一万字メルマガ

ブラジルの熱き戦いを忘れない!W杯特集!


カテゴリー: 2014年07月21日
■╋■━━━━━━━━━━━━━━━━
╋■┛ 一万字メルマガ 第7号
■┛━━━━━━━━━━━━━━━━━
             2014.07.21
◆……………………………………………◆
「ブラジルの熱き戦いを忘れない!W杯特集!」

目次 
 1.はじめに 市村
 2.W杯特集 コラム「W杯とその代償」市村
 3.W杯特集 コラム「負けられない戦い」ハヤト
 4.W杯特集 小説「ワールド」てって
 5.W杯特集 コラム「サッカーと魅力」 まなき
 6.小説「誠心誠意のセイス」ミシェル・アルベイン
 7.小説「雨雲の神様」 てって
◆……………………………………………◆

+++++++++++++++++++++++

■1.はじめに 市村

 こんにちわす。W杯が開催されましたね。6月から7月にかけて1ヶ月間の熱き戦い。日本の裏側、ブラジルで開催されたことで、放送時間はほぼ深夜。サッカー好きな人にとっては寝不足に悩まされる1ヶ月だったのではないでしょうか。そんな僕たちも執筆陣の4人中3人が学生時代、元サッカー部ということで、今回はW杯特集ということにしてみました。
 元サッカー部がW杯についてのメルマガを書くということで、サッカーに興味が無い人にとっては面白くない内容になるんじゃないか? という心配を少ししていましたが、そこはさすが一万字メルマガの執筆陣。W杯特集なのに、サッカーの話はほぼゼロ! サッカー観てたらお腹痛くなった話とか、録画した試合の結果を言われないようにする話とか、そういうのばっかり。これならサッカーに興味が無くても楽しめる内容になっていると思います。
 それではW杯特集の一万字メルマガ、どうぞ〜!
 
+++++++++++++++++++++++

■2.W杯特集 コラム「W杯とその代償」市村

 2014年ブラジルW杯真っ只中である。この記事を書いている時点ではグループリーグが全試合終了し、決勝トーナメント進出国がすべて出揃ったところだ。我が日本代表は残念ながらグループリーグ敗退が決まってしまったのだが、やはりW杯は世界最高のサッカーの祭典。ここから始まる決勝トーナメントでは更に面白い試合がたくさん繰り広げられることを思えば、楽しみはまだまだ続きそうだ。

 一応僕は自他ともにサッカーが好きだという人間である。大会が始まる前は「ついに始まるのか!」と思ってワクワクしていて、同時に「ここから睡眠不足の日々が1ヶ月近く続くのか」と思ってドキドキしていた。

そしてグループリーグが終わった今、どれくらい試合を観ているかと聞かれたら、実はそれほど観られていない。グループリーグでは基本的に、日本時間の深夜1時、4時、7時に試合があることが多かった。twitter等を覗いて見ると、「ここはブラジルの試合が観たいから眠れないなあ」とか「スペインの試合を観るために今日はもう寝る!」というつぶやきもあった。

そんな中で僕はといえば、ここ最近は12時に寝て8時に起きている。時間を見れば分かる通り、もちろん試合は観ていない。「ああ、なるほど。録画しておいて後で観る作戦ですか。でもそれは情報を遮断するのが大変ですよね」と思った方。いや、ぜんぜん結果言っちゃっていいですよ。なぜなら録画もしてないから。

もちろん日本戦は全試合観たし、個人的に応援していたイタリアの試合も全試合観た。というか、気持ち的にはもっともっと試合を観たかった。でも、それはできなかった。それはなぜか。その理由を説明するには、人体の構造から説明せねばならない。しかしちゃんと説明するとそれだけで一万文字になってしまうので、一言で言う。「寝不足は辛い」。

