黒田裕樹の歴史講座・メルマガ編

黒田裕樹の歴史講座・メルマガ編 Vol.039 教育制度の整備と教育勅語


カテゴリー: 2017年01月04日
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    黒田裕樹の歴史講座・メルマガ編
      Vol.039  H29.01.04

        http://rocky96.blog10.fc2.com/

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こんにちは!黒田裕樹です。
通史でたどる歴史講座の「明治編」、今回は「教育制度の整備と教育勅
語」です。明治時代の教育は、どのように充実していったのでしょうか
。また、現代ではなぜかタブー視される教育勅語が発表された背景には
、いったい何があったのでしょうか。

(※文章中の「◎」は、教科書において太字などで強調された重要語句
です。文末にもまとめて掲載しています)

「教育制度の整備」
http://rocky96.blog10.fc2.com/blog-category-506.html教育勅語」
http://rocky96.blog10.fc2.com/blog-category-507.html

明治5(1872)年に学制が発されたことで、◎義務教育の就学率が
次第に上昇しましたが、実学(じつがく、理論より実用性・技術を重ん
ずる学問のこと)中心で我が国の伝統や道徳が軽視された内容であった
ことや、授業料が高額なこと、あるいは地方の実情を無視した画一的(
かくいつてき)な統制に対する反発も強いものがありました。

このため、政府は明治12(1879)年に新たに◎教育令を公布して
、学制を廃止しました。教育令はアメリカ風の自由主義を基調としてお
り、学区の廃止や小学校の設置を町村の裁量に任せたほか、義務教育の
年限を短くするなどの改正を行いました。

しかし、それまでの統制から急激な放任主義への転換が、かえって教育
界に大きな混乱を招いたので、翌明治13(1880)年に教育令が改
正されて、政府の監督が強化されました。

このような試行錯誤(しこうさくご)を経たうえで、明治19(188
6)年に◎森有礼(もりありのり)文部大臣によって教育令が廃止され
、新たに◎学校令が公布されました。

学校令によって、小学校・中学校・師範(しはん)学校・帝国大学など
の学校体系が整備されるとともに、尋常(じんじょう)・高等小学校各
4年のうち、尋常小学校の4年間が義務教育とされました。

学校令が整備された後の明治20年代から30年代にかけて、義務教育
の就学率が急上昇し、明治35(1902)年には90%を超えました
が、これは学校令の制度が我が国の風土に合っただけではなく、近代産
業の発達やそれに伴う経済の発展によって国民生活が向上し、児童が教
育を受けやすい体制が整ったことも意味していました。

また、教育費を国庫で補助したり、明治33(1900)年に義務教育
期間の授業料を廃止したりするなどの政策にも大きな効果がありました
。

それに加え、日清・日露両戦争を経て国民教育の重要性が再認識された
(日露戦争での我が国の勝因は国民の教育水準の高さにあると海外から
の指摘もありました)ことで、明治40(1907)年には義務教育が
6年に延長され、就学率は98%にまで達しました。

この他、明治36(1903)年に小学校の教科書を、それまでの検定
制から◎国定(こくてい)教科書制度に変更しましたが、これは検定制
の下で教科書採用における数々の不正があったことが主な原因です。

なお、義務教育制度とともに高等教育機関の拡充も進み、官立の東京・
京都・東北・九州の各帝国大学が創設されました。

明治22(1889)年2月11日に大日本帝国憲法(=明治憲法)が
公布されたことで、我が国は憲法を有する近代国家となりましたが、明
治憲法はそもそも法律であったがゆえに、道徳に関する規定がありませ
んでした。

また、当時の教育界も、道徳教育の基礎を何に置くかという根本的な問
題について一致した見解を持っていなかったため、我が国伝統の倫理や
道徳に関する教育が軽視される傾向にありました。

この事態を重く受け止められた明治天皇は、井上毅(いのうえこわし)
と元田永孚(もとだながさね)に起草させ、天皇ご自身も熱心にお考え
を示されたうえで、明治23(1890)年10月30日に「◎教育ニ
関スル勅語(ちょくご)」(通称:教育勅語)を発せられました。

