九雀通信

不登校物語


カテゴリー: 2015年07月10日
九雀です。
「まぐまぐ」当局から「そろそろ書かなあきまへんで」と来ました。

今日は長男・青空(はるたか)のこと。

小学3年の2008年6月18日(=9歳の誕生日)から中学を出るまで、ほぼ7年、見事に不登校を貫きましたエライ
・・・のかしら。
ちょうど私が奈良県王寺町の「子ども落語教室」で初めてアマチュア指導をした翌年でした。

中学2年生も終わりに近づいた3月初旬に彼に通告しました。
「このままで行くと進学はしないだろうから、卒業後は社会人である。
 ブラブラしていて貰っては困るので、必ず何かの仕事について貰う。
 さらに、家から出て一人暮らしをして貰う。」

身近に30歳、40歳になっても定職につかず、家でブラブラしている人が多かったので、それだけはやめてほしかったわけです。
嫌ですよ。25年後に、息子の進路について悩むなんて。

この時点では彼も納得していました。
しかし、これになりたいという仕事の希望はありません。まぁそれが普通ですわね。
そこで、私はあらゆる人脈を使って、考えられるだけの方々に「息子がその仕事に就きたいと言った場合、面倒を看て下さいますか」とお尋ねしました。
植木屋さん、クロス職人さん、大工さん、自動車修理工さん、板前さんなど。

先方がどれくらい真剣にとらえておられたかは不明ですが、概ね良いお返事を頂いておりました。
まぁその段階で「あんたの息子なんか嫌ですわ」とも言いにくいですけどね。
ただ皆さん一様に「息子さん、体は達者でっか。」とおっしゃいました。
おお。これは盲点。

別に病弱ではないですが、不登校ということは、体育の授業も受けていないわけです。
暇にあかしてスポーツでもやっていれば良いのですが、
「スポーツは嫌いじゃないけど苦手な」父(私)と、「運動をするのは勿論のことスポーツを見るのも嫌いな」母(妻)の子ですから、
本人から進んで運動もやろうとも思わないし、また親もやらせようと言う発想がありません。
時間つぶしは「歌舞伎・文楽の鑑賞」「笛のお稽古」「書道のお稽古」「将棋教室」。ほぼ隠居です。

さて体力作りをどうしよう。
身近にトレーナーがいました。落語教室の生徒さんで、む雀さんのトレーニングもして下さっている浅田さんという女性です。
週に一度のトレーニングをお願いしました。

ひと月経って、3年生になりました。
4月初旬にもう一度、意志の確認をしました。
本当に社会人になるのか、と。
すると答えは「進学希望」!!!!!
驚きました。父も母も、何より担任の先生が。

希望するのは自由やけど、行けるとこがあるのか。
ぜんたい君はどこへ行きたいのだ?
答えは「大阪府立東住吉高校・芸能文化科」。
大阪には公立で芸能を学ぶ学校がありまんねん。
横山ノック知事の遺産なのではないかと勝手に思っています。
そしてここからは、しん吉さん、吉坊さん、佐ん吉さん、団治郎さんという、米朝一門の有望落語家が誕生している、いわば名門です。(ほんまか?)
前号で紹介したお囃子の弟子さん・岡野鏡ちゃんもここの出ぇです。

プロジェクトXの始まりです。
豊中五中から芸能文化科を受けた子がいないので、先生がたも経験や資料がなくて大変です。
学科試験は国数英の3教科。
小学2年の学力でストップした子が、10ヶ月後に受験できる学力になるなんてことが可能なのか、不可能なのか。
文字式や英語は未知の世界です。
私はよう教えないです。

上方落語界に素晴らしい人材が入門していました。
桂福丸さん。灘中、灘高、京大法科・・・そして落語家。
すぐに電話。「君の友達に家庭教師が居るはずや!」
やはり居ました。
しかしその方は個人的に多忙。
でも「僕が教えるのは無理ですが」と言って
池田にあるパーソナルアカデミーと言うところを探してきて下さいました。うちから近い。
フリースクールと塾を兼ねたようなイメージです。
(ほんまは違うかも知れませんので、行かれる方は、よく調べて下さい)
通い始めました。
さぁそれからは猛勉強・・・と言いたいとこですが、人並み以上に寝ていました。あかんがな。

