ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」

【嶌信彦】時代をよむ


カテゴリー: 2017年04月03日
2017年 4月 3日 vol.148

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日本企業における外国人経営者は「農耕民族」と「狩猟民族」の融和がカギ!?
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2月28日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。
1990年4月から27年間本番組に出演しておりましたが、3月28日をもって出演を終了いたしました。長きにわたって聞いてくださった皆様には感謝申し上げます。今回お届けする2月28日以降の番組の放送内容のまとめは3月28日放送分まで引き続きオフィシャルサイトやSNS、メルマガ等にてお届けいたします。何卒よろしくお願いいたします。

テーマ:外国人経営者の功罪

2月23日付で日産自動車のゴーン氏が社長を退任すると発表された。そこで、本日は外国人経営者の功罪をテーマに過去の事象もひも解きながらお話をしたい。

【褒章を受章した稀有な外国人社長】
ゴーン氏は1999年から18年にわたり日産を率い、経営難からの再建を果たしてきた。日本企業の外国人社長としても代表的な存在である。社長就任からわずか4ヶ月で「日産リバイバル・プラン」を発表し、国内の工場閉鎖や大量のリストラに加え、既存取引の絞り込みなどを実施したことで「コストカッター」ともよばれた。この施策による既存の調達先各社への影響は大きく、NKK(日本鋼管)と川崎製鉄が経営統合に迫られるなど、ここから「ゴーン・ショック」という言葉も生まれた。
それらの施策により90年代後半に倒産の危機だった日産を復活させ、カリスマ経営者として日本で外国人初となる「藍綬褒章(らんじゅほうしょう)」を受章している。現在はルノー・三菱のトップも兼任している。

【ソニーでは大失敗に・・・】
今回、社長を退任するが、ホールディングカンパニーのトップとして会社を束ねてゆくという。ゴーン氏の影響を受け、外国人経営者で有名になったのはソニーのストリンガー氏だが、こちらは結果的に大失敗だったといわざるを得ない・・・このことから必ずしも外国人経営者が成功するとはいえないことがわかる。

ソニーは人まねをせず、独創的な製品を創出し続けてきた企業。創業者の井深大氏と盛田昭夫氏が「トランジスタラジオ」「テープレコーダー」を開発。その後、世界初の携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」の発売により世界に名を馳せた。

ソニーの取締役会が外国人経営者を選んだ理由は、日産のゴーン氏の成果を受け「日本人には日本の組織は改革できない」と考えたからだったが、これが失敗の始まりであった。ストリンガー氏は元々アメリカのテレビ局で成果を上げた後ソニーにリクルートされ、社長に抜擢された。就任後、「サイロ(タコツボ)」を壊すため18万人の社員の1割を減らすと同時に、製品モデル数を2005 年度比で20 %削減。
目指すのは「2つか3つの製品だけに注力する」と改革を意気込むが、モノづくりの知識がなかったストリンガー氏は適切な投資や取捨選択ができず、コストカットに注力した。しかしながら、その影響により10年も経たないうちにソニーの競争力は喪失した。

【「モノづくり」からの撤退で苦境に・・・】
ストリンガー氏はソニーの競争力を喪失させただけでなく、経営において以下の弊害を生じさせた。
・韓国サムスンに協力として無償で技術を渡し「ソニーは韓国のスパイ企業」と他のメーカーから揶揄される。
・当時CEOでありながら、アメリカに住みつづけ日本に長期間滞在した事すら無い。
・15人の取締役のうち13人を社外取締役に変更。取締役にストリンガー氏を信じる人のみを任命することで、ストリンガー氏がCEOに指名され続けるよう画策した。

結局「モノづくり」から撤退したソニーは、その後ヒット製品を生み出すことができず、ストリンガー時代の株式時価総額は123位から477位にまで転落した。

かつて、番組でもストリンガー氏が就任する際この番組でも、コストカットで名を馳せてきたことから日本でもリストラの嵐が始まるのではと話したことは記憶に新しく、まさにその通りになってしまった。テレビに関する知識はあったのかもしれないが、モノづくりのことは全く知らなかったというのがポイントだった。

【日本の言語・習慣・文化に馴染めず・・・】
もうひとつの失敗した事例をあげると、日本板硝子では言語と企業の習慣、文化などの問題が生じたことにより立て続けに外国人経営者が辞任している。日本板硝子は2006年に売上規模が自社の2倍のイギリスガラス大手のピルキントンを買収・子会社し、当時「小が大を呑む」と騒がれたことは記憶に新しい。

