バートランド・ラッセルの言葉366

n.1209 ラッセル『権力』(Power, 1938) 第9章 世論に対する力 n.7


カテゴリー: 2017年10月04日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
  からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'
  に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
  読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありま
  したら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『権力』(Power, 1938) 第9章 世論に対する力 n.7
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 第9章 世論に対する力(世論に対する影響力) n.7

 合理的な(理性的な)訴えと不合理な(理性的でない)訴え(注:人に注目すれば
「理性的な」,内容に注目すれば「不合理な」)との間の対立(opposition)は,実
際には,右の(上記の)分析ほどはっきりしたものではない。(いかなる訴えにも)通
常,何らかの合理的な証拠が存在しているけれども,決定的な証拠としては(結論を
出すためには)十分ではない。(そうして)不合理(性)(irrationality)は,その
ような何らかの合理的な証拠に過大な重要性(重み付け)を与えることにある。信念
は,単に伝統的なものでない場合には,それはいくつかの要因の産物である。それら
の要因には,欲求,証拠,繰返し(など)がある。欲求も,証拠も,いずれもゼロで
あれば(なければ),信念は生れてこないであろう。(一般人に)外部に対する主張
(no outside assertion)がまったくない場合には,宗教の創始者とか,科学上の発
見者とか,狂人のような例外的な人物(characters 複数形になっていることに注意)
の中においてのみ,信念は生じるであろう。社会的に重要な何らかの大衆的信念を生
みだすには,上記の三つの要素(欲求,証拠,繰り返し)が全てある程度なくてはな
らない。しかし,たとえ一つの要素が増して他の要素が減じたという場合にも,結果
として生ずる信念の(総)量に(は)変化がないかも知れない(注:"If" = "Even if")。
もし2つの信念が等しく満足な場合には(欲求を満たしてくれる場合には),強い証
拠がある信念よりもほとんど証拠がない信念を受け入れさせるためには,より多くの
宣伝が必要である,といった具合である。

Chapter IX: Power Over Opinion, n.7

The opposition between a rational and an irrational appeal is, in practice,
less clear-cut than in the above analysis. Usually there is some rational 
evidence, though not enough to be conclusive ; the irrationality consists in
 attaching too much weight to it. Belief, when it is not simply traditional,
is a product of several factors: desire, evidence, and iteration. When 
either the desire or the evidence is nil, there will be no belief; when 
there is no outside assertion, belief will only arise in exceptional 
characters, such as founders of religions, scientific discoverers, and 
lunatics. To produce a mass belief, of the sort that is socially important,
 all three elements must exist in some degree; but if one element is 
increased while another is diminished, the resulting amount of belief may
 be unchanged. More propaganda is necessary to cause acceptance of a belief
 for which there is little evidence than of one for which the evidence is
 strong, if both are equally satisfactory to desire; and so on.
 出典: Power, 1938.
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