石平(せきへい)のチャイナウォッチ

中国経済の「死に至る病」


カテゴリー: 2011年05月18日
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2011.05.18 No.125号
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~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ
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■ 中国経済の「死に至る病」
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今週月曜日の5月16日、中国経済の暗澹たる見通しについての
重要な発言がある「重量級」の中国国内専門家の口から飛び出た。

中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員を務める李稲葵清華大教授は
この日の講演で、物価の先行きについて「今後5~10年は比較的高い水準が続く」
と述べ、中国経済を多いに苦しめているインフレの長期化についての見通しを示した。

今からちょうど五ヶ月前の2010年12月16日、
筆者の私は産經新聞での連載コラムである「石平のChina Watch」で
中国のインフレ問題を取り上げて、
「インフレはこれからも、かなり長い期間にわたって
中国全土を席巻することになるだろう。」との予測を立てていたが、
五ヶ月後の今になって、中国人民銀行の金融政策委員たる者は、
この「石平予言」を追随したかのような形で同じことを口にした。
この一件からしても、経済問題を含めた中国諸問題を見る時の
私石平の目の確かさは、大いに自慢しても良いものではないのか。

それはさておきながら、上述の李金融政策委員の発言は、
今後の中国経済の行方を占う上で実に重大な意味がある。
本コラムはかねてから指摘してきたように、
中国を襲ってきている急速なインフレの亢進=物価の上昇の中で、
それに伴う社会的不安の拡大を何よりも恐れている中国政府は
実は去年末の辺りから、さまざまな金融手段を講じての金融引き締め策に転じた。
政府と中国人民銀行は去年の12月と今年の2月の二回にわたって
政策金利を引き上げたり、毎月一度のペースで国内銀行の預金準備率を引き上げたりして、
まさに前代未聞の密度で一連の引き締め策を次から次へと打ち出してきた。
インフレを抑え付けるのに必死となっているのである。

しかし、この一連の金融引き締め策が実行されている中で、
その副作用としての大変深刻な問題が続々と発生してきた。
その一つは、金融引き締めによって新規融資の規模が大幅に削減された結果、
中国経済の6割以上を支える中小企業の多くは深刻な「融資難」に陥ってしまい、
生産活動の縮小を余儀なくされたことである。
5月16日付の「中国経済報」の関連記事が、上海周辺の「長江デルタ」地域で、
中小企業が生産停止あるいは「半停止」
に追い込まれているような現象が広がっていることを報じたのはその一例である。
とにかく、4月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が
前月比0.5ポイントも悪化したことからも分かるように、
全国にわたる生産活動の停滞とそれに伴う景気の後退は
すでに目の前の現実となっているのである。

それよりも、もう一つの深刻な問題は金融引き締めの中で起きている。
それはすなわち、不動産バブルの崩壊がよりいっそうの現実味を帯びてきた、
ということである。筆者はこのコラムでも指摘してきたように、
今の中国で膨らんできている史上最大の不動産バブルの形成の原因は、
まさに2010年までに中国政府の実施した
金融史上前代未聞の量的緩和=放漫融資にあったが、
今年に入って中国政府はインフレ退治のために金融の引き締めに転じてしまうと、
全国の不動産は急速に売れなくなっている現象が起きているのである。
たとえば首都北京の場合、今年の第1四半期(1月~3月)での不動産市場の取引高は
10年第4四半期より40%も落ちた。そして今月の5月に入ると、
北京市内の新規分譲物件の9割以上は「成約件数ゼロ」という
前代未聞の事態が起きているのである。また、4月の全国の不動産成約面積は
前月比では2割も減少した、という国家統計局の発表した数字もある。

こうした中で、不動産価格の大幅な下落はもはや時間の問題であるが、
最近、銀行業界の業務を監視する役割の中国銀行業監査委員会は、
全国の不動産価格が5割程度暴落した場合、それが銀行に与える衝撃度を検証するための
「模擬テスト」を実施したことが報じられている。
つまり、不動産価格が「5割」も暴落するような事態、
すなわち不動産バブルの崩壊はすでに政府関係の視野に入っているわけである。

以上のように、インフレ退治の金融引き締め策が実施された結果、
中小企業を中心とする生産活動の停滞が起きて景気の後退が目の前の現実となり、
不動産バブルの崩壊の足音も聞こえてきているのである。
だとすれば、今のような金融引き締め策が今後も継続されていくと、
中国経済の後退と破綻はもはや避けられない。とくに不動産バブルが崩壊した場合、
中国経済は一体どうなるのかは、先輩格の日本の前例を見てみればよく分かることである。

しかしながら、中国政府はおそらく今後も、
金融の引き締めを止めることが出来ないだろう。
というのも、冒頭で紹介した李金融政策委員の指摘したように、
少なくとも今後の「5~10年」においてインレは依然として「高い水準が続く」
ことになるからである。インフレの圧力が継続する中で、
中国政府は金融引き締めの手綱を緩めるようなことはとても出来ない。
それを継続して行くしかない。
しかしその結果、経済の下落も不動産バブルの崩壊も、
もはや誰も止められないような必然のすう勢となるのであろう。
インフレ問題はこれで、中国経済の命取りとなっていくのである。

そういう意味では、今後の長期化が予測されているインフレこそは、
中国経済の抱えている致命傷であり、その「死に至る病」なのである。

本コラムがかつて指摘したように、「インフレで死ぬか、不動産バブルで死ぬか」
というのは中国の直面する二者択一のジレンマとなっているが、
どうやら中国政府がインフレで死にたくないから、
それを抑制するための金融引き締めも継続していくことになる。
そうすると、中国経済はもはや不動産バブルの崩壊で死ぬ以外にない。
この「死期」はいつになるのか、まさにこれからの「見どころ」である。

( 石 平 )

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これからの日本に教訓となるべきものである。
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つまり、今回の事故は未然に防げた可能性が高い。
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おざなりのまま大切な議論をしない体質、
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僕は『絶対倒産する』と言われたOWNDAYSの社長になった。
売上20億,負債14億,赤字2億『絶対倒産する』と言われ、メガネ業界内ではただの質の悪い安売りチェーンと馬鹿にされ続けていたOWNDAYS(オンデーズ)を30歳の時に買収し社長に就任。その後、10年間で奇跡のV字回復を遂げて、売上150億,世界10カ国に進出するまで・・、みたいな巷によくある再生物語。半分ノンフィクション。半分はフィクション。いつまで、どこまで書き続けるかはまだ未定です。 https://www.owndays.com Twitter:https://twitter.com/shuji7771 blog:https://ameblo.jp/shuji7777/
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