BOMB書店☆静かなる読書

BOMB書店☆静かなる読書 No.254


カテゴリー: 2018年02月18日
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            - 市川裕子劇場 - 
                                                    No.254
                                                                                                        
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市川裕子の詩や物語を紹介する「BOMB書店☆静かなる読書」です。
■発行者プロフィール ⇒ http://ichikawayuko.com/


こんにちは☆ 発行者の市川裕子です。

毎週日曜日に、市川裕子の描く、

様々な作品をお届けするメルマガです☆

私は、詩を中心とした創作活動をしていますので、

小説は、「詩的なものを物語化している」と思っていただけたら、

分かりやすいかと思います。

現在は、「オレンジとアップルと9cm王国」をお届けしています☆

オレンジとアップルという二人が、

屋敷を取り囲む塀を作り、部屋の壁に絵を描いたことから、

白いネコのキャロルが行方不明になるという事件が起こります。

そして、何かの異変により太陽が出なくなり、

暗闇の中をいろんな人物たちが彷徨います。

支配していた者たちが囚われ、

囚われていた者たちが逃げ出すなど、

それぞれが、それぞれの目的で動き回り、

そして、いろんな出会いを経験していきます。

さて、太陽は戻るのか?

オレンジとアップルは、キャロルを捜し出すことができるのか?

どうぞ、お楽しみくださいませ☆


☆前回のラストシーン☆

「分かっているんだ。ルーボン。
僕に、隠し事なんてできないよ」
と言って、キャロルは、自分のふかふかの白い毛の中から、
真実の輪と真実の鍵を取り出して、ルーボンに見せた。

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【★】「オレンジとアップルと9cm王国」  第四部  
 ☆  第七十章  ぐるりと回って真実を見る白いネコのキャロル  ☆ 
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暗闇に、真実の輪と真実の鍵がギラリと光る。

白いネコのキャロルは、
わざとそれを見せびらかすように高く持ち上げてから、
暗闇に放り投げた。

ジャラッと音がして、真実の輪と真実の鍵が、地面に落ちる。

真実の輪は手錠であるし、
真実の鍵も鳥籠の扉を開ける程度の大きさである。

地面に落ちた手錠と鍵は、
まるで投げ捨てられた金属のゴミの塊のようにしか見えない。

ルーボンは、次に、キャロルが何をするのかをじっと待つ。

キャロルのただならぬ気配に、恐怖すら感じる。

だが、キャロルは、
その鈍い光を放つ手錠と鍵を凝視しているだけだった。

ルーボンは、声をかけるべきか、かけないべきか迷う。

まるで、時間が止まってしまったかのような
静かで奇妙な不安感を煽るような空気が流れる。

キャロルは、手錠と鍵を凝視し続け、
それから、まるで、興味を失ったかのように、目線を上げ、
かつての城の主ルーボンを見た。

「さよなら。ルーボン。僕は、僕の道へ帰る」
 
そう言って、キャロルは、後ろを振り向くと、
一気に、今進んできた道を戻って行った。

キャロルの姿が一瞬で見えなくなり、ルーボンは焦る。

地面に放り出された手錠と鍵を見てから、拾うべきかどうか迷い、
それから、やはり、それよりもキャロルを見失うことの方が恐ろしく感じられ、
ルーボンは、一気に体を伸ばし、キャロルの後ろ姿を追いかけた。

だが、キャロルは、高速で走り抜けていったため、
ルーボンの目には見えない。

だが、ルーボンは、走り続けた。

頭の中で、何かが蠢いているような気もしたが、
今は、何も考えずにキャロルを追いかけることだけに集中した。

「そうしなければ、自分すら見失ってしまう」
とルーボンは、何かの指令を受けたかのように、
一途に、暗闇を走り続けた。

だが、どんなに走り続けても、
白く光るキャロルの姿を見付けることができない。

ルーボンは、自分の伸び縮みする体を持て余しながらも、
最速で走り続ける。

どこをどう走っているのかも見当がつかなかったが、
それを考えている余裕はない。

「なぜ、走り続け、キャロルを見付け出そうとしているのか?」
という疑問もなかった。

「それは、影の男ジャードとの約束のためだろうか?」
とも思わなかった。

「もしかしたら、キャロルといれば、
自分が助かるとでも思っているのだろうか?」
とも考えなかった。

ルーボンは、ただ、ひたすらキャロルを追って、暗闇を走った。

キャロルを見付けるまで走り続けること、だけだった。

それは、本能に近かった。

生きることそのものであるような。

ルーボンは、暗闇の中を走り続け、走り続け、走り続けても、
不安を感じなかった。

何故だろうとも思わなかった。

ルーボンは、走り続ける。

走り続けていれば、
キャロルを見付けることができるのだと信じた。


暗闇の中に放り出された真実の輪と真実の鍵が、
鈍い光を放ちながら、
ゆっくりと静かに燃えるような白い光を放ち始める。

時折、パチッパチッと火花が散るような音がし、
赤い光に変化する。

赤い光は、オレンジの光を帯び、二つの色が混ざっていく。

それは、まるで、光がとろけていくようであり、
絵の具が混ざっていくようであった。

二つの光の色が混ざると黄色に発色する。

それから、また、パチッパチッと音がし、
新たな白い光が現れ、赤い光が現れ、オレンジ色の光が現れ、
黄色い光と混ざり合う。

それは、焚き火のような光の塊となり、
徐々に大きくなっていく。

そして、暗闇の中で、
ギュウギュウと音を立て、呼吸をするように蠢く。

炎のような光に包まれた真実の輪と真実の鍵は、
轟々と燃えさかる暖炉の中の薪や石炭のように、
真っ赤に焼かれ、溶けていく。

どこからか、風が吹いてきたのだろうか。

いきなり、燃え上がる光の炎が大きく揺れた。

その瞬間、光の炎が、一気に空を突き抜けるほど高く立ち昇った。

暗闇に、ブァァァーンと大きな音が響く。

そして、次の瞬間には、
ドォーンという巨大なものが落ちてきたような音がして、
その炎の光が、一瞬で消えた。

まるで、巨大な氷の塊が落ちてきたのか、
巨大な滝の水が現れたかのように、
炎の光は、一瞬で掻き消されてしまったのである。

プスプスと燃え残った火が、小さな音を立ててから、
最後の息を止めたように消える。

暗闇に、燃えかすが残っている。

白い物体である。

骨のようである。

地面に、ごろりと転がっている白い物体は、
静かに、白く光り始め、
それから、また、鈍い光を発し、
金属の素材を露わにする。

静けさが戻る。

暗闇に、
先ほどと変わらない姿の
真実の輪と真実の鍵が転がっている。


ひたひたと音がして、暗闇の中から、
白いネコのキャロルが現れる。

さっき、放り投げた真実の輪と真実の鍵が闇の中に見える。

「やっぱり…」
とキャロルは、頭の中で呟く。

そして、辺りを見渡す。

「やっぱりそうなんだね?」
と自分のそばにいるであろう得体の知れない相手に話しかける。

だが、その得体の知れない者が答える気配はない。

キャロルは、静かに頷く。

得体の知れない者が、
自分の後を付いてきた時に言った言葉を
キャロルは反芻する。

赤い光に向かって進んでも、
過去への入り口だと言い、
後戻りしても、
過去への入り口へ近付いていると言ったのである。

「やっぱり、そうなんだ。
僕が、どう動こうと、過去への入り口へ突入し、
そして、僕は、記憶を取り戻す。
この真実の輪と真実の鍵も、
僕が捨てても、僕の手元に戻ってくる。
…やっぱり、そうなんだ」
 
キャロルは、
地面に転がっている手錠と鍵を手に取ろうとして近付く。

その時、誰かの気配が近付いてくることが分かり、
キャロルは、一瞬、動きを止める。

だが、その気配に振り向くことはせず、
手錠と鍵に近付き、
その手錠と鍵をじっと見詰める。

キャロルの背後に、
「ハァハァ」と息を荒げた声が聞こえる。

キャロルは、振り向きもせずに、声をかける。

「ねえ。ルーボン。
この手錠と鍵は、僕が捨てた時と、
今、僕が拾う時では、様子が違うと思うかい?」






To be continued. 

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【★】編集後記
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「市川裕子の聖なる創作空間」

思いの外、
体調がうまく回復せず、
やっと、一週間、乗り切りました。

とは言え、
今日も、ライブに行く予定です。苦笑。

でも、
このライブが終わったら、
しばらくは、お休みかな。

次の自分の活動を見据えて、
今、準備中なので、
それを実現化するべく、
更に、集中します。

音楽紹介は、
今日のライブの
レポートにしますね〜

ブログに載せますので、ご覧くださいませ♪

http://ameblo.jp/rabittpunch/


それでは、また次回!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪


「オレンジとアップルと9cm王国」は、
2013年8月25日から第一部開始、
2014年7月20日〜2015年7月19日までが第二部。
2015年7月26日〜2016年10月16日までが第三部。
そして、2016年10月23日から第四部を開始しています。

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