ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」

【嶌信彦】時代をよむ


カテゴリー: 2017年04月21日
2017年 4月 21日 vol.153

=================================
否めぬ野党の論戦不足
~野党は奮起できるのか・・・~
==================================

本内容は放送時点のものですが、状況が変わった事象については注釈を付記しておりますので、合わせて参照ください。

テーマ:国会論戦「いま・むかし」から野党を考える

最近国会で森本問題に関する議論が続いているが、その議論を見ていても全く面白く感じられない。府議会が参考人招致を了承したにも関わらず、国会では与野党そろって呼ぶ必要がないと発言している。(※1)呼ぶ必要の有無は別として、森友学園が出した予算が3通りもあるなど、多数の矛盾がある。教育の問題もあり、これは国会に招致したほうがいいのではないかと思うが、与党は招致する必要はないとし、しばらくすると府議会も招致する必要がないとなり、何らかの圧力がかかっているように見える。
このようなことが国会の論戦をつまらなくしているように感じられる。

【かつて国会には緊迫した場面や名物議員の存在も・・・】
昔は国会も緊迫した場面が多々あり、名物議員も多数いた。例えば、社会党の木村禧八郎(きむら・きはちろう)氏。この方は地味ではあったが、様々な問題を掘り起こした。他にも社会党の楢崎弥之助(ならざき・やのすけ)氏、大出俊(おおいで・しゅん)氏、久保亘(くぼ・わたる)氏<社会党→民主党>などがおり、「爆弾男」や「止め男」といったキャッチフレーズがついていた。

それから共産党では正森成二(まさもり・せいじ)氏、松本善明(まつもと・ぜんめい)氏、上田 耕一郎(うえだ・こういちろう)氏。さらに、民社党の竹本 孫一(たけもと・まごいち)氏は経済問題の論戦で有名だった。今名前を挙げた方々の国会での論戦が今も手に取るように浮かんでくる。

【今なお残る言葉も国会から誕生】
木村禧八郎(きむら・きはちろう)氏は1953年の国会で検察より早く造船汚職を追及し、吉田茂内閣退陣への口火を切ったともいわれている。この造船汚職は、政府出資の計画造船の割り当てをめぐり起こった贈収賄事件で海運会社の手形の不正が発覚。さらに海運各社が当時の運輸省高官および自由党幹部に贈賄した事実が明るみに出たこともあった。 

また、木村氏といえば「貧乏人は麦を食え」という新聞の見出しで有名になった方。1950年12月の参議院予算委員会にて木村氏が高騰する生産者米価に対する大蔵大臣の所見を糺した。すると、当時大蔵大臣だった池田勇人元総理は「所得に応じて、所得の少ない人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に持って行きたいというのが、私の念願」と締めくくった。すると、翌日の朝刊に「貧乏人は麦を食え」という見出しが出てしまった。この「貧乏人は麦を食え」という言葉は今でも話題になっている。

【田中角栄氏の「列島改造論」も批判・・・】
さらに木村氏は、田中角栄内閣の「列島改造論」に対しても、「インフレと公害促進政策」と批判するなど、常に政府を追及した先導者であった。この人も非常に地味な人で大向こうを唸らせるような話ではないものの、一つひとつを地味に追及していったことで国会でも相当議論になっている。そういう意味からも、国会で追及するテクニックも持ち合わせていた上に、それに対応する多くの材料を持っていたといえる。

【「爆弾男」と「止め男」】
それから、楢崎弥之助(ならざき・やのすけ)氏の国会質問では「爆弾発言」で大騒ぎになり委員会がよく中断。ここで大出俊氏が登場し、「止めろ、止めろ」と叫んだことから二人は「止め男」や「爆弾男」と言われた。楢崎氏もかなり材料を持っており、楢崎氏が「マイクの前に立つと閣僚席が緊迫する」と言われたほどだ。官僚も楢崎氏の答弁の前には徹夜で調べていた。当時、私たちが国会に取材に行くと、国会記者席も満員だった。

クライマックスは88年のリクルート事件。これはアメリカの新聞に出た小さな記事が徐々に大きくなっていったものだ。アメリカの議員会館の事務所に小さな郵便物が投げ込まれ、その中に日本のリクルートの名前が少し出ていたことを見つけたのが発端で、そこから拡げられていった。そしてこれが、竹下内閣退陣の引き金となったのである。そういう意味でいうと非常に調査が行き届いていたのだろう。

【徹底抗戦で対抗の執念は今いずこ】
楢崎氏はリクルートコスモス社の幹部が国会質問を封じようと楢崎氏の議員宿舎に現金を持参した時の様子を隠しカメラで撮影して告発。撮影に協力した当時のテレビ記者によると、札束が入った封筒を差し出したコスモス社幹部に「米俵をスズメの前に置いても口が小さいから一粒一粒しか食べられない。我々は分相応の生活をしなきゃいかん」と説いたという。このようにきちんと逃げられない証拠を押さえ、追及していった。
これは、今の国会の追及の仕方とは迫力が違う。そういうことまでやらないとなかなか与党を倒すというところに至らないのだろう。

