2009.1.28

キャリア・コンサルティング業界の「未来予想図」

前回のメルマガで、キャリア・コンサルティング業界の変遷を見続けてきたこの数年間を回顧として綴ったところ、 「もう少し詳細を・・・」と、何人もの方々からご連絡を頂戴いたしました。
元々カウンセラーとしてのプレイヤー指向<ビジネス指向のため、多少、偏りがある内容となるかも知れませんが、 「あくまでも私見である」ことを前提にヨシダ視点で、業界の未来予想図を徒然に綴ってみたいと思います。


■■□ キャリア・コンサルタント(技能士)の統括・活動組織の誕生

技能士の有資格者を構成会員とした活動組織(協会等)の機能化・設立等については、今後の予定は未だ不明な状況です。
キャリア・コンサルタントも「技能士」となり得た訳ですから、今後の業界変遷の大きな流れ・発足されるであろう組織機能 (社会啓蒙・育成・認定・普及・業務開発・活動支援等)は、既存の「士業」の方々に関わる各団体(活動組織)のあり方に近いものが新設されると想定され、 第1回目の有資格者が登場する春先以降には、これが機能化・設立されるのではないかと推察しています。

国内に於ける士業の参考としては、弁護士・司法書士・行政書士・社労士・税理士・中小企業診断士・弁理士・公認会計士等々となりますが、 新しいところでは、ITコーディネータ・ファイナンシャルプランナー等が挙げられるかと思います。

キャリア・コンサルティング協議会は、平成20年9月に厚生労働大臣から、キャリア・コンサルティング職種の指定試験機関として 指定を受け運営活動をされていますが、同会が先述の活動組織としての機能・組織化をされるのかどうかは、2009.1.28現在、不明です。
端的に言うならば、協議会の主体運営者は、厚生労働省指定「キャリア・コンサルタント講座(民間資格)」の試験実施先の各行が 理事として運営されており、特にJCDAGCDF産業カウンセラー協会等々の民間資格の有資格者を独自の会員組織として構成するNPOの運営活動を している先においては、国家資格(技能検定)と自行実施の民間資格との明確な棲み分けを行い・これを表明し・体制化しなければ、 種々の論理矛盾が生れることにもなるため、キャリア・コンサルティング協議会の新たな組織機能のひとつとしてこれが形成されるのか、 全く新たな組織体により運営されるのかは分からない状況といえるのではないかと思います。


■■□ 業界の各プレイヤーの状況

キャリア・コンサルタントの民間資格においては、厚労省指定協議会加盟10団体と厚労省指定外の大きく2つに分かれます。
厚労省指定講座の有資格者においては、技能士検定の学科試験免除の特例が与えられ、ある種の差別化がされていますが、 学校教育の場に於けるキャリア・コンサルタント(スクールカウンセラー含む)の活躍・活性化・促進等の今後の状況を踏まえるならば、 厚労省指定外であっても専門性を機軸にした、日本キャリア教育学会 等の キャリア・コンサルタントの方々が技能士検定を目指す事は、当然に多くあり得ることかと思います(この辺も協議会が先述の組織に向うのかどうか分からない理由のひとつ)

余談になりますが、技能士検定・合格者の経路分析によっては、厚労省指定・指定外を含めた各団体の実践(育成)力の評価・判断にも繋がることになるのかと思います (合格者の個々人の状況の違いは当然にありますが、マクロ評価の傾向判断のひとつとして)
新たに資格取得を目指される方々に対して、斯様なデータ開示がなされるのかどうかは別としても、技能士検定の合格に特化した各種講座の開設(学科・実技)は、 アフターマーケットにおいて確実に増加するであろうことは予測に違わぬ事かと思います(現在、唯一のビジネスモデルともいえますので)

現在の厚労省指定の10団体に於いては、
 A. NPOとして資格取得後の会員組織活動を行なっているところ
 B. 講座〜試験実施のみを行っているところ
と2系統に分類が出来ます。

特にA.の会員組織活動を実施している先(先述の通り)については、 潜在的な受講希望者の募集確保既存の有資格者に対する所属意義や価値の明確化対外的な社会機能としての付加価値提供等々の観点においても、 自行組織に対する独自の差別化の訴求(存続意義・特徴・活動方針/方策等)が確実に求められる流れにあるのではないかと思っています(前回のメルマガのJCDAの例等)

大胆すぎる予測を行うなら、キャリア・コンサルタント5万人計画も終焉を迎え、今後のホルダー増加率を見込み、 厚労省指定機関であっても、試験実施を取り止める先もあるかも知れませんし、逆に既存の民間資格にヒエラルキーを設定し、スキル水準の区分けを行う形のなかで、 資格の付加価値を高め、団体毎の存続・維持・発展の足掛りとされる先があるのかも知れません。

順当に考えるならば、 講座内容を技能士検定の資格取得1本に絞られた、新たな厚労省指定試験(機関)としての承認を得る先が生まれてくるのかも知れませんし、 場合によっては、先の日本キャリア教育学会のように「専門性」に機軸を置いた団体や講座等ももっと々増えるのではないかと思います。
また、スキル水準の維持・発展のためのピアトレーニングやスーパービジョンの実施においては、 熟練レベルの技能士対応を専任(選任)者として運営されることも想定出来るかと思います。

・・・別段、想像フェティではないのですが・・・溢れるように・・・業界のプレイヤー各行の対応変化が、業界形成に社会にプラスの変化となるように 心から願います(もちろん・何ヵ所も年会費が払えない状況も考慮し・・・)