教育勅語には我が国の伝統的な国家観と人倫道徳とが融合した「国民道
徳」が分かりやすい文章で書かれており、また孝行・友愛・夫婦の和・
朋友(ほうゆう、友人のこと)の信・謙遜(けんそん)・博愛・修学習
業(しゅうがくしゅうぎょう)・智能啓発(ちのうけいはつ)・徳器成
就(とくきじょうじゅ、人格向上に努めること)・公益世務(こうえき
せいむ、世の人々や社会のためになる仕事に励むこと)・遵法(じゅん
ぽう、法律を守ること)・義勇の12の徳目(とくもく、道徳の基本の
意味)を、天皇お自らが国民とともに実践されようとするお考えが示さ
れていました。

なお、教育勅語は明治天皇が親しく国民に発せられたお言葉として御名
(ぎょめい、公文書における天皇ご自身による署名のこと)だけが記さ
れ、国務大臣の署名は副署されませんでした。

教育勅語の前文と現代語訳は以下のとおりです。

教育ニ関スル勅語(教育勅語)

朕(ちん)惟(おも)フニ我ガ皇祖皇宗(こうそこうそう、天照大神と
歴代の天皇のこと)國ヲ肇(はじ)ムルコト宏遠(こうえん)ニ徳ヲ樹
(た)ツルコト深厚(しんこう)ナリ。

我ガ臣民(しんみん)克(よ)ク忠ニ克(よ)ク孝ニ億兆(おくちょう
)心ヲ一(いつ)ニシテ世々(よよ)厥(そ)ノ美ヲ済(な)セルハ此
(こ)レ我ガ國体(こくたい)ノ精華(せいか)ニシテ、教育ノ淵源(
えんげん)亦(また)実(じつ)ニ此(ここ)ニ存ス。

爾(なんじ)臣民、父母ニ孝(こう)ニ兄弟(けいてい)ニ友(ゆう)
ニ夫婦相和(あいわ)シ朋友(ほうゆう)相信(あいしん)ジ恭倹(き
ょうけん、他人に対して慎み深く控え目に振る舞うこと)己(おの)レ
ヲ持(じ)シ博愛衆(しゅう)ニ及ボシ学ヲ修メ業(ぎょう)ヲ習ヒ以
(もっ)テ智能ヲ啓発シ徳器(とっき)ヲ成就(じょうじゅ)シ、進(
すすん)デ公益(こうえき)ヲ広メ世務(せいむ)ヲ開キ、常(つね)
ニ國憲(こくけん、憲法のこと)ヲ重(おもん)ジ國法ニ遵(したが)
ヒ、一旦緩急(かんきゅう)アレバ義勇公(こう)ニ奉(ほう)ジ以(
もっ)テ天壌無窮(てんじょうむきゅう)ノ皇運ヲ扶翼(ふよく)スベ
シ。

是(かく)ノ如(ごと)キハ独(ひと)リ朕(ちん)ガ忠良(ちゅうり
ょう)ノ臣民タルノミナラズ、又以(もっ)テ爾(なんじ)祖先ノ遺風
(いふう)ヲ顕彰(けんしょう)スルニ足ラン。

斯(こ)ノ道ハ実ニ我ガ皇祖皇宗ノ遺訓(いくん)ニシテ子孫臣民ノ倶
(とも)ニ遵守(じゅんしゅ)スベキ所、之(これ)ヲ古今ニ通ジテ謬
(あやま)ラズ、之(これ)ヲ中外(ちゅうがい、ここでは国内と国外
のこと)ニ施(ほどこ)シテ悖(もと)ラズ。

朕(ちん)爾(なんじ)臣民ト倶(とも)ニ拳々服膺(けんけんふくよ
う、心に刻み込んで片時も忘れることなく)シテ咸(みな)其(その)
徳(とく)ヲ一(いつ)ニセンコトヲ庶幾(こいねが)フ。

明治二十三年十月三十日
御名御璽(ぎょめいぎょじ)

教育に関する勅語(現代語訳)

私(=天皇)が思うには、我が皇室の祖先の方々が国を始められたのは
、遥(はる)かに遠い昔のことであり、代々築かれてきた徳は深く厚い
ものがありました。

我が国民が忠孝の道をもって万民が心を一つにし、今日に至るまで立派
に歩んできたことは、我が国の優れた誉れであるとともに、教育の根本
もまたそこにあります。

貴方たち国民は父母に孝行し、兄弟仲良くし、夫婦は仲良く協力し合い
、友達とは互いに信じあい、慎み深く行動し、すべての人に博愛の手を
広げ、学問を修めて仕事を習い、知能を高め、人格の向上に努めて、世
のため人のために尽力し、いつも憲法を重んじて法律に従い、もし不測
の事態が生ずれば公(おおやけ)のために勇敢に奉仕することで、永久
(とわ)に続く我が国の繁栄に助力しなさい。

これらのことは貴方たちが忠実で善良な国民であるというだけでなく、
私たちの祖先が遺した良き伝統を称えて反映していくものでもあります
。

このような道は、実に我が皇室の祖先が遺された教訓であるとともにそ
の子孫や国民がともに守っていくべきものであり、昔も今も、また国の
内外を問わず間違いのない道理です。

私(=天皇)は貴方たち国民とともにこの教えを心に刻み込んで片時も
忘れることなく守り、皆が立派な人間となることを心より願っています
。

教育勅語は当時の国民世論から大いに歓迎され、小学校修身科(しゅう
しんか)の教科書に掲載(けいさい)されたほか、学校行事において校
長先生が奉読(ほうどく、つつしんで読むこと)するなど、多くの児童
や生徒の日常の中にごく当たり前のものとして存在したほか、英・独・
仏・中の各国語に翻訳(ほんやく)され、海外にも広く紹介されました
。

ところで、昭和に入ってから勅語の文章中の「天壤無窮(てんじょうむ
きゅう)ノ皇運(こううん)」や「億兆(おくちょう)心ヲ一(いつ)
ニシテ」などの部分が、軍部を中心に特に強調されるようになりました
が、これは勅語本来の精神とは全く別の問題であると解釈できます。

なぜなら、勅語が発せられた明治23(1890)年といえば、国民の
間でもようやく「幕府や藩への忠誠心」から「国家への忠誠心」へと明
らかに変化した時期であり、それを踏まえたうえで、「これからは国の
元首たる天皇の下で国家の繁栄のために力を尽くしなさい」という意味
が、勅語において伝統的で古風な手法で述べられているからです。

それにしても、教育勅語が我が国のために果たした役割の大きさを実感
すればするほど、GHQ(=連合国軍最高司令官総司令部)からの強制
的な指示によって、昭和23(1948)年6月に衆議院・参議院の両
院で教育勅語の「排除」及び「失効」が決議されてしまったことが、返
す返すも残念でなりません。

ただし、排除・失効決議がなされたからといって、教育勅語そのものが
「廃止」されたわけではありません。そもそも天皇陛下のお言葉である
「勅語」を廃止できるのは陛下ご自身のみであり、それを国民の立場で
勝手に廃止する行為は「不敬」以外の何物でもありません。

事実、教育勅語は一部の幼稚園などの教育機関において今もなお暗唱さ
れており、健全な青少年の育成において重要な役割を果たし続けていま
す。

占領下という異常な事態において、GHQによって無理やり「排除・失
効」させられたという現実を考えれば、独立を回復して半世紀以上も経
つ現在において、国会で排除・失効決議を「無効化」して教育勅語を「
復活」させることに、いったい何の問題があるというのでしょうか。

なお、教育勅語が発せられた直後の明治24(1891)年に、勅語の
親署(しんしょ、天皇のご署名のこと)に最敬礼をしなかった内村鑑三
(うちむらかんぞう)が各方面から非難を浴びた「内村鑑三不敬事件」
が起きていますが、これは内村がキリスト教徒であったことから、信教
の自由の観点で宗教的儀礼である最敬礼への拒否も認められると判断し
たからではないか、という説もあります。

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  今回の重要語句(教科書において太字などで強調されたもの)

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◎義務教育教育令
◎森有礼
◎学校令
◎国定教科書
◎教育ニ関スル勅語(=教育勅語)

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  最後までお読みいただき、有難うございました。
  次回(Vol.040)は1月11日に発行します。
  「学問の発達」

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