楢崎氏は資料を集め念密に検討して攻め方を研究し、前の晩は4時頃まで一生懸命勉強していたといわれていたほどだ。先にも述べたように楢崎氏の質問の際には傍聴席も記者席も満員で大向こうを唸らせていた。これが当時の国会の面白さであり、このように国会を面白くさせないとだめなのではないかと思う。

【甘い追及や調査】
どうしてこれほどまでに面白かった国会がつまらなくなってしまったのかというと、今の追及の仕方や材料の集め方、調査の仕方が非常に甘いからではないかと思う。例えば、今の森友学園の問題についてもいろいろと話題が出ている。中でも、安倍昭恵夫人に社会教育費という費目で講演料の40万円を支出したという話が出ているにも関わらず、中途半端な追及で終わっている。森友学園側の計上費目が講演料ではないことから、ここをもっと調べて追及することも可能だと思うのだが、それをきちんとやっていない。
教育の問題も出ている。自民、公明等が籠池氏を国会に呼ばなくてもいいとかたくなに拒んでおり、そこには何かあるのではないかと誰もが感じ取っているように思う。(※1)そこをもっとなぜ追及しないのかが、今の国会の追及の弱さが現われだと思う。

【野党の論戦不足とメディアの深堀り不足】
最近では稲田氏の問題も現れ、発言との矛盾などに関する資料が少しづつ出てきた。記載された記録などが出てくればそれを論拠として具体的な戦いができる。そういったもので追及するということが大事である。

それから、国会では今の日銀政策に関して、ほぼ終わり、ダメになったという論調が強い。しかしながら、これに関しても追及が中途半端に終わっており、この問題もどうなったのかよくわからない状況に陥ってしまっている。やはり国民の気持ちを動かすような国会論戦が欲しいように思う。野党が勢いを失ってしまうと国民の意識は下がってしまう。

昨今、首相にヤジを飛ばされているようでは、見ている方も「なんだ」という気持ちになってしまう。首相が困るくらいの追及を行なわないとダメだと思う。そういう意味でも野党の力不足が現状を招いていると思う。野党が弱いといわれるが、論戦不足が否めず「論戦をきちんとする」というところから突っ込んでいくことが大事だ。野党の奮起を促したいと改めて思う。そしてメディアももっと問題を掘り下げていくべきだとも思う。


【参考情報】
(※1)籠池泰典氏は3月23日に衆参両院の予算委員会で行われた証人喚問に出席した。
さらに3月末で学校法人森友学園の理事長を退任し、長女が新理事長に就任した。

4月6日付毎日
 大阪府の松井一郎知事は5日の定例記者会見で、学校法人「森友学園」の小学校建設計画の経緯を巡る職員への調査結果を発表した。建設予定地だった豊中市の国有地を管理する財務省近畿財務局の担当者が府側を訪れた回数について、府はこれまで2回と説明していたが、計5回だったことが判明。両者のやりとりは電話や府側からの訪問も含めると十数回に上った。

4月17日付NHK
大阪市は今年1月に決定した学校法人「森友学園」が運営する幼稚園への、障害のある子どもの受け入れ人数に応じた交付金の支給を取消した。申請は平成28年度分として5人分、計180万円の支給であったが、市が提出を求めた書類が幼稚園側から出されなかったことからこの運びとなった。今後、大阪市は、それ以前の交付金についても手続きに問題がなかったか、調査を進めることにしている。

1990年4月から27年間本番組に出演しておりましたが、3月28日をもって出演を終了いたしました。長きにわたって聞いてくださった皆様には感謝申し上げます。今回お届けする3月14日以降の番組の放送内容のまとめは3月28日放送分まで引き続きオフィシャルサイトやSNS、メルマガ等にてお届けいたします。

また、4月15日から新たに有料メルマガ「鳥の目、虫の目、歴史の目」を開始いたしました。初月は無料となっておりますので、ぜひこの機会に合わせて登録いただけると幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

「鳥の目、虫の目、歴史の目」に関する詳細は、以下URLを参照ください。
http://www.mag2.com/m/0001678876.html

◆お知らせ
・多くの人が涙したウズベキスタン ナボイ劇場建設秘話が昨日フジテレビ「奇跡体験!アンビリーバボー」で放送されました。
 GW5月6日(土)14時から平和祈念資料館にて今回放送に関連した映像の上映があります。
 その映像には、ウズベキスタン各地で労働に従事した勤勉な日本人と共に働かれたウズベキスタンの方々の貴重な証言などが収録されています。ご興味をお持ちになられた方は是非、足を運んでいただけると幸いです。
 http://nobuhiko-shima.hatenablog.com/entry/20170421

