━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ 食の安全・監視市民委員会 FSCWメールマガジン 第38号 2016年8月15日発行 ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ <もくじ> ◎焦点:新都知事に築地市場移転に関する公開質問 ◎トピックス:BSE検査は継続すべき ◎トピックス:横浜検疫所輸入食品・検疫検査センター見学記 ◎イベント案内:築地&豊洲市場見学会に参加しませんか =============================== 【焦点】 都知事に築地市場移転に関する質問状を出しました =============================== 7月に行われた東京都知事選において主な3人の候補者に 築地市場移転問題をどう考えるか質問状を出したことを 先月のメルマガでお伝えしました(回答は当会HP)。 http://fswatch.org/ 3人のうち2人からは回答をいただきましたが、 都知事に決まった小池百合子さんからは回答がありませんでした。 そこで、当会は日本消費者連盟と連名で再度、小池新都知事に 以下のような質問状を送りました。 回答が届き次第、当会HPに掲載する予定です。 築地市場移転に関する公開質問状(一部省略) 築地市場を本年11月7日に豊洲へ移転する計画に対し、私たちは強く反対しています。 土壌汚染問題が未だに解決されていない状況で、 食の安全・安心の面だけでなく、市場で働く人たちへの影響を考えても、 11月7日の移転はいったん延期し、計画そのものを見直す必要があると考えます。 貴職は都知事選期間中に築地市場を視察した際、 「築地の問題については移転に反対している人の声もある。 そういう状況の中では、いったん、立ち止まるべきと考えます。 さまざまな問題について検証する必要がある」と述べていらっしゃいます。 そこで、改めて築地市場移転問題について質問いたします。 お忙しい中、恐縮ですが、8月25日までに文書にて回答いただきますようお願い申し上げます。 1. 築地市場を2016年11月7日に豊洲新市場へ移転することについてどう考えていますか。「予定通り移転すべき」「移転を延期すべき」「移転計画そのものを撤回すべき」からお答えください。もし、これら回答に当てはまらない場合は、お考えを具体的にお書きください。 2.上記1の回答について、その理由は何ですか。具体的にお書きください。 (食の安全・監視市民委員会) =============================== 【トピックス】 BSE検査は継続すべき =============================== 2016年7月に食品安全委員会が発表した「BSE国内対策の見直しに係る食品健康影響評価」に対し、当委員会は8月8日に意見を提出しました。 厚生労働省は2015年12月に、「BSEの検査対象月齢」を諮問したところ、 食品安全委員会は「48ヶ月齢超とする現行基準を廃止してもリスクは変わらない」と答えました。 これにより日本における健康牛のBSE検査を政府はすべて廃止することになると思われます。 しかし、私たちは以下の理由から、あくまでも2001年10月に実施された全頭でのBSE検査は必要であると考え、「食品安全委員会は2016年7月のこの食品健康影響評価を撤回すべきである」との意見を述べました。 1)「BSE問題は飼料規制だけでは解明できない」 食品安全委員会は、日本ではBSE感染牛が発見されていないのは、主にその原因として飼料規制が実施されたからだとしています。しかし、世界ではBSE感染牛が2014年に英国で1頭、英国以外の欧州で10頭、2015年は英国で2頭、英国以外の欧州で4頭、カナダで1頭が確認されており、2016年もフランスで1頭確認されています。しかも近年、非定型のBSE感染牛も確認されています。BSEの発生原因と汚染経路、体内での異常プリオンの動態にはまだ未解明の要素があるのです。 2)「変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)のリスクは非定型BSEで皆無とはいえない」 2016年7月の食品安全委員会の評価書では、非定型BSEのうち、異常プリオンの量が多いH型と少ないL型を比較し、日本で発見された23ヶ月齢、72ヶ月齢の2頭の非定型BSE感染牛はL型だったため、感染力は弱い、としています。しかし、非定型のBSEは世界ではこれまでの累計で124頭発見されており、H型、L型とも年に数頭確認されています。またH型では動物実験でサルに感染したとの報告があることをこの報告書でも述べています。非定型のBSEの発生が日本で今後も皆無とはいえず、人に感染してvCJDが発症するリスクはゼロではないのです。 3)「BSEの国境措置は万全といえず、食品安全委員会は自ら評価を実施すべきである」 日本政府は、米国における飼料規制の実態調査はここ数年実施していません。米国の飼料規制では牛の肉骨粉の豚・鶏への給餌を禁止しておらず交差汚染の可能性が未だにあります。そのような米国牛の輸入拡大はリスクを高めます。輸入相手国でも後回しになっているカナダ、米国についてすぐに調査すべきです。 山浦康明(食の安全・監視市民委員会運営委員) =============================== 【トピックス】 横浜検疫所輸入食品・検疫検査センター見学記 =============================== 7月21日午後、雨の中、タクシーに分乗して、 横浜検疫所輸入食品・検査センターへ向かいました。 2階会議室で、木村所長以下8名の職員の方が出迎えてくれました。 木村所長、神山代表の挨拶の後、まずビデオが上映され、横浜検疫所の沿革が紹介されました。 横浜検疫所は、明治12年(1879年)に コレラの蔓延防止のための長浦消毒所設置に始まります。 昭和22年に旧厚生省の付属機関となり、現在に至っています。 検疫業務、衛生業務、輸入食品等の監視および指導業務、試験検査業務、 信頼性確保業務、輸入食品監視支援業務が、 全国主要な海港・空港13カ所の検疫本所、14カ所の支所、 83カ所の出張所で行われています。 高度な検査機器を備えた横浜と神戸の検疫センターは、 東日本と西日本における試験検査の中枢施設として 輸入食品や検疫業務を行っています。 ビデオ視聴の後、実際の検査室を見てまわりました。 全国の検疫所でサンプリングされた試験品は、 サンプリング方法などが適正に行われた物のみを受領し、 (1)残留農薬及び動物性医薬品(抗生物質) (2)有毒・有害物質(カドミウム等)、カビ毒(アフラトキシン等)、おもちゃ(着色料等) (3)食品微生物(O157、コレラ菌等) (4)遺伝子組み換え食品 (5)放射能 (6)放射線照射食品などの検査を、それぞれの部署で行っています。 運び込まれる検体は、日に100~200検体。 先入観を排除するため、 輸入国(原産国)はあえて知らない状態で検査しているとのこと。 最新の機器類を完備し、検査には絶対的な自信を持っているようでした。 また検査に遺伝子解析技術が多く使われていることがわかり、 検査技術も日進月歩だと感じました。 その後、会議室に戻り、質疑応答となりました。以下、主な内容です。 「消費者は輸入食品の安全性を水際で食い止めてほしいと願っている」 「違反が見つかったときには、すでに消費者の胃袋の中ということが心配」 「表示の問題など、他部署との連携を強め、一体化して取り組んで欲しい」 などの質問・要望に対し、 「ISO/IEC17025など国際機関の認定も受けており、 やるべき検査はしっかりやっている」と木村所長から回答がありました。 「食品安全に予算を回すには、超党派の議員の会が必要」 「TPPで揺れている今が、議員に働きかけるチャンス」 などと話しながら帰途につきました。 三宅征子(食の安全・監視市民委員会監査委員) =============================== 【イベント案内】 築地&豊洲市場見学会に参加しませんか =============================== 東京都は今年11月7日に現在の築地市場を豊洲に移転する、と計画し、 豊洲の新市場の建設が進んでいます。 しかし、東京ガスの跡地である豊洲の土壌は シアン、ベンゼンなどの重金属汚染が明らかになり、 その対策も十分ではありません。 築地市場移転の問題点を多くの人に知っていただくために、 実際に豊洲新市場と築地市場を見学し、 移転反対運動をしている方の声を聞くフィールドワークを計画しました。 どなたでもご参加いただけます。 ただし、申し込みが必要ですので、以下にご連絡ください。 詳細はメールまたは電話でご連絡します。 ◎日時:2016年9月5日(月)10時30分~16時(予定) ◎見学場所:豊洲新市場、築地市場 ◎スケジュール:豊洲新市場(水産市場、青果市場など)を外側から歩いて見学→電車で築地へ移動→築地場外市場で昼食→築地市場見学→築地関係者との意見交換→築地市場で解散 定員:15人(先着順)※事前予約が必要です。定員になり次第、締め切ります。 参加費:各自の交通費および昼食代、会議室代500円 申込締め切り:8月31日(水) <申し込み先> 食の安全・監視市民委員会事務局 電話:03(5155)4765 ファクス:03(5155)4767 Eメールoffice@fswatch.org ※ファクスまたはメールでお申込みの際には、 お名前と連絡先(できれば携帯)を忘れずにお書きください。 (食の安全・監視市民委員会) ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ このメールマガジンに掲載されている広告の内容は、 食の安全・監視市民委員会の活動とは無関係です。 ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ [発行]食の安全・監視市民委員会 〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207 日本消費者連盟内 Tel:03-5155-4765 Fax:03-5155-4767 Eメール:office@fswatch.org URL:http://fswatch.org/ ■このメルマガに関するご意見・ご要望、または、転載を希望する場合は、 上記(Tel、Fax、Eメール)までお願いします。 ■このメルマガの購読登録・配信中止は以下からお願いします。 http://www.mag2.com/m/0001598395.html