「個の時代」のキャリアカウンセラー&人事
2008.8.13

社員の「キャリア開発」を見つめる

団塊の世代のリタイア・少子化の影響・ニート・フリーター化・能力主義導入の影響・ 短期離職傾向・ゆとり世代の入社・自己責任社会 etc

企業経営を取り巻く様々な社会環境・現象の結果を受け、

 労働者(力)の適正な確保が困難になる
 事業ノウハウ集積・継承の危機から企業力の低下
 経営(利潤追求)のマイナス影響の懸念増大   etc

が、直ぐ目の前の現実のこととして予測されます。

もちろん斯様なネガティブ?な捕らえ方以外に

 平均人件費の抑制・減少
 過剰雇用の調整
 経費のコストパーの適正化

との経営効果を挙げる視点もあります。


企業経営をどれくらいのスパンで描くのかは、業界や企業毎の情況により大きく差があろうかと思います。
しかし、労働市場の大きな変革に当たる2007年問題・2011年問題に即応し、経営計画上の対策を講じた企業こそが、 今後の企業活動で生き残りに繋がるのではないかと強く感じています。

様々な社会背景を基にして、社員の「キャリア開発」・「キャリア形成支援」は、 そのひとつの答えとして存在する、重要なキーワードと捕らえられるのかと思います。


今回は、斯様な社会背景をもとにした、社員の「キャリア開発」を考える場合の諸点について、経験に基づくお伝えを出来ればと綴りました。



■□□ 将来の経営ポイント

労働者:「ひと」を観点の主軸として経営を考えた場合、 「エンプロイアビリティに基づく、労働者・企業の相互価値の認め合い合意」こそが、全てのキーワードとして捕られるポイントだと思います。
経営組織論として踏まえるならば、「個人と企業との調和・調合」を目指す、ホロン(Holon)・ホロニック(Holonic)型の経営形態に エンプロイアビリティを経営判断の機軸として描き・持つ。という事になるかと思います。

経営組織論を語ると長くなりますので、上記のポイントを前提として、社員の「キャリア開発」・「キャリア形成支援」を見つめてみたいと思います。

 ※ エンプロイアビリティとは、「雇用される能力=労働市場価値」



■□□ 社内外の推進組織

社員のキャリア形成を推進していく場合の実施組織としては、以下の5点が主な推進実施先として考えられるかと思います。

 1.人事担当者による実施
 2.労務担当者による実施
 3.専任担当者による実施
 4.各所属長による実施
 5.社外対応(アウトソーシング)による実施

組織内部の対応の際、キャリア・コンサルタント資格がある方が必須と思われがちですが、 資格は、あるに越した事はないかと思いますが、資格保有状況に極端に拘る必要はないと考えます。

あくまでも現在の民間資格のキャリア・コンサルタント資格は、キャリア・コンサルティング(カウンセリングスキル・知識)の基礎に対して評価判定されたものであり、 実務上の能力判定を認められてのモノではないため、過激発言かもしれませんが、敢えて斯様なお伝えを申し上げます。
(結して、有資格者の方々の能力の否定をしているのではありませんこと付け加えます)

大まかな言い方になりますが、クライエントの所属組織(業界・経営組織・現場等々)を知っていること・知らないことによる、メリット&デメリットがあり、 実施効果の目的をどこに据えるのかで、有資格者対応が必須なのか否かが分かれてくるかと思われます。



■□□ 「キャリア開発」・「キャリア形成支援」の目的

A.ホロニック的な観点から、社員・経営両者の最適バランス点を見つめる
B.純粋なキャリア・カウンセリングの観点から、社員個人のみを見つめる


「経営視点から、人事情報管理の一端として実施を行なう」ことを望まれる場合もありますが、 確実に導入失敗に終わる、ロジックかと思われます。


■□□ 成功要因の前提条件

経営の社員のキャリア形成・支援の必要性に対する理解が必須であることが前提条件となります。
また、社員側のコンセンサスの徹底も成功要件として大きく挙げられます。
つまり、全社的に「キャリア開発」・「キャリア形成支援」の目的・意義がしっかりした機軸として構築されていないと、 実施効果判定が難しいものでもあることから、継続的な活動が難しくなり、実施効果を見失いがちになる恐れがあります。
ある意味、人事評価制度等の新規導入時に近いモノがあるかも知れません。

企業よりコンサル依頼をお受けし、お話しをお聞くなかで経験した、社員のキャリア形成・支援機能の導入の幾つかの失敗事例として、

 経営の理解が得られていないこと(低意識)
 キャリア形成推進の目的・意義が不明確であること
 導入推進への覚悟が中途半端であること
 コストパーを含み推進体制が未整備であること  etc

が代表例として挙げられるかと思います。



■□□ 実施フロー(大まかなラフ)

 1.経営・社員の徹底したコンセンサス作り
 2.組織機能・職掌の明確化
 3.実施運用ルール・実施方法の徹底
 4.実施者・実施状況の広報(高期待感を得る)

