2008.11.26

インテーク面談の対話のヒント

キャリア・コンサルタント2次(実技)試験のロープレ・セッションの実施を通じて感じる不思議のひとつに、 カウンセラーとしてクライエントに向き合った時に「対話が進められなくなる」といったことがあります。

質問責めの詰問調になってしまったり不要な緊張感に漲った空気を醸し出してしまったり 主訴の理解が出来ずにクライエントの内省を深めるための時間が、カウンセラー側のための時間になってしまったりと、 カウンセリングの対話そのものの展開に戸惑い、その方自身が本来持っている、温かさ・優しさ等々の素敵な魅力が完全に消えてしまっている中で、 クライエントへの対応を過ごす形といえるでしょうか。

今回は、本来の自分の姿でインテーク面談を過ごすための対話のヒントとして、
経験を元に徒然に書き綴ってみたいと思います。


■■□ 第1声目の大切さ

>>> 揺るぎようのない立場

相談者(クライエント)相談受け者(カウンセラー:貴方)の両者の立場・役割は、結して揺らぐものではありません。

クライエントは、貴方とはじめてインテーク面談時にお会いします。 その時のクライエントの気持ち(心情背景)のなかでは、

 問題解決に対するカウンセリングへの期待
 解決出来るのか・どんな対応者なのかへの不安 etc

が、きっと渦巻いていることでしょう。
例えクライエントがどのような方であっても「受容」出来る心の準備を大切にする必要があります。


>>> 第1声目の大切さ

腰掛けるイスを勧めることが、クライエントに掛ける言葉の第一声目になるかと思いますが、 小さく・弱々しい小声で「どうぞこちらへお掛け下さい」では、クライエントの不安を増長させるようなものです。
悪戯に元気過ぎるのも考え物かとは思いますが、真面目な態度と、生気に溢れた明るく優し笑顔で、 第一印象で与えることの出来る「受容」の空気を先ずは作り出すように、お声掛けを行いましょう。

緊張しがちな方は、特にこの第一声を大切にして、少し大きめの声を掛けるとか、
自分なりの言葉を用意しておくとかして、お話しの開始に際して、より良い気持ちの準備を整えられるようにするのも一考かと思います。

色々な考え方があるかと思いますが、「不安を抱かなくても大丈夫ですよ」と、クライエントの自己効力感を信じるがゆえの 温かく、柔らかく、優しい笑顔を持って迎え入れをする事も、受容の前提条件を創り上げることだと私は思っています。


本題であるカウンセリング開始の第一声は、「・・・本日のご相談は?」的なお声掛けになるかと思います。
先述の例でも示しましたが、簡単にさらっと流すようにこの言葉を掛けるのではなく、声のテンポ・強さ/大きさ・表情を意識しながら、 心の底から気持ちを込めて「どうされたんですか?」とクライエントに話し掛けてみて欲しいと思います。

この第一声は、何も情報に左右されずに自らの気持ちだけで伝えられる唯一の言葉です。 軽く流しがちなこんな所にもカウンセラー・マインド&スタンスが垣間見れるのではないでしょうか。

ここについてもご自身なりの気持ちが込められる言い方でOKですので、ご自身なりの言葉を捜してみてはいかがでしょうか。
また、この間に至るクライエントの表情や身体表現として現れている諸状況を見守るように観察することも大切なことです。



■■□ 対話の流れ

1:Co 今日のご相談は・・・
2:CL はい・・・です。
3:Co なるほど。今日は・・・と云うことなのですね(一例)

    ※Co:カウンセラー CL:クライエント

クライエントとカウンセラーの出会いの組み合わせは、無限大にある訳ですので、
お話しの流れも一律的なモノにはならないことは自明の理です。
が、少なくとも上記のように会話の順序と流れは、多少也ともパターン認識として踏まえる事が出来るかと思います。
カウンセリングの「いま・ここ」やリアリティのある対話を行う観点からするなら、パターン認識を行う事は、あまり好ましいことではないかと思いますが、 自分らしい対話(自己一致状態)を行うための手懸かりとなるなら、先ずはフレームワークを意識して対話を進めてみることでも意味があるのかと思います。


