私が、キャリアカウンセラーの資格取得を目指し、学んだ時に一番苦しかったのは、キャリアカウンセラーの「マインド・スタンス」等を理解・実践することでした。

身体に染み付いてしまっていた、いままでの職務(人事)やマネージメント(経営・管理職)のマインド・スタイル・職責/目的等々から、キャリアカウンセラーとしてのそれに上手く重ね合わせ、理解と実践を行うことに、大きな抵抗感と違和感を覚えたことを思い出します。

言葉に表するなら「腑に落ちない」感じと言えば良いのでしょうか。
完全に自己不一致を抱えたまま一時を過ごしていました。

 

国家資格化やキャリア開発への機運としてか、人事・管理職に就いていらっしゃる方々に於いてもキャリア・コンサルタント資格取得を目指されている方々が増えていると感じます。

今回は、自身の過去を振り返り、「腑に落ちない」自分は、どんなところにあって、今現在は、どのように思えているのか、一言でも伝わる何かがあれば嬉しいと思い記しました。

 

 


キャリアカウンセラーは、「クライエントの悩み・ご相談に対して、具体的な解決策を提供し、解決に導く立場の者である」と誤認をしていました。

全ての答えは、クライエント自身の内にある

概念としての言葉を頭でのみ理解し、具体的な行動や自己成果に置き換えた時に、ならばキャリアカウンセラーの存在意義や能力とは一体どこにあるモノなのか?と、疑問だらけになっていた強い意識を未だに思い出します。

このため、「キャリアカウンセリング・カウンセラーとは何ぞや」と様々な書籍を読みあさり、「腑に落ちる」言葉を探し続けたのですが、元来の捻じれた性格のせいか、文章読解力に欠けるのか、どれもこれもが、上辺の比喩表現に感じてしまい、とどのつまりは、そんなに深い「」を持っているとは自覚してないしなぁ・・・等と、自分は、カウンセラー資質に劣るのかとも深く悩みました。


クライエントを前にした時に無意識に相手に対する「評価・判断」をしてしまっている、もう一人の自分が常に頭のなかに認識出来てしまい、カウンセリング場面において、完全な自己不一致の状態になっていたのです。


人事・マネージメントが長かったことが原因か、「組織の利潤追求」を観点とした基軸に照らし合わせて、ひと・物事を見てしまう、職種特性やマネージ・マインド的な傾向がベースにあったのだと思います。


カウンセラーの役割や、カウンセリングの機能・有効・実行性を完全に理解しきれていなかったことが全ての原因なのかと思いますが、「クライエントに対する判断や評価が自分の内面に湧き上がるとは、カウンセリング場面における主客が逆転し、カウンセリングがクライエントのためのものになっていない」ことに気がついたことから、諸々が腑に落ちることが出来、気持の雪解けが始まりました。

そして、そんな自分の大きな自己不一致の状態が解消されたのは、トレーニング・セッションを通じて「ラポール」の体現的な理解を完全に出来たことからでした。
その時のセッションの経過時間は、いまでも忘れる事が出来ませんが、「キャリアカウンセリングの目的は、クライエント自身が持つものであり、他のコミュニティの利潤追及やカウンセラーのためにあるものではない」と、セッションを通じて、この事に対してゆっくりとロジックの整理がされ、カウンセラーとしての役割に対して心から納得がいくようになったのと同時に徐々に自己不一致状態も解消していきました。


   ●全ての結論は、クライエントが決めることである

   ●カウンセラーが評価・判断することには意味がない


お恥ずかしくも、この単純明快な言葉の真意を本当に理解するのには時間が掛かりました。


いま・ここ」とはなんなのか。 クライエントに「寄り添い歩む」とはなんなのか。

カウンセラーのマインド・スタンス・役割・機能等を体現的に理解し気づけたことによって、その後は、今まで概念的に感じていたただの言葉が、強烈な意味を持つバイブルとして、過去の自分の経験による壁を払拭してくれたのでした。
また、自分が積み重ねてきた経験を活かせるあり方も自然と見えるようになりました。

