古代史探求レポート

騎馬民族の文化に神が宿る時


カテゴリー: 2017年04月04日
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古代史探求レポート 2017年4月5日号
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世界フィギアでは、羽生結弦選手がフリーの演技で世界新の得点を叩き出し大逆転で優勝しました。しかし、フィギアスケートという競技も、本当に大変な競技ですね。
氷の上を美しく滑って、ジャンプし、回転する。
それだけでも大変だと思いますが、誰か一人が3回転を飛ぶと、皆が3回転を飛ぶように努力し、誰か一人が4回転を飛ぶと、皆が4回転を飛ぶように努力する。何度やっても失敗しないだけの完成度が求められます。
ジャンプ力にはバネと体の軽さが必要です。体調を管理し、体が重くならないように、固くならないようにしなければなりません。きっと、何百回と飛んで自分のものにしていくのでしょうね。今回の世界フィギアでは、日本の有力選手が疲労骨折により欠場しました。なんて過酷な競技だろうと改めて感じました。
いちばんの強敵は年齢なのだと思います。女性のピークは、10代後半、男性のピークは20代前半ということなのでしょうか。後は、加齢との戦いが待っているように思います。
新聞を読んでいると、年齢をとった大きな体でのジャンプには、大きな加点があるのだと知りました。子供が高く飛ぶことは簡単なのかもしれませんが、大人が大きな体で高く飛ぶことは至難の技です。それだけに、雄大さを評価するのだそうです。なるほどと思いましたが、雄大さだけで美しさは表現できません。
次々に開発される高度な技は、直ぐに真似され追いつかれます。体操競技に似ていますね。常に世界最高得点を更新続けていないと、王者に座り続けられないというのもかわいそうに思いました。それでも、練習して、王者であろうとする選手の方々には、ただただ脱帽するばかりです。
上位に進出した人々の国籍はバラバラですが、皆アジア系であるのが面白いと思いました。軽くてバネのある体に、アジア人種は適しているのかもしれません。筋肉でガチガチになった体ではフィギアスケートを滑れないというのが非常に面白いと思います。
多くの競技が力負けしないことが望まれます。強靭な体で、硬い筋肉を必要とされる競技がスポーツの主流を占める中では、非常に特異な競技であるようにも思います。どんな競技であっても、世界のトップに名を連ねてくる人物を排出できる。もしかすると日本人とは本当に特殊な人種なのかもしれません。
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■  相撲の歴史「生きた江戸は体感できる」

国技といわれ、日本の伝統文化である相撲。
その起源、源流をたどっていくと、神話の時代にまでさかのぼらねばならない。
日本の文化に深く根ざし、いつも人々の生活とともにあった相撲。
ここでは1500年以上続く相撲の歴史の一端を紹介したい。
● 相撲の起源
相撲は人間の闘争本能の発露である力くらべや取っ組み合いから発生した伝統あるスポーツである。これによく似た形態のスポーツは古来世界各地で行われた。
我が国の相撲の起源としては、古事記(712年)や日本書紀(720年)の中にある力くらべの神話や、宿禰(すくね)・蹶速(けはや)の天覧勝負の伝説があげられる。
相撲はその年の農作物の収穫を占う祭りの儀式として、毎年行われてきた。これが後に宮廷の行事となり300年続くことなる。
● 戦国の力自慢
鎌倉時代から戦国時代にかけては武士の時代。武士の戦闘の訓練として盛んに相撲が行われた。織田信長は深く相撲を愛好し、元亀・天正年間(1570~92年)に近江の安土城などで各地から力士を集めて上覧相撲を催し、勝ち抜いた者を家臣として召し抱えた。
● 江戸文化と相撲
江戸時代に入ると浪人や力自慢の者の中から、相撲を職業とする人たちが現れ、全国で勧進相撲が行われるようになり、江戸時代中期には定期的に相撲が興行されるようになった。