>>> 2:クライエントの受答え

上記の2.に於けるCLの第一声の受答えには、大きく2つに分類出来るかと思われます。

A.背景や原因等が含まれない、短いセンテンスで来談主旨を伝えられる
B.背景や原因等も含まれた、相応の長さのあるお話しとして伝えられる


この2つに分類出来るクライエントの言葉に対するカウンセラーの受答え方として、


>>> 3:カウンセラーの受答え

A.の場合:クライエントから可能な限り詳しく(大きく・深く)胸の内をお話し頂けるような言葉を伝えます。

「・・・もっと詳しくお話し頂けますか?」
「・・・切っ掛けや、理由について、お気持ちや詳細をお教え頂けますか?」etc

B.の場合:要約を行い、お話しを深めて聞く必要があるポイント毎のグループ(カテゴリ)としてまとめ・示し (1.・・・2.・・・3.・・・的な箇条的な提示)、ひとつ々のグループに対して、A.の要領でさらに深くお話しを頂くように対話の展開を図るようにします。

 ※ 参考詳細:YOMIURI ONLINE「発言小町」でカウンセリング訓練!


ポイント

先ずは「聴く(お話しして頂く)」こと。これに尽きます。
知らない者通しが、立場・役割を元にして、はじめてお会いし、お話しをするのがインテーク面談の場面になります。 先ずは、クライエントの胸の内を可能な限り多くの言葉として語って頂く事に注力したいものです。
これにより、主訴の見誤りも少なくなるでしょうし、種々の理由によるクライエントの心情背景の理解もしやすくなり、 主訴が適正に理解・掌握できれば、その後の見立てについても見誤ることなく描く事が出来るといえます。

カウンセリング場面に於ける主役・主体者は、クライエントです。
お話しの当初から、細部に渡る質問責めのような展開で対話を進めるより、「思いを抱き、ご相談に来た」その全てを語って頂く事に 対話の主軸を置くことをインテーク面談の初期段階では注力したいものです。

一度、クライエントの立場になって、良いカウンセラーが取るべき対応・態度を熟考してみることで、見えてくるモノがあるのではないでしょうか。



■■□ ラポール形成のために

クライエントのご相談には、「感情・現象」の2面が混在して存在しているといえます。 信頼関係の構築(ラポール)により、クライエントとカウンセラーの間に絆が芽生える事から、問題解決に向けた時間を過ごすことが可能になります。
逆を返せば、ラポール形成が無い限り、カウンセリングの目的を果たす事が難しいことであることがお分かり頂けるかと思います。

ポイント

インテーク面談でこれを成すためには、ご相談の「感情・現象」の先ずは、クライエントの感情に意識を払い、 共感的理解を示すことが、人(立場を含み)としての信頼関係を構築できる近道であることがお分かり頂けるのではないでしょうか。
カウンセリングが進むにつれ、現象面としての問題解決に自然と向かう訳であり、他人通しが出会い、より良くここに向かうためには、 気持ちへの触れ合い(共感)を起す事が必須とも言えるのではないでしょうか。

受容・・・>感情への共感・・・>現象面へのより深い理解


この流れが逆になった時にカウンセリングの目的が、効果・効率的に果たせるでしょうか? ここにインテークの初期段階には、特にクライエントの感情(お気持ち)に注視し、ラポール形成を進める答えがあるのかと思います。



■■□ 最後に

クライエントに胸の内を語って頂くとした中での10分間は、とても短い物です。
それでもカウンセラー・サイドのスキルの発揮に注力しますか?
それともクライエントに集中して受容する気持ちや言動に先ずは拘りますか?

クライエントの自己内省・内観を深めていくために、
クライエントに寄り添うキャリアコンサルタント。


「あなたが、あなたらしくいること」


クライエントに贈るこの言葉。
相談受け者(カウンセラー)としてのマインドとスタンスで
温かくクライエントを受容し包み込んで下さい。



試験対策としての徒然ではありますが、
ひと言でも「何か」が届けられれば幸いです。




career wing
仕事を通じて、“自分「らしさ」の実現”を追求する、キャリア形成支援のトータル・ソリューション・サービス
ヨシダの徒然 < 編集後記>

メルマガの読者登録の数が増え、本当に有難く、心より感謝をしております。
ご連絡を頂戴し、実際にお会いし、お話しをさせて頂く機会も増えてきたのですが、 必ずと言っていいほど「なぜ、キャリア形成支援事業をしようと思われたのですか?」と聞かれます。
愚にも付かない内容になるかも知れませんが、次回は、そんな経緯を綴ってみたいと思うに至っています。

今年もあとひと月です。

気持ち良い締め括りを迎えられるように、
気を引き締め直しで師走を歩みましょう!



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Career wing  tadashi yoshida


特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会 会員
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属

厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格
キャリアカウンセラー

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