2008.1.7

「絆」を繋ぐ

2009年のスタート!既に仕事始めを迎えられているかと存じますが、
みなさん、お正月は、如何お過ごしになられましたでしょうか?


無宗教・人混みが苦手・出無精・・・な自分のお正月の恒例行事のひとつが、地元・茅ヶ崎のビーチでのお祈り(お参り?)です。
金粉は入ってないにしても一升瓶を抱えて行った時期もありましたが、最近はもっぱらカップ酒をコートのポケットに放り込み、 人気もまばらなビーチへと向います。
波打ち際にお神酒代わりのお酒を流しながら「今年もよろしくお願いします」とあれもこれもとチョッと欲張り気味の願い事を胸に手を合わせます。

茅ヶ崎周辺のビーチと海岸線の国道の間には、防砂林として松林が約30m位の幅でネットに囲まれながら用意されているのが、 この辺の海の特徴のひとつでもありますが、近年、ホームレスの方々の姿をこの防砂林に多く見かけるようになりました。



澄み渡る青天に恵まれた今年のお正月。恒例行事の後、あまりにも気持ち良い陽射しに促され「箱根駅伝の応援の人達が帰るまでは海にいるか」とビーチに座り込み、 左手に見える江ノ島・右手の富士山と海に続いて広がる景色に目をやっていました。

ふと、ビーチウォークに目を向けた時、防砂ネットの切れ間を掻い潜るようにして、
ひとりの若者が姿を現しました。
ジーンズ姿に工事現場で着られるような群青色の防寒コートを纏った彼は、髪を整え伸びたヒゲを剃れば20代後半位の顔立ちをしていました。

彼は、それがまるでいつもの事でもあるかのようにゆっくりとビーチの斜面を降り、
波打ち際まで真直ぐに向い、水面に翳した手の平で海水を掬い上げ、手と顔をゴシゴシと洗った後に首に巻いていたタオルで拭いました。

意味も無くその姿を見つめていたこちらに気が付く事も無く、ビーチの斜面の一番下に腰を下し、流木を背もたれのようにしてフードを被り、 小さな深呼吸とともに目を閉じたように見えました。


しばらくすると沿道の声援の声も聞こえなくなり「そろろろ帰るか」とズボンの砂を払い自宅へと向いました。


自宅では、ゴールの箱根路を目指す各校の大学生が懸命に歯を食いしばり、歩を進めているところがTVに映し出されていました。
沿道の両側には、新聞社から配られた小旗を手に振り、タスキを必死に繋ごうと懸命に走っている選手達に多くの方々が応援の声を上げています。

母校のランナーに祈るように心配な表情を浮かべる仲間の選手達の顔。
辛かっただろう道程の完走を果たした選手の清々しさに満ちた顔。
予想外の故障を起してしまった選手に向かい、必死に声を掛ける監督の顔。
いくつもの思いを抱えて額に光る汗を拭う事も無く、目指すゴールを真直ぐに見据えて、両腕を大きく振り、懸命に足を運んでいる選手達の顔がありました。


「自分を思い・求めてくれる人がいて
       その思いをしっかりと受止めているとき」

「自分を抱きしめてくれる人がいて
       自分が抱きしめられる人がいるとき」


「ひとは生き方が変わるものだ」と心に思う自分がいます。


カウンセリングが終わり、ひとりデスクでクライエントを振り返るその時、 もしもクライエントの身近にそんな相手がいたなら、このオフィスに訪れる事も・ご相談のあり方も変わったのではないかと思うことが度々あります。
そして場合によっては、「キャリアカウンセラーの存在さえ必要でなくなる事も多いのではないのか」とも感じるのです(結してカウンセラーの方々の否定の意ではありません)


ひとと人・ひとと組織・ひとと社会との「絆」。



必死にゴールを目指し、仲間にタスキを繋ごうとする駅伝の選手達の姿と、家を職を「絆」を失ってしまったのかも知れないビーチで出合った青年との姿に 言い様もなく「社会の中の自分の役割とは・目指しているもの」とは何なのかを考えさせられていました。


折りしも別のチャンネルのニュースでは、東京の派遣村での支援の様子が報道されていました。

キャリア形成支援は、自立支援とは違う
セーフティネットの実効性が希薄過ぎる
自己責任社会・2極化は受容れざるを得ないもの etc.

NPOの支援を受けている方々に対して「なぜそうなってしまうんだ」との遣る瀬無い思いと、個人の感情として様々に湧き上がる思いとの狭間のなかで、 痺れるような感覚で画面に映し出される風景を見ていました。


自分自身の過去を振り返り、拙い人生ではありましたが、それでも死に物狂いで働き、守り抜き、多くのものを失い、壊れかけても必死にもがき、 死(自死ではない)さえ意識も覚悟もし、それでも今日より明日に夢を馳せながら走り続けて、やっと今日に至ることが出来たとの「やってきた」自分なりの自負があります。
それは、世間の評価などでは微塵もありませんし、自分だけのマスターベーションそのものです。 自分が気が付かぬ多くのものに支えられていたのかも知れません。