やがて谷風、小野川、雷電の3大強豪力士が出現し、将軍上覧相撲も行われ相撲の人気は急速に高まり、今日の大相撲の基礎が確立されるに至った。
相撲は歌舞伎と並んで一般庶民の娯楽として大きな要素をなすようになった。
● 江戸時代と変わらぬ姿
大相撲は、長い歴史の中で次第にルール化され、洗練され、様式化されてスポーツとしての形態を整え、我が国固有の伝統文化となったのである。
土俵入り、番付表、化粧廻し、髷、着物、相撲の取組。江戸時代と変わらぬ姿を、すぐそこで見ることができる大相撲。
日本の文化に深く根ざし、いつも人々の生活とともにあった相撲。
相撲には歴史・文化・神事・競技など様々な側面があり、それぞれ奥深い要素を持っています。
(日本相撲協会ホームページ 相撲のいろは 相撲の歴史)
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新横綱稀勢の里の大活躍で、今年の春場所は大いに盛り上がりました。そして、相撲史に残る奇跡の名勝負は人々の心に感動を刻みました。私は、稀勢の里の姿に、力士とは何かということを改めて教えられた気がして、非常に神聖なものを見たように思いました。人間の中で最も強い力というものは、やはり神により与えられたものなのではないかと思ったのです。
横綱はそれを知っているだけに、その力を神のため、そして国民のために使うのだという使命を持っていると感じました。意識するしないに関わらず、彼はそう感じて土俵に上がったように思います。
では、神聖な相撲はいつから始まったのかを、今回は探求して見たいと思います。
現在の横綱4人の中で、日本で生まれ育ったのは稀勢の里ただ一人です。あとの3人はモンゴルで生まれ育ちました。モンゴルにはモンゴル相撲と呼ばれる相撲があります。「ブフ」と呼ばれる競技です。日本では相撲が国技であるように、モンゴルではブフが国技です。
だからこそ、彼らの体にはモンゴル相撲が染み付いています。それが強さの秘訣の一つであり、なかなか日本人には真似できないことではないかと思っています。白鵬のお父さんも、朝青龍のお兄さんもブフの優勝者なのです。
日本の相撲の歴史は、紹介させていただいた日本相撲協会の解説にある通り1500年ですが、モンゴル相撲のブフはなんと2500年もの歴史を持っているのです。匈奴と呼ばれた遊牧民族の巨大国家の時代、彼らの文化の中に、「馬を乗りこなせる」「力が強い」「弓がうまい」という3つの条件を満たすことが英雄であるという文化が広がります。この時、ブフが始まったようです。
皆が競ってこの3つの技術を身に付けようとしたため、匈奴は非常に勇猛な兵士の集団になりました。この匈奴の侵入を恐れた秦の始皇帝が、万里の長城を築いたことはあまりにも有名な事実です。これが紀元前3世紀頃のことです。この伝統の重みが、モンゴルの人々の遺伝子の中に生き、今、日本の大相撲で活躍しているのです。
日本の大相撲と、ブフの一番の違いは、大相撲には土俵があるということです。これが、日本の相撲に独特の形を作り出したのだと私は考えています。
土俵があることで、押し出しや、寄り切りという技が生まれました。最初のあたりが勝敗に大きく作用するようになったため、体を重く大きくすることが断然に有利になったのです。また、ブフでは手がついても負けではありません。膝・肘・頭・背中など、手のひらと足の裏以外が大地に触れると負けになります。彼らは「大地の神に祝福される」という言い方をするようです。
ですから、試合が長いのです。ブフで求められるのは、押し出すのではなく人を投げ飛ばす事です。突いたり、寄ったりすることではないのです。しかし、これでは見てる方が飽きてしまいます。試合として見ている人間が楽しめるように、簡単に勝負がつくように日本の相撲は工夫がなされているのです。徳俵なんてものもあり、例外まで付いているのです。
日本の相撲の歴史が1500年だと言っても、土俵が作られだしたのは江戸時代に入ってからです。まだ400年も経っていません。つまり、相撲は、近年になってどんどん興行化し、民衆の娯楽の一つとなって、現在の競技となっていったのです。お客さんが楽しめることに重きを置いたことで、相撲は本来の姿をどんどん消していってしまったのです。
