F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-

【F.M.Letter No.136】


カテゴリー: 2018年01月31日
◇フード・マイレージ資料室 通信 No.135◇
 2018年1月31日(水)[和暦 師走十五日]発行
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◆ F.M.豆知識   日本の輸入食料のフード・マイレージ(1人当り)
◆ O. カレント 下里あったか塾
◆ ほんのさわり  藤原辰史『戦争と農業』
◆ 情報ひろば   ブログ更新、イベント情報等
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 先週、東京地方は4年ぶりの大雪が降り、その後も記録的に寒い日が続いています。全国のインフルエンザ患者数は過去最多とのこと。世の中の流行などとは無縁の人生を歩んできた私も、とうとうB型(B級?)でしばらく閉門・蟄居中でした。
 時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月の日)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は師走十五日の配信です。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるようなデータの断片を、毎回一つずつ、コツコツと紹介していきます。

-日本の輸入食料のフード・マイレージ(1人当たり)-

 日本の輸入食料のフード・マイレージの総量が韓国・アメリカの約3倍、イギリス・ドイツの約5倍、フランスの約9倍という水準に相当すること、近年は穀物等の国際価格高騰の状況を反映して若干縮小している状況等を紹介しました(リンク先の図89)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/89_FM.pdf

 今号では、1人当たりのフード・マイレージについて紹介します。
 フード・マイレージとは国全体の輸入量に輸送距離を掛け合わせた指標であるため、その総量は国の人口や経済規模に大きく左右されます。そこで、フード・マイレージを人口で割って1人当たりのフード・マイレージをみたものが、リンク先の図90です。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/90_FM2.pdf

 これによると、日本の一人当たりのフード・マイレージは約 6,628トン・キロメートル(t・km/人、2016年)となっています。
 諸外国と比較すると、韓国は人口が日本の約4割であるため1人当りフード・マイレージは日本にかなり近くなります。一方、アメリカは日本の2倍以上の人口を擁することから、1人当たりフード・マイレージは日本の1割強の水準となります。西欧諸国は日本より人口が少ないため、1人当たりで見ると総量よりは日本に近くなるものの、それでも3~5割程度の水準にとどまっています。
 このように、総量で見ても1人当たりで見ても、日本の輸入食料のフード・マイレージは諸外国に比べて大きなものになっています。

 また、図90は輸入相手国別に表示してありますが、日本の輸入食料のフード・マイレージは特定の輸入相手国に偏っていることも分かります。

[参考]
 中田哲也『フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える』([新版]2018.1、日本評論社)pp.132~134
 https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7625.html

◆ オーシャン・カレント -潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。

-下里あったか塾・環境アグリマネージメントスキル取得講座-

 地域を生かすのは「志」と「人」ですが自分の想いを形にするためにはスキルが必要です。本講座はマクロやミクロ、SWAT、5P分析手法を用いて、地域資源を徹底分析し活用する“構想力”と“実行力”を伴ったスキルの取得を目指すものです。
 主催は、埼玉・小川町で市民目線で地域づくりに取り組んでいるNPO法人 生活工房「つばさ・游」。理事長の高橋優子さんは、「6回の講座が終わった時、自分のやりたいことが明確になっているでしょう」と語っておられます。ご関心のある方はお問合せ下さい。

 カリキュラム(会場はいずれも小川農村センター(小川町下里472))
2018年2月10日(土)13:00~17:00、都市農村交流ビジネスモデル概論
 3月 3日(土)10:00~17:00、地域視察と農村資源の捉え方
 4月14日(土)13:00~17:00、都市のニーズ
 5月19日(土)13:00~17:00、ビジネスモデル設計
 6月 9日(土)13:00~17:00、事業計画の立案・プレゼン方針
 7月14日(土)13:00~17:00、参加者プレゼン大会

 講師は四方田清氏(「えがおの学校」元世話人、NPO子どもと生活文化協会理事)、小原壮太郎氏(一社the Organic代表理事)ほか。

[詳細]生活工房「つばさ・游」
  http://tubasa-u.com/
(チラシ・表)http://tubasa-u.com/attaka1.pdf
(チラシ・裏)http://tubasa-u.com/attaka2.pdf

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。

-藤原辰史『戦争と農業』(2017.10、集英社インターナショナル新書)-
 http://i-shinsho.shueisha-int.co.jp/kikan/015/

 著者は1976年北海道生まれの京都大・人文学研究所准教授。専門は農業技術史、食の思想史。
 気鋭の歴史研究者であると同時に、子育て世代の女性等を対象とした「食堂付属大学」の開催など市民活動にも積極的に取り組んでおられる方のようです。(藤原先生の著作は、今回、初めて読みました)。

 20世紀の人口増加を支えた革新的な農業技術の集合体(トラクター、化学肥料、農薬、品種改良等)は、農業の生産性を上昇させただけではなく、これらが軍事技術に転用されること等によって、戦争のあり方を大きく変えてきたという歴史的事実が明らかにされます。
 すなわち、キャタピラを有して不整地に強いトラクターは「戦車の母」に。工業的に大量生産されるようになったアンモニアは火薬生産に活用。一方、戦争目的で開発された毒ガスは、農薬として「平和目的」に転用されたのです。

 つまり、人間が生きていくためにかけがえのない農業のために発達させてきたはずの技術は、人間を大量に殺す戦争を支える技術の基盤と共通しているというのです。

 また、第二次世界大戦時には「飢え」が武器として使用されたこと(ナチスの飢餓作戦、大陸封鎖等)、日本窒素肥料(後に水俣病を起こすチッソ)の朝鮮子会社が日本の大陸進出に必要な資材を供給した事実等も紹介されています。

 そして、農業の生産性を向上させると同時に戦争の原因にもなった「競争の仕組み」は、現在の社会をも規定しているとします(例えば飢餓と飽食の共存、特定少数の大企業に奉仕するフードシステム等)。

 しかし、歴史に学ぶ著者は決して絶望せず、食べることの原点に立ち戻るのです。
「食べるという行為は、微生物など周囲の環境や生態系ともつながっている。自然と人間が繰り広げる壮大な劇への参加でもある」
「それゆえに、食とは、現代社会を覆う根本的な仕組みの見直しにとってふさわしい場所」であるとし、アイディアを協力して編み出し、小規模に実践・検証していくべきとしているのです。

 具体的には、付加価値追求ではなく新しい仕組みの要として有機農業を位置づけなおすこと、伝統作物の重視など種子を選ぶこと、発酵食の見直し、食べる場所の再設定(「子ども食堂」を含む)等を提言されています。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ おしどりマコ・ケンの新春おはなしライブ[1/19]
 http://food-mileage.jp/2018/01/19/blog-73/

○ こどものための名画おはなし会(第1回)[1/19]
 http://food-mileage.jp/2018/01/19/blog-74/

○ たまごのひみつ~福島で育てる1パ ツク830円の卵のはなし[1/20]
 http://food-mileage.jp/2018/01/20/blog-75/

○ 講演会「河合弘之弁護士が語る!」[1/27]
 http://food-mileage.jp/2018/01/27/blog-76/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 『菌ちゃん野菜で元気な子育て』講演会&日野市立幼稚園での取り組み報告
 日時:2月3日(土)14:00~16:30
 場所:イオンモール多摩平の森(東京・日野市多摩平2)
 講師:吉田俊道氏(大地といのちの会)
 主催:ひの・まちの生ごみを考える会
 (詳細、お問合せ等↓)
 http://tamadairanomori-aeonmall.com/news/event/1215

○ 宮沢賢治研究会 2月第297回例会
 日時:2月3日(土)13:30~16:30
 場所:氷川区民会館(東京・渋谷区東2)
 主催:宮沢賢治研究会
 (詳細、お問合せ等↓)
 http://kenji-society-1.sakura.ne.jp/wp02/

○ 「第4の革命~エネルギー・デモクラシー」上映会&トーク
 日時:2月10日(土)13:30~15:45
 場所:生活クラブ館 地下スペース(東京・世田谷区宮坂3)
 主催:生活クラブ東京
 (詳細、お問合せ等↓)
 https://tokyo.seikatsuclub.coop/life/course/school.html

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*今号のコツコツ小咄。
「気配りって難しいね。まるで俳句の五七五だね」
「えっ、どういう意味?」
「足らないこともあれば、余ることもあるもの」
 コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも掲載してあります(先週はほとんどお休みしました)。
  http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.137は 2月16日(金)[和暦 睦月朔日]の配信予定です。いよいよ和暦でも新しい年を迎えます。
 より役立つ情報発信に努めていきたいと考えていますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  http://food-mileage.jp/
 ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
  http://food-mileage.jp/category/blog/
 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/

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