しかし、社会現象の一端を目の前にして、どうしても理解出来ない「違和感」を感じ、なぜか揺らぐ気持ちが芽生えてしまうのです。
「命を前にした時に目の前の人に「自己責任」などと言い切れるのか」 そんな当たり前な問い掛けの答えの次元を超えて、それでもどうしようもないくらいに「何かが違う」気がしてならないのです。


平等であることは本当に平等なのか、不平等こそ平等なのか。
人としての行動と、立場としての行動のどちらが正義なのか。

平等とは何であり、正義とは何なんでしょうか。
弱者とは、強者とは、一体何を基準にそう言われるものなのでしょうか。
声高らかに言われるその基準は、本当に確かなものなのでしょうか。
自由主義とは、人の尊厳とは、プライドとは、命を守るとは・・・

若輩ゆえにその答えはお恥ずかしくも未だ分かっていません。
それが今だけのことなのか、生涯、理解出来ぬままなのかは分かりません。


何のために自分は、ここまで走り抜き生きてきたのか。
社会のなかでの自分の存在意義とは何なのか。
自分は、これからどこへ向おうとしているのか。



自分の中にある陳腐な言い訳や、自覚していない嘘を器として見透かされるのが怖いのか
飽食の時代のなかにどっぷりと浸り、感覚的に犯されてしまっている驕りなのか
キャリア形成支援・己の思いなど、結局は綺麗毎なのか   etc.

首筋に鈍い刃を当てられたようなこの思いは、いま何も失っていないのであろう強者の立場から来るエゴが正体なのでしょうか。
思わず目を背けたくなってしまうようなこの気持ちは、自分の中の無意識の背徳心からくるものなのでしょうか。
こんな思いを抱くこと事体、経営者として、キャリアカウンセラーとして適格要件に欠けるからなのでしょうか。

果たしてそれほど日本はダメなのでしょうか。

「死ぬ気で必死に生きればなんとかなる」そんな自分の人生観や価値観を根底から覆されているようで、 なぜなのか自分自身が物凄く非難を受けているような気に苛まれてならないのでした。


※「NPO法人自立生活サポートセンターもやい」の方々をはじめ、各ボランティアの方々の活動は、 とても素晴らしいものだと心から敬意を感じていますこと附記いたします。 また、多くの方々の今を乗り切ることが、将来に繋がる道となるよう祈りたく存じます。



思わず逃げ出すように変えたチャンネルの画面には、遠かったであろうゴールのテープを切った選手達へのインタビューが次々に映し出されていました。

タスキを途切れさせず繋ぐ事だけを考えて走りました。
控えに周った仲間の分も頑張らねばと思い走りました。
体調を壊してこの場にいない監督のために走りました。 etc.


なぜあの時、ビーチに腰を下した彼に声を掛けなかったのか。
声を掛けた時に一体何が出来て、一体何がしたかったのか。
意味など考えずに声を掛けるべきだったのか。
途切れそうになっていた「絆」を繋げられたのではないのか。

それとも全てが余計なお世話なのか。

ビーチで出会ったあの青年が、海岸線の防風林のなかからでも必死に走る選手達の姿を見たなら何かが変わったのではないのか。
「明日には、復路もある」そんな思いが不意に胸に沸き上がりました。



白い雲をオレンジ色に染めはじめた西の空には、くっきりとした黒い富士山の稜線が浮かびあがり、北西の風がゆっくりと吹き抜けていました。

夕暮れ前のビーチに向ったそこに彼の姿は既にありませんでした。


「絆を絶やさないためにどうあるべきなのか」


投げ掛けられた問い掛けの答えを探して、人として、己の立場として、
悩みながらも笑顔を忘れずに一歩ずつ歩んでいきたいと思います。



本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。




附記
内容的にいくつものタブーを書いているように感じられたかも知れません。
特定の誰か・何かを指しての非難や・蔑みや・差別を思うものではありまあせん。
しかしながら、ご気分を悪くされた方もいらっしゃるかも知れません。
その際は、悪しからず心よりお詫び申し上げます。





career wing
仕事を通じて、“自分「らしさ」の実現”を追求する、キャリア形成支援のトータル・ソリューション・サービス
ヨシダの徒然 < 編集後記>


他からの連絡も無くなるのでと腰を据えて「やるぞ!」とデスクに向った「wing column に記載の予定の諸理論のまとめ」
2/3位迄を完成し、うたた寝をしてしまった間にネコ様達がキーボードの上をはしゃぎ回り、データは跡形もなくデリートに・・・ しかも頑張った後に食べようと置いておいたチーズケーキも台座の紙だけが残っている状況に・・・正月早々、齢を振り返らず非行に走りそうになりました。


書籍のご紹介として10冊をUPしました。キャリア推薦本をご覧下さい!


一部の方から、日常の中の心理学みたいなコンテンツを書け!・・・と半ば強制的なリクエストがありまして・・・ 少しづつですが、トピック的に綴ってみようかと思っています。


年末に引いてしまった風邪がなかなか良くなりません。
大嫌いな持病の検診もあり、この1週間は、健康オタクのような生活を過ごしていますが、 咳き込むと止まらなく、ついには腰まで痛くなってきました・・・
歳を重ねても健康でいることは、物凄いことなのだと妙に実感しています。



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Career wing  tadashi yoshida


特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会 会員
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属

厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格
キャリアカウンセラー

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