古代史探求レポート

天皇の即位と年齢


カテゴリー: 2018年01月16日
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
古代史探求レポート 2018年1月17日号
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

天皇陛下の譲位を受けて、皇太子様の即位の準備が着々と進んでいるようです。先日も「即位礼正殿の儀」を2019年10月に実施することで準備されているとの報道がありました。即位礼正殿の儀とは、日本を国と認める各国の代表を招き、その前で新天皇の即位を宣明する儀式のことです。私達の生活の中で言う所のお披露目会になります。「宣明」と言う単語も、あまり使わないのですが、現在の天皇が即位礼正殿の儀で、「即位を内外に宣明いたします」と述べられました。
正殿とは何かと思われるかもしれませんが、これは皇居の中にある公的行事や政務を行う場、その全体を宮殿と呼びますが、その中にある正殿と呼ばれる建物のことです。昔は、この宮殿のことを朝堂院と呼びました。天皇は早朝に政務を行なったと言われています。このことから朝堂院と名付けられたようです。
朝堂院の中の北端中央にある最も大きい威厳のある建物が太極殿でした。もともと、万物の中心という意味ですから、それこそ、日本の中心の中心が朝堂院の中にある太極殿であったのです。奈良に行くと平城京跡に太極殿だけが復元されています。
昔は、即位礼はこの太極殿で行い、その後は京都にある御所の紫宸殿で行われました。昭和天皇も即位の礼も、皇居ではなく御所の紫宸殿で行いました。京都で行うのがしきたりであったのです。
皇居の中の正殿で行うようになったのは、現在の天皇が初めてのことでした。ある意味画期的なことであったのです。次の天皇も、皇居の正殿の松の間で実施されます。松の間の写真は宮内庁により公開されていますので、興味のおありの方は宮内庁のホームページで見ていただければと思います。
平城京の太極殿には、高御座と呼ばれる天皇がお座りになる玉座が据えられています。古代は、ここに座って宣明されたのかと推測します。現在も、皇居の正殿の中に高御座は設置されます。皇后が座る場所は、御帳台と呼ばれます。呼び方は異なりますが、今の天皇の時は高御座と同じデザインのものが使われ、並べて置かれました。
実際に皇太子様が即位されるのは、5月1日と決まりました。では、5月1日には何を実施するのかというと、「剣璽等承継の儀」と「即位後朝見の儀」だけになる予定です。
剣璽等承継の儀とは、いわゆる、天皇としての証である「三種の神器」を引き継ぐ儀式です。これを手に入れることで、天皇になることができるのです。
足利尊氏が光明天皇を立てて北朝を唱え室町幕府を作った時も、後醍醐天皇は「北朝の神器は偽物であり、本物を持つ自分の南朝が正当である」と主張しました。この足利政権が内紛を起こした観応の擾乱で、南朝が京都を奪還。この時、北朝の三種の神器も南朝側に抑えられてしまいました。北朝は、その後も続くのですが、長い間どちらが正統であるかが議論されてきました。明治天皇は、三種の神器があったのは南朝側であるから、南朝が正統であると結論付けられたのです。
このように、天皇であることの証明となるのが、この三種の神器なのです。それを継承するのが、剣璽等承継の儀となります。剣璽等の「剣」は、天叢雲剣、別名、草薙剣です。スサノオがヤマタノオロチの中から見つけ、その後、アマテラスに献上し、アマテラスから天孫降臨の瓊瓊杵尊に渡され、倭姫命により伊勢神宮へ。そして、ヤマトタケルに渡され、今は熱田神宮に保管されています。その形代が天皇の元に置かれているのです。
「璽」は、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)のことです。璽は元々中国においては皇帝の印章を言いました。始皇帝によって使われた言葉とされています。ですから、本来ならば、卑弥呼がもらった金印こそが、倭の王である印章ということになるのですが、その印が受け継がれているわけではありません。今でも「天皇御璽」と彫られた金印が天皇により使われています。1辺が9センチ程の大きな正方形の印になります。剣璽等の「等」とは、この御璽のことを言い、御璽もまた継承されるのです。
八尺瓊勾玉は、アマテラスが岩戸に隠れてしまった時に、玉祖命(たまのおやのみこと)が作った勾玉です。この勾玉もまた、天孫降臨の際に瓊瓊杵命に渡されました。これは、本物が天皇の元に置かれています。壇ノ浦の戦いで沈んでしまったものを、源氏によって回収されたとされています。
三種の神器のもう一つは、鏡です。八咫鏡(やたのかがみ)もまた、アマテラスから瓊瓊杵命に「自分だと思って見よ」と渡された物です。本体は伊勢神宮に置かれていますが、形代が宮中にも置かれています。ただ、鏡は宮中の賢所に置かれており、天皇の手元に置かれるというものではありません。八咫は大きさを示しており、直径約46cmの鏡です。ちなみに、宗像大社の鏡も、八咫の鏡だと言われています。
即位後朝見の儀では、 即位後初めて三権の長(内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官)に会う儀式です。考えてみれば、剣璽等承継の儀も、即位後朝見の儀も実質、5分もあれば終わってしまうものなのですが、そこに至るまでの準備が大変ということなのでしょうか。
引き継いだ剣や勾玉を箱を開けて見るということは絶対にないようです。あくまでも見てはいけないものとして、受け継がれているのだそうです。八尺瓊勾玉の箱をあげると「親魏倭王」の金印が入っていたりすると日本中がひっくり返るかもしれません。平安時代、冷泉天皇が開けようとして止められたという記録が残されているようです。
実際、その箱に入っているものを見た人はいないのです。何度も焼失したという噂も流れました。もしかすると、その度に作り直されたのかもしれません。ただ、石ですから焼けてしまうということはないようにも思います。
