メルマガいわし洞通信

◇新・新月いわし洞通信0108 ~小さなたき火を見つけるための~


カテゴリー: 2016年04月30日
★☆★ メルマガ◎いわし洞通信  (No.0108  2016/04/30号 ) ★☆★
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       ◆◆ 月のリズムでお届けします『メルマガ◎いわし洞通信』 ◆◆
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    読┃み┃物┃・┃目┃次┃
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    ◇今日(4/30)のお月様とお日様の予定  
    ◇新・新月いわし洞通信0108
       ~ 小さなたき火を見つけるための ~
    ◆いわしの本棚
     『村上春樹 雑文集』村上春樹・著 /新潮社(新潮文庫)/2015年11月発行
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    ★      ■■ メルマガ◎いわし洞通信  (No.0108)  ■■      ★
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    西暦 2016年  4月 30日  [月の] 第5週 第5土曜  [年の] 121日目 残り 246日
   旧暦  3月 24日 (友引)
   ユリウス通日 2457508.5 (日本時 9時の値)
<暦と時節>
  二十四節気 穀雨 (4/20 〜 5/4)/ 七十二候  牡丹花咲く (4/30 〜 5/4)
  ☆今日(4/30)のお月様とお日様の予定
  (東京) 
    日出  4時50分( 71度) 日没 18時27分(289度) 昼 時間 13時間37分
    月出  0時17分(109度) 月没 11時 6分(251度) 正午月齢 22.6
     <参照: http://koyomi8.com/sub/moonrise.htm (月出没計算)
          http://koyomi8.com/sub/sunrise.htm (日出没計算)
          詳しくは「日刊☆こよみのページ」http://koyomi8.com/ >
    ■xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
     ◇新・新月いわし洞通信0108 ~ 小さなたき火を見つけるための~
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      もう、5月です。新緑の美しい季節になりました。
   いつまでも2月のままでいてほしい、と思っても時は無常です。
   でも今日は「図書館記念日」だというので、メルマガ発行することにしました。
      今年は春があんまり待ち遠しくありませんでした。
   いつまでも冬とは言わないけれど初春(つまり2月ですね)のままがよかった。
   春が来れば変わってしまう、否が応でも動き出してしまう、
   その感じがちょっとつらかった。
    別に家族(つまり子ども)の移動の年ではなかったのですが、なんとなく…。

    ◇◆◇
      先回のメルマガで紹介した宮下奈都『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞したそうです。
   日本の本屋さんも捨てたものじゃない、と思いました。
   ここ数年、本屋の現場からも本屋に行くことも間遠になっていましたし
   本屋大賞で選ばれる本にもいまいちピンとこなかったのですが、
   今回の選考結果は、第1回の『博士の愛した数式』(小川洋子)に通じる
   ものとわたしには感じられました。これはあくまで私からの見方です。
   いろんな感じ方、捉え方があると思うので盲信はしないでね。

   ◇◆◇
     そして先日、また本屋さんの実力に救われる体験をしました。
    世の中に本屋があるというのはいい、というのがわかるような体験です。
    金沢よりは人口密度が低いと思われる某地方都市の郊外型書店でのこと。
    買い物のついで、もしくは人とまちあわせのための中途半端な時間を
    本屋でつぶそうと思った、その程度の利用の時のことです。
    あくまで私の場合、ということですが、そのような時にはまず
    雑誌のコーナーに行きます。そして週刊誌月刊誌の連載を見ます。
    継続してフォローしている連載(主にコミック)の続きを読みます。
    本屋にしたらすごい迷惑な話だとは思いますけど。
 
    さすがに立ち読みだけ、というのも気が引けるので(そうなることもしばしば)
    その後、何か買いたい本がないか探します。
    継続して買っているコミックスの新刊とか、おもしろそうな文庫とか、
    もちろん気になる本であれば、新刊の単行本でも。
    一時期は通販(てかアマゾン)の便利さに耽溺した時期もありましたが
    今は、少なくとも新刊は(USEDは除く)、リアル本屋で買うように
    できるだけ心がけています。まずは本屋に足を運ぶことも。

     ◇◆◇
     買いたいコミックを1冊手にしたのですが、コミックだけもってレジに行くのは
    その時は避けたい感じでした。せっかくなら何か文芸書、おもしろい読み物、
    ガツンと頭を殴りつけてくれるような先鋭な言葉を含んだ本を買いたい。
    文芸書の棚を見ましたが、お金を払ってずっと持っていたくなる本は
    その時は見つけられず、題名でよさそう、と思っても
    実は昔出ていた本の再編集だったり、まとめ本的だったり。
    読んだことのない世界へいざなってくれそうな本は見当たらず。
    それで文庫の棚の前をうろうろしました。

