ラーコモラボ通信

[LClab-068]ラーコモラボ通信第68号「公共図書館と大学図書館の連携協力~大学図書館の地域貢献~」


カテゴリー: 2017年03月31日
2011-08-26創刊
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  ◆ ラーコモラボ通信 ◆
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                    ◆ 第68号 ◆

   -曲がり角を迎えている図書館における今後の学習環境を考える-

               2017-03-31発行  ‡No.068‡  350部発行


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  ◇ 目次 ◇
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●講演記録:平成26年度松山大学図書館情報学講演会
「公共図書館と大学図書館の連携協力~大学図書館の地域貢献~」
                   (講師:東京外国語大学茂出木理子氏)

○イベントカレンダー

○編集後記

○奥付

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  ○ レポート ○ 
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●講演記録:平成26年度松山大学図書館情報学講演会
「公共図書館と大学図書館の連携協力~大学図書館の地域貢献~」
                   (講師:東京外国語大学茂出木理子氏)


★はじめまして

 皆様こんにちは。お昼ご飯食べたばかりで、眠い時間だというのは重々承知して
おりますので、ビシバシいきます。

 今日のテーマは「図書館の連携協力」ですが、その前提として、そもそも図書館
は何のために存在して、何の役に立つのか、という大きな設問があります。その上
で、そのために公共図書館と大学図書館、あるいは大学図書館とどこか、公共図書
館とどこかが連携協力をすることは、意味をなすのか、なさないのか。これで意味
をなさないという結論になってしまうと、大変さみしいのですが、このようなこと
を一緒に考えたいと思います。


★アイスブレイクタイム~図書館総合展のこと

 まだ緊張されている方が多いようですので、本題の前に雑談のアイスブレイクタ
イムです。

 早瀬先生からご紹介があった通り、先月(2014年11月)横浜で「図書館総合展」
が3日間開催されました。図書館総合展は、今年で16回目、つまり16年間も続いてい
る図書館業界の大きな催しです。総合展では、図書館に関係する企業や団体が出展
されていて、新しい製品やサービスを紹介しています。その他に毎日10会場ぐらい
でフォーラムが並行して行われます。

 この総合展に関して、ある私立大学の司書課程の先生が「図書館総合展とは図書
館界のコミケのようなものである」とおっしゃったと耳にし、私は「コミケじゃな
いもん!パリコレだもん!」と思い、例年以上に気合を入れて乗り込みました。

 今回の総合展で特に面白いと思ったのは、学生のためのツアーが組まれていたこ
とです。私のようにこの業界に慣れていると、いろんなブースに行って、知り合い
の営業の方とかを見つけていろいろおしゃべりもできるのですが、初めてそういう
場に行くと、戸惑うことも多いだろうということで、若手の図書館情報学の教員数
名が手分けして、ブースを回るツアーをされていました。それは、学生さん達にと
っても企業研究という意味合いもあったようですが、見ているとカルガモの行進み
たいで可愛かったです。

 私は、これまで5回、図書館総合展のフォーラムで登壇しています。「パリコレ」
ですから、ちょっと尖ったことを発言しなきゃいけないと考えています。過去の発
言を振り返りますと、まず2007年、テーマは情報リテラシー教育でしたが、「修羅
場も乗り切れないで仕事したとは言えない」と。翌2008年、図書館活性化に関する
フォーラムでは、「敵役もチーム力。使えるものは全て使え」と。さらに、2009年、
10年後の大学図書館をテーマにしたフォーラムでは「あたしを拾うとお得です」と。
2011年の日米大学図書館員スキルアップをテーマにしたフォーラムでは「プロのス
キルとは組合せ。種類や数だけじゃナンセンス」と発言してきました。

 そして今年は、図書館の連携協力というテーマでしたが、「孤立するな、しかし、
つるむな」と申しました。


★授業と研修の関係について

 授業と社会人の研修は微妙に近くて、微妙に遠いと思っています。

 遠いというのは、学部の授業であれば、知らないことを新しく知る、学んだ知識
を定着させることが大事です。知識を定着させるためには教員も「アクティブ・ラ
ーニング」、つまり講義をただ行うだけではダメで、学生自身が書いたり発表した
り、学生同士で相談したり、そういう授業をしなければならないと言われています。

 一方、社会人の研修では、アンラーニング(unlearning)と言われていますが、
経験とか知識とか自信とかこれまで蓄積してきたものを一旦捨てて学び直さないと、
全然身に入っていかない、ここが大きな違いではないかと思います。

 共通することは、本人がアクティブにならないといけないということです。「学
びとる気持ち」です。これは北海道大学図書館の川村さんに教えてもらった言葉で
すが、「学ばせてもらう」ではなく「学びとる」という言葉が非常にしっくり来ま
したので、まずこれをご紹介します。


★図書館とは?

 本題に入っていきます。まず大きなテーマ「図書館とは?」です。

 『坂の街のケーブルカーのメイベル』という絵本の中に非常に印象的なシーンが
あります。サンフランシスコのケーブルカーのお話です。ケーブルカーは、効率も
悪いし、お金もかかるのでやめちゃえという話が持ち上がった時、市民の中でケー
ブルカーを守ろうという運動が起こります。絵本の中にも「ケーブルカー好きの人
たちが街の図書館で集会をひらきました。」とあります。何のために集まったかと
いうと、皆で意見を調整するためです。さらに、ケーブルカーを残すことに賛成す
る人も、反対する人も、それぞれが事実や数字を持ち出して、自分達の意見を出し
ていく、ということが子どもの絵本に普通に書いてある、このことが私にとって新
鮮な驚きでした。