誰も見たこともないものを、誰も見ないまま、延々に継承し続けるというのも本当に面白いことだと思います。誰も実体を知らないものを持っていることが天皇としての証なのです。何のパラドックスなのかと思わせるこの事実が、日本における最も厳格で日本の象徴となる天皇であることの証明方法なのです。
このような神秘性は、人とも神ともつかない権威を保つために必要なのかもしれません。やはり天皇の存在とは、合理性や現代科学とは全く異次元に存在しているものだということなのだと理解するしかないようです。
稲作の国日本における最も重要な儀式は、大嘗祭(だいじょうさい)になります。即位した天皇が、潔斎して神とともに今年収穫された米を最初にいただく儀式です。毎年行われるのが新嘗祭であり、即位した天皇が最初に行うものを大嘗祭と呼びます。日本という国が、稲作というものに、如何に真摯に向き合い大切にしてきたかがわかる行事です。
大嘗祭が始まったのは、皇極天皇の頃のようですが、正式な儀式として定着したのは天武天皇の時になります。この大嘗祭は2019年の11月に行われることが決まっています。5月に即位し、10月にお披露目し、11月に最も重要な神事を実施するのが一連の即位の儀式のスケジュールです。
今回は、皇太子様が59歳での即位です。還暦を前にした高齢での即位のようにも思えます。古代の天皇はどのような年齢で即位していたのでしょうか。
信長が、人生50年と舞ったように、古代の平均寿命は50歳にも届かなかったかと思われます。しかしながら、日本最初の正史である日本書紀は、日本の創立を辛亥の年にするために大きく年代を変えられ、それに引きづられて各天皇はありえない程長寿で、即位の年齢も非常に高くなっています。
例えば、日本書紀の年代を信じるのであれば、崇神天皇は52歳で即位しましたし、景行天皇は83歳で即位したことになります。ただし、崇神天皇は120歳まで生きたことにされていますし、景行天皇は143歳まで生きたことにされています。従って、これらの年齢は全く信用できません。
比較的、信用できる記録の中では、皇極天皇は48歳で即位しましたが、その後譲位し、斉明天皇として重祚した年は61歳でした。この、斉明天皇が最高齢での即位であったかもしれません。
奈良時代には、度重なる政変が起こり多くの親王が淘汰されていく中、生き残り皇位についたのが光仁天皇でした。光仁天皇は志貴皇子の子供、即ち、天智天皇の孫にあたります。即位したのは61歳でした。この後、11年間皇位につきますが、娘が亡くなり気力が衰えたのでしょうか。病気を理由に譲位すると、その年の末には亡くなってしまいました。
平安時代の初め頃に天皇についた光孝天皇も、遅咲きの人生でした。仁明天皇の子供として産まれながら、52歳でようやく親王の筆頭となり55歳で即位しました。不遇な人生を送り、かつて自分が炊事をして煤がこびりついてしまった部屋をそのままにして、自分の苦しかった時を忘れないようにしていたと徒然草に伝えられています。皇位は3年間でした。光孝天皇の時、政務を担当したのは、日本で最初の関白であった藤原基経でした。清和、陽成、光孝、宇多の四代の天皇の政権を支えたのです。
摂関政治や上皇制度が定着してからは、10代かそれ以下で皇位を継承することが常となり、高齢で即位するということがなくなりました。織田信長の時の正親町天皇(おおぎまちてんのう)が40歳で即位したのが、例外的に高齢であり29年もの間皇位について、信長のみでなく、豊臣秀吉の時代も過ごしました。69歳で譲位した後も、上皇として皇室のトップであり続けた天皇です。
後は、現在の天皇が56歳で即位されたのが高齢での即位だったのです。現在の皇太子は、歴代天皇の中で、景行天皇、斉明天皇、光仁天皇に次いで高齢での即位となるのです。
しかし、今の60歳と昔の60歳は大きく違います。干支は60年で一巡することになります。ちょうど、誕生した年の干支に戻るので、暦(こよみ)が還るとして還暦と呼ばれます。昔は、還暦まで生きることが非常に珍しいことでしたが、現在の平均寿命は80歳をはるかに超えています。
通常の大企業においても、60歳で社長に就任するというのは、それほど珍しいことではありません。そう考えると、物事を俯瞰して眺めることのできる60歳で天皇として即位するのも決して違和感のある話ではないと考えます。あくまで、象徴天皇であることを求められている現代の日本においては、かえって若くして即位するより、ずっとその求められる姿に合致するのではないかと考えます。
私などは、どうしても長かった昭和世代でありますから、天皇のイメージも昭和天皇のイメージが強く残ります。昭和天皇は、その前の大正天皇が病に陥ってしまったことから、20歳で摂政に任命され政務を行いました。二年後には関東大震災に見舞われ結婚を延期、24歳では、陸海軍大佐に昇格した人でした。そして第二次世界大戦の参戦を決定し、ポツダム宣言の受け入れを決定します。この時44歳です。
日本国の全ての責任を負わされながら、天皇の職務を遂行されました。この過酷な任務を負わされることは、もうないのだろうと信じたいと思います。87歳で崩御されるまで天皇であられた天皇でした。在位、63年は信用できる歴史の中で最長でした。
日本において、天皇が変わるということは、時代が変わるのと同じ意味を持ちます。2019年から始まる新たな時代は、日本にとって最も躍進し、輝きを放つ時代であることを、心から期待するものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<<編集後記>>
韓国の文大統領と言う人は、大統領という立場を誤解しているのではないでしょうか。大統領とは、指導者です。国民の声を聞く人ではなく、国民を正しい方向に導く人です。
私には残念ながら、彼が何をしたいのかがよくわかりません。八方美人になるというのは、信念がないということと等しいのではないでしょうか。

<発行者> 株式会社歴史探求社
<公式サイト> www.rekitan.co.jp
<問い合わせ> web@rekitan.co.jp
<登録・解除> http://www.mag2.com/m/0001587982.html  

古代史探求レポート

RSSを登録する
発行周期 ほぼ 週刊
最新号 2018/01/16
部数 595部

このメルマガを購読する

ついでに読みたい

古代史探求レポート

RSSを登録する
発行周期 ほぼ 週刊
最新号 2018/01/16
部数 595部

このメルマガを購読する

今週のおすすめ!メルマガ3選

相馬一進の、1億稼ぐビジネスの本質|マーケティングと心理学
・天職で1億稼いだ相馬一進が、お金、自己啓発、仕事について、 心理学とマーケティングの側面から語る本格派メールマガジン。 ・著者の相馬一進は、ダライ・ラマ14世や、『7つの習慣』の スティーブン・コヴィーや、リチャード・ブランソンなどの、 海外セミナーへの日本人ツアーを企画、集客した実績を持つ。 ・最先端の起業・副業のノウハウや、マーケティングの原理原則、 生活の中からストレスを減らす方法、モチベーションの心理学、 複数の収入源を持つ方法、働く時間を減らす秘密などを配信中。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

ゼロから始める不動産投資
はじめまして、椙田拓也です。このメルマガでは、ゼロから不動産投資を始めるための具体的な手法を解説しています。 ◎ゼロから始めて4年で14棟102室を購入した方法を大公開! ◎書籍『空室率70%でもキャッシュが回る非常識な不動産投資術』(ごま書房新社)になった方法を大公開! ◎メルマガ読者特典として、椙田が運営する不動産投資会社で無料個別面談を実施中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

幸せを引き寄せるメール
毎朝7時に配信します。ゴールデンセレブヒーリング創始者本藤弘美があなたの人生をより豊かに幸せにするハッピーナビゲーション情報をお届けします。夢を叶えたい人、幸せになりたい人、心身共に健康になりたい人、人間関係を良くしたい人、豊かになりたい人に。読んでいると波動が上がります。GoldenCelebとは黄金の祝福。あなたの成功を祝福します。あなたにすべての安らぎと愛と豊かさと幸せがやってきます。♥
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

ゼロから始める不動産投
はじめまして、椙田拓也です。このメルマガでは、ゼロから不動産投資を始めるための具体的な手法を解説しています。 ◎ゼロから始めて4年で14棟102室を購入した方法を大公開! ◎書籍『空室率70%でもキャッシュが回る非常識な不動産投資術』(ごま書房新社)になった方法を大公開! ◎メルマガ読者特典として、椙田が運営する不動産投資会社で無料個別面談を実施中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

『資金調達など経営者の悩みを真に解決するマガジン』
経営コンサルタントが実践から得た経験や知恵を基に、経営に役立つ「本日の経営者への一言」と、実際にあった話を基に実名を出さずに「実話風読物(カードローン取立との戦い等)」に仕立てた読物との2部構成で綴られたメルマガです。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

首都圏不動産インサイドニュース
不動産業者がゼッタイ言わない最新の業界ウラ事情をリアルタイムで暴露します!!不動産投資で儲けよう!と意気込んでいるあなた。家族を守り夢を叶える手堅い不動産投資ですが数億円の借金を負う100%自己責任の事業。海千山千の業者相手に知識武装は万全ですか?「まかせっぱなし」は命取りです。かく言う私も業者ですが、不動産に携わる者として不幸な投資家さんをゼロにしたい。本気です。業界経験13年のプロとして真実だけをお伝えします。業者と対等な立場で戦ってください。決して損はさせません。村上しゅんすけ
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング