三橋貴明の「新」経世済民新聞

さらば、愛の行為よ


カテゴリー: 2017年03月29日
From 佐藤健志

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2017/3/29


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「さらば、愛の行為よ」
From 佐藤健志


『右の売国、左の亡国 2020年、日本は世界の中心で消滅する』の第2部には
「さらば、愛の行為よ」という論考が収録されています。

テーマはこちら。
わが国におけるセックスレスや少子化の進行は、
〈アイデンティティの確立よりも繁栄を優先させる〉という
戦後日本のあり方の必然的な帰結ではないのか?

論考の中では、少子化やセックスレスをめぐる、さまざまなデータを取り上げました。

しかるにこの世には「マーフィーの法則」が存在する。
ご存じ、〈悪くなりうる要因があるかぎり、物事は必ず悪くなる〉というアレです。
そして大学時代の恩師、田中明彦先生はこう喝破しました。

「マーフィーの法則は、森羅万象あらゆるものに適用される」

何の話かと言いますと。
社団法人・日本家族計画協会は2002年いらい、「男女の生活と意識に関する調査」を隔年で実施しています。
2004年の第二回調査より、セックスレスの夫婦の割合も調べるようになりました。

ちなみにセックスレスは、日本性科学会によって
「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1カ月以上なく、
その後も長期にわたることが予想される場合」
と定義されています。

『右の売国、左の亡国』では、その結果も取り上げたのですが、執筆時点での最新データは2014年調査(第七回)のものでした。
セックスレスの割合は44.6%。

相当高いと思うものの、2016年に行われた第八回調査の結果が、このほど発表されたんですね。
それによれば、セックスレスの割合は、さらに2.6%増加して47.2%!
悪くなりうる要因があるかぎり、物事は必ず悪くなる!!

ご参考までに、2004年の割合は31.9%でした。

関連記事から抜粋しましょう。
いわく。

日本のセックスレス化は年々進んでおり、過去最多を記録し続けている。
避妊具の大手メーカーDurex社が2008年に公表した調査によると、
年間の性交回数は、ギリシャがトップで164回。
次いで、ブラジル145回、
ポーランド・ロシアが143回、
インド130回、
メキシコ・スイス123回と続く。
日本は年48回の週1回程度で、世界平均の103回の半分以下だ。
http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/170305/lif17030513050007-n2.html

記事によれば
〈カップルが幸福度を維持するためには、セックスは週1回で十分〉
とのことですが、
月1回もしておらず、これからもしそうにないカップルが半分近くに達しているとなると、悠長に構えてもいられません。

では、なぜヤル気にならないのか?
男性の場合、
仕事で疲れている 35.2%
家族(肉親)のように思えるから 12.8%
出産後なんとなく 12%
面倒くさい  7.2%
とのこと。

女性の場合、
面倒くさい 22.3%
出産後なんとなく 20.1%
仕事で疲れている 17.4%
家族(肉親)のように思えるから 8.2%
だそうです。

ここで目を引くのが「家族(肉親)のように思えるから」という理由。
どうもこれは、「配偶者が母親(父親)のように思えるから」ということらしいのです!

ヾ(℃゜)々\(◎o◎)/セックス=近親相姦ってか?!\(◎o◎)/(゜ロ)ギョェ

いや、ホントなんですよ。
日本家族計画協会の北村邦夫理事長も、以下のようにコメントしています。

興味深い理由は「家族のように思えるから」だ。
子供が生まれるとパパ、ママと呼ばれる。
日本の特殊な習慣で、フランスのメディアからは「婚姻しても名前で呼び合え」と指摘された(。)

文脈からして
「パパ、ママと呼びあうので、自分のパパ(ママ)としているような気になり、セックスをする意欲が失せる」
としか解釈できないではありませんか。

とはいえこの解釈、十分な説得力を持つものではない。

北村理事長も「習慣」と述べているように、
〈子供が生まれたあと、夫婦が互いの存在を子供の目線で規定しなおす〉
というのは、セックスレスが増加する以前より行われていたからです。

1963年の大ヒット曲「こんにちは赤ちゃん」(作詞・永六輔)も、
「はじめまして わたしがママよ」
「この幸せが パパの希望よ」
と歌うかたわら、
「ときどきはパパと ほら 二人だけの
静かな夜をつくってほしいの おやすみなさい」
というオチがつきました。
https://www.youtube.com/watch?v=a7guvY-SG3s

子供が生まれようが、パパ、ママと呼び合おうが、しっかりやっていたのです。

となるとこれは
〈パパ、ママと呼びあうせいで、配偶者が親のように思えてしまう〉
ではなく
〈最近の日本人は、パパ、ママと呼びあっただけで、配偶者に親のイメージが重なってしまうくらい、親から精神的に自立できずにいる〉
と解釈すべきではないでしょうか?

私は『夢見られた近代』(2008年)や『震災ゴジラ! 戦後は破局へと回帰する』(2013年)で
「戦後日本は、アメリカから自立できないことのツケとして、下の世代を精神的に圧殺する(=自立させない)道を選び、それによって衰退・没落する恐れが強い」
と論じてきましたが、
この傾向が本格的に顕在化してきたのではないか、ということです。
http://amzn.to/1JPMLrY

関連して興味深いのは、北村理事長がこうもコメントしている点。

女性にたいして「セックスが面倒くさいとは、どういう意味か?」とたずねても、
「面倒くさいといったら面倒くさい」といった返事ばかりで、さっぱりラチが開かないのだそうです。

つまりは理屈抜きで、イヤなものはイヤというわけですが、この返答、妙に子供じみていないでしょうか?
配偶者が親のように思えることと、セックスをとにかく面倒くさく感じることは、どこかでつながっているのかも知れませんよ。

ところで。
『右の売国、左の亡国』では、セックスレスをめぐる2004年と2014年のデータをもとに
「この10年間に見られた増加率(約40%増)が、今後も変わらないと仮定するかぎり、2024年にはセックスレスの夫婦が6割を超える」
と書きました。
44.6×1.4=62.44だからです。

ところが、2014年と2016年のデータをもとにしても、だいたい同じ結果が出る。

この二年間のうちに、セックスレスの割合は約6%増加しました。
47.2÷44.6=1.058なのです(小数点第四位以下を四捨五入)。

増加率が今後も変わらないと仮定しますと、2018年におけるセックスレスの比率は50.0%。
(小数点第二位以下を四捨五入。以下同様)

2020年には53.0%。
2022年には56.2%。
そして2024年には59.6%!

増加率を5.8%で計算しても59.1%となります。

2004年と2014年の比較をもとに算出した数値に比べれば、少しはマシと言えるのですが
重要なのは
〈どうもセックスレスについては、増加率をほぼ一定と考えて構わないようだ〉
ということ。

実際、2006年のデータ(34.6%)と2016年のデータ(47.2%)を元にしても、増加率は10年で約36%。
「10年で約40%」という先ほどの数値より、4%低いだけです。

ならば、2034年の夫婦におけるセックスレスの比率はどうなるか。
2年で6%増としても79.8%。
10年で36%増なら82.6%。
そして
10年で40%増なら87.4%となるのです!!

だ・か・ら、
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ。

本のご注文はこちらよりどうぞ!
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ではでは♪


<佐藤健志からのお知らせ>
1)産経デジタル「iRONNA」に、「矛盾に満ちた戦後保守の『ゴマカシ』を暴く籠池証言のインパクト」を寄稿しました。
http://ironna.jp/article/6094

2)日本文化チャンネル桜の番組「闘論! 倒論! 討論!」特別版に出演しました。本紙執筆陣の一人である小浜逸郎さんも一緒です。

テーマ:世界の今、そしてこれから〜西部邁氏を囲んで
https://www.youtube.com/watch?v=FHEalfD_4wc&feature=youtu.be

3)戦後脱却を果たしたからといって、亡国を逃れられるとは限りません。〈悪くなりうる要因があるかぎり、物事は必ず悪くなる〉という「マーフィーの法則」は、ここにも当てはまるのです。

『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』(徳間書店)
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4)「マーフィーの法則」は、保守や左翼・リベラルのあり方にも適用されます。詳細についてはこちらを。

『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は終わった』(アスペクト)
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5)わが国が70年あまり、「マーフィーの法則」に基づいて堂々めぐりを繰り返してきたことの記録です。

『僕たちは戦後史を知らない 日本の「敗戦」は4回繰り返された』(祥伝社)
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6)「(保守主義の精神に支えられるとき)憲法は、血縁の絆に基づいたものという性格を帯び、さまざまな基本法も、家族の情愛と切り離しえなくなる」(66ページ)
エドマンド・バークの言葉です。となると、家族が消滅に向かう社会では、国の保守もまた不可能ということに・・・

『新訳 フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)
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7)「娼婦にハマっている男が、妻を正しく選べるはずはなかろう。どんな女がいい女なのか、肝心の判断基準が歪んでいるからだ」(87ページ)
じつはこれ、望ましい国体の見分け方をめぐる議論の一節。トマス・ペインにとっても、政治とセックスは結びついていたようです。

『コモン・センス完全版 アメリカを生んだ「過激な聖書」』(PHP研究所)
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8)そして、ブログとツイッターはこちらをどうぞ。
ブログ http://kenjisato1966.com
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