古代史探求レポート

日本において神様が生まれた順番


カテゴリー: 2018年05月22日
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古代史探求レポート 2018年5月23日号
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先週は、日本人が3世紀頃から、道教の教えを好み、不老不死の世界を手に入れたいと願っていたと言う話をさせていただきました。しかし、そこには宗教として道教を取り入れたのではないだろうと考えられます。6世紀に、仏教が正式に伝来するまで、日本人の神は、万物に宿る精霊でした。精霊は意志を持ち、様々な現象をもたらすと考えたれていたのです。
現在でも、「神奈備(かんなび)」と言う名前の場所が残ります。纒向の神奈備は三輪山ですし、飛鳥の神奈備は鳥形山です。神奈備は、元々「神の辺」。神のいる場所と言う言葉であると思われます。私が生まれた兵庫県の但馬地方には、神鍋スキー場がありました。今でも、良質な雪の積もる非常に良いスキー場ですが、この神鍋も、神奈備と同じだと思います。
この神奈備は、神が降臨する場所と考えられていたようです。神は降臨すると、何かに宿るのですが、その依り代が、神籬(ひもろぎ)と呼ばれた高木であったり、磐境(いわさか)・磐座(いわくら)と呼ばれた岩だとされていました。
神は天の上に住むと思われていたようで、高い場所に降臨すると考えられていたようです。
日本の神が世界の神非常に面白いのは、神には神の世界があり、神もまた親子関係を持ち、人間と同じような世界を構成していると考えられたことです。そこには、先祖代々の系譜が存在しています。
では、そのような神々の祖先とはどのような神であったのか、その大元の系譜を今回は紐解いてみたいと思います。そこでは、この世界の捉え方、古代人の世界観を垣間見ることができるのです。
古事記では、最初、天と地が分かれると、高天原に高御産巣日神(タカミムスビ)、神産巣日神(カミムスビ)そして、天之御中主神(アメノミナカヌシ)が生まれます。よく言われるのが、高御産巣日神がお父さんで、神産巣日神がお母さんだと言う言い方です。この三神こそが万物創造の神様です。全ては、この三神から始まったのです。
次に生まれて来るのが、生命の息吹を感じさせる葦の芽吹く様子を示した宇摩志阿斯訶備比古遲神(ウマシアシカビヒコヂ)と天之常立神(アメノトコタチ)が生まれます。天之常立神は、ちょうど赤ちゃんが最初に立ち上がろうとする時の姿のように、立ち上がることの神様です。国之常立神(クニノトコタチ)は、国が立ち上がる神でしょうか。天(アメ)は、神の世界。国(クニ)は人の世界です。天と国は、対で表現されます。
次は豊雲野神(トヨクモノ)で空に浮かぶ雲が生まれます。雲野と言っていますから無限に広がる空のことかもしれません。次に産まれた神は宇比地迩神(ウヒジニ)と妹の須比智迩神(スヒジニ)です。ここで初めて、男女が対となる神が生まれます。ウヒジニ、スヒジニは、ウヒスヒ、つまり「浮き沈み」です。ジニは、にじむのジムでしょうか。
そして、角杙神(ツノグヒ)と妹の活杙神(イクグヒ)が生まれます。ツノグヒ、イクグヒ。角も活も生命力を表すように思います。グヒは、グムで始めると言うことだと思います。
次が意富斗能地神(オオトノジ)と妹の大斗乃辨神(オオトノベ)です。トノジは男性器であり、トノベは女性器であると考えられています。ようやく男女が交わる段階までやってきます。
次が淤母陀流神(オモダル)と妹の阿夜訶志古泥神(アヤカシコネ)です。オモダルは「主に足る」として、満足できること。アヤカシコネは、「あやに畏(かしこ)し」です。万葉集に載る大伴家持の歌に「かけまくも、あやに畏(かしこ)し、我が大君」とあるのと同じで、本当に素晴らしいと言う意味です。つまり、男女としてここに完成するのです。
そして、有名な伊邪那岐命、伊邪那美命が生まれ、国生みを始めるのです。イザナギとイザナミこそが、全てを生み出すことのできる完璧な男神と、女神なのです。人類創世のような偉大な物語が神々の名前で語られて、ようやくイザナギとイザナミにたどり着くのです。
ここからは、イザナギとイザナミによる、地上世界の創造に変わります。
最初に国土が生まれます。まずは、土地から始まるのです。4つの顔を持つ四国、隠岐の島、同じく四つの顔を持つ九州、壱岐、対馬、佐渡、本州を産みます。吉備児島、小豆島、大島、女島、知訶島、両児島。と生まれます。ここには、東日本が全く記載されていません。8世紀、古事記が作られた時代であってさへ、日本が治めていたのは瀬戸内海を中心とした西日本だけだったようです。
