「個の時代」のキャリアカウンセラー&人事
2008.7.16

キャリアコンサルタント試験合格への「Ready & Go!」その2

キャリアカウンセリングの実技(2次試験)訓練のロールプレイング・トレーニングで、カウンセラー役となってトレーニングの実施を行うと、 「どうしてもうまく会話が進まない」という方がいらっしゃいます。
「なぜだかしっくりとこない・・・」といった類のものですが、 普段、友達・同僚等とは、相談ごとの対応も含めて、誰とでも気軽に明るく会話のキャッチボールが出来るのに、 カウンセリング場面になってしまうと、全く自分らしく立ち振る舞えなくなってしまい、会話が行き詰ってしまうといったものです。
これは、私自身もカウンセラーの勉強をしている時に強く出た症状であることを思い出します。

人それぞれに原因はあるものの、

 1.プライベートにおける・自分
 2.ビジネスマインド・スタンスにおける・自分
 3.カウンセラーマインド・スタンスにおける・自分

の各役割の使い分けの違いにおいて、「カウンセラーとしての鎧を無理矢理に自分に被せてしまっていること」に原因が潜んでいると感じることが多くあります。
また、職務経験上、評価や指示・指導を行う、人事やマネージメントに長く携わってきた方や、クライエントの役に立ちたいといった思いが強い、ある意味 「まじめ」な性格気質の方にも現れやすい症状かとも感じています。


スクーリングや試験対策講座等においては、「カウンセラーとしての対応の正解形は、こうですよ」と、教えられるのが普通かと思います。
他方、カウンセラーマインド・スタンスの心的な内面のレクチャー等は、あまり実施されないのが現実かとも思います。

感情の反射に意識が行き過ぎ、クライエントの言葉尻を追い掛け、
 主訴の全体像を捉えきれない
非指示的療法の実践は、カウンセラーの言葉を控えるべきとの勘違いから、
 押し黙ってしまう
カウンセラーとしてのロジック対応を探してしまいクライエントに集中できない
カウンセラーであろうと意識し過ぎて、自己不一致を起こしてしまっている   etc.

カウンセラーになるために努力をして目指しているのですから、ある意味出来なくて当たり前なのですが、 傾聴関係スキルに拘り・捕らわれ過ぎてしまい、 クライエントの「ご相談を受ける立場の自分」としての「心構え・気構え・姿勢」を見失ってしまっている。ことが原因かと思われるケースを多く見受けます。



■□□ 「形と心」・・・あなたの選択はどちら?

もしも、カウンセラーとしての表面的な形に捕らわれて、なんとも言えぬ自分自身の内面の違和感に包まれ、身動きが出来なくなってしまっているならば、

もがき続けながらもカウンセラーとしての「形」を身に付け、身体に沁み込ませる
自分本来の姿のまま「ご相談を受ける立場の自分」として、「心」からクライエン
 トに向き合ってみる

このどちらかが必要になるのではないかと思います。

カウンセリングの主役であるクライエントにとって、
果たしてどちらが、より良いカウンセラーだと言えるでしょうか?


「形と心」・・・あなたはどちらを選択しますか?


心は感じられないが、形は完成されているカウンセラー
形は未完成ながらも、心が溢れているカウンセラー

もちろん目指すべきは、心があり形もしっかり出来ていることであることに微塵も間違いはありません。
しかし、もしもカウンセラースキルの形に捕らわれて身動きが出来なくなり、しっくりこないとの感覚がある場合、 人として・カウンセラーとしての基本・原点である「ご相談を受ける立場の自分」をもう一度取り戻すことから、 今の自分をシンプルに見つめ直してみることも価値ある対応ではないかと思います。

クライエントの言葉に身体表現に全神経を集中して、感じて・聴くこと
クライエントの気持ちや状況をあたかも自分のこととして感じ取ること
クライエントの感情の動きに寄り添うこと
クライエントの自己効力感を信じれること
クライエントとあなたの2人で「いま・ここ」の二度とない時間を紡ぎ合うこと

強制も、評価も、卑下も、羞恥も、虚勢も、嘘も、遠慮も、恐怖も、支持も、
なにも必要としない時間。
クライエントがありのままの自分をありのままに自然に開放できる、
カウンセラーと2人の関係と時間。
自分以上でも以下でもない、ありのままの自分の心を開いて、
クライエントに向き合い寄り添っていること。
信頼関係の絆により創られる、とても温かく・柔らかく・清々しい凛とした空間。


傾聴スキルと言われるモノの多くが、実は、心の底からクライエントに向き合っていれば、 自然と自分の内から溢れだしてくるものであることに気付き、理解して頂きたいと思うのです。
ただし、これをコントロールして使えることが、カウンセラーとしての所以につながる訳です。
しかし、この前提事項の後先が逆になっていると、本来のカウンセリング・スキルが身に付くことに、 多大な時間と苦労を伴うことになろうかと思うのです。



■□□ カウンセリング・スキルは何のためにあるのか?

カウンセリング・スキルは何のためにあるのでしょうか?
クライエントとの信頼関係の構築を行いやすくし、より短時間により効率・効果的にカウンセリング目的を果たせるようあるべきものだといえます。

クライエントがご相談に訪れてくれた「いま・ここ」において、クライエントに向き合い、やり取りが出来るのは、あなたしかいないのです。
あなたの人生・経験を通じて培われた、あなた自身の全てを元にして、クライエントのご相談に目一杯に耳を心を傾け、主訴と感情を感じとって欲しいと思うのです。
クライエントが感じている状況・世界を頭でロジカルに整理し理解することは当然に必要ですが、心の底からクライエント自身の気持ちを感じ取って欲しいのです。

「クライエントの本当の内面を感じ取れるためのスキル」
これこそが、
カウンセラーマインドでもある「 心構え・気構え・姿勢 」
と言えるのかと思います。



カウンセリングスキルが、クライエントとカウンセラーの間において存在するものだと考えるならば、 「心構え・気構え・姿勢」は、カウンセラーのみにおいて必要なマスト・スキルといえます。
まずはここを徹底して見つめ、「ご相談を受ける立場の自分」として、常にこの状態に自分自身を保てるようになれば、 あとは、クライエントとのより良いコミュニケーションを成り立たせる、カウンセリングスキルの活用に拘ることができるはずです。


カウンセリングスキルに不安があるならば、先ずは「相談を受ける立場の自分」としての「心構え・気構え・姿勢」だけは、 誰にも負けない自負を持って、あなたの全身でクライエントを受容し・共感して欲しいと思うのです。
それこそがカウンセラーとしての唯一のアイデンティティではないかとも思います。

この「心構え・気構え・姿勢」が確立した後にスキルの獲得・発揮を目指すと違和感なく自己一致した状態で傾聴スキルが使えやすくなります。
どうかカウンセラーとしての形に捕らわれる前に「相談を受ける立場の自分」としての根本を見つめることからスタートをして欲しいと思うのです。
心の通い合いの時間こそが、カウンセリングの一面でもあるはずですよね。



■□□ 受験者のみなさんへ

形を教え伝えることは出来ても、心を教え、伝えることはとても難しいことです。
逆を返せば、「心」それこそがあなたらしさとも言えるのではないでしょうか。
あなた以外に目の前のクライエントに向き合う人は誰もいないのです。
ゆえに「いま・ここ」の感覚がとても大切になってくるのだと思っています。

クライエントのご相談を受けるとなった時に、いつ・いかなる・どんな時・どんな条件下においても、 カウンセラーとしての「心構え・気構え・姿勢」の準備を整えられ、クライエントに向き合う事が出来る。
そんな風になれれば素晴らしいことではないでしょうか。
そして、そこに最高のカウンセリングスキルが活用できれば、もう何も怖いものなしですよね!
試験に挑むことの事実は事実として、ひとつのご相談を受ける場面に試験という名前がついているくらいの気持ちで試験当日を迎えて下さいね!


<参考附記>

第27回CDA資格認定2次試験(12/13・14)より、 実技試験のロールプレイングの時間が「7分間から10分間に変更」となる告知が出されました。

 ※ この変更の意味するところを踏まえてみることも必要かも知れませんね。

日本キャリア開発協会(JCDA)によれば、 実技試験の判定ポイントは、「傾聴スキル(支援スキル)を使い、信頼関係の構築を図るとともに、クライエントのニーズや状況を確認すること」とあります。

この先に予定されている、キャリアコンサルタント国家資格化(2級)においては、 「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会」報告書によると、 「2級レベルの試験の実施にあたっては、まず1対1の相談・支援が的確に出来ることに重点を置く」と、あります。



■□□ 最後に

カウンセリングスキルの発揮が重要であることは自明の理です。
が、印象管理と同じく、そのための前提条件である、カウンセラーマインドとしての「心構え・気構え・姿勢」が整っていなければ、 スキルが活きてこないことがお分かりになると思います。

「迷いが生れたなら原点に戻る」
それこそが、問題解決の早道になるかと思います。


こうして考えてみると、企業内の教育も全く同じであることが分かります。

形を伝えることは簡単に出来る。
心を伝えることこそが難しい。
そしてそれこそが最も大切なこと。



career wing
仕事を通じて、“自分「らしさ」の実現”を追求する、キャリア形成支援のトータル・ソリューション・サービス
ヨシダの徒然〔編集後記〕

この数ヶ月間、仕事・体調・プライベー等々のことが一気に押し寄せていたのですが、 やっと少しづつ、諸々の整理が出来つつある今日この頃です。

ライフステージ&ロールを考えると色々な意味において変化の時なのかなぁと感じましたが、 変化の時こそ自分自身の基軸を見失わないようにすべきだと再認識しました。

自己分析って感じより、自己カウンセリングを日々繰り返し行っていましたが、 時の流れにしか処方箋が見つからないこともありかと、今更のように思ったりしています。

先日、オフィスにお越し頂いた方より、「連絡するのに敷居が高かった・・・」と、連絡メールを頂いた時の気持ちをお伝え頂きました。実際を知っている方々からしたら笑い話以上の酒の肴のようなお言葉なのですが、決して「怖くなんてありませんよぉ!」・・・かな??

2008夏・・・一度の限りこの時を思いっ切り楽しみましょうね!


Career wing tadashi yoshida
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属
厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格 キャリアカウンセラー

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