学科が3教科ということは、他の教科は全て内申点が物を言います。
現時点ではオール1。最低点。当たり前です。
先生曰く「これを上げるには、提出物を提出することです。」
しかし、あまり出しているようには見えませんでした。あかんがな。

芸能文化科らしい試験はただ一つ「朗読」です。
篠笛とかの試験がなら受かるのに残念。と、これは親の欲目です。
まず上記の卒業生諸君に朗読試験の内容、方法などをリサーチ。
そして、朗読の先生は、役者仲間で、ボイスタレントでもある「や乃えいじ」さんに探して頂きました。
近鉄電車などで声が流れているベテランの女性・もとむらさんです。
先生曰く「みるみる上達しています」
でも家で声を出しているのん、聞いたことがない。あかんがな。

「月日は百代の過客にして」あっと言う間に2学期になりました。
この頃から、息子の気持ちに変化が現れました。
夏には芸能文化科の卒業公演(だったかな)に行ったのですが
どうやら普通科へ行きたくなったらしく、進路の変更を臭わすようになりました。
芸能文化科の倍率の高さに腰がひけたのか、普通の勉強がしたくなったのか。
理由は定かではありません。

「つれづれなるまゝに日くらし硯にむかひて」勉強したのかは不明ですが
進路は決めなければなりません。
このたびの我々の安心材料は、大阪府民が大阪府内の高校へ行くなら、私立でも公立なみの学費しか要らないというところでした。
橋本知事の遺産です。
賛否両論あるようですが、うちは助かりました。

結局、近所の私立へ受かった段階で、公立は受験しないと言いましたので、そこに決定しました。
Wikipediaで調べたら、卒業生に大河内傳次郎先生がおられました。
ちょっと嬉しかったです。

かくして、7年の長きに渡ってお届けした「青空不登校物語」はここに一巻の終わりを迎えたのであります。

思い返せば、
不登校になった途端に「無理にでも行かせろ」と電話で叫んだ我が母は孫の合格を前にしてこの世になく、
本人と一度の面談をすることもなく「単なる怠け心と思われる」と手紙をよこした我が父は、今は、孫のトレーニングをして下さった浅田トレーナーの体操教室へ通い
やりどころにない怒りを押さえきれず、時に爆発をしていた妻には、息子と同世代の弟子さんが来ています。
私は私で、親を馬鹿にした態度だけは許しがかったくせに、同居の父には私が生意気な物言いをしています。
「諸行無常の響きあり」です。

舞台で不登校を話題にしていましたので、
色々な方々から「この本を読みなさい」「ここへ通わせなさい」「こんなグループがありますよ」
たくさん、たくさん頂きました。
ごめんなさい。どれ一つ実行しませんでした。
過去の判例より、親として自分で考えて行動することを心掛けました。
不登校100人居れば、理由も、対処も100通り。
と言うのが今の結論です。

なので、よその不登校の人に相談されても、何もよう言いません。
「ほっとけばその内、高校へ行く気になりますよ」ともよう言いません。
そんな保証ないですもん。
平日の昼間に、父親が歌舞伎見物につきあえる家ってそんなにないですし、
それ以前にサラリーマンだったら家に居ないので、息子が何をしてるかわかりませんもんね。

一つ言えるのは、
不登校中は不登校中なりに、進学を目指してからは受験のために、大勢の人たちが彼に手をさしのべて下さったから、曲がらずに育ったと思っています。
それが無ければ孤独だったでしょう。
小学校も中学校も、遠足も運動会も修学旅行も、一番行きたかったのは本人なのですから。

室屋青空(16歳)
大商学園に無遅刻無欠席で通っております。

<ツイッター>
公演情報 @hataraku_kujaku

<facebook>
「桂 九雀」の名前にて。

<ホームページ>
http://www.rakugokobo.jp/ 落語工房 

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