実施目的をどこに据え、何をもって実施効果と踏まえるのかを確定し、運営実施の資源を確定して、実施対象者の能力から期待効果を描き、予算〜体制化を 進める必要がありますので、経営活動として描く際、準備から実施までは、一定の時間が必要になることは明らかになります。



■□□ 実施組織毎のポイント

1.人事担当者による実施

・人事評価との連動が表立った場合、確実に失敗に終わります。
・企業規模によりますが、推進者の明確なポジショニング機能が求められます。
・異動調整や研修実施等がタイムリーに行いやすい利点があります。
・人材育成の観点で推進することが望ましいかと思います。


2.労務担当者による実施

・中小企業の場合、専任する難しさが伴います。
・場合によっては、産業カウンセラーの対応の方が最善かとも思われます。
・労働環境改善に対し一定の発言権を保有している事が望ましいかと思います。
・ストレスマネジメント中心の、メンタルケアのスタンスが望ましいかと思います。

3.専任担当者による実施

・組織機能・職掌の明確化が実施効果を大きく左右します。
・カウンセラー資格を保有している事が望ましいかと思います。
・全社的な視野で全社傾向を元に経営改善の調整対応が図りやすくなります。
・社員の理解を得やすい組織体制であるといえます。

4.各所属長による実施

・カウンセリングスキルの研修/育成が必要になります。
・直接評価者の場合、期待効果は低くなるといえます。
・目標管理・メンター・ブラザー/シスター等の制度に関係付けは可能です。
・改まった形ではなく日常的な対応の一環として捕らえる事も出来ます。

5.社外対応(アウトソーシング)

・実施コストは一番高くなります。
・運用実施ルールが不明確だと実施効果が図り難くなります。
・実施目的により、対応者のスキルチェックが必要になります。
・外部環境で実施する場合、一番、稼働率が高まるかと思われます。



■□□ カウンセリングのポイント

1.社内対応

社内に於けるキャリアコンサルティング(カウンセリングルーム設置等)機能の導入実施について、 組織は、利害関係者の集まりがゆえに、「利害」の存在を解消するような対策を講じなければ、カウンセリング効果を描く事が難しくなります。
カウンセラーとクライエントの間に介在する「利害」を解消するために、どのように全社的なコンセンサス化を進め、 運用システムを構築し、稼働率低下の問題を克服する支援体系のルール化を進めるか。
この点が、企業内でのキャリア形成実施の導入成否を分ける重要なポイントになります。


2.社外対応

実施目的により変化はしますが、通常のキャリアカウンセリングの実施に加え、 勤務現状のシュミレーションやエンプロイアビリティに基づく、諸事判断およびシュミレーションが実施者には求められます。
ゆえに組織現状の掌握(可能であれば組織計画)や、業界・業種に精通していることが、 より効果・効率的にカウンセリングの期待効果を高める要因にもなります。


コンサルの結果、上手く活用された一例として、
結婚退職を予定していた人事部勤務の女性にキャリア・コンサルタント資格を取得して貰い、 嘱託社員として、週3日の勤務を通じて、社員の「キャリア開発」を専任担当として新設のセクションを用意し 推進活動を行った時には、上手く組織機能に組み込む事が出来たこともあり、期待効果を描く事が出来ました。



社員の「キャリア開発」における各ポイントを記して参りましたが、 一社毎にそれぞれ、成功要因は大きく変化してくるものです。
社会背景の結果、マクロの影響を受ける企業も、ミクロの影響を受ける企業もあるでしょう。


エンプロイアビリティ(労働市場価値)に基づく
労働者・企業の相互価値の認め合い合意


私が描く当面のキーワードはここにあります。


経営規模が大きい会社が良い会社なのか
経営組織が強い会社が良い会社なのか


現在のターニングポイントを越えた後、結果は見えてくるのかと思います。




社員の「キャリア開発」を導入検討の際は、どうぞお気軽にお声掛けを下さい!


career wing
仕事を通じて、“自分「らしさ」の実現”を追求する
キャリア形成支援のトータル・ソリューション・サービス
ヨシダの徒然 < 編集後記 >

ハワイに行けないストレスを少しでも解消しようと、去年買ったプルメリアが2鉢あります。
水のやり過ぎはダメとかでかなり神経を使うのですが、最近は、夏の太陽に晒してあげようと、 ベランダに出しっぱなしで・・・

花をつけるのはかなり難しいとは聞いていたのですが、今年は何故だか花芽が全く見当たらず、 無駄に元気に見える葉っぱだけがグングンと大きく成長をしています。

家に帰る都度、鉢を覗きこむのですが、葉っぱの芽は、もうわかった!って云うくらいに出てくるのに花芽は・・・

なんだか物事に一緒についてくる「タイミング」みたいなものをプルメリアの2鉢に教えられている気分の夏の日です。

Career wing tadashi yoshida
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属
厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格 キャリアカウンセラー

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