相撲部屋を見学された方はお分かりかかと思いますが、土俵の中は綺麗に清められ、真ん中には御幣(ごへい)が飾られています。私が見たときは、御神酒が置かれていました。やはり、土俵には神が存在するという教えが生きているのです。こうすることで、土俵の上で力士が怪我をしないように神が見守ってくれているという教えが生きているのだと思います。
考えてみれば、力士は土俵に上がると、まず柏手を打ちます。これは、神様を呼び覚ましているのだと思います。私達が、神社で柏手を打つのと目的は同じです。そのあと、必ず四股を踏みますが、今度は邪悪な霊、醜(しこ )を踏み沈めて、土俵の神を目覚めさせているのだと思います。四股というのも当て字のようですが、左右に2回づつ踏み固めることから四の字が当てられているように思います。
力のぶつかり合う土俵は神聖なもの、ここでは怪我をしないように神様に守ってもらわなければならないものという考えがあるのだと思います。このため、力士は土俵の上では怪我をしないのですが、土俵から転げ落ちるとそこで怪我をしてしまいます。今回の稀勢の里も、土俵の外で怪我をしました。相撲協会もこの辺りのケアも少し考えては如何なものかと思います。
ただそれだけでは理解できない風習も残っています。横綱は体に注連縄を巻かれます。神社がそうであるように、また御神木がそうであるように、横綱には神が宿っているという考え方があるのだと思います。神が宿るから、強い力が出せ勝負に勝つことができるのです。聖徳太子が物部氏との戦いの中で神が宿ることを願ったように、力士は神が宿ることを願い、その神が常に住まわっているのが横綱であるのだと思います。
神明造りのつり屋根の下に土俵は作られていますが、これも神明造りの建物になったのは明治になってからであり、それを吊り屋根に変えたのは昭和になってからです。興行が定着しお客様が見やすいようにと配慮したためだと思われます。柱は消えましたが、柱の代わりに四色の房が垂れています。青龍の青、白虎の白、朱雀の赤、玄武の黒です。
これは何かと考えると、やはりそこに神を降ろそうという試みなのではないかと思います。
相撲が今のように東西に分かれて勝負するようになったのは、宮中の行事として実施された「相撲節会」に始まるとされています。聖武天皇の時代に、相撲人が全国より貢進された記録が残りますから、奈良時代ということになるのでしょうか。令の中に定められた七夕の節会の中で、相撲節は左近衛府と右近衛府に分かれた各20人の相撲人が20番の相撲を取ることとされていました。
相撲協会の歴史や、各種の書物の中には、古事記の国譲りの神話の中で高天原のタケミカヅチと出雲タケミナカタが力比べをしたという物語が描かれています。タケミカヅチはタケミナカタを投げ飛ばし、タケミナカタは遁走し諏訪の地で今後この地から出ないと言って降伏します。これが相撲の最初だと記載されていますが、これは相撲ではありません。力比べです。どちらが勝ったかの軍配をあげる審判もいません。
日本書紀の中には、垂仁天皇の七年に大和の国の当麻蹴速(たいまのけはや)が出雲国の野見宿禰(のみのすくね)と対戦し、宿禰が当麻蹴速の脇骨を折、腰を踏み砕くという記事が載っています。相撲協会によると、これは天覧勝負の伝説ということになります。
奈良の当麻寺の近くに行くと、相撲館「けはや座」というものがあり、そこでは相撲の起源だとして当麻蹴速が紹介されています。出雲国の野見宿禰については、出雲という地名は大和にもあったということも紹介され、出雲国であったかは不明と紹介されています。
うがった見方をすれば、出雲に気を使わなければならないような事実があり、もしかすると出雲が東征し大和を平定したことを暗にほのめかしているのかもしれないとも思いますが、そうであるならそれを隠す必要はないのではないかと思います。出雲の人間が大和に勝ったことをどのように理解すれば良いか悩ましいところです。ただ、この野見宿禰の残虐性は、当麻蹴速を再起不能にしてしまうことから、これを相撲というのにも問題があると考えています。
