面に変化するのか。

果たして、このままで・こんなままで良いのだろうか。

客観的に経過時間と現状を見つめてみるならば、キャリアコンサルティングは、キッチュにしか届かず、消滅してしまうのではないのかとの思いを強く抱く。

今しっかりと現実を見つめ・問い直し・行動を行う必要があるように思う。
キャリア形成支援者の無養生に陥っては、間違ってもならないことであろう。



微睡から目覚めた時、普天間問題に揺れる鳩山総理と政府の面々と住民の方々の姿がTVに映っていた。 美しく素晴らしい理想も、現実の調整を誤れば、無に帰すことの姿がそこにあった。



笑顔の行方を見つめて





【ディスカッション・ペーパー】キャリア・コンサルティング業界形成に向けて
* 笑顔の溢れる社会に向けた*キャリア形成支援の業界形成のための提言 *

 A. キャリア形成支援の全体像から見た課題形成(192 KB)
 B. キャリア形成支援の業界形成に向けた具体的な検討諸案(132 KB)
    キャリア・コンサルタント技能士会に関わる課題形成
* ご意見・ご感想・ご要望等、お気軽にご連絡を頂戴出来れば嬉しく存じます *




career wing
仕事を通じて、“自分「らしさ」の実現”を追求する、
キャリア形成支援のトータル・ソリューション・サービス
ヨシダの徒然 < 編集後記>

誠にお恥ずかしながら・・・昨日から世間様に厚顔を晒しています。
All About プロファイル
All About プロファイル キャリアウィング 吉田 但


一日一膳?の思いで書き綴っているブログ* キャリアの翼 *「笑顔の行方を見つめる」キャリア*ノート*あんなことも・こんなことも・・・


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Career wing  tadashi yoshida


特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会 会員
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属

厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格
キャリアカウンセラー

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