 もう一つ、2011年の5月に出された、『知の広場』という本をご紹介します。書い
たのはアントネッラ・アンニョリ、イタリアの公共図書館の館長です。イタリアの
図書館をどう改革していったかというお話で、非常におもしろい本でした。

 その中に書かれている、「優れた運営の公共図書館は、地域のソーシャル・キャ
ピタルを豊かにする場所」という表現に魅かれました。このソーシャル・キャピタ
ルは、訳本でもソーシャル・キャピタルなので、なんとなくわかるような、わから
ないような言葉になっていますが、ざっくり言ってしまうと、地域の人間関係とか、
協力関係とか、そういうものを豊かにする場、それが図書館であるという主張です。

 そう言われてみると、さっきのケーブルカーを残すか残さないかという議論も、
住民が図書館に集まって意見を集約したり、こういう数字で説得しようと相談した
りするのは、まさにソーシャル・キャピタルを豊かにする場なのだと思います。

 『知の広場』の中で、私が最も面白かったのは、新図書館への引っ越し当日の話
です。何が行われたかというと、古い図書館から新しい図書館まで、街の子ども達
がお母さんと一緒になって、エッサエッサと本を運ぶというイベントが行われまし
た。先頭には楽団が立って、音楽を鳴らしながら、その後を子ども達がお気に入り
の本を持って行進をして新しい図書館まで入っていったそうです。こういう時、日
本では偉い人が次から次へと挨拶や演説をしますが、そういうものは一切なくて、
子ども達と、それから市長さんがテープカットをしただけで、あとはさっそく運ん
できた絵本を本棚に置いて、すぐに使えることを示したそうです。決して図書館が
権威ではなく、みんなのためにあるということを非常にわかりやすく示された例だ
ろうと感じました。


★図書館連携に関する当たり前すぎる原則

 これを言ってしまうと、今日の講義は終わってしまうのですが、図書館連携に関
する当たり前の原則についてです。試験だったら、こう書いておけば、先生はバツ
ができないという答えです。それは、「図書館が利用者から求められる資料を提供
するためには、必ず図書館同士の連携を必要とする」です。

 果たして本当でしょうか?


 統計(『日本の図書館統計と名簿2013』)によると、日本の大学図書館で最も蔵
書を持っているのは東京大学です。東京大学全体では927万冊の本があります。松山
大学の図書の蔵書は114万冊もあり、大変優れた大学だと感じました。

 一方、冒頭に早瀬先生からご紹介があった通り、どれだけ本を持っていようとも、
利用者からそれ以外の本の要求があることは、大学図書館にとって日常茶飯事です。
ではどうするか、他の図書館から借ります。これをILL(アイエルエル)サービスと
私たちは呼んでいます。

 先程の統計によりますと、日本でいちばん本を持っている東京大学でさえ年間
4,300冊をよそから借りています。私の勤務している東京外国語大学でも610冊、松
山大学では185冊借りています。この冊数が多い方がいいとか、少なければどうとい
うことでもありません。さらに、各大学の教員・学生一人当たりの他の図書館から
の借用冊数を出しますと、東京大学と東京外大はまったく同じ数字になりました。
0.11冊です。松山大学は、かなり少なくて0.03冊です。松山大学には長い歴史があ
り、使うべき資料は基本的に揃っていて、他の図書館から借りる必要はないという
分析の仕方もあるでしょう。あるいは、松山大学で所蔵している本以外のことまで
を知りたいという学生が少ないという見方もあるでしょう。

 なお、大学図書館全体では年間12万冊、公共図書館では年間200万冊というすさま
じい数の本が図書館間で借りられています。


 さて、今回のテーマは、「大学図書館の地域貢献」ですので、具体的な事例の話
をしたいと思うのですが、私の経験上、こういう話をすると、たいがいの人が寝始
めます。つまりちょっと調べればわかる事は、聞いていてもあまり面白くないので
す。寝るぐらいなら、レジュメに参考資料は付けたので、自分で勉強して欲しいと
思いますが、ただ、本当にもっと知りたいという時には、文献だけでは足りなくな
ります。大学図書館では、新しいことをやったら報告を雑誌に載せたりしますが、
そういう時はドロドロした話は書けないので、きれいにまとめます。でも本当はど
うだったの?と、インタビューに行くと、実はねという話しが山ほどあって、そち
らのほうが面白いのです。


★大学図書館の連携事業

 面白くない話を長々としても仕方ないので、超特急で事実関係を概観します。
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 まずは、連携協定を結ぶ。要するに、仲良くいろいろやっていきましょうという
約束をすることです。地域の図書館団体における協力、たとえば愛媛県図書館協議
会のようなものです。

 本の貸し借りを行うために、お互いどういう本があるのかということがすぐわか
るように、OPAC・蔵書のデータベースをいろいろなレベルで繋げます。当然、利用
者がそれぞれの図書館から、直接本を借りられるようにするし、返す時には、近隣
の公共図書館で返すことができるような仕組みまで作るとかなり便利になります。
貸出対象の資料という意味では、大学図書館側では、研究室にある図書も市民の方
が利用できるように頑張ります。

 それから、公共図書館側から大学図書館に対して一括貸出、つまり500冊ぐらいを
3カ月位貸すということも行われています。ただし、これも報告書に書かれていまし
たが、最初の1、2年はいい感じで動かせても、3年目、4年目となると出すものがな
くなってきます。公共図書館側はよく使われる本は出せない、大学側はそういう本
こそ貸して欲しいというジレンマが出てくるようです。