■■□ ひとつの推察例として

今後の業界形成の状況をマトリックス分析で推察するならば、ひとつの仮定論として、下記のような構成判断も描けるのではないかと思います。

縦軸:A.学術 <・・・> B.実践
横軸:C.個人 <・・・> D.組織

A.学術・・・民間資格・技能検定2級・1級

 ○新たな国内向けのキャリア形成支援理論の発表
 ○キャリア形成(支援)の有効性の各種検証
 ○オープンツールの開発・発表
 ○職掌(対象別を含み)としてのスタンダードモデルの確立 etc.
  ※場合によっては、専門性育成・認定化

B.実践・・・ジョブカード制度をはじめとした独占業務や専任機能の増加

 ○各種事例検証によるビジネス(マーケット)モデル形成
 ○専門性に特化した実態活動
 ○キャリア・コンサルタント(フリーランス等)の新たなビジネスモデル形成
 ○ナレッジマネジメント&ネットワーク化の活性 etc.

C.個人・・・労働意識・価値観・生活水準の変化

 ○キャリア相談<職業支援(支援結果の明確な答えの導き)
 ○無料〜有料(一般)化への変化の兆し
 ○キャリア・コンサルティング活用機会・場の増加
 ○属性・シーン・シチュエーション別コミュニティ等の増加 etc.

D.組織・・・キャリア形成支援の戦略的な施策実施

 ○経営課題に於ける人事事案の変化・重要性のクローズUP
 ○人事関連事項の各種パラダイム変化の表出
 ○組織内・キャリア形成支援の活用機会・場の増加
 ○エンプロイアビリティ型の評価基準・組織体制化 etc.


「A.- C.」「A.- D.」 と 「B.- C.」「B.- D.」の領域別展開の各々の方向性の推察により、課題形成からも業界の未来予想図が見えてくるのではないでしょうか (詳細は、長くなるので私見推察の列記は控えます)
もちろん全体の推察テーマを決めて、縦横軸の各項目を置き替えて、マクロ見地で眺めてみても、予測として見えてくるモノがあるかと思います。

一例) テーマ:「資格の活用をテーマに所属先の有効性判断をする」

  縦軸 A.学術 B.実践
  横軸 C.民間資格(各組織) D.国家資格(新設・機能/組織)

キャリア・コンサルタントの個人単位で見た場合、「○○○(専門性表記)キャリア・コンサルタント」のように専門性や支援の指向性毎に細分化された形で 活動展開が深まって行くのではないかと推察しています(それに応じた機能組織の活性化も含む)


■■□ 最後に

社会情勢に伴い、雇用問題に付随するキャリア・コンサルタントの公的社会機能(ジョブカード等)の動き
事案別の有効性検証(展開事例)の結果による企業動向やマスコミの動き
キャリア・コンサルタントとしての新たなキャリア・モデルの登場
学校・公的機関等々の既存の活躍の場に於ける、第3次(1次:誕生活用・2次:効果測定〜調整実施・3次:再編成)?ステージ展開
キャリア教育の体制整備・実施    etc.

行政・経済・雇用情勢・労働者意識・生活実態 etc.・・・色々なファクターによっても、業界が辿り着く先には予測差が生まれるだろうと思います。
キャリア・コンサルタント資格そのものに学術的領域を重んじる方々も、対人支援援助業務の実践主体に価値観を抱く方々も様々だと思います。


キャリア・コンサルティング業界のより良い未来予想図を完成させるには、

「キャリア・コンサルタントの各々が、明確な意思を持ち・発言し・行動すること」

が重要なのではないかと思う今日この頃です。
業界形成に対して個人的に思うキーワードは、

「キャリア・コンサルティングの有効性の検証のためのナレッジマネジメントの実施とネットワーク化」

だと考えています。
業界形成の一定の具体的な形を迎えるのにどれ位の月日が流れるのか・・・
未来予想図のなかの当事者のひとりとして自分自身も考え・発言し・行動していきたいと思います。


あ・・・ウチは、ひとり言が多いのが・・・ですが・・・



career wing
仕事を通じて、“自分「らしさ」の実現”を追求する、キャリア形成支援のトータル・ソリューション・サービス
ヨシダの徒然 < 編集後記>

2009年の1回目のメルマガで「派遣切り」の状況について綴ったところ、 種々のご意見と併せて、プチ(?)バッシングに近いコメントも幾つか頂戴致しておりました。
その後、ホワイトカラー系(便宜的な表現として使用します)の大手派遣会社より、窮状に近いコメントが報道されたり、 派遣村を活用していた方々に対する「求人数 対 問合せ数」のアンバランスな現状のデータが開示されたり、 弱者救済的な単純な同一視点による一斉報道の現状に抱いた危惧の形が、時間を追って多面的報道となり、深部の現実問題が現れてきつつあるように感じています。

今後も含め、ハローワークに勤務の方々は、本当にご苦労が多かったのではないでしょうか。

またこの間、第一次産業である農林漁業への就職を希望する人が急増していることは、農林水産大臣:石破氏のタイムリーな動きが大きくプラスに働いたと思います。
経済状況の根本的な問題はあるにしても、中小企業や個人事業・伝統事業の後継者問題の解消に至るまで、災い転じて、より良い大きな変化を迎えて欲しいと思います。



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Career wing  tadashi yoshida


特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会 会員
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属

厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格
キャリアカウンセラー

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