北村早樹子の「そんなに不幸が嫌かよ!」

北村早樹子の「そんなに不幸が嫌かよ!」第24号(終刊号)


カテゴリー: 2017年06月30日
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北村早樹子の「そんなに不幸が嫌かよ!」第24号(終刊号) 2017/6/30発行(月刊)
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「北村早樹子の『そんなに不幸が嫌かよ!』」は、歌手・北村早樹子が「エッセイ」などの文章と最新情報を皆様にお便りするメールマガジンです。月一回発行です。
※当メルマガはモバイル読み推奨です。

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○北村早樹子公式サイト http://kitamurasakiko.net/

○毎週月曜日に更新中! 北村早樹子の日記「枕の下の秘密」

5月29日~6月4日
http://d.hatena.ne.jp/warabisco/20170605

6月5日~11日 
http://d.hatena.ne.jp/warabisco/20170612

6月13日~18日 
http://d.hatena.ne.jp/warabisco/20170618

6月19日~25日 
http://d.hatena.ne.jp/warabisco/20170626

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◎今月の北村早樹子ニュース

【西山真来さんとトーク】
7月14日(金)ポレポレ東中野で上映される堀禎一監督の映画『夏の娘たち~ひめゴト~』の21時からの上映後、主演の西山真来さんとトーク登壇します。
https://www.mmjp.or.jp/pole2/

【Instagram はじめました】
アカウント「warabisco15」です。 https://www.instagram.com/warabisco15/

【「特選小説」での連載】
ほんのりアダルトな連載「北村早樹子のマイクを握って」が掲載の官能小説誌「特選小説」7月号(綜合図書)発売中です。今号は「ストリップ観劇の巻 前編」。イラストは「母親教室」のパートナーでもある飯田華子さん。毎月21日発売です。全国の書店、もしくはネット通販にてお買い求めください。

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【北村早樹子と飯田華子による共著『裸の村』発売中!】

◎飯田華子×北村早樹子著『裸の村』【CD+本】 ¥2300+税 円盤/リクロ舎
 DEEPな紙芝居と、紙芝居に留まらない圧巻のパフォーマンスで知られる飯田華子と、近年数々のメディア露出で一躍その名を知られるようになった、じわりと心の闇にふれてくるピアノ弾き語りから、一転ぶち抜けたポップ・ナンバーまで、何が出てくるか判らない才女・北村早樹子の共作本を製作しました!小説です。
 両者とも近年文章も手掛けていたからこその特別企画。ひとつの物語を異なる登場人物の側から描き、そのラストで両者の心情が交錯します。そのラストシーンは、物語だけではなく、なんと物体としても交錯。二冊の本の最終章は、その頁ごと、文字が渦を巻いて重なり合い、二冊だった本が一冊になるという超特殊装丁。絵はもちろん飯田華子。北村早樹子作詞・作曲・歌の主題歌シングルCD付き!(円盤)

◆取り扱い店舗
高円寺円盤/中野・タコシェ/目白・ブックギャラリーポポタム/千駄木・古書ほうろう/大阪・アオツキ書房/長野・正午の庭
※青山ブックセンター本店、タワーレコード新宿店でも販売開始です。

◆通販 http://enban.cart.fc2.com/ca0/3957/p-r-s/

◆購入方法いろいろあるのですが、できればライブ会場などで本人から直接購入いただけますと一番喜びますのでよろしくお願い申し上げます。

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■■自分インタビュー・ファイナル
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北村早樹子読み物メルマガ『そんなに不幸が嫌かよ!』、突然ですが今月号を持って一旦終了ということなんですけど、今のお気持ちは如何ですか?

「二十四回目ということで、たぶん2年続けたことになるので、ちょうどキリがいい潮時かなあと思って辞めることにしました。毎月楽しみしていた人なんて、どれくらいいらっしゃるかわかりませんが、今までお読みいただいてありがとうございました。そして突然終わってしまってすみません」

あれっすか、もう執筆依頼が殺到でノーギャラのメルマガなんてやってる場合やなくなったから、とかですかね?

「いえいえ、全くそんなことはないです。執筆依頼は全然来ませんが、このメルマガも、こうやって文章を書いてますってことアピールしていたら、そこからお仕事が来るかもしれないから、やってみない? とアドバイスいただいてはじめたのですが、2年頑張りましたが別にこのメルマガから派生したと思われるお仕事はなく、心が折れてきたのでおしまいにすることにしました。
でも、『早樹子のよりぬきエッセイ』という形で気に入ってるものを何本か、公式サイトに載せたので、それを読んでいただいたら、こういう文を書く人なんやっていうのは十分わかると思われます。ぜひそちらも読んでみてください、まあ、過去にメルマガで書いたものの転載なのですが。http://kitamurasakiko.net/yorinukiessay.html
ぶっちゃけね、結構ね、毎月自分でゼロからネタを考えて結構な量の文章を書くっていうのはわりと身を削られる思いで(書くたびにネタは減っていく一方やから)きつかったんですよ!」

へー。1円にもならないしね。

「いや、まあそれもありますけど。1円にもならないのに自分は一応すり減っていく、全くわたしったら何してるんやろな? みたいな気になってきて、まあわざわざそんなリスキーなテーマで書かなければいいんでしょうけど、だからってお茶を濁すようなエッセイ読みたいか? と思うと誰が読みたいねんて思っちゃうし」

確かに。それはつまんなそうですね。

「でしょ。つまんないゆるーいエッセイは、そういう分野のプロにお任せして、わたしはやっぱり、本業の歌もそうですけど、常にまじでガチな女なんでね! 文章もまじでないと意味がないじゃないですか!」

ええ。

「しかしそうそうまじなネタも湯水の如く湧いて出るわけじゃないんですよ! これからはちゃんと執筆依頼をいただいたときに、満を持してごっついネタをまじで書きたいと思って、そのために溜める期間が欲しくなって、それでメルマガはおしまいにしました。
*だからお仕事という形では、執筆依頼、常に喉から手が出るほどお待ちしておりますのでよろしくお願いしますね☆」

あ、書けるネタはあるんですね。

「はい、もちろん、あるにはありますよ! ちょっと出し惜しんでやろうかと思ってね。へへっ」

なんか感じ悪いですよ。

「そうですよ、わたしは感じも悪いし口も悪い、ハラワタも真っ黒の人間ですよ」

わかってますよ。

「でも、この2年間、毎月まとまった文章を書くというのはすんごく勉強になって、当初はエッセイとコラムの違いも、編集担当向井さんに教えていただいてはじめて知ったくらいやったし、毎月ちゃんと締め切りを守って一定量の文章を書く、というのはかなり練習にもなりました」

最初の方のエッセイに比べると、最近のは読みやすくなったし、文章もだんだん上手になってきたんじゃないですかね。

「ありがとうございます。なんか飽くまで上から目線なんがちょっと気にかかりますけど! でも確かに、鍛えられた感はあると思います。やっぱりこういうのは日々の鍛錬がないと、うまくなりませんからね」

でもなんか、最初は連載で小説を書きかけては、中途半端なまま止まってるのとかもありますけど。

「あ~それはすいません。ありましたね、ちょっとエロい小説。でもあんなん続き待ってる人も糞もないと思いますし笑」

近親相姦? までは行かないけど、叔父さんと姪っ子のタブーなやつでしたね。男が積極的なのじゃなく、姪っ子の方がぐいぐい行く感じがちょっと面白かったですけどね。

「あら、珍しく褒めてくれますか。確かにそうでしたね。でも、わたし、これは結構いつも気を付けてるというか、小説の中で濡れ場を書くときは常に思ってるんですが、なるべく、男性が加害者っぽくならないようにしたいと思っていて。これはこないだ出た飯田華子さんと共著の『裸の村』の中でも気を付けながら書いてたんですけど、一般的に、おっさんと少女という組み合わせやったりすると、どうしても、おっさんが犯した、みたいな、おっさんが悪者ぽくなっちゃうじゃないですか。
それが嫌で、なるべくおっさん側がキュートな人物に見えてくるように書こうと努めてるフシはあります。これはわたし自身がおっさんが好きなので、なるべく加害者にしたくないという個人的趣味が投影されてるだけなのですが、『裸の村』なんて思いっきり、処女喪失が村ぐるみの強姦というか、しかももしかしたら輪姦やったかもしれないような、えげつないシーンがありましたけど、でも終始おっさんはやることやっときながらも、間抜けで可愛らしい感じが伝わるよう、悪者には見えないように書いたつもりでした。
なんか、女子が被害者ぶる感じの世の中が好きじゃないんですよね、基本的にわたし。レイプとかも、よくゲーノー人のスキャンダルで発覚して、ついこないだも小出なんとかさんがあったやないですか? でもあんなん、絶対和姦でしょ! みたいな」

ありましたね~。あれはかなり女が地雷ぽかったですけどね。ハニートラップちゅうんですかね。

「怖い世の中ですよね~。ちゃんと和姦なのに、被害者ぶる女が本当に嫌いなんですよね、わたし! あの事件、絶対女側から抱いてモード出してたと思うんですよ」

はあ。

「ていうか、世の中の痴漢も含め、女側にもなにかしら非があるから、そんなことになると思うんですよ。絶対、触って欲しそうな恰好をしてたり、そういう浮足立った空気を醸し出してるから、痴漢に遭うんやと思うんです。わたし、一度、プロのナンパ師を名乗る男性と喋ったことがあるんですけど(注:ナンパされたわけではない)その方はすごい心理学とかも勉強してて、心理分析とかも緻密に出来ちゃうキレモノ感あるかっこいいお兄さんやったんですけどね、もう、足音聞いただけでわかるってゆってましたよ。
ナンパしてほしそうな人の足音と、そうでない人の足音って、違うらしいんですよ。そんなナンパのプロに、「北村さんはいちばん声かけたくないタイプです」とお墨付きをいただきました! 確かに、ナンパされないことにかけては自信あります!」

は、そうでしたか。。。

「ナンパしてください~なんならお触りもどうぞ☆ みたいなね、そういうのを女側が発してるんですよたぶん。それやのに、男子はそれにちょっと乗っかっただけで、下手したら人生詰んだりするんでしょ。しかも冤罪やったりなんかしたらほんまに最悪やないですか!」

確かに、しかしなんで北村さんはそんな、痴漢側の肩をもつんですかね? 変ですよ。

「まあ、自分が全く痴漢に遭うタイプの女じゃないから、僻みもちょっとあるんじゃないですかね」

ほんとはナンパされたいんですか!? レイプされたいんですか!?

「は? そういうことはゆうてないじゃないですか!」

そうゆえば、あの中途半端な連載小説でも、少女が勝手にぐいぐい行ってましたね。

「いってましたね~こたつの中でね」

あれは実体験ではないんですね。

「違いますよ! あんな性に探求心のある子どもでは全くなかったです。小説は一応あくまで小説ですので!」

失礼しました。えーと、北村さんはこれからも文章を書いていきたい?

「はい、もちろんです! このメルマガという形は一旦おわるだけです。自分で勝手に好きなようになんでも書いていいですよ、というある種自由といえば自由やけど実質こっち任せでテキトーな感じのオッファー(そしてそれはたいていノーギャラ)はときたまあるんですけど、それだけでは限界にきてしまったので。なんてゆうか、やり手で気の合う編集者さんと出会いたいですね! 気の利いた提案をくださったり一緒に作ってると実感させてくれるような、打てば響きあえる編集者さんと出会いたい!」

お気持ちはわかりました。この400人ぽっちの読者さんの中に、そんな編集者さんがいらっしゃることを祈って、おしまいにしましょう。最後に何か一言。

「あ、毎日書いてるはてなダイアリーの日記は続くので、今後もそちらは読んでください。それから終わると言っても突然臨時号を出すこともあるので、よければ登録はそのままにお願いします☆ 今まで2年間、お付き合いいただきありがとうございました!」


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■■読書感想文ファイナル~憧れの只のヒト~
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『霧笛』蓬転生(自費出版)

 わたしの『裸の村』を制作してくれている円盤/リクロ舎の田口さんから、「やばい本入荷!」というメールが来て、早速即買いした本。戦後すぐから山谷や寿町などのドヤに暮らし、日雇い人夫として生きてきて、60歳すぎてから突然東大受験して合格。しばらく東大生として過ごし、卒業後、生活保護をもらうために貯金を使い切ろうと思い、「そうだ小説を書いて自費出版して配って回ろう!」という謎の斬新なアイデアで行動を起こし執筆。
現在85歳、今も寿町のドヤに暮らすおじいさんが自費出版して友人知人に配ってた本。恐らく日本中で高円寺円盤でしか売ってないし、それももう売り切れたかもしれない。まあ生き様はおもろいけど、所詮素人じいさんが書いた本でしょ、と斜めから読んだら痛い目を見る。かなり突き抜けて狂った、素晴らしい本でした。
 自分は戦争監視人だ、と名乗る男の私信からはじまる第一部。フエの国という架空の国の神話ちっくに書かれていくのでちょっとSFのようやけど、たぶんドヤに暮らして日雇い人夫として何十年も生きていたら、同じ日本でもこの我らが今生きてる社会自体がちょっと異国のようなそんな風に見えてるんやろうなあって感じで、かなり生活と地続きで書かれてて、ハッとすることの畳みかけ。
「自分で作るより、人から奪った方が楽じゃいうのと、自分で作るのは限界があるが、人から奪うのは限界がないと思える、いうことがすべての争い、すべての進歩の原因だ」
 なるほど、確かに、いえてる!!! 
 ほんでこの国は、通常4、5歳になるとコドモ衆に入れる。コドモ衆は十人単位で集団生活をし、少し大きくなると若衆になり、リーダー格の人材は若衆頭になり、組頭になり、この仕事はいちばんきついらしい。けどなんとなくこのシステムはヤクザの組のシステムに似ていませんか? そんなヤクザの国の神話のようで、でもどこにでもありそうな社会のシステムとそう変わらない気もしてくる。
そしてそれを戦争監視人として監視している設定の主人公。わたしはなんか勝手に家畜人ヤプーを彷彿した。家畜人ヤプーからエロを抜いたような世界。
 第二部はマトモな国に生まれ育った学生が、旅先で出会った頽廃に蝕まれたおじいさんとの会話が主なのやけど、この掛け合いがものすごい至言・格言に溢れている。
「私の国はすべてが単純でした。働いて食って寝て縁があれば愛し合って子供を生んで、神々に祈って助け合って、いつかまたこの国に人として生まれてくると信じて死んでいく」
と学生が言えば、
「今日は浮浪者であっても、明日は大富豪になっている。こういう事が現実にあってもなくても、少なくともこういうドラマを夢見ていられる世界。君の国のようなマトモな世界にはこういうドラマは起こらないし、そういう夢も持てない」
とおじいさん。しかし飽くまで前向きで純真無垢なマトモな学生は、
「努力をやめ、居直ってしまった時、人は頽廃し始めるんです。マトモな人間にドラマは必要ない。幼児が歩く練習をする時のように、毎日の平凡な生活そのものが、緊張と喜び、悲しみの連続なんです」
と挑む。
「平和はいけないんですか?」
と学生が問う。
「平和はいい。しかし平和ばかりだと人間活力がなくなる。スポーツを盛んにすれば良いと云う者もいるが、スポーツは所詮ルールの決まった見世物でしかない。戦争にはルールがなくて、卑劣、裏切り、人間の悪い処ばかり出るが、時には犠牲、友情といった良い処も出る。俺は人間各自のプライドとは何かいつも考えているが、戦争というのは、自分のプライドが顕在化する場所だと思う」
 ある街の酒場でおじいさんはとある女に出会った。女はその酒場の所有者で、客に対して侮蔑的な言葉を浴びせるのが得意で、浴びせられた当人はともかく周りは喝采していた。そして当時はまだ若かったおじいさんに向かって女は「あなたインポでしょう」と云った。おじいさんはそれまで女性特有の優しさを受けたいという心理的欲求はあったが、強い肉体的欲求、性衝動を感じたことはなかった。しかしその時は、遠ざかっていく女の肉体に対してその肉体に接触したいという強力な欲求を感じた。
おじいさんはこのままでは自分は重大な過失を犯すだろうとさえ感じた。
 おじいさんは仕事をやめ、女に雇ってくれと云った。女はちょうど男がいなくなったから良いと云った。一人は男を作っていないと言い寄る男が多くて面倒だそうで、おじいさんはその女と暮らすようになったが2年で追い出された。
「船乗りになるとか、何かマトモな仕事についた方がいい。マトモに働き、金を貯めて国へ帰った方がいい」
 その日以来、おじいさんは女に会っていない。おじいさんはついぞマトモな仕事にはつかなかった。そして頽廃の憂愁を知った。

 きっと手に入れることがむつかしくて読める人が少ないと思ったので、引用もしながら書いたけれどざっと起こせばこんなおはなしで、最終的には男女のロマンスかいな! となるのやけど、80超えた普通のおじいさんがたぶんはじめて書いた小説で、わたしはすごくすごーく感動した。
しかもおじいさんはこんな、会ったこともないわたしのような人間の手に渡るなんて思って書いてないし、そもそも本を売ってお金に変えようなんて思ってもいない(寧ろ、生活保護をもらうために貯金を無くす目的で自費出版した)ところが本当に美しいなあと思った。
 わたしは、出来るものなら文章を書いたり、歌を歌うだけでお金が貰えて生活できたらいいなあと、これでも思っている。このメルマガが終わることだって、お金にならないことが原因のひとつなくらいで、身も心も貧しい人間である。円盤の田口さんと話していて、何がすごいって、このおじいさんは只のヒトであり続けたことですね、という結論に至った。小説を書いたけれど、小説家になろうなんてしなかった。
肉体労働をしてドヤに暮らして、身体が動かなくなったから生活保護を受けたいと思った。その行程として小説を書いてみただけなんやろう。そこに、小説家という甘美な響きへの憧れや、サクセスして良い暮らしをしてやろうというような欲もなにもない。そこが死ぬほどかっこいい。
 案外、只のヒトでありつづけることはむずかしい。わたしは自分の職業としてしっくりくるものが本当になくって、聞かれるといつも困る。自分の意志でやりはじめたことは歌をつくって歌うことだけやけど、シンガーソングライターって横文字がださくて名乗りたくないし、第一それだけで暮らせてもいないのに名乗っていいのか? と思うし、文章書いてみない? とか、劇に出てみない? とかって声かけてもらってはじめたことで、それでお金をもらえることもあるけれど、
どれも全部合わせても、毎月家賃を払って光熱費を払って医療費を払ったら食い扶持なんてないので、喫茶店でアルバイトもしている、なのに、確定申告の職業の欄には音楽家・文筆家、と恥ずかしながら書いてしまっている。横文字で書くならば、アーティスト、となるのかもしれない。なんと恥ずかしい。食えてもないのにアーティスト。自称アーティストほど信用できないものはない。わたしは自称アーティストの90%は糞やと思っていて自分がそこに含まれてしまうことが怖いから、アーティストという言葉から逃げている。
 だったら只のヒトになれるのかと言うと、そうも言えない。只のヒトが出来ることがわたしは意外と出来ない。結婚にも早々に失敗したし、まだ32歳だけどもう32歳、難病持ちで濡れない体質にまでなってしまったので、子どももたぶん作れない。それに第一、最愛の人とおなじ分量で愛し合えた試しがない。こっちが多いとあっちは少ない、あっちが多いとこっちは少ない。いや、他人の気持ちなんかわからないから、それも本当はわからない。
何よりまず、ヒトのことを信じていない。だから只のヒトに入れてもらうのも忍びない。
 このおじいさんは生涯只のヒトで通していたけれど、きっと山谷や寿にいくとみんなが知ってるくらいよく慕われているおもしろいヒトやったんやろうと思う。文章を読めばおもしろいヒトやってわかるし、それなりに人望や交友関係がないと、本を自費出版までこぎつけられないやろうし、自費出版したところでばら撒く相手がいないと、こんな縁も所縁もないわたしの手元にまで辿りつかないやろう。蓬転生さんは最高にかっこいい只のヒトやったはず。
 まだご存命と噂では聞いていますが、もしお亡くなりになってもわたしはたぶん知り得ないでしょう。
 だって、只のヒトやから。
 只のヒトが死んでもニュースにはならないし、新聞にも載らない。

 只のヒトであり続け蓬転生さんに絶大なるリスペクトを掲げながら、このメールマガジンは最終回です。何度も繰り返すといやらしくて恥ずかしいだけですが、わたしは只のヒトになれなかったので、文章をお金に換えなければ生きていけません。どうかお仕事、お待ちしております→warabisco15@yahoo.co.jp


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■■北村早樹子ライブ情報
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〇6月30日(金)
場所:入谷なってるハウス http://www.maroon.dti.ne.jp/knuttelhouse/frame.html
時間:19時半開場20時開演 料金:チャージ2000円
出演:鶯色、北村早樹子


〇7月1日(土)『ひそひ草 vol.1』場所:大久保ひかりのうま http://hikarinouma.blogspot.jp/ 
時間:19時開場19時半開演 チャージ:2000円+1ドリンク
出演:大河内大祐、ペガサス、北村早樹子


○7月7日(金)秋葉原GOODMAN
「たなぼた」1800+1d、織姫割1300+1d/19時スタート!
出演:madrone avenue/IKAZUGOKE/踊り【コーラ+レンカ+めみハーロ】/リツコとヨシコとソースケ山/松本花バンド


○7月14日(金)ポレポレ東中野で上映される堀禎一監督の映画『夏の娘たち~ひめゴト~』の21時からの上映後、主演の西山真来さんとトーク。
https://www.mmjp.or.jp/pole2/


〇7月19日(水)『早樹子、高円寺気分』
場所:高円寺円盤 時間:19時半開場20時開演 チャージ:1500円(1ドリンク付)
☆月例円盤ワンマンショーです。


〇8月6日(日)『北村早樹子トイピアノワンマン』場所:下北沢lete
時間など詳細は後日


〇8月16日(水)『早樹子、高円寺気分』
時間:19時半開場20時開演 チャージ:1500円(1ドリンク付)
☆月例円盤ワンマンショーです。


〇8月25日(金)『飯田華子と北村早樹子の母親教室・最終回』

場所:阿佐ヶ谷よるのひるね 
☆2年にわたってお届けしてまいりました母親教室ですが、この度最終回と銘打ってケジメをつけます! 前回はわたしがなぜ母親になりたくない人間に育ってしまったを飯田さんに尋問される会でしたが、今回は飯田さんがなぜこんな風になったのか、わたしが掘り下げ問い詰めます。最終回ならではの面白い回になる思います!

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■■北村早樹子への連絡■■

◎メルマガ、ライブ、アルバム、日記などの感想をお聞かせくださいませ。
※返信はできませんが、必ず読ませていただきます。匿名可。
こちらへお願いいたします⇒  k-gensei@nifty.com

◎北村早樹子への仕事依頼
ライブの出演依頼はこちら⇒ kitamurasakiko.info@gmail.com
それ以外の依頼はこちら⇒ warabisco15@yahoo.co.jp


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■■北村早樹子の「そんなに不幸が嫌かよ!」 第24号(終刊号)

発行日:2017年6月30日
編集・発行:向井透史(古書現世)
https://twitter.com/wamezo

北村早樹子公式サイト http://kitamurasakiko.net/
北村早樹子ツイッター https://twitter.com/warabisco
ブログ「枕の下の秘密」 http://d.hatena.ne.jp/warabisco/
メルマガに関するお問い合わせ :k-gensei@nifty.com
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