   ◇◆◇
     新潮文庫の、「む」の仕切り版の辺りに、村上春樹本が積んでありました。
    どれもこれも読んだことがあるか持っている本はほとんどで、
    でも「村上柴田翻訳堂」のアメリカ文学の新訳シリーズを1冊買うことにし、
    その隣の山に積んであった本を1冊、なにげなく手にしました。
    パッと開いたページに書いてあった言葉が目に入ってきました。
     
     「図書館の話をしよう。」

    え、なになに。この人のいう「図書館」って、興味あるかも。
   
 「このように、図書館は今にいたるまで、僕にとってとくべつな場所であり続けている。」

  もうこれだけで即買い、レジに行くことができました。
  手にした本は『村上春樹 雑文集』新潮文庫版です。
  これこそ思いっきり再編集本なんですけど、私には初見でした。

    ◇◆◇
     2月に、図書館について考える学習講演会を実施しました。
  住んでいる地方自治体で、市立図書館の建て替えの話が浮上し動きだし
  あと2年後~3年をめどに、新しい場所に移転新設することになりそうなのです。
  それ自体は嬉しくない訳ではない話ですし、いいことだろうと思うのですが
  はたしてそれがどのような図書館〔建物〕になり、どのような運用のされ方を
  するのか、大変興味関心と心配がありました。 
 
  「図書館を楽しみにする会」という既存グループと、ロゴス文庫の共催で
  野洲市立図書館の館長を経験された、千歳則雄さん〔現在野洲市のNPO嘱託職員〕
  をお招きして、「そもそも図書館とは」「憲法に裏打ちされた知る権利」、
  そのような根本的なところからの理想・理念を伺いました。

  その会自体は、よい集いになり、来てくれた人もみな満足して、
  楽しいひとときでした。それが私のこの2月の思い出です。
    
    ◇◆◇
      その一方で、今、図書館にはいろんな団体が興味を持ち、経済的なメリット
   や集客、町おこし、児童幼児サービスからカフェから高齢者支援的なことまで
   なんでもかんでも複合的にとらえられて、
   いいような、悪いような、悪くないような、そんな歯切れの悪さも感じます。
   いろんな人が「図書館」という場所に注目してくれるのはいいです。
   そして今まで図書館になんて目もくれていなかった人が
   足を運んで、利用できる場所だと思ってくれて、積極的に使うのも
   これまたすごいことなんですけど、でも本来「図書館」ってどういう場所なの?
   その自分なりにぴったりとした定義が見つかりませんでした。

    現実には、高校の図書館で司書のようなことをさせてもらっていますが、
   ここ1年はすごく「数字」にこだわってしまい、貸出数を上げるとか、
   貸出人数(実際に本を借りてくれた人の人数)を伸ばすとか、そういう
   わかりやすいことに拘泥してしまいました。
   私が、というより生徒が動いたので、それはどちらも伸びたのですが、
   なんだか釈然としません。私が望んでいる図書館って、どういうの?
   それがわからないからです。

    ◇◆◇
   それがこの、村上春樹がいうところの「図書館の話」の文章を読んで
  すっかり救われた思いになりました。ああ、この言葉があれば
  あともう少し、頑張れるかも。図書館で仕事を続けていく指針を私に
  与えてくれました。
  次にあげる引用箇所は、あくまで「私にとっての」図書館の役割として
  理解できる文章です。これがこれからのあるべき図書館の姿なのかどうかは、
  よくわかりません。もしかしたら過去のノスタルジーなのかもしれない。
  でも、この言葉で、私はここ数か月の悶々とした気持ちを
  ある程度解消させることができました。ありがとう、新潮文庫と村上さん。
  そしてこの本を私の目の届くところに置いてくれた本屋さんにも。

 「僕はそこに行けばいつでも、自分のためのたき火を見いだすことができた。」
                                 『村上春樹 雑文集』(新潮文庫)P497

   「図書館とは、もちろん僕にとってはということだけれど、
    「あちら側」の世界に通じる扉を見つけるための場所なのだ。」(同上)P498

◇◆◇
   これからできる公共図書館に対してではなく、今自らが関わっている
 小さな学校の図書館において、私はその利用者(つまり生徒ですね)たちが
 「自分のためのたき火」を見つける手助けになるような図書館を作ろう。
 「あちら側の世界」を見つけるヒントになるような扉を数多く揃えよう。
  
 そう思えば、少し憂鬱だった連休明けからの仕事にも、張り合いが持てます。

   言葉ってすごいです。
 たったこれだけのメッセージで、ダウナーだった私の気持ちが少し
 上向きになったのですから。

 ちなみにこの文章は、村上春樹が、スイスにあるザンクトガレン修道院図書館
 の記念カタログの序文として書いた文章だそうです。
 たっくさんの文章が収められているこの『雑文集』を開いて 
 このページがひらかれて「図書館」という言葉が目に飛び込んできたこと
 の幸運を、喜ぶことにいたしましょう。

 やっぱり、町に本屋があるって、いいな。


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