雄略天皇の時代になると、工匠の猪名部真根(いなべのまね)が刃を石の台にぶつけることなく斧で材を割るのをみて、気を反らせて失敗させ鼻っ柱をへし折ってやろうとする逸話が描かれています。采女(うねめ)を集めて、着物を脱がせて褌を締めさせ、皆の前で相撲をとらせたというのです。すると、相撲に気を取られた真根は誤って斧を台座の石にぶつけ斧を傷つけてしまうのです。
雄略天皇の人間性を表す逸話ではあるのですが、ここで注目すべきは、「着物を脱がせて褌を締めさせ、皆の前で相撲をとらせた」という記述です。「相撲」という言葉が最初に出てくる場所でもあるのです。しかし、ここには神を降ろそうというような神事は全く見ることができません。雄略天皇は大和の人ではなかったのでしょうか。
雄略天皇が本当にこのようないたずらをしたのかどうかはわかりませんが、褌をして相撲を取るという、現代見られる相撲の原型のようなものがこの時には始まっていたことがわかります。雄略天皇の時代というより、日本書紀編纂時と考えるのが正しいのかもしれません。やはり、相撲節会を見た編者による品のない創作のような気もします。
江上波夫氏は、4世紀後半から5世紀に、北方騎馬民族が南朝鮮を支配したのち、大和地方の王朝を支配したと騎馬民族王朝説を発表しました。私は、壱岐をはじめとする古代遺跡にはこの騎馬民族の痕跡も残っていると考えますし、その上、九州からの東遷という行動も上手く説明すると考え、この説の可能性は非常に大きいと考えています。しかし、現在では一つの説であるとしてしか見なされず、騎馬民族による支配の痕跡がないとして評価されなくなっています。
しかし、この「相撲」という国技の姿を見ると、もしかすると騎馬民族とともにブフが伝わったのかもしれないと思うのです。その大きな理由の一つが弓取り式です。横綱が太刀持ちを従えるのは、横綱が武士と同じ権威を持っていたことの証拠であると思います。従って、その姿はきっと江戸時代に生まれた風習です。
しかし、弓取り式は違います。弓が上手いことは、騎馬民族が求めた姿でした。少なくとも、稲作民族には似つかわしくありません。弓取り式は平安時代の節会で、立会人が勝者の舞を演じる時に矢を背負っていたことに由来するのだそうです。相撲が騎馬民族の風習を受け継いだものであることの証拠ではないでしょうか。
騎馬民族のブフは、日本においては、天皇の前で見せる行事の節会になったことで、残酷性は姿を消し、また、それを扱うための五条家や吉田司家などの存在が権威を生み、特別な存在になっていったのではないかと 考えるのです。簡単にいうと、天皇家の行事であったことが神聖さを生みだしたのではないかと考えています。
格闘技は世界中で好まれました。古代ローマでは残虐性に人々は熱狂しました。日本では、もしかすると、モンゴルのブフが伝わったのかもしれませんが、日本らしい興行のための配慮と、天皇家、神との融合によって神聖な競技に形を変えていったのです。本当に素晴らしいと思います。分かりやすいルールと、短時間で決着する面白さが相撲人気を支えているのです。
時代は、本家ともいうべきブフ出身の王者の中で、日本の相撲の中で育った王者が孤軍奮闘するという図式になりました。しかし、神を下ろしてくることのできる力士は、やっぱり限られていると思うのです。そんな、力士が登場したことを素直に喜び応援したいと思います。
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<<編集後記>>
春の雪山で悲惨な事故が発生しました。私も少し山に登っていましたが、あの事故を予測できるような人は存在しないと思います。山自体が自然の脅威と向き合うスポーツですから、仕方がないとも思うのです。ただただ、不運であったとしか言いようがありません。
自然と向き合うスポーツには、我々の想像を超えた美しさや素晴らしさももたらしてくれることも事実です。今回の事故で、山への足が遠のくことのないことを祈るばかりです。

<発行者> 株式会社歴史探求社
<公式サイト> www.rekitan.co.jp
<問い合わせ> web@rekitan.co.jp
<登録・解除> http://www.mag2.com/m/0001587982.html  

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