 大学図書館側で図書館会員を募る。近隣市民の方に対して、会費制の図書館友の
会みたいなものを作って、特別会員として貸出サービスを行います。

 公共図書館と大学での共催イベントとしては、講演会をやったり、企画展、展示
会をやったり、それから映画の上映会、最近多いのはビブリオバトルの開催です。
図書館の中でやるだけではなく、もっと街中へ出て行くというような試みが多いよ
うです。つまり図書館まで足を運ばないような人に対して、もっと街中の人が集ま
るところでやることで、図書館の存在をアピールします。

 大学図書館が学生向けにやっているデータベース講習会を公共図書館でも行うこ
とや、地域資料の収集保存や電子化公開を、公共図書館と大学図書館でそれぞれの
強みを活かして協同でやってらっしゃるところがあります。

 医学系の大学図書館では、地域医療の情報拠点として、医学系の本がありますと
いうだけではなく、健康に関する情報を発信したり、医療の講座を開いたり、健康
相談コーナーを設けるなどのサービスを展開しています。また、教育学系大学の事
例としては、大学図書館内に児童図書室を設けているケースもあります。

 さらに進んで、図書館業務そのものの連携があります。その際、お互いの図書館
のことをよく知らないと、連携もスタートできないということで、大学図書館の職
員が公共図書館に1カ月ほど修行に行ったという事例も報告されています。

 さて、司書課程の方、あるいはこれから図書館で働きたいと思っている方で、今
の話の中でワクワクして自分も図書館員になったらこんなことやってみたいと思っ
た事例がありますか?私は、あまりにも図書館の「ナカの人」になり過ぎてしまっ
ているのか、正直あまり衝撃を感じませんでした。何かのサービスの延長線でこう
いうことはあるよなぁとか、既存のサービスを他の利用者に広げたら当然そうなる
なぁというように思ってしまい、新鮮な目線が欠けてきているようです。

 ですが、こういう事例をご覧になって、図書館はもっといろいろなことができる
と前向きに思っていただけましたら、ご紹介した意味があります。

 スライドには書かなかったのですが、私が今まで一番刺激を受けたのは、もう10
年前のことですが、東北大学図書館が街の和菓子屋さんと提携して、江戸時代のお
菓子を再現したというものです。東北大学図書館に江戸時代の資料がたくさんあり
ますが、「江戸の食文化」という企画展に併せて、資料中に書かれていた江戸時代
の和菓子を再現したいと思った図書館員が、街の和菓子屋さんに交渉して、最終的
には商品として期間限定で販売されました。売れるかどうかを心配されていました
が、初日の朝には売り切れるほどの大好評でして、これは、なんかしてやられたと
いう思いが今でもあります。

 もう一つ、最近知った事例では、金沢大学図書館の「ECO学習コンクール」です。
金沢大学では全学的にECO、環境に関する取組みを推進されていますが、その中で図
書館が考えた独自のプロジェクトです。小中学生が対象で、環境をテーマにした自
由研究を応募してもらい、学長賞などを贈るといった試みです。面白いのは、日産
自動車の協賛を取り付けたり、金沢市の教育委員会の後援を取り付けたりという点
です。大学図書館から外に出て「営業」を頑張って、開催にこぎつけたという点で
す。もちろん、実際携わった方に伺うと、大変なことはたくさんあったそうで、た
とえば小中学校の校長先生の所に行って、協力をしてほしいと言うと、真っ先に言
われるのは、「なぜ大学図書館がそんなことをするのか?」ということだったそう
です。


★大学図書館は開いてきているのか

 大学図書館が統計データ上では「公開」の方向に向かっているということは、後
ほどお話ししますが、現実にはどうでしょうか?

 本学の附属図書館のホームページが一つの典型です。学外者の利用についての案
内ですが、本学に限らず多くの大学図書館では、一言で言いますと「フラッと来る
な」と言っています。もちろん各大学にはそれぞれの事情がありますが、あらかじ
め申請してください、あらかじめ所蔵は調べてください、研究室の本だったら貸せ
ないこともあるので承知してください、試験期はご遠慮ください、平日の9時から5
時に来てください、など注文だらけです。

 フラッと来て入れてもらえるのは、先程あげた事例ですと、年会費を払い友の会
の会員になっているとか、卒業生の利用カードが発行されている場合などです。そ
れ以外の方だと、「フラッと来るな」です。さすがにどこにも「フラッと来るな」
とは書いてはいませんが、自戒を込めて、読めば読むほどそういうふうにしか読め
ません。


★公共図書館の貸出サービス

 さて、貸出の話を公共図書館側から見るとどうでしょうか。

 前川恒雄さんの『貸出し』(日本図書館協会発行)という本があります。1982年
の発行なので32年前ですが、今読むと「あれっ?」と感じる記述もあります。例え
ば「日本の公共図書館が資料提供という素朴で単純な機能の実現に徹し、貸出しと
いう原初的基本業務がサービスの中心となり、市民の強い支持と共感を得ることが
でき、…(後略)」、つまり資料提供に徹しなさい、もっと言うと、貸出さえして
いればいいと読めなくもない記述です。

 その他にも、この時代に問題にしていたのは「席貸し」と言われる現象です。32
年前は家にクーラーがあまりなかった時代です。その点、図書館は空調もきいてい
て、机も広いし、そういう状況で、勉強場所として中高生が来るということがよく
ありました。しかし、それは図書館の資料を使っていないので、よろしくない、図
書館は本を中心にサービスするべきであるという論調です。

 ただし現在では、大学図書館でも公共図書館でも、居場所としての図書館の重要
性が言われるようになっています。図書館は本を貸すことが機能であるという論調、
たかだか32年前ですけれど、今読むと「えっ?」と思いますが、当時は先端な考え
だったはずです。このように今いいと思うことが、30年たっていいと言われるかど
うかはわかりません。

 公共図書館のホームページには、年間でどれだけ税金として還元するサービスを
したかというような数字が出ていることがあります。私は、初めてこれを知りまし
た。というのは大学図書館では、そのようなことを考えたこともなかったし、計算
したこともなかったからです。

 計算式としては、本の平均単価に貸出点数をかけます。そこから図書館を運営す
るのにかかった総経費を引き、市民総数で割ります。そうすると赤ちゃんからお年
寄りまで含めて、市民一人当たり、図書館の貸出サービスでいくらの税金が還元で
きたという非常にわかりやすい数値になります。

 例えば、貸出数が多いので有名な浦安市では一人当たり3万円近いです。3万円返
してもらえたと思うと、ちょっと嬉しいですね。私が住んでいる川崎市は約1万円で
すが、実は私は川崎市の図書館からはあまり借りたことがないので、若干損したよ
うな気がしてきました。最近有名な武雄市は8,000円、松山は7,000円。おそらく松
山市は図書館の規模に比べて人口が多いのだと思います。

 大学図書館で試算したらどうなるのかという興味に惹かれてやってみました。東
京外大で学生一人当たり4,000円です。ところが大学図書館全体でやるとマイナス3
万円の大赤字です。ただ、大学図書館は、すぐ借りられるような本だけでは、たと
えば電子ジャーナルとかデータベースなどにもお金を使っているので、本の貸出数
で費用効果を考えることは妥当ではありませんが、自分で調べてみて、公共図書館
と大学図書館のことは、わかっている気でいたのが、違うということを改めて肌身
で感じました。
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 さて、公共図書館にとって本の貸出は、税金還元という表現も使われる市民サー
ビスですが、一方作家や出版社にとっては「本が売れなくなる」という逆な問題に
なります。そういう論争は以前からありましたが、表に出たのは2001年のことです。
作家の楡周平さんの「図書館栄えて物書き滅ぶ」という文章が雑誌『新潮』に掲載
されました。翌年、日本文藝家協会が文部科学省と文化庁に対して「公共貸与権実
現の導入」の要望書を提出しました。そして、2003年には、日本図書館協会と日本
出版協会が合同で公共図書館の購入と貸出に関する調査を実施しました。この調査
は500館に対して行われ、回収率85%です。

 翌年、報告書(『公立図書館貸出実態調査2003報告書』)を発表されていますが、
それによると、1館でベストセラーを50冊も100冊も所蔵しているようなところはな
く、平均しても2冊以下であったという結果でした。

 これでいったん収まったかなと思いましたら、2011年に作家の樋口毅宏さんがご
自身の小説の巻末に、「公共図書館で貸出がされると新刊の売れ行きに影響がある
ので、半年間待ってくれ」という内容の文章を載せられました。このように公共図
書館が貸出こそが市民サービスであるという論調だと、それで不利益を被ると主張
する団体があるのも事実です。


★再び、図書館ってなんだろう?

 利用者に本を貸すことが図書館サービスの王道だとしたら、それで大学図書館と
公共図書館が相互に本を貸出し合って、市民サービスに徹すれば、すばらしいとい
うことになりますが、本当にそれだけでいいのだろうかという気になってきません
か?

 『図書館の誕生』という本の中に出てくる言葉を紹介します。日本語訳では「コ
ンサルテーションのために使いやすくしてある、つまり参照するのに使いやすくし
てある作品集。これがまさに図書館。」と表現されています。

 使いやすくしてあるとはどういうことか、図書館現場の感覚で言いますと、本を
まず一カ所に集めて置く。集めただけではダメなので、分類して内容的に近い本を
近くに揃えておくなど並べ方を工夫する。そして欲しい時にすぐ取り出せるように、
見出しをつけておく。本に関しては、最低限、それぐらいはやらないと図書館とは
呼べないかもしれません。

 スライド(#28)でお見せしているのは、中世の「鎖でつながれた本」ですが、こ
れは図書館なのでしょうか?絶対その場所からなくならないという意味でいつでも
使える状態にあるといえば、図書館の最たるものかもしれません。
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 このスライド(#29)は、最近の「自動化書庫」です。人が取りに行くのではなく、
機械が取りにいって窓口まで運んでくれます。借りたい時に呼べば出てくるという
意味では、確かに図書館かもしれません。
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 このスライド(#30)は、アメリカで紹介されていた「Little Free Library」。
自宅の前に小さな本箱を置いて、地域住民がお互いに貸し借りをします。これは図
書館でしょうか?本はきれいに並んでいるし、地域住民が幸せになるからこれも図
書館のような気がします。
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 このスライド(#31)は、千葉県の船橋市駅構内にある「ふなばし駅前図書館」で
す。本が並んでいますが無料で借りられます。このような小さいスポット的な図書
館が市内のあちこちに置かれています。
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 スライド(#32)には「走れ!移動図書館」とありますが、これは、シャンティ国
際ボランティア会が東北の大震災の直後から始められたプロジェクトです。災害時
には、本よりもまずは食べて寝ることのほうが大事だと誰もが思います。しかし、
こういう時こそ本は力を持つという信念のもとに、トラックに本を積んで、被災地
を回られました。
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 さて、本がないと図書館ではないのでしょうか?このスライド(#33)は、2013年
にテキサス州にできたまったく本を置かないペーパーレスの公共図書館です。ホー
ムページの紹介によりますと、900台ぐらいの電子書籍が読めるタブレット端末や館
内のパソコンでネット上の文献が読め、さらに電子書籍を借りて自宅で読めるそう
です。
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 先程ご紹介した『知の広場』の著者が日本で講演された時に、あるアメリカの図
書館の看板(#34)を紹介されました。図書館のサービスメニューで、無料のコーヒ
ー、インターネット、公証人(NOTARY)、電話、笑顔、トイレそして「アイディア」
。特に、笑顔とアイディアが入っていることを高く評価されていました。
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 次にご紹介するのは、TEDの講演(#35)からです。ジャック・アンドレイカとい
う高校生が画期的なすい臓がんの検査方法を開発したという話です。さすがは今ど
きの高校生で、何か調べたいことがあった時はインターネットを駆使するようです。
最終的に彼がすい臓がんの検査で新しい方法を見つけるためにキーとなった学術記
事は、「Public Library of Science」と呼ばれているインターネット上の無料で使
える科学雑誌に掲載されたものでした。彼の中では一度もリアル図書館に行くとい
う発想はなかったようです。徹底してインターネットを駆使し、そして正解にたど
りついたということでした。
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 さて、「図書館ってなんだろう?」に戻りましょう。長尾真先生が(元国会図書
館長、元京都大学総長・図書館長)、理想の電子図書館では、ただ知識とか情報が
積み重なって記憶されているのではなく、今までの知識の間で新しくモノが何か作
り出されていく、ピピピッと新しいモノが生まれてくるような感覚だと、おっしゃ
っています。

 本日は最初に、学生時代は知識を積み重ねることも必須だけど、大人になってく
ると、持っている知識を組み替えていかなければいけないという話をしました。そ
ういう知識を組み替えていくという過程の中で、電子的な形態でも紙の形態でも、
情報、文献、図書というものが関与しているはずです。したがって、「図書館って
なんだろう?」「そのための連携って?」と考えた時に、「図書館は、単に本が集
まっている場所です」と考えると、非常に発想が止まってしまう、あるいは、やれ
ることを狭く限定してという危険があるように思います。


★公共図書館のビジネス支援

 最近の公共図書館のトピックスについて、大学図書館員の目から見たら、どう見
えるかという観点からお話します。国立国会図書館がまとめた『地域活性化志向の
公共図書館における調査研究』(2014年3月刊行)を読んでみました。

 ここでは大きく4つ取り上げられていました。それぞれ完成形というよりは、まだ
やり始めたばかりだという状態の調査報告であったことが面白かったです。

 「岩手県の農業支援」。農業が盛んな地域なので、なんとなく何をやるかがイメ
ージしやすい内容です。次に、「宮城県東松島市の東日本大震災を語り継ぐ」。こ
れも記録をアーカイブする仕事というのは、図書館として大事なことなのでイメー
ジしやすかったです。「元気はいたつ便」。これはタイトルからだけでは、いった
い何を配達するのかイメージがわきませんでした。そして最後の「東近江市の「リ
トルプレス」」は地域紙というのでしょうか、コミュニケーション紙というのでし
ょうか、そういう小冊子を図書館が作ろうという活動で、これもなんとなくイメー
ジできました。

 さて、最もわからなかった「元気はいたつ便」ですが、私の周りにいる大学図書
館職員にも図書館の活動としてイメージできるか?と聞いてみました。相手は高齢
者施設だというヒントを与えると、全員が「元気はいたつ便」とは、対象施設に対
して図書の団体貸出をすることではないでしょうか、と答えました。確かに、本を
届けることも「元気はいたつ便」サービスの一つです。ただ、「元気はいたつ便」
では、本の貸出だけではなく、図書館員が高齢者の施設に行き、そこでグループ回
想法という、昔の道具とか昔の写真とかを手に取ってもらって、昔語りをするのを
聞いたり、一緒に歌を歌ったり踊ったりということもされています。そのようなこ
とまで図書館員がやるか!というのが、私にとって一番の驚きでした。

 他にも『調査研究』に書かれていることで面白いと思ったのは、最初の農業支援
で、図書館の中に農業支援コーナーを作って、専門書を置いたり、あるいは農家の
方にデータベースの使い方を教えたりというようなサービスですが、実務担当者が
振り返りとして述べられている文章が興味深かったです。このようなことが書かれ
ています。

  最初は、図書館がどのようなことをすれば図書館としての強みや役割を果たし
  つつ、相手の役に立てるのかということばかり考えていた。しかしいつも、連
  携する相手はいかに図書館にメリットを生むかを考えてくれた。

 そのことを連携の仕事、つまり農業支援という仕事に手を広げた時に気づいたと
おっしゃっています。

 さらに、東近江市の「リトルプレス」についてですが、調査をされた第三者の気
づきとして、「東近江市立図書館の実践の中で最も驚くべきことは、行政部局との
連携や、新規事業の立ち上げ、新たなサービスの企画といったことが、『ふつう』、
『あたりまえ』のこととされている点である」と書かれています。

 逆に言いますと、行政部局との連携、あるいは図書館で新しいサービスをやろう
ということが当たり前ではない、特別に大変なことだと意識している人が多いから
こそ、このことを最も驚くべき点として挙げたのだと感じました。

 もう一つ、レポートの中で注目したのは「東近江市立図書館で指摘しておきたい
点は、市民や行政部局の職員に図書館の活動が理解され、評価されていることであ
る。『東近江の図書館は、単に本をレンタルする場所ではなく、自ら情報を発信す
るところである』との認識が以前からあった」という記述です。

 言葉で「連携が大切だ」、「今後は地域連携だ」と言うのは簡単ですが、実際に
はまず関係者の意識というレベルでも高いハードルがあることが、レポートからも
読み取れます。

 誰でもそうですが、昨日と同じことをやっているのが一番楽です。全然違うこと
をやらなければとならないというのは非常に苦しいし、きついし、やりたくないも
のです。

 最初に申し上げたアンラーニングという学び直しも非常に厳しいし、そう簡単に
いかないと説明しましたが、同じように大学連携とか地域貢献とかいうキーワード
だけでは簡単に語れないところがあると思います。

 今日の私の講演も「世間ではこういう事例があります。図書館連携は大事です。」
と60分でまとめることは簡単ですが、それでは表層的過ぎて、逆に頑張っている方
に対して失礼な気がします。

 冒頭に早瀬先生が私のことをお茶の水女子大学で大学図書館改革に取り組まれ、
実績を上げられたと、ご紹介をいただいたのですが、そのことで思い出したことが
あります。最初の最初に何をやったかということです。図書館長と二人で話をして
いたとき、館長が学内にもっと図書館のサポーターを増やしましょうとおっしゃっ
たのです。

 つまり先程の事例のように行政の事務の方が図書館を非常に理解してくれている
状況であれば、物事は進み易いのですが、そうではない状況で、図書館があれこれ
やっても、大体つぶされるし、うまくいかない。だから非常に時間がかかるけど、
まずは大学の事務、教員、学生に図書館のことをもっと理解してもらいましょう、
そこから始めましょうというのが第一歩だったことを思い出しました。

 ここで、リフレクティブタイムです。まとめますと、公共図書館では、閲覧、貸
出中心の時代の次という段階に入っているのでしょう。大学図書館もまた、学習・
教育の支援に向かっているのは確かです。いずれにしろ、これまで図書館の範疇で
はないと思われたところに大胆に踏み込み始めた先端的事例が出てきています。た
だし、先端的事例ですので、もしかしたらポシャるかもしれない。あるいはある地
域でうまくいったものが、こっちではうまくいかないということは、十分あり得ま
す。


★連携のための3つのポイント

 あくまで私論ですが、連携には3つのポイントがあると考えています。

 (1)実態を共有すること
 (2)相手をリスペクトすること
 (3)簡単に分かった気にならない
 です。

 実態を共有するとは、数字の上のことだけではなく、我が身のこととしてわかる
ために、非常にフラットで柔軟な姿勢で相手のことを受け入れなければいけない、
勝手に思い込んで、批判しないということです。相手をリスペクトするとは、先程
の事例にもありましたが、相手がいかに有利になるかを考えてあげる、自分の強み
より相手を活かしてあげることを考えるというものです。そして、簡単に分かった
気にならないとは、一言で言うと、批判的思考力を身に付けるということに等しい
ように思います。これらの姿勢は、何度も申し上げた「アンラーニング」にもつな
がるように思います。


★数字で見る大学図書館

 数字で見るという話をしましたので、ここで大学図書館の統計データを紹介しま
す。
https://image.slidesharecdn.com/20141216-141217202643-conversion-gate02/95/20141216-48-638.jpg

 過去20年間で毎年どれぐらいの本を入れているかという統計ですが、20年間で10
%減です。和書は10%増なのに対して、洋書は50%減です。このデータには、寄贈
による受入も含まれますので、購入だけでみると、全体では、15%減です。大学の
数自体は、20年間で約1.5倍になっていますので、1大学あたりの平均では、41%も
の減少です。1大学平均だと、総経費、資料費、運営費とも、およそ30数%の減少で、
特に図書費は60%もの減少となっています。

 地域連携に関連して、大学図書館の開放についての数値を見てみましょう。現在、
8割の大学図書館は一般学外者の利用が可能で、4割は貸出も可能になっています。
学外者への貸出は、20年間で約5倍です。また、大学図書館外への貸出、つまり公共
図書館とか専門図書館に対しての貸出数も約5倍となっています。このように数字だ
けで見ますと、大学図書館はすでに十分に公開されていて、地域貢献あるいは連携
も進んでいるように見えます。


★公共図書館の20年

 公共図書館の20年間も見てみましょう。図書館の数が1.5倍、蔵書2倍、貸出冊数2
倍となっており、右肩上がりです。登録者数は2.4倍。来館者数、これはここ数年の
数字しかありませんが、それでも1.3倍。ただし細かく言いますと、一人当たりの貸
出冊数は下がっていますし、来館者一人当たりの貸出数も下がっています。これは、
本を借りるためだけに来館しない人が増えた、とりあえず図書館利用カードは作っ
たけど実際は利用していない人が多い、などの解釈ができますが、先程も言った通
り、数字だけでそれが実態だと思い込むのは危険です。

 蔵書回転率(1冊の本が何回借りられているか)で大学と公共の数字を比べますと、
松山市立図書館では2.55回で非常によく回転しています。日野市立図書館(2.28回)
や浦安市立図書館(1.88回)より上でした。なお、公共図書館全体では1.76回です。

 他にも面白い調査があります。2006年に刊行されたものを対象に、国立国会図書
館と全国の公共図書館と大学図書館で、どれぐらいの本をカバーできているかとい
う調査です。

 分析結果としては、国立国会図書館が9割弱のカバー率、これは国会図書館の方が
おっしゃっていた納本率の数字とだいたい合っています。公共図書館も全国を総合
すると8割の本を持っています。それに比べて大学図書館というのは、取捨選択が厳
しいので、カバー率は6割程度でした。ただ「専門」カテゴリの書籍については、国
会図書館、公共図書館、大学図書館ともカバー率が8割ということで、一般には売れ
づらい本も図書館が買い支えているのではないかという分析でした。


★最後に、図書館ってなんだろう?

 いよいよ最後です。三度、「図書館ってなんだろう?」「連携ってなんだろう?」
です。先日講演を聞いたアメリカ図書館協会元会長のバーバラさんが、図書館につ
いて、「リアルな世界との橋渡し」ということを強調されていました。そして、あ
くまで主役は市民である。図書館が何をしたいかではなく、その地域のコミュニテ
ィが何をしたいかが重要であると繰り返し述べられていました。

 彼女がアメリカ図書館協会の会長であった時に作られた「宣言」の日本語訳が、
近発表されました。『暮らしは図書館で豊かになる:図書館権利宣言』(原文は
“Libraries Change Lives:Declaration for the Right to Libraries”)という
大宣言です。インターネットからダウンロードできますので、ぜひお目通しいただ
きたいと思います。本を貸すだけが図書館ではないということを、はっきり宣言し
ています。

 また、ピッツバーグ・カーネギー図書館の名誉館長のメアリーさんは、新しい図
書館が新しくやっていくためには図書館員として何が必要かということを発言され
ています。図書館員気質とは相当離れますが、まずデータで客観的に把握できるこ
と。つまり数字に強くなければいけない。次に数字だけに頼らないでニーズやウォ
ンツを肌身で感じること。数字で現れないことは、その場に行って知る努力をする
こと。それから、新しいツールを整備し、他の機関に協力し、誰でもわかるように
計画書をまとめあげ、さらにいろいろ言われても、めげずに熱心に頑張り、最終的
にチャッチャと成果を出す、新しい図書館員像をこのように説明されています。

 確かにこれらの姿勢や資質は、大学図書館であれ、公共図書館であれ、連携、あ
るいは地域に根ざした活動をしていくという時に欠かせないことです。本に向かい
合うということも大事ですが、連携事業は、それだけではできない仕事だと思いま
す。

 私は、現在、あるいはこれまでのサービスの延長線で連携サービスを論じるのは
ナンセンスであると考えます。それでは連携が行き詰まると思います。では、本当
に必要なことは何かということは、本ではなく人に向かい合わないと出てこないの
ではないかと思います。

 とは言え、図書館の本業、資料のコレクションを構築してきたというのは、大事
な財産です。それを捨てて何かに走れということではありません。が、それを使っ
て何をするのかということを考えるということは、同時に図書館、あるいは図書館
員の「アンラーニング」になるわけです。つまりこれまでの蓄積を大事にしつつ、
自ら考えるということです。

 これは今始まった話ではなく、ランガナータンが図書館は成長する有機体だと言
っている以上、当然と言えば当然の帰結ではないかと考えます。

 ということで、最後5分、何かこの場でぜひ言っておきたい、質問しておきたい、
なんでもお受けします。


★質疑応答
○司会 5分という短い時間ですが、質問なりコメントなりございましたら、お願い
します。

○会場 公共図書館と大学図書館の連携協力ということだったのですが、モデルに
なってもいいような、うまくいっているような事例というものが、私、鳥取県はす
ぐ思いつくんですけれど、何か参考になっているような、ここはぜひ話を聞いたほ
うがいいよというような、そういったのがあれば、1、2例教えていただけないでし
ょうか。

○茂出木 実は私もそれが知りたくて、今日ここへ来たのです。それなりに多くの
文献を調べたり、インターネットで検索したりしたのですけれど、これぞというの
が見当たらないのです。資料になる形では発表していないということかもしれませ
ん。
 先程おっしゃった鳥取県は、一つあるのですが、かろうじて引っかかったのが、
金沢大学です。私の調べ方が下手なのかもしれませんが、どうやっても見つかりま
せん。

○司会 先程、茂出木さんからも言われたように、連携協力というのは、通常の努
力よりも、さらに努力が必要です。だからなんか最初は連携協力をやろうというこ
とで力が集まっても、維持するというのが、なかなか難しい。
 前に私がいた名古屋の例で言いますと、東海地区図書館協議会というのがありま
す。ご存じですか。静岡、愛知、三重、それから岐阜の4県の大学図書館と公共図書
館が図書の貸し借りとかレファレンスとか、そういうことについて枠組みを作って
やっているという例があります。他にここにおられる方で、何か事例等ご存じであ
れば、発表していただきたいと思います。

○司会 公共図書館の方も来られていると思いますが、もし何かご存じの事例があ
ったら、発表していただければと思いますが、いかがでしょうか。

○会場 遅れてまいりました。徳島県の鳴門市立図書館の高田と申します。いい事
例として、大きなものではないのですが、日々の中で鳴門教育大学と協力していま
す。徳島大学にもお世話になっております。
 鳴門教育大学と鳴門市立図書館は協定を結びまして毎週連絡行き来しています。
まず貸出については、鳴門教育大学には子どもの部屋があり、絵本も借りられます。
市民も利用できますので、そこで借りた本は、鳴門市立図書館に返却可能です。鳴
門市立図書館から鳴教大に、またその逆もあります。鳴教大の学生が、公共図書館
に借りに来ますが、なかなか返してくれないので、大学の図書館に返すと、こちら
に届きますよというような形で連携しています。
 公共図書館にない専門的な本は、リクエストというかたちで、大学図書館から借
ります。徳島大学には医学部がありますので、鳴門の看護学校の学生や専門職の方
が借ります。先週も徳島大学の総合から借りました。
 徳島市立図書館が今、徳島大学と共同でビブリオバトルや大学の先生が選んだ本
を、公共図書館でコーナーを作って展示したりしています。それと徳島大学に移動
図書車が入って、一般の本も見てもらうというようなことが始まっています。いろ
いろなところで連携はしているとは思いますが、大きな成果としてはまだ上がって
いないところかと思います。公共図書館は、大学の図書館に専門書で支えていただ
いていますが、今度は人のネットワークというのが大事であると思っているところ
です。

○司会 どうもありがとうございました。
 この後、さらにいろいろ講師の方とお話をしたいということもあるかと思います
ので、それは意見交換会のほうで、やらせていただきます。場所は5階の、階段のす
ぐ左手の部屋です。ささやかですけれども飲み物と、それからお菓子がありますの
で、ぜひ参加していただきたいと思います。
 それでは最後に、今日いろいろ面白い話をしていただいた茂出木さんに拍手でも
って感謝をして、それでお開きということにしたいと思います。
(拍手)


なお、当日のスライドは、 http://www.slideshare.net/ModekiRiko/20141216-42816005
及び http://mu-libcourse.jp/htdocs/pdffile/lectureslides2612.pdf で公開して
いる。


[編集部注]今回は、茂出木理子さんの講演記録をご紹介しました。クリエイティ
ブ・コモンズライセンス(CC BY)で東京外国語大学学術成果コレクションにおいて
公開されているものです。 http://hdl.handle.net/10108/85082
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・
  ○ イベントカレンダー ○ 
・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・

*ラーニングコモンズに限らず、大学図書館にかかわるイベントを
広くACADEMICRESOUCEGUIDEイベントカレンダーを中心にお届けします。
(□は新しく追加されたイベントです。)

□2017-04-11(Tue):
東京文化資源会議 第4回公開シンポジウム
「UP TOKYOの魅力-世界へ、世界から」
(於・東京都/有楽町マリオン)
http://tohbun.jp/blog/2017/03/08/post-600/

□2017-04-15(Sat):
デジタルアーカイブ学会設立総会
(於・東京都/東京大学 本郷キャンパス)
http://dnp-da.jp/events-and-news/

□2017-04-21(Fri):
神奈川県資料室研究会 神資研4月例会 講演会
学術情報の著作権の最新動向と新しいWebサービス「ARROW」
(於・神奈川県/神奈川県立川崎図書館)
https://saas01.netcommons.net/shinshiken/htdocs/index.php?key=joxymuivd-359#_359

□2017-04-22(Sat)~2017-04-23(Sun):
日本アーカイブズ学会2017年度大会
(於・東京都/学習院大学)
http://www.jsas.info/modules/news/article.php?storyid=303

□2017-05-17(Wed)~2017-05-19(Fri):
第8回 教育ITソリューションEXPO EDIX
(於・東京都/東京ビッグサイト)
http://www.edix-expo.jp/

(ACADEMICRESOUCEGUIDE:http://www.arg.ne.jp/)


・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・
  ○ 情報コーナー ○ 
・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・

今月のニュース、記事紹介はお休みします。


【随時更新】カレントアウェアネス・ポータル
「大学図書館」がタグ付けされた記事一覧
http://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/37

【随時更新】CiNii論文検索
キーワード「ラーニングコモンズ」の結果一覧
http://goo.gl/WT5CbH


・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・

*ラーコモラボ通信では、皆さまからの寄稿・情報提供をお待ちしています。
ぜひ情報をお寄せください。
   Facebookページ:https://www.facebook.com/LClab
   Facebookグループ:https://www.facebook.com/groups/266869456661249/
   *Facebookグループへの参加は承認制となっております。

・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・
  ○ 編集後記 (ふじたまさえ) ○
・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・~・*・

 今月のラーコモラボ通信は、東京外国語大学附属図書館の茂出木理子さんの講演
記録がリポジトリにクリエイティブ・コモンズライセンス(CC BY)にて公開された
ことを受けて、メルマガに転載させていただきました。

 クリエイティブ・コモンズライセンス(CCライセンス)は、著作権は作者が保持
しつつ、「指定した条件内で自由に使ってかまわない」という意思表示をする仕組
みになっています。詳細は以下のURLからご覧ください。
https://creativecommons.jp/licenses/

 今回、私は茂出木理子さんのFacebookの投稿で、いくつかの論文がCCライセンス
のなかでも一番制限のゆるいCC BYで公開されたことを知り、リポジトリで茂出木さ
んの講演録や論文を読み、ラーコモラボ通信にふさわしい文章を見つけ転載させて
いただきました。もちろん、茂出木さんには事前にこの文章を転載させてください、
というお願いはしていません。代わりにCC BYでリポジトリに公開されている文章で
あることを明示してあります。きっと、茂出木さんも喜んでくださると思います。

 元のPDFファイルにはいくつかのスライドが差し込まれていましたので、そのスラ
イドについては、SlideShareの画像にリンクしてあります。また、スライドを指し
てお話されている部分についても同様にURLを追記しました。

 読者の皆さんの中にはすでに読んだことのある文章かもしれませんが、読んでい
ない方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。講演自体は2014年12月16日
に開催されたものですので、2年は経過しているのですが、当時茂出木さんがおっし
ゃっていることと、現状を比較してみるとまた新たな発見がありそうです。

 ラーコモラボ通信はどなたも無料で配信登録が可能です。ぜひ、周囲の方々に
お薦めください。

メルマガ登録・解除ページ
      http://www.mag2.com/m/0001260410.html
                            からどうぞ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ラーコモラボ通信[LClab-068]2017年03月31日(月刊)
【発行者】ラーニングコモンズラボラトリ
【編集者】ラーニングコモンズラボラトリ
【発行地】〒231-0012
    神奈川県横浜市中区相生町3-61さくらWORKS<関内>408
      アカデミック・リソース・ガイド株式会社内
【E-Mail】LCLabHQ@googlegroups.com
【サイト】https://www.facebook.com/groups/266869456661249/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌掲載記事の取り扱いは、著作権法に則って行ってください。本誌の許可を
得ていない記事の転載は違法です。引用は著作権法の範囲内で。記事を情報源
として二次的に利用する際には、情報源としての本誌の存在を明記してくださ
るようお願いします。悪質な例に対しては、法的手段を含め相応の対応をしま
す。なおメーリングリストなど、複数による閲覧が可能なアドレスでの登録は
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