今大会の初戦は開催国ブラジルと欧州のクロアチアの一戦だった。大会のスタートを飾るこの試合は、確か日本時間の朝5時にキックオフだったと思う。その日は平日だったのだが、僕の考えでは、5時から7時まで試合を観戦し、1時間ほど眠って会社に行けば十分だと考えていた。しかし、それが甘かった。睡眠不足は僕の生活リズムを大きく狂わせ、その負荷の全てはぼくのお腹に集中した。

その日は午前中、何度トイレに行ったかわからない。トイレに行きに会社に行ったんじゃないかというくらい、ぼくの午前中は小さな個室の中で流れていった。本田圭佑は言っていた。「自分たちのリズムでサッカーができなかった」。やはり今まで自分たちが積み上げてきたもの、それを忘れずに戦っていくことが大切なのだろう。その意味がとてもよくわかった。僕もこの日にインタビューをされていたら、こう答えていたと思う。「自分の生活リズムでサッカー観戦ができなかった」と。

そんなこんなで、グループリーグで行われた50試合弱のうち、僕が観ることができたのは10試合もいかないと思う。中には観ておきたい試合もあったし、面白いだろうなと予想される試合もあった。しかし僕はそれらを観なかった。その理由は一つだ。寝不足は辛い。

これから先に待っている決勝トーナメントでは、どんな戦いが繰り広げられるのか。今からワクワクが止まらない。しかし、一方で僕は恐怖している。睡眠不足は、僕の体をどうしてしまうのかと。日本にとって立ちはだかった国には、強烈なポテンシャルを持つ選手がたくさんいた。
コートジボワールにはヤヤ・トゥーレやドログバが。ギリシャは長身の選手が何人もいたし、コロンビアのハメス・ロドリゲスも凄くテクニックのある選手だった。でもぼくにとっては、そんな選手たちより強敵だったのは、自分のお腹だったのだ。ああ、この1ヶ月だけでいい。お腹を取り外したい。


 



●市村 @ichimura_LHF
一万字メルマガ編集長。
記事としてはコラム・小説・ネタ企画等、
一番幅広いジャンルで執筆。
ブログ「市村の感想」
http://ichimura11.seesaa.net/
ラジオ「LHFポッド"TAKEOUT"」
http://left-hand-flemings.seesaa.net/

+++++++++++++++++++++++

■3.W杯特集 コラム「負けられない戦い」ハヤト

64試合。終わってみれば短く感じたW杯。
日本がグループリーグで敗退して自分の中で熱が冷めてしまい、決勝トーナメントは正直そこまで入り込めなかった。もちろん面白い試合はあったが、グループリーグの時の方が、録画して毎日1試合は必ず観て、休みには3試合観るなどという熱意があった。
なんだかんだで日本人なのだなと実感しつつ、今回のW杯で最も頭を悩ませたのが日本戦の日程であった。

日本の1戦目は日曜の朝10時と最高の時間帯。3戦目は朝5時からなので早起きすれば問題ないが、2戦目はそんな生易しいものではなかった。
1戦目の結果がでてグループリーグ突破に向けて重要度が非常に高まった2戦目。何としても生で観たいところだが、試合開始は朝の7時。7時は出勤する時間だ。これは困った。
1番良いのは仕事を休むこと。最も確実な方法だが、試合観戦の為に有給は使いたくない。サッカーは結構好きだが、有給はもっと他の事に有意義に使いたい。好きな人から見れば何なんだお前はと言われそうだが、しょうがないのだ。有給をどう使おうと私の勝手なのだ。

そして、私は数少ない作戦の中から、録画をして情報を入れずに家に帰ったら観るという、情報が錯綜する現代において無謀とも言える作戦をとった。何故なら、私は結果を知ってからサッカーを観たくないのだ。展開が分かってしまうのは実に面白くない。
ただ、過去にこの作戦を選択して、結果を言われてしまったが先輩であった為強く言えないという屈辱的な敗戦を経験しており、嫌な思いが頭を横切った。しかし、負けたまま終わる訳にはいかない。そう、これはリベンジマッチだ!

そして迎えた日本の2戦目の朝。少しでも情報を入れたら終わる。まず、朝はTVを観ない。そしてTwitterなどもやらない。家族には絶対結果を言わないでくれと試合前の記者会見を開いた。帰ってきてTVをつけた瞬間に情報が入るのを防ぐため、母にはチャンネルをNHKの教育テレビにするようコーチングした。
そして会社では、所属する部署での朝礼で、真顔で「録画して家で観るので、私の近くで日本戦の話をしないで下さい」と前線からのプレスを決断。同僚は爆笑。笑われようが関係ない!確固たる決意をもって、試合に入った。
そんなに観たいなら会社を休めばいいのに!というブーイングもなんのその、序盤の前線からのプレスが上手く効いた。同僚は結果を言いたくて仕方が無い様子だったがぐっとこらえてくれた。
問題は昼食時に利用する食堂だ。人の密集率とお昼という時間帯が手伝ってまさに会社のバイタルエリアといったところか。周囲から「絶対耳に入ってくる」と言われたが、お昼を食べないわけにはいかない。耳を塞いで料理を受け取るというシンプルかつ大胆なプレーを選択し、またも同僚の笑いを誘う。ここまでくると自分がアホに思えてきたが、仕方が無い。勝つ為には泥臭いプレーが必要だ。
そして私の熱意は、先輩に話題の届きにくい席を取ってもらうという好プレーを生み出した。絶妙なポジショニングのおかげで、最大のピンチを凌いだのである。

試合結果はいまいちだったが、私は試合に勝ったと言えるだろう。いや、私1人だけの力じゃない、同僚という名のチームメイトがいなければおそらく負けていただろう。サッカーは、私に大切な事を教えてくれたのだ。ありがとう、W杯。


●ハヤト @haccyo18
主にお菓子や文房具のコラムを担当。
その独自のこだわりと卓越した妄想力が魅力。
ブログ「ハッチョの聖域」
http://haccyo18.seesaa.net/

+++++++++++++++++++++++

■4.W杯特集 小説「ワールド」てって

 日本中がワールドカップに熱狂している。

 そう書かれた文字をみて、そうかワールドカップが始まったのかと思う。梅雨に差し掛かり、湿った空気が肌にぺたりと寄り添う。僕は、この空気が好きだ。落ち込んでいる人の傍にいるような心苦しさ。暗い気持ちが充満した部屋にいるような重さ。そういうなにかが、僕を落ち着かせてくれる。きっと、明るくしなくていい、そっとしておいてほしい、なにもしなくていい、そういう拒絶的な空気が、変に自分を作り替えることをしなくてすむから楽に感じるのだろう。

 私、新入社員なんです。

 そう言い、照れながら微笑む新聞勧誘業者を思い出す。あれにはしてやられた。おじさんが来ようものなら一刀両断で断る僕が、蝶のように舞い蜂のように刺され新聞を三ヶ月契約してしまった。恐ろしい勧誘効果だ。新聞会社にアドバイスしよう。新聞勧誘は、全て笑顔振りまく女の子に任せるべきだ。あぁ、恐ろしい。勧誘業者に対し格好つけてもなんの得にもならないというのに、あの日あの時の僕はどうかしてしまったのだ。あぁ、恐ろしい。

 私の笑顔じゃもの足りないのか。

 後悔先に立たずというけれど、後から悔やむと書く時点でそうであることは明白だろう。だからさ、この言葉は腹痛が痛いとか新しい乳製品とかと同じ過ちを犯しているんだよ。どうだ、という表情をこちらに向ける彼女。一月ほど前から付き合い始めた彼女に新聞勧誘の話をしたら、やや不機嫌になってしまったので僕はおろおろしていたのだが、ようやく機嫌が直ってきたようである。彼女は日本語が好きで、いまみたいに、僕が使う言葉に自分の考えを投げかけてくる。それを僕はとても気に入っていた。

 なんの野菜を食べたらいいのかわからない。

 つい先日一人暮らしを始めた友人がつぶやく。彼曰く、野菜を食べた方がいいことは解るのだが、どの野菜を食べたらいいのかが解らないらしい。野菜と一口に言っても、星の数ほど野菜がある。生きるために必要な栄養はどれとどれとどれを摂取すればいいのだろうか。解らないからとりあえずピーマンを食べ続けている。その理由を聞くと「一番嫌われているから」という。

 ワールドカップは世界中で熱狂しているのだろうか?

 日本の熱狂具合は、まったくサッカーに興味がないと言っていたそこらへんのおじいちゃん同士の会話に聞き耳を立てていたらその人の口からドログバが飛び出してきたので理解できた。しかし日本ほどたの国々は熱狂しているのだろうか。熱狂していない国は無いのだろうか。してようがしてまいが関係ないのだが、やや気になる。ワールドカップ、そのワールドに含まれていない国、いや、そうではなく、そのワールドに自らはいっていこうとしない国は無いのだろうか。僕は自分のことを見ながら、そう思った。


 

●てって @tete_LHF
一万字メルマガでは主に小説を担当。
一筆書きのように一行目から最後まで一気に書き上げる。
ラジオ「LHFポッド"TAKEOUT"」
http://left-hand-flemings.seesaa.net/



+++++++++++++++++++++++

■5.W杯特集 コラム「サッカーと魅力」 まなき

 ワールドカップが始まり、そして終わった。105m×68mのコートで行われるフットボールに多くの人が熱狂した。自分の所属している国の試合には多くの人がテレビに夢中になったことだろう。
 私も日本戦は必ず見ていたし、また日本のグループリーグ敗退が決まったときには脱力感に襲われた(いつもはサッカーなど見ない私がだ)
 それからいくつかの試合を見ていく中で、なぜサッカーがここまで人を熱くさせるのかについて考えるようになった。サッカーとは先にも述べたように定められたコートで行われるスポーツだ。当然そこにはルールがある。
 そのような競技は探せばいくらでも見つけることができる。似たような競技にはフットサルやハンドボール、ラクビーなどがある。その中でなぜサッカーだけがこのような世界中の人々の心を動かすことができるのだろうか。
 幸いにも私は小学校から高校までサッカー部に所属していた。そのおかげもあってサッカー選手を全く知らない状態においても、「いまのプレーは凄いプレー」ということが漠然と分かる。ゆえに楽しむことができる。しかしサッカーをやったことがなければ、あまり見ることもない人がワールドカップを楽しんでいると、少なからず不思議に思う。
 この疑問は決して、ありがちな「素人がサッカーを語るな」のようなものではない。余談ではあるが、いま私は村上春樹の「1Q84」を読みながらクラシック音楽を聴いている。私が楽器を演奏したのは小学校の授業の中だけだし、クラシック音楽の知識についても全く持ってない。楽譜も読めない。そのうえ音痴だ。
 この「クラシック音楽」もyoutubeで適当に流しているにすぎない。ただそれでも読書に良い影響を与えることは確かだし、「1Q84」はとても面白い。
 種類は違うが「サッカー」も「クラシック音楽」も同じような構造なのかもしれない。人を引き付ける魅力が備わっている。ただそれらは複数あって、人それぞれに惹きつけられるポイントのようなものがある。
 そのポイントを誰かと共有するのも楽しそうだ、とこのワールドカップを通じて感じだ。
「あなたはワールドカップをどのように楽しみましたか」と会話を始めてみるのも面白そうだ。ドイツ優勝おめでとう。


 
●まなき @suzumana0529
心優しきお兄さん。
最近はカフェで小説を読むのが日課。

+++++++++++++++++++++++

■6.小説「誠心誠意のセイス」 作:ミシェル・アルベイン


 誠心誠意土下座した。

 朝起きて、いつものようにシャワーを浴び、朝ご飯をかき込み、着替え、車に乗り、仕事場に到着し、タイムカードをきり、みんなが仕事をしているオフィスへはつらつとした景気のいい挨拶とともに入ったときに、一時間遅刻していたことに気がついた。なぜ気がついたか、みんなの顔だ。みんなの顔がいつもと違うことにまず気がついた。そしていつもは自分より遅くくるやつが全員来ている。おかしい。次に、オフィスに充満している仕事が始まっている空気に気がつく。サマータイム? 頭が混乱した。時計を見る。土下座。

 だ。

 反射的に心の底から、そしてお腹の底から「すいませんでした」が飛び出して来た。自分でも驚いたが、遅刻はいけないことだと、社会人としてやっちゃあいけないことだということに脊髄から反応できたことは一応、僕は自分で自分が社会人なんだなと思った。

 遅刻してるけど。

 僕が土下座で固まっていると、上司が肩を叩きに来てくれた。とりあえずデスクに荷物を置いてから私の部屋に来るようにとのことだった。こわい。だが当然だろう。笑ってへらへらいいよいいよと無断遅刻を許そうものなら、遅刻者がぞろぞろと現れてしまう。そして会社が立ち行かなくなってしまう。

 とりあえずデスクに荷物を置きにいき、隣のオフィスレディ(現段階ではまだ同僚)に苦笑いされ、上司の部屋の前に行き深呼吸した。ノック音。そして部屋に入る。上司が重い面持ちで椅子に座っていた。

 誠心誠意土下座した。

 そういえば上司は僕が始めに土下座した瞬間にはいなかった。土下座後の硬直時間に僕の渾身の「すいませんでした」を聞きつけてオフィスに何事かと来たみたいだったから、じゃあ折角だから始めから見てもらおうともう一度土下座した。一度目は反射だったが二度目のいまは、

 打算だ。

 打算だな。

 上司はそう言った。上司は見抜いていた。聞き間違えたかと思ったが、顔を上げて上司の顔を見たとき、見抜かれたことを悟った。さすが上司。

 
●てって @tete_LHF
一万字メルマガでは主に小説を担当。
一筆書きのように一行目から最後まで一気に書き上げる。
ラジオ「LHFポッド"TAKEOUT"」
http://left-hand-flemings.seesaa.net/



+++++++++++++++++++++++

■7.小説「雨雲の神様」 てって

 雨がしとしとと降り注ぐ道を、とくとくとくとくと歩く。遠くで聴こえるサイレンとすぐ地殻で跳ねる雨音。冷蔵庫にはもうなにも無かったなと思ったが、こんな雨の日は買い物をする気が起きてこなかった。ベッドから。

 そんな気と同じようにベッドに寝転がり本を読む。もう何度も読んだ本に、しかし新しく意識を潜らせる。プールに潜ったときのように気持ちがいいから、本を読むことに対して潜るという表現を使うことにした。

 仕事から戻ってきたときに、郵便受けに挟まっていた手紙を開く。そこには、大会への参加資格となるカードと簡単な説明が入っていた。ちょっと不用心かなと思いながらも冷蔵庫の扉に磁石で貼付け、その扉を開ける。夕飯になりそうな物は入っていなかった。そうだった。しかし、まぁ今日くらいは食べなくてもいいかなと、食べることを諦めて横になった。

 物語のきりが良くて閉じる。仕事の疲れもあって、瞼が重い。横になっているのに下へ下へと閉じようとするのだから、この重さは地面と水平方向に発生している重力から来ているのかもしれない。もしかして、眠いときに逆立ちをすれば人は重力に打ち勝つことが出来るのだろうか。瞼だけ。

 説明にはこう書いてあった。

「一回戦スタート」

 何時間寝たのだろう。暗い部屋で目を開ける。手元に置いてある携帯電話を探す。あった。ボタンに触れると眩しい画面があらわれる。五時間程度寝ていたようだ。次の朝までの長い時間に頭を悩ませた。

 いまは夏だ。

 半ズボンをはき、外に出る。夏の温かさが夜のおかげでちょうどいい。近くのコンビニまで行き、今日発売の雑誌を立ち読む。自分以外にも何人かいて、妙な親近感を感じた。もしかしたら、ここにいる人たちは皆同じように、朝までの暇を潰しにきたのかもしれない。
そう思った矢先一人、また一人と立ち去っていく。そうして自分を入れて二人になってしまった。ちらっと横を見るとなんとも可愛い女の子だった。高校生くらいだろうか? こんな時間にコンビニなんて明日学校で眠くなってしまうんじゃないだろうか。可愛いから帰宅を促す注意をするのはもう少ししてからにしようと思ったら、向こうから話しかけてきた。

「カード、なんの絵ですか? 」

 ・・・・しまった。どうしてわかったんだろうか。
 
「・・・・蜘蛛です」

「虫も、あるんですね」

 虫以外もあるのか。暢気に、僕はそんなふうに思った。

「先手、大熊猫、攻撃」

 身体に激痛が走る。思わず倒れ込んだ。「やっぱり、虫だと防御が低いのかな? 」そんな声が上から聞こえる。いきなり・・・いや、一回戦スタートの通知は来ていた。なんとか立ち上がりながら、大熊猫って、相手パンダかよとか思う。パンツもちょっと見えた。

「蜘蛛、特殊」

 僕は足下を指差しながら宣言する。相手は一瞬びっくりしていたが、不思議そうな顔で、

「逃げないんだ? 特殊? なにも起こらないけど? まぁいいや、これだけ距離が近かったら虫なんかには負けない。大熊猫、攻撃」

 再び激痛、意識が、とびそうになる。膝をつく。

 《 ルール説明 》 
 以下のものは、宣言することで実行できる
 ・ 攻撃 相手にダメージを与える。生物によってその攻撃距離や攻撃方法は異なる。
 ・ 防御 相手の攻撃を防御する。生物によってその防御効果は異なる。
 ・ 特殊 生物によってその効果は異なる。
 
 《 蜘蛛 》
 ・ 攻撃 攻撃距離 0m(接触) 
 ・ 防御 不能
 ・ 特殊 蜘蛛の巣を作る ターン数×5m

 《 大熊猫 》
 ・ 攻撃 攻撃距離 1,5m
 ・ 防御 物理攻撃 1/2
 ・ 特殊 攻撃距離増加 +10m

「蜘蛛・・・・特殊」

 僕はもう一度足下を指す。

「? さっきからなにしてるんですか? もしかして説明書読んでない? 」

 薄く、白く浮かび上がる蜘蛛の巣。

「大熊猫、攻撃」

 痛みが来ない。よかった。一か八かだったけど、こうやって蜘蛛は戦うのか。僕はゆっくり立ち上がって、相手に近づく。

「あれ? 大熊猫、攻撃! あれ? え、ずるい! 」

僕は相手の後ろにまわり、背中に手を当てる。

「蜘蛛、攻撃」


●てって @tete_LHF
一万字メルマガでは主に小説を担当。
一筆書きのように一行目から最後まで一気に書き上げる。
ラジオ「LHFポッド"TAKEOUT"」
http://left-hand-flemings.seesaa.net/
 

+++++++++++++++++++++++
◆編集後記◆
 つーわけで第7号でございます。最近まなきとBBQをやってきました。BBQは最高で、肉は美味いしビールは冷たいし風は心地よいし、これぞ至福という時間を過ごしていたのです。ただひとつ言いたいのが周りの人たちね。
そもそもなんでうちらのテントのすぐ側でキャッチボールする? バドミントンする? うちらのクーラーボックスにビール置く? みんなが使う階段に座って記念撮影する? もうね、周りの人たちのマナーの悪さというか、配慮の無さにイライライライラ。
僕は思いました。僕がBBQの神だったなら、木炭バズーカだと。ええ、木炭バズーカですよ。木炭バズーカ。どちくしょう。

編集長・市村

+++++++++++++++++++++++

■アンケート

1.今回面白かった記事を教えてください

(   )(   )(   )

2.今後取り上げて欲しいこと、書いて欲しいことを教えてください

(                         )

3.その他

(                         )

●アンケートの回答はこちらのメールまで!
lhfpod@yahoo.co.jp

+++++++++++++++++++++++

●市村・てってのラジオ
「LHFポッド"TAKEOUT"」
http://left-hand-flemings.seesaa.net/

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
□ 発行元:一万字メルマガ
□ お問い合わせ先:lhfpod@yahoo.co.jp

■ Twitter
市村 @ichimura_LHF
てって @tete_LHF
ハヤト @haccyo18
まなき @suzumana0529
 
メルマガの解除はコチラから
http://www.mag2.com/m/0001626561.html 

このメルマガは現在休刊中です

一万字メルマガ

RSSを登録する
発行周期 月1~2回
最新号 2014/07/21
部数 17部

このメルマガは
現在休刊中です

ついでに読みたい

一万字メルマガ

RSSを登録する
発行周期 月1~2回
最新号 2014/07/21
部数 17部

このメルマガは
現在休刊中です

今週のおすすめ!メルマガ3選

一緒に歩もう!小富豪への道
富裕層むけ、富裕層入りを目指す方むけの究極の資産防衛メルマガ!一国だけに資産を集めておくのは危険な時代がやってきました。海外ヘッジファンド、貴金属、不動産からアンティーク・コインまで、金融不安に負けない世界分散ポートフォリオを、経験豊富なファイナンシャル・プランナーが誠意をもってご案内します。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

楽しく幸せな会社組織づくりのすすめ
組織変革コンサルタントが語る楽しく幸せな会社組織づくり・社員育成実践テクニックをご紹介。社員数名~100名前後の中堅・中小企業オーナー社長や経営層・人事部・管理職・仕事の幅を広げたいフリーランス・士業の方は必見! 社員の主体性や部門間の連携力を高める効果的なコーチング・研修・ワークショップなど具体的な打ち手も解説します。また自社で取り組んでいる管理・評価・指示命令が不要な新世代型の組織運営法「びりかん式経営」についてもご紹介していきます。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

生きる意味は仏教に学びなさい
仏教メルマガ読者数日本一。今この瞬間に幸せを感じ、後悔のない人生にする方法とは?なぜどんなにお金があっても幸せになれないのか。むなしい人生になってしまう原因とは?あなたの人生を背後で支配する運命の法則と99%の人が自覚なく不幸を引き寄せている6つの行いとは…?仏教史上初のウェブ通信講座を開設、仏教の歴史を変え続ける中村僚が、葬式法事仏教となった現代日本の仏教界では失われた本当の仏教の秘密を公開。発行者サイトでも隠された仏教の秘密を無料プレゼント中。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

相馬一進の、1億稼ぐビジネスの本質|マーケティングと心理学
・天職で1億稼いだ相馬一進が、お金、自己啓発、仕事について、 心理学とマーケティングの側面から語る本格派メールマガジン。 ・著者の相馬一進は、ダライ・ラマ14世や、『7つの習慣』の スティーブン・コヴィーや、リチャード・ブランソンなどの、 海外セミナーへの日本人ツアーを企画、集客した実績を持つ。 ・最先端の起業・副業のノウハウや、マーケティングの原理原則、 生活の中からストレスを減らす方法、モチベーションの心理学、 複数の収入源を持つ方法、働く時間を減らす秘密などを配信中。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

水戸市のサラリーマン大家さん
総発行部数15万部。購読者日本一の不動産メルマガ。 2017年5月現在8900人以上の投資家さんとお会いしてきました。 年間取引額300億円以上、累計取引額1000億以上の不動産会社社長が、不動産投資について真剣に書いています。 今ならメルマガ内で10万円相当の「不動産投資大百科」を無料配布中。 メルマガ登録で非公開の物件情報も入ってきます。 不動産仲介業 宅地建物取引業免許 国土交通大臣(1)第8944号
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

『資金調達など経営者の悩みを真に解決するマガジン』
経営コンサルタントが実践から得た経験や知恵を基に、経営に役立つ「本日の経営者への一言」と、実際にあった話を基に実名を出さずに「実話風読物(カードローン取立との戦い等)」に仕立てた読物との2部構成で綴られたメルマガです。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング