ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」

サンプル誌


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嶌信彦オフィシャルサイト   http://nobuhiko-shima.com

2015年11月8日 vol.1(サンプル号)

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2020年目指す自動運転車時代
――便利でも車の旅は楽しくなるか――

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 2020年の東京オリンピックを目指して新しい商品を開発する動きが各社、各産業で行われている。そのうちの一つで注目されているのが“究極の安全車”“夢の自動車”ともいわれる自動運転車の開発だ。自動車各社が競って開発中でトヨタは、この10月にデモンストレーション走行を実施した。

 自動運転とはレーダーやカメラなどで取得した周囲の状況を判断し、ハンドルやブレーキ、アクセルなどを人の手を借りずに自動操作する車のことだ。トヨタだけでなくホンダなど各社も実験に乗り出している。

 トヨタが高速道路で実験した自動運転は、人間が運転席に座り、ハンドルなどから手を離し車自体の走行に任せるというものだ。
ホンダの実験では、高速道路に乗って自動運転に任せると、周囲の状況を複数のセンサー情報が総合的に判断し、高速の入口からスムーズに左右の車の動きを判断し高速に入っていく。
法定速度をベースに周辺車輌の情報を取り入れながら車線変更などやS字カーブのハンドル操作などをスムーズに行う。隣の車線に大型トレーラーがいても車間、車幅距離を安全にとりながらさまざまな要素を複合的に判断して速度やコースを選べるようにプログラミングしてあるのだ。
このため車の横揺れもないし、人間が全くハンドル、ブレーキ、アクセルなどに触れることなくナビゲーションによって目的地まで運んでくれることになる。その間、人間は運転を離れて本を読んだり、景色を眺めることもできる。まさに自動運転にまかせて自動車走行ができるというわけだ。
 

――軍事技術から発展――

 軍事技術では、すでに無人の戦車や無人の戦闘機が実践で使われ、人間の損傷をなくす工夫が行われている。中東のシリアとの戦争やイスラム国との戦闘には無人戦闘機などが使用されているという報道がなされている。戦争で戦死者が出ないように工夫された戦車や戦闘機で、無人自動車もこうした軍事技術から発生したものだろう。

 自動運転は、単に車が自動で走る、安全に走るだけでなく、地図の自動生成技術やGPSでとった現在地図と照合したり、カメラで白線を認識し車線内を自動走行するほか、赤外線で他車との距離を認識し、内蔵の人工知能がスピード調整したり車線変更、追い越し、などもできるという。

 トヨタの自動運転車は、前方に据え付けた目となるカメラや車体周囲に赤外線を発するレーザーレーダーなども配置し周囲の状況をリアルタイムで把握して、そのデータを人工知能が分析したうえで過去の走行データと照し合わせて合流、追い越し、車線変更、衝突回避、急ブレーキなどの是非を判断するシステムになっているという。


――日本の自動車各社が実験へ――

 日産自動車は、一般道での実験も行っている。自動運転モードに切り替わると道路標識、信号を認識、歩行者、自転車にも気をつけなければならなくなる。トンネル内に入るとGPSに代わって地図、走行の行き先を指示することもできる。さらに自動運転モードに切り替わるとゆくゆく、ハンドルはダッシュボードに収まり、ブレーキ、アクセルも収納され液晶画面をみながら運転するようになるともいう。


――電気メーカーも参入狙う――

 一方、電気メーカーも先端技術を活用して自動運転技術を開発している。横断歩道前で自然に停止、準天頂衛星を開発し数センチ単位で車庫入れや縦列駐車も自動でできるようになる。要するに人間が自動車運転する時に行っている「認知」「判断」「操作」の基本を全て車が自律的に行うのが自動運転の最終の姿になるらしい。現在の自動運転の段階は道路標識や準天頂衛星などの手助けで、免許で言えば「仮免」程度までの技術に進んでいるらしい。これを2020年までに何とか本免許に近いところまで持っていこうというのが各社の目標なのだ。

 今年の東京モーターショーには11カ国から160社が出品したが、注目はやはり自動運転だった。自動運転をレベル別に分けるとレベル1は、アクセル、ハンドル操作、ブレーキの一つをシステムが行うことですでにこれは実用化している。レベル2は、複数の操作が同時に可能というもので2016年以降になる。レベル3は全ての操作が自動化し、人は緊急時のみ(2020年代前半)。そしてレベル4になると完全自動運転、無人走行も行えるようになり、これが実現するのは2020年代後半になると見られている。
 

――自動運転には法体系、社会の変革も――

 しかし、自動運転は車の性能開発だけでなく地図情報や危険情報を発信するインフラ、電気通信、GPSなどが組み合わさった摺合せ技術が重要ということがわかってきた。また、自動車が走ることで道路状況や人の動き、天候情報などが全日本的規模でわかることになるから、自動運転は単に安全に走る技術ということだけでなく、車からさまざまなビッグデータが取り込めるわけで生活情報、社会情報がわかることになり、単なる自動車技術革命ではなく、生活、社会革命につながっていくことになりそうなのだ。
 

――自動運転は車好きにとって楽しいか?――

 ただ、現在の自動車に関する法律は「人が運転すること」を義務づけているので、無人走行になった時の自動車とは何なのかと事故の責任は誰がもつのか、システム会社なのか、所有者なのか、自動車会社なのか―――といった法社会学的な課題も出てくるとみる人も多い。2020年頃から無人自動車のあり方がさまざまな面から問われてこよう。

 しかし、自動車は人が運転するから面白いのであって無人走行になってしまうと便利かもしれないが、電車に乗っているようなもので、自動車を運転することに醍醐味を感じ、車好きになった世代には「安全で便利」かもしれないが、それは本来の自動車のエキサイティングな面白味とはまったく別物になってしまうかもしれない。

 なお、日本の自動運転技術は世界レベルの中で良い位置につけているという。

【TSR情報 2015年11月19日】

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