 


ジョハリの窓を例として踏まえるならば、


ラポール形成により、
A.解放された窓(自他認識共有)を大きく開いて貰い、問題解決の共有感の前提を創りあげ

カウンセリングの進行により、クライエントの自己開示を促進して
C.隠された窓(自己認識のみ)をより開放する方向に向かい

カウンセラーとのやり取りのなかで
B.盲目の窓(他者認識のみ)を認識し、受容出来るようになり

結果として、
D.未知の窓(自他共に未認識)にある自己効力感を信じて進んで貰えるようになる


言葉を換えれば

クライエント自身は、自分の背中を見ることは出来難い(比喩例として)

カウンセラーは、クライエントを中心にして多方面からクライエント自身を見つめることが出来る存在である

クライエント自身が見えなかった、クライエント自身のこと(見えたこと)を伝えることにより、内省が深まる

内省が深まることによって、悩み・問題の全体像やコアポイントが客観的に見えやすくなる

これによって、クライエント自身が納得する次なる一歩への判断が出しやすくなる

 

そして、 

カウンセラーは、一番、効果・効率的に且つ、常にこれに至ることを可能にするため、知識・経験等の弛まぬ歩みが必要になる

カウンセリングの成果・満足感・達成感等は、クライエントの反応・結果のみに存在する

内省を深め、自己一致を目指し、最大公約数を以ってクライエントに向き合い寄り添う

過去の経験を積み重ね、将来の自分の経験をも重ね併せ、受容の広さ・深さを極める

等々  これらが至って自然に思えるようになりました。

 


振り返れば、かなりな赤面の日々ではあったのですが、いま思う、キャリアカウンセリング・キャリアカウンセラーとは、とても大らかで、且つ、自然なモノであり、愛情に満ちたモノ(受容)であると感じていることをお伝え出来ます。


・・・しかし、このように書いていても自分自身がある意味「表現された言葉に捕らわれていた」のと同じく、また別の言葉によって捕らわれてしまう方もいるかも知れません。

どうか、人事やマネージメントに携われた方々のなかで、どうもカウンセリング(訓練)がしっくりと腑に落ちないとのお気持ちを抱くことがあれば、もう一度、じっくりと振り返りを行ってみて欲しいと思います。
そして、ラポールをはじめとして、体現的な理解への方向を目指し、捕らわれの壁の解消をして欲しいと思います。

 


焦る必要は何もないのだと思います。

経験は必ず活かせますし、活きてきます。 経験を活かせる順序の違いだけです。

 

クライエントの笑顔が全てですそこに自分の笑顔を重ねるのみですよね!

 


Career wing    tadashi yoshida
特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)所属
厚生労働省指定キャリア・コンサルタント能力評価試験合格 キャリア・カウンセラー

 

 

【後記】

(財)社会経済生産性本部:厚生労働省委託事業「ジョブカード講習」の中央研修(2日間)に参加してきます。発表以降、直ぐに受付満席状態になったので受付結果の状況が不安でしたが、昨日、すったもんだ?の末に何とか参加が確定しました。
内容的にお伝え出来る事につきましては、後日、改めてここでご報告申し上げます。

東京労働大学講座総合講座への通学が始まりましたが、本郷三丁目から東大キャンパスまでの間で出会う若者達が、みな一様に頭が良さそうに見えてしまうのは、完全なハロー効果でしょうか・・・
まだ初日を終えたばかりではありますが、講義において思わず「ハッとする」場面も多々あり、この時間を有意義に次に繋げたいと思っています。

本文を見る限り、組織内での「キャリア開発」は組織の利潤追求の側面が主にあるはずで、この点に於いて、キャリアカウンセリングの組織内導入には、矛盾が生まれるのではないかとのご意見もあろうかと思いますが、全く、このようには考えておりません。この点については、また別の機会に記したいと思います。