・23日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)
 ゲスト:史上最年長棋士として現役を続けている将棋の加藤一二三 九段 二夜目
 対局の流儀として、必ず食事にうな重を食べる理由や、棒銀戦法を40年間刺し続けても飽きない訳、対局中、5秒おきに残り時間を聴く理由。どんな相手を前にしても怯まない勝負師魂などにつきお伺いいたします。
 http://nobuhiko-shima.hatenablog.com/entry/201704213

==================================
嶌信彦オフィシャルサイト   http://www.nobuhiko-shima.com/

「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」特設サイト
http://navoi.nobuhiko-shima.com

嶌信彦公式ツイッター https://twitter.com/shima_nobuhiko

嶌信彦公式Facebook    https://www.facebook.com/nobuhiko.shima.1

NPO法人日本ウズベキスタン協会サイト http://homepage2.nifty.com/silkroad-uzbek/
==================================

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」

RSSを登録する
発行周期 ほぼ 平日刊
最新号 2017/08/21
部数 1,570部

このメルマガを購読する

ついでに読みたい

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」

RSSを登録する
発行周期 ほぼ 平日刊
最新号 2017/08/21
部数 1,570部

このメルマガを購読する

今週のおすすめ!メルマガ3選

ハロー株式
読者2万人超。「週刊ダイヤモンド」・「日経ネットトレーディング」・「初歩のパソコン」にも紹介され、3年連続「まぐまぐ大賞マネー部門第1位!」、メルマでは9年連続で最高栄誉の「総合大賞」を受賞中。「まぐまぐ殿堂入り」の無料投資情報誌です。役立つ情報満載で必見。株式相場見通し・投資ノウハウ、有望銘柄情報を10年以上に渡って配信しています。是非ともご活用下さい!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

オンラインカジノ情報ドットコム
カジノって楽しいですよね。ラスベガス、マカオ、韓国などのカジノへ行く前や行った後も日本でカジノを楽しみたいと思いませんか?実はそのカジノが日本でもオンラインカジノを通じて遊べるんです!そんなオンラインカジノの魅力をたくさんご紹介しちゃいますね。今話題の海外FXについても詳しく解説します。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

幸せを引き寄せるメール
毎朝7時に配信します。ゴールデンセレブヒーリング創始者本藤弘美があなたの人生をより豊かに幸せにするハッピーナビゲーション情報をお届けします。夢を叶えたい人、幸せになりたい人、心身共に健康になりたい人、人間関係を良くしたい人、豊かになりたい人に。読んでいると波動が上がります。GoldenCelebとは黄金の祝福。あなたの成功を祝福します。あなたにすべての安らぎと愛と豊かさと幸せがやってきます。♥
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

右肩下がりの時代だからこそ、人の裏行く考えを【平成進化論】
【読者数12万人超・日刊配信5,000日継続の超・定番&まぐまぐ殿堂入りメルマガ】 ベストセラー「仕事は、かけ算。」をはじめとするビジネス書の著者であり、複数の高収益企業を経営、ベンチャー企業23社への投資家としての顔も持つ鮒谷周史の、気楽に読めて、すぐに役立つビジネスエッセイ。 創刊以来14年間、一日も欠かさず日刊配信。大勢の読者さんから支持されてきた定番メルマガ。 経験に裏打ちされた、ビジネスで即、結果を出すためのコミュニケーション、営業、マーケティング、投資、起業、経営、キャリア論など、盛り沢山のコンテンツ。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

社長が知っておきたい、お金とビジネスの話
税理士の山下久幸が、「お金とビジネス」を切り口に語るメールマガジン。 このメールマガジンのコンセプトは『不易流行』(ふえきりゅうこう)。 メルマガの内容は僕が日々得た情報の中から様々な変化を、独断と偏見でお伝えしたいと思います。変わるものと、変わらないものを知り、皆さまのビジネスや人生のヒントとしてお役立て下さい! この他、有料で『メルマガ顧問税理士』も絶賛発行中です(*^_^*) http://www.mag2.com/m/0001670898.html
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

自分らしく生きるレッスン
筆者 坂上 浩(さかうえ ひろし)は、東大卒、東大大学院修了 メガバンク出身のプロコーチ。 専門領域は「ライフコーチング」 (充実した人生を創るサポート) 一見、順風満帆な経歴に見えるも、母子家庭に育ち、会社員時代はワクに縛られ自分らしく振舞えず不眠・うつで出社拒否を経験。 暗闇から抜け、好きな仕事で独立を果たすプロセスから掴んだ、自分らしく生きる為の「考え方」と「具体的な実践法」を惜しみなく披露! プロコーチから学びたい! コーチングに興味がある!そんな意欲の高いあなたのご購読をお待ちしています!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング