バートランド・ラッセルの言葉366

n.1303 ラッセル『権力』第14章 競争 n.3


カテゴリー: 2018年01月31日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
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 ラッセル『権力』(Power, 1938) 第14章 競争 n.3
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 第14章 競争,n.3

 自由主義者の望んでいた自由は,アメリカにおいては(英国からの)独立を勝ち取
った瞬間に達成された。それは,英国においては1824年から1846年(注:穀物法を廃
止し自由貿易を実現)に至る期間に達成され,フランスにおいては1871年(注:パリの
コミューン)に,ドイツにおいては1824年から1928年(注:ドイツ社会民主党が政権
獲得)に至るまで幾つかの段階を経て(by stages),イタリアにおいてはリソルジ
メント(Risorgimento イタリア統一運動)において,またロシアにおいてさえも,
短期間,ロシア2月革命において達成された。しかし,その結果は,必ずしも自由主
義者が意図した通りではなかった。産業においては,その結果はマルクスの敵意ある
予言にいっそう似たものであった。アメリカは,最も長い自由主義的伝統を有してい
たが,トラストの段階に入った最初(の国)であった。即ち,昔の独占のように,国
家によって認可される独占ではなく,競争の自然な働きの結果として生ずる独占の段
階に入ったのである。アメリカの自由主義は,蹂躙され,無力であり,また,他の諸
国の産業の発展も,次第に,ロックフェラーの後に続いた(follow the lead)。
そうして,競争は(ほっておくのではなく)人工的に(競争を)維持するのでなけれ
ば,競争に参加しているものの誰かを完全な勝利に導くことによって,競争の消滅を
引き起こすということが発見された。

 けれども,これは全ての形の競争にあてはまるものではない。なるほど,おおざっ
ぱに言って,組織の規模が大きくなれば,それだけ効率の増大を引き起こす(means
 increase of efficiency)。従って,そこには二つの問題が残ったままである。第
一の問題は,競争が技術的にみて浪費が多いのはどのような場合か? 第二の問題は
,競争が非技術的な理由から望ましいのは,どのような場合か? である。

Chapter 14: Competition, n.3

The freedoms desired by Liberals were achieved in America in the moment of
 winning independence ; in England, in the period from 1824 to 1846; in 
France in 1871 ; in Germany by stages from 1848 to 1918; in Italy in the 
Risorgimento; and even in Russia, for a moment, in the February Revolution.
 But the result was not quite what Liberals had intended; in industry, it 
bore more resemblance to the hostile prophecies of Marx. America, with the
 longest Liberal tradition, was the first to enter the stage of trusts, 
i.e., of monopolies not granted by the State, like those of earlier times,
 but resulting from the natural operation of competition. American 
liberalism was outraged, but impotent, and industrial development in other
 countries gradually followed the lead given by Rockefeller. It was 
discovered that competition, unless artificially maintained, brings about
 its own extinction by leading to the complete victory of some one among 
the competitors.

This, however, is not true of all forms of competition. It is true, broadly
 speaking, where increase in the size of an organization means increase of
 efficiency. There remain, therefore, two questions : first, in what kinds
 of cases is competition technically wasteful? Secondly, in what cases is
 it desirable on non-technical grounds?
 出典: Power, 1938.
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