その買収を機にこれからは国際化時代と舵を切り、ピルキントン出身のスチュアート・チェンバース氏が2008年6月に社長に就任した。チェンバース氏は「郷に入れば郷に従え」と日本的な経営を努めたが「仕事よりイギリスにいる子供たちとの時間を優先したい」という理由から1年余りでトップの座を放棄。「日本の古典的サラリーマンは会社第一で、家族は二の次だが、私にはそれはできなかった」と日本特有の企業風土に馴染めなかったことを明かし2009年9月末に退任した。

その後、米化学大手デュポンの副社長を務めた経歴が買われ、外部からネイラー氏を召聘した。しかしながら、経営戦略の違いによりわずか1年10ヵ月で交代。外国人経営者を招き始めた戦略は3年持たなかった。立て続けに失敗した傷は大きく、どういう人を招いたらいいかということを熟慮しないといけないことを思い知らしめた。

【稀有な成功事例も】
失敗事例の紹介が続いたが、成功している面白い事例も紹介したい。それは、東京都港区に本社を置く小西美術工藝社。この会社は国宝や重要文化財の修復を7~8割を手掛けている。創業は江戸時代寛永年間、法人を設立したのは1957年で300年以上の歴史を持つ老舗で、イギリス出身のアトキンソン氏が現在社長を務めている。アトキンソン氏の経歴はすごく、コンサルタント会社勤務を経て、証券会社を転々とした後にゴールドマン・サックスで共同経営者にまで登りつめた人物。

アトキンソン氏は1999年に茶道の裏千家に入門し、2006年に茶名「宗真(そうしん)」を拝受されるほど日本の伝統文化に親しんでいる。茶名は、茶道を極めないともらえない称号で、その上は師範という位。2007年、42歳の時ゴールドマン・サックスを「日本文化に触れたい」と突然退社し、その直後に日本の伝統文化の更なる精通を目指し京都に町屋を購入。心底、日本文化に惚れ込んだ方だ。その町屋で茶道に没頭する生活を送っていた。
そんな中、偶然、小西美術工藝社の先代社長が軽井沢に所有していた別荘の隣におり、その方から経営を見てほしいと頼まれた。その依頼を受け、2011年に小西美術工藝社の社長に就任した。

アトキンソン氏は経理も在庫管理も丼勘定で、職人の4割が非正規雇用という会社の内情を知り驚いた。当初は「国の体制のもとで続いている老舗なので、経営的な問題はないと思っていたが、経営は安定的なものではなかった」と後に語っている。そこから改革を進め、非正規雇用だった職人を全員正社員として給料を保証し、技術継承のために若い職人を増加させるとともに、さらなる設備投資を実施した。職人の仕事の質と生産性が高まった結果、5年間の利益平均がその前の5年間より80%以上も伸長することができた。このように成功した例が実際にあるのだ。

【昨日の続きは今日、今日の続きは明日】
日本は農耕民族であり、「昨日の続きは今日、今日の続きは明日」という民族性だ。外国人の民族性は狩猟民族が多く、大きなリストラや変革を実施するにはこういった民族性の人が必要だ。トランプ大統領はまさにその典型で、オバマ政権の実績をひっくり返し、まさにオセロゲームのように黒を白にしてしまっている。

その反面日本は、ジワジワと過ごす経営だが、今のような国際化時代においては思い切った戦略ができる経営者を置き、リストラを実施することも大事なのかもしれない。その際には、農耕民族と狩猟民族の両面を併せ持つ人を日本企業の外国人経営者に据えることが成功のカギとなるように思う。

日本ではいきなり外国人経営者がやって来て、リストラを断行されてもなかなかついていけない。かといって日本的な経営だけで過ごしていると、なかなか大幅な改善を図れず業績は向上しない場合が多い。よって、日本の文化や経営等を理解しながら外国流のナタをふるえる外国人経営者が求められると思う。しかしながら、なかなか両面兼ね備えた人がいないのが実情だ。

日本は経済力では世界3位だが、生産性は先進国の中で最下位に近い。日本はいまバブル時代の資産で食べており危機感が非常に薄いように感じる。国際化の時代となり、日本が変わるためには外国人の考えや思想、手法が必要になってきた。1970~90年のバブル時代には日本的経営がもてはやされ、日本はこれに自信を持ちすぎている側面もある。それはもはや昔の話で、今求められているのは国際化、多様性などの新しい血を入れていく時代への変革ではないだろうか。
今後、日本の文化を理解した上で、一刀両断できる外国人経営者が日本企業のトップに登場することを期待したい。

※ブログでは文中に登場したソニーのトランジスタラジオやウォークマン(先日ソニービル閉館に合わせ開催されたIt's a sony展にて展示)等の画像を掲載しております。ご興味をお持ちの方は、以下を参照ください。
http://nobuhiko-shima.hatenablog.com/entry/201704031 

◆お知らせ
・恒例のウズベキスタン協会のお花見を開催
 東京も桜が満開となりました。花の命は短くおそらく今週末には見頃を迎えますが、新宿御苑の八重桜の見頃は少し時期がずれ、2回お花見を楽しむ事が出来ます。これを逃すと来年まで待たなくてはなりません。

 私が会長を務める日本ウズベキスタン協会ではその時期に合わせ、毎年新宿御苑でお花見を開催しています。そのお花見には多くのウズベク人の美男美女やかわいい子供たちが大勢参加してくれます。よく官邸主催の桜をみる会と同日になるのですが、今年も同日の開催です。昨年は会員とその知人、友人、ウズベク人が約50人集まり楽しい会でした。一般の方もぜひお気軽にご参加ください。多くの方のご参加をお待ちしています。

参加費は1500円(会員及び留学生は1000円)でおいしいお弁当やビンゴ大会もあります。準備の都合、4月12日(水)までに下記を参照の上日本ウズベキスタン協会事務局までお申し込み下さい。

日  時:4月15日(土)集合時間10時30分 / 入園時刻11時 雨天中止
集合場所:新宿御苑 新宿門前広場 
参加費:1,500円(当協会会員及び留学生は1,000円)、中学生以下は無料 
詳細は以下を参照ください。
http://nobuhiko-shima.hatenablog.com/entry/201704032

・昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)
 ゲスト:明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志様 音源が番組サイトに掲載
 東京大在学中に司法試験に合格し、裁判官になった経緯や、官僚主義がはびこっていると云う裁判所の現状や、日本の司法は欧米先進国のレベルから外れ危うい状況であるなど、リベラルアーツが軽視されている日本の司法の問題点などについてお伺いいたしました。
 次週も引き続き瀬木様をゲストにお迎えし、順調にキャリアを積んできたのに、なぜ法曹界を辞め、その現状を批判するようになっていったのかなどにつきお伺いいたします。
 http://nobuhiko-shima.hatenablog.com/entry/20170403

・BS朝日「ザ・インタビュー」
 歌手の舟木一夫様へのインタビューが15日(土)18:00-18:54に放送予定
 http://www.bs-asahi.co.jp/interview/

・4月14日(金)から本メルマガとは別にまぐまぐ様の有料メルマガの配信を開始いたします。
 本メルマガは、従前どおり他の媒体等に掲載いただいたものを中心に配信を続けてまいります。新たに開設する有料メルマガにつきましては、そこでしか配信しないコラムを配信いたします。初月無料ですので、ぜひご登録いただけると幸いです。
 タイトル:ジャーナリスト嶌信彦「虫の目、鳥の目、歴史の目」
 開始日:4月14日(金)
 配信:毎月第二金曜日配信予定
 金額: 540円(税込)
 http://www.mag2.com/m/0001678876.html

 現在、まぐまぐ様の著名クリエーターの作品を見られる新コンテンツプラットフォームmine(マイン)への寄稿を開始しております。
 今後こちらも活用してまいりますのでご期待ください。
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「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」特設サイト
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嶌信彦公式ツイッター https://twitter.com/shima_nobuhiko

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石渡浩の不動産投資を本業に―保証人無しでも融資を受け自己資金にレバレッジをかけて家賃年1億円越えを―
大学院修了時に資本金990万円で作った投資不動産保有会社の石渡住宅サービスを9年後の2016年に上場企業フィンテックグローバル子会社ベターライフサポートホールディングス等に約5億円で売却(株式譲渡)して上場会社連結子会社にして石渡住宅サービス(現商号:ベターライフプロパティ)名誉会長に就任した石渡浩が,自己資金数千万円規模の一般投資家さんを主対象に,銀行融資を活用してアパート経営を成功させ不動産賃貸業を本業にするためのノウハウを伝授します. 主著:『たった4年! 学生大家から純資産6億円を築いた私の投資法- 借りて増やす技術-』ソフトバンククリエイティブ(2012)
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