現代の生活に古代の智恵を活かす

現代の生活に古代の智恵を活かす「森を守る日本人」


カテゴリー: 2012年10月16日
読者の皆さん、お元気ですか? 日本全国で、秋祭りの真っ盛りだと思います。当地、播州でも、たくさんの秋の祭りが行なわれています。

今回の記事は「森を守る日本人」です。都市部に住んでいますと、日本には緑がなくなってきたなあと思うこともあります。しかし、グーグルの地図で上空から全国を見ると、日本はなんと緑の多い国かと思います。その多くが原生林ではないのです。つまり人の手が加わって森林を育ててきたのです。そうした国や民族は世界中を見て多くはないのです。その手間暇が日本の国土、延(ひ)いては日本人を育てているのです。

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「森を守る日本人」
 
○はじめに
私たち、日本人は森をとても大事にしています。街の中でも、神さまの場、神社には、鎮守の森が残されています。そして、国土全体に多くの森林が残されています。それは先人の努力の賜物なのです。
 
世界の30パーセントが森林です。もちろん、開発途上国には森林が多く残されています。一方で、先進国では、農地にするために森を伐採し、エネルギーや住居資材にするために木を伐採してきました。そのために、森林は破壊されてきたのです。
 
調理や暖房用の燃料として木材が使われ、人口の増加に伴って居住地や農地を拡大するため、森林は伐り拓かれます。さらに、大型の建築物や艦船の建造に用いられ、また鉄など金属の精錬、鋳造にも木材が大量に使用されてきました。

○古代の文明の森林伐採
紀元前3000年頃から大きく発展しはじめたシュメール文明が、森林伐採のために紀元前2000年頃に滅亡しました。上流域の森林伐採が洪水や土壌の流出を引き起こし、かんがい地の塩化現象で作物の収量が減少したのです。

古代ギリシア文明の衰退も森林の伐採に関係づけられます。アテネやスパルタのような都市国家が栄えた古代ギリシア文明は、森林に覆われた山地と肥沃な土地を背景に生まれました。しかし、小麦、オリーブ、ぶどうの栽培のために農地が拓かれ、山の家畜として飼われた山羊が草の根まで食べ尽くし、森林の植生を貧弱にさせ、戦艦の材料として多くの木材が使われ、森林の減少に拍車をかけたのです。

中国の黄河中流域は、現在、森林が数パーセントしかない黄土地帯となっています。しかし、紀元前5000年頃には森林に覆われていたのです。アワやヒエの栽培のかたわら、狩猟や採集が行われていました。紀元前1600年頃に成立した殷、それに続く西周の時代に、陶器や青銅器の製造のために燃料として木材が使われました。紀元前8世紀以降の春秋戦国時代には、大型化した宮殿や墓に大量の木材が用いられ、農地も急速に拡大して森林が減少していきました。この時期に鋳造鉄器が生産されたのです。

紀元前221年に、国家を統一した秦の始皇帝は、大規模な宮殿建設や長大運河の開削等数々の大事業を行いました。それらに要したエネルギーや建築用の資材に黄河中流域の森林が費やされたのです。大地の黄土が流れ込み「黄河」と呼ばれるようになったのは、秦に続く漢の時代からです。

ローマ帝国の栄えたイタリアも同じような森林破壊の歴史があります。中世ヨーロッパの森林が開墾され農地となり、人口が増加するとさらに農地開発が行われました。また、商船や軍艦等の造船、鉄や銅等の金属精錬、ガラス製造等の産業への木材消費によって森林が減少し、土砂の流出が生じたのです。イギリスで製鉄の燃料に石炭を使うことができるようになるまでの間、木材を燃料としたために、森林が減少し、森林率が1割を下回るまでになりました。この結果、薪の不足、土壌の流出、地力の低下と収量の減少が生じたのです。

アメリカ大陸でも、農地の造成、鉱山の抗木への木材消費によって森林が伐り拓かれました。

近代以前の西欧の人々の自然観では、森林は征服の対象です。森林は恐ろしいので、開発の対象だったのです。英語のカルチャーcultureが「文化」です。本来、cultureは「(森林を伐り拓き)耕す」ことです。そして、西欧の自然観では、森林の伐採は、人類の勝利のはずだったのです。ところが、森林を荒廃させて、文明を作り上げたはずの結果は、森林を伐り尽くすことによって文明が衰退したのです。


○森林大国
森林に満ちた国を想像すると、北欧のフィンランド、スエーデンになるかもしれません。森林大国と言われるカナダを思い浮かべる人もいるかもしれません。そうした国の森林率は、フィンランドが73.9%、スウェーデンが66.9%、カナダが33.6%。日本は68.2%です。日本は、世界のおもだった国のなかでは、有数の森林大国なのです。

森林に関する世界的な統計は、国際連合食糧農業機関 (FAO) から報告されています。おもだった国の森林率がwikipedia「森林率」に掲載されています。森林率は、森林面積の比率です。それを高い順に並べ替えてみました。

フィンランド : 73.9%
日本 : 68.2%
スウェーデン : 66.9%
ブラジル : 57.2%
ロシア : 47.9%
イタリア : 33.9%
カナダ : 33.6%
アメリカ合衆国 : 33.1%
ノルウェー : 30.7%
フランス : 28.3%
インド : 22.8%
オーストラリア : 21.3%
中国 : 21.2%
アルゼンチン : 12.1%
イギリス : 11.8%
オランダ : 10.8%
モナコ : 0.0%
世界の陸地に占める森林の割合は、30.3%


○日本の造林
日本語では「森(もり)」は「盛り」と同語源です。ですから、私たちの理解では森は、豊かで大事なのです。私たちが心の拠り所とする神社には、杜(もり)がつきものです。鎮守の杜です。木材は誰もがほしい資材です。そして、神社に付随する森林を開いて農地にすれば、農産物を生産できたことでしょう。それでも鎮守の杜を残してきたのです。

実際には、その時代時代で山が荒れ、土砂の流出などもよくあったのです。その一方で日本では、造林は古くから行われてきました。神社仏閣の資材、城や城下町を造成する必要から森林の人工林化が奨励されてきました。

お伊勢さん(神宮)では、遷宮のために必要な木材を持統天皇の第1回遷宮(690年)から地元の御杣山(みそまやま)で調達していました。しかし、鎌倉時代から、徐々に不足し始め、そのほとんどを木曽から調達するようになったのです。用材は、第一宮域地、第二宮域地、普通施業地を合わせ、禁伐のため特別施業地(1,259ヘクタール)を除く7000ヘクタールあまりから用意されます。マンハッタンにあるセントラルパークの20倍です。

お伊勢さんで大正時代の終わりに策定された森林経営計画で、宮域林で200年後の御用材の確保を目標に檜を育成しています。そして、重要用材も25世紀に供給できるようにしようとしているのです。計画した人たちは、だれもその様子を見ることができません。それでも、造林しておかなければならないと私たちは思うのです。


○おわりに
森には、物の怪(もののけ)がいるのかもしれません。物の怪がいるから、西欧では、開発して、取り除こうとしました。物の怪がいるから、日本では、残しておこうとしました。目先の損得とは別のことが重要なのだと理解できれば、私たちの直感が知らせる通りに森を大事に残すようにつとめることです。
                           (中澤鳳徳)
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