国を生み終えると、次に神を生んだと記載されます。
最初の、大事忍男神(オオコトオシオ)は、何の神だかわからないと言われています。次の、石土毘古神(イワツチビコ)は石と土。石巣比売神(イワスヒメ)は石と砂。次の大戸日別神(オオトヒワケ)は、大きな戸ですから、入り口か門のことです。 天之吹男神(アメノフキオ)は、「吹く」ですが、これは「葺く」だと言われています。つまり、屋根の神。 大屋毘古神(オオヤビコ)は、大きな建物。 風木津別之忍男神(カザモツワケノオシオ)は、風除けのことでしょうか。
これらの神は、建物の材料や構造の神だとして、家宅六神と呼ばれています。 最初の大事忍男神は、何の神かわからないから、家宅六神に含めないと言う身勝手な分類方法がなされていますが、同じ一連の神であるのですから、建造物に関わるもののはずです。私は、地震や噴火などの一大事においても耐えることのできる、しっかりした構造、もしくは土壌の神だと理解しています。つまり、建造物七神であると考えます。
国を産んだ後に生まれたのは、その土地に建物を建てるために必要な神々と言うことになります。ただ、もう一歩進んで考えるなら、大戸や、大屋がありますので、集落を形成するための神であったのかも知れません。
次に生まれるのは、水の神々です。人が生きていくための最も重要なものとして、水の神が最初に登場してきます。
大綿津見神(オオワタツミ)は有名な海の神です。 次の水戸神(ミナト)は、港の神でもいいのかもしれませんが、現在の意味での「港」ではなく、あくまで水の入り口としての水戸です。
同じ名前を持つ茨城県の県都である水戸市は、そのホームページで次のように解説しています。「古代から海や川の水の出入口は「みと」または「みなと」と呼ばれていました。水戸の場合も、那珂川と千波湖との間に突き出した台地の先端が「みと」と呼ばれたのは、その地形上の特色に基づくものといえます。」
そして、その子の速秋津日子神(ハヤアキツヒコ)と速秋津比売神(ハヤアキツヒメ)の二柱の神が、河と海を分けたとしています。沫那芸神(アワナギ)が海の凪を作り、と沫那美神(アワナミ)が海の波を作ります。 次が頬那芸神(ツラナギ)と頬那美神(ツラナミ)です。頬(つら)は、面(つら)で水面のことと考えられています。 後者は、湖か瀬戸内海の神でしょうか。
次が天之水分神(アメノミクマリ)と国之水分神(クニノミクマリ)です。水分(ミクマリ)と言うのは、文字通り水を分けることです。稲作が国の根幹であるわけですから、水田への水の分配は最も重要なことであったのだとわかります。「クマリ」は「くばる」へ転化していったようです。
そして、天之久比箸母智神(アメノクヒザモチ)と国之久比箸母智神(クニノクヒザモチ)が産まれました。 久比箸母智(クヒザモチ)と言うのが、なかなか想像がつきませんよね。辞書で調べると、瓢箪のことと書かれています。ひょうたんに水を入れて飲んだから、水の神などと言われているようですが、それも少しおかしな話です。これは、どう考えても「柄杓(ひしゃく)」のことだと思います。つまり、水をすくう道具としてここに登場するのです。
「次に風の神、名は志那都比古神(シナツヒコ)を生み、次に木の神、名は久久能智神(ククノチ)を生み、次に山の神、名は大山津見神(オオヤマヅミ)を生み、次に野の神、名は鹿屋野比売神(カヤノヒメ)を生みき。亦の名は野椎神(ノヅチノカミ)と謂ふ。」これは、本文そのままです。風、木、山、野、私達が日々目にする世界が作られて生きます。
ノヅチは、野槌と書いて伝承上の生き物を表しています。ノヅチの子供が、ツチノコです。先日、妖怪図鑑の中に記載されているのを偶然見つけて驚きましたが、取り様によっては、確かに、妖怪でありマヤカシの一つになるのだと思います。これは、本来精霊であったものが、生き物としてのイメージが被さったことで妖怪になったのではないかと考えるのです。
大山津見神(オオヤマヅミ)と野椎神(ノヅチ)は山と野の神を分担して生んだとも書かれています。
まずは天之狭土神(アメノサヅチ)と国之狭土神(クニノサヅチ)を生みます。 天と国が分かれるのは、まず、天上の神の世界の中に作られ、その後、人々が暮らす地上に作られたと言う意味であると思います。ここでの狭土(サヅチ)は、稲作を行うための土地を指していると思われます。
次に天之狭霧神(アメノサギリ)と国之狭霧神(クニノサギリ)を生みます。 狭霧(サギリ)とは、霧のことで間違い無いと思います。霧が山や野にかかる現象は、大気の温度が下がり空気中の水蒸気が水滴になることで発生します。必ず、冷んやりとした外気の中で起こりますから、人々は身を引き締めます。視界がなくなりますから、超常現象のように感じるかもしれません。私は、神による意思表示だと感じていたのでは無いかと考えるのです。
次に天之闇戸神(アメノクラト)と国之闇戸神(クニノクラト)を生みます。 この闇戸は、暗い場所ですが、そこは日が差し込まない場所という意味で、谷を示しているというのが一般的な解釈です。
次に大戸惑子神(オオトマトヒコ)と大戸惑女神(オオトマトヒメ)を生みます。この神は非常に面白いですね。これまでの神々が、自然界に存在するものでしたが、この神は違います。
戸惑(トマト)は、「とまどう」で、途方に暮れることです。山に入ると、整備された山道を歩いている限り、迷うことは少ないですが、一度、山道を外れてしまうと、視界が広がらないことから、よく自分がどこを歩いているかを見失います。古代の人々にとっては、特に、山の道を整備するということはなかったでしょうから、迷子になることも多かったのでは無いかと思います。それが当たり前のことと考えられいたのです。逆に言えば、山は人が立ち入るべき場所ではなかったのかもしれません。
次に生んだ神は鳥之石楠船神(トリノイハクスフネ)、別名を天鳥船(アメノトリフネ)と言うと書かれています。神が乗る船です。船であるのに、鳥であるのは空を飛ぶと考えられていたからです。神は天の上にいると考えていたためです。 
次に大宜都比売神(オオゲツヒメ)を生みました。 食べ物の神様です。古代の言葉で、食べ物は「ケ」と言いました。五穀や養蚕は、この神から生まれました。後に、スサノオに殺されてしまいます。
次に生まれるのが、火の神です。火之夜芸速男神(ヒノヤギハヤオ)、 火之炫毘古神(ヒノカガビコ)、 別名を火之迦具土神(ヒノカグツチ) です。ヤギは「焼く」でしょうか。カガは「輝く」なのだと思います。ヒノカグツチのツチは、ノヅチのツチと同じで、精霊ということだと思います。このカグツチを産んでイザナミは女陰を焼けどして死んでしまいます。
死の直前の苦しみからも神が生まれます。苦しみとは、何かを生み出すためには必要な事と考えられていたのかもしれません。
嘔吐して生まれたのが 金山毘古神(カナヤマヒコ)と金山毘売神(カナヤマヒメ)。 鉱山、金属の神様です。苦しみから脱糞し、糞から生まれたのが 波邇夜須毘古神(ハニヤスヒコ)と波邇夜須毘売神(ハニヤスヒメ)。 埴輪(はにわ)のハニです。ハニヤスは土から形を生み出すことのようです。
苦しみから失禁し、尿から生まれたのが 湧き水の神の弥都波能売神(ミズハノメ)と和久産巣日神(ワクムスビ)です。和久産巣日神の子供は富宇気毘売神(トヨウケビメ)だと書かれています。トヨウケは、今、伊勢神宮の外宮で祀られている神様で、食物の神です。ワクムスビのムスビは、「実を結ぶ」のムスブなのだと考えます。 
「イザナギとイザナミが産んだ島は14島、 神は35柱となりました。 」として締めくくられます。
イザナギやイザナミにより、島ができ、集落ができ、海と川ができ、野ができ、山ができ、霧ができ、谷ができ、風ができ、木ができます。自然の形、目に見える風景は神が一つ一つ生み出したものと考えられていたのです。そして、神が乗る船ができ人間の住む地上にもやってきます。食べ物ができ、飲み水ができ、火ができ、人は暮らすことができようになります。
一切の虚飾もなく、ただ、私たちの見える風景と食べ物と、水と、火がある。神が作った自然にただただ感謝し、全ての自然災害を受け入れてきた日本人の原点を強く感じるのです。そして、苦しみの中から、金属、陶器、そして、生産される食物が生まれる。つまり、加工物を作るためには、苦しみと交換しなければならないのです。
確かにそうだなと、納得してしまいます。古代の人々の考え方は、今も私たちの中で生き続けているようです。
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<<編集後記>>
昔、私の知り合いのフランス人は、日本には外交がないと言っていました。交渉ごとが本当に下手だと思います。これは、日本人、特に関東の人の気質かもしれません。関西では、物を値切って買うのが当たり前ですが、それさへも嫌なことだと思う人がいるようです。
手の内を全て見せた上で、相手に気持ちを問うことが正直で良いことと考えているようです。そこには、取引は生まれません。
一方で、北朝鮮はいつもながら大したものです。最小限のもので最大の果実を得ようとしています。ディールの帝王トランプ氏もうかうかしてると足元を掬われるかもしれません。

<発行者> 株式会社歴史探求社
<公式サイト> www.rekitan.co.jp
<問い合わせ> web@rekitan.co.jp
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