九雀通信

師弟奮闘


カテゴリー: 2015年09月23日
九雀です。
すっかり秋になりました。

家内・高橋まきにお囃子の弟子さんが来て、早や半年が過ぎました。
これを6回繰り返したら、噺家で言うところの年季修行が終わるわけで、周りの人間からすればあっと言う間です。

ちなみに枝雀一門は2年で年季明けでしたので、これよりもさらに短かかったのです。
但し、修行中の本人には、めちゃくちゃ長く感じられるのです。
2年でそうでしたから、3年の内弟子は相当に長く感じられたのではないでしょうか。

でもね、でもね。言い訳がましいですが、枝雀家はお内儀さん(我々はねえさんと呼びました)も内弟子経験者なので、師匠とお内儀さんのダブル教育システムです。
期間は短いですが、英才教育、短期集中講座だったと思っています。
有り難いことでした。

さて、本題に戻りまして、師匠・高橋まきと弟子・岡野鏡の師弟は、まことに良え感じで修行が進んでおります。

ここで言う「良え感じ」とは、「仲良く」でもなければ「和気藹々」でもありません。
弟子は、師匠の動作、心理にビクビクして、物を言うのにもタイミングを計っております。
師匠は、他人が我が家へ入って来たことになんとなく理不尽さを感じ、自分が思うほどキビキビしない弟子にイライラする毎日です。

そう。これぞ師弟関係です。昨日まで他人だった者同士が、疑似家族になるんです。そんなすぐになれるはずがない。
昨日まで学生だった子が、師匠の思い通りに動けるわけがない。

内弟子を置いた経験のある師匠ならわかります。内弟子になった者も、今ならわかります。
この期間を経て、うちの息子達と兄弟になり、行儀も芸もなんとか一人前になった頃、いつの間にか家族になっている。
そういうものです。

私には弟子がおりませんが、昨今の噺家の師弟関係を見ていると、師弟が仲良すぎます。
師匠が怖くなさ過ぎます。弟子さんたち伸び伸びしすぎです。関係が平等すぎます。会社の上司と部下みたいです。
それで芸が伝わるなら、とっくの昔にそうなってるはずです。
師匠・枝雀曰く「疑似親子にならないと伝わらないものがあるからこそ内弟子制度がある」
私はこの言葉を信じています。
「まき=鏡」のケースはお囃子の師弟ですが、側で見るにつけ、週1回とか通って、技術だけ習いに来ても、まぁ伝わらんかったやろなぁ、とつくづく思います。

とは言え、よく言われる言葉。
「弟子を置く師匠のほうが大変」
ほんまその通りです。
師匠のほうは、今まで考える必要もなかった「他人を受け入れる度量」を試されるわけですから。
弟子が「自分を捨てて」修行に励むのは当たり前ですが、師匠もある意味、自分を捨てないとできません。

というわけで再び、よく言われる言葉。
「弟子を取ると師匠が成長する」
当たり前です。自分を捨てるわけですから。
再び枝雀曰く「まず自分より他人を先にしなさい」
これを実践しているわけですから。

自分の時間を弟子の稽古に割きます。
自分が怠けたいと思っても弟子の手前できません。
自分が体でなんとなくわかっていることを、子どもにわかる平易な言葉で伝えないといけません。
これで成長しないはずがない。
でも弟子が来ないと、これはなかなか実践する機会は訪れません。

冒頭に「本人にとって年季修行は長く感じる」と書きました。
感じたのは事実なんですが、「そらぁ何を抜かすねん」と今の私は、10代の私を叱りたい。
「弟子」という一途そうな、美化された言葉にごまかされていますが、
つらつら考えてみるに、
勝手に押しかけて、一生食える飯の種の技術を、タダで教えて貰て、
どうかすると将来は師匠の存在すら脅かす、
そしてそれを「恩返し」なんぞという綺麗事で済ます
というとんでもない存在です。
そこまでして受け継いだ芸なのですから、自分も弟子を育てないことには、これは芸泥棒です。
いわば奨学金の未返納状態です。

と、ここまで書いて気付きました。私は今だに芸泥棒のままだったことに。
1人でも育てた人は偉いなぁ。

明日も高橋まきの奨学金返納が続きます。
鏡ちゃんが育ったら、満期。
あと2年半で完済の予定。
ガンバレ師弟。

<ツイッター>
公演情報 @hataraku_kujaku

<facebook>
「桂 九雀」の名前にて。

<ホームページ>
http://www.rakugokobo.jp/ 落語工房 

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