中国生産現場から品質改善・経営革新

【中国生産現場から品質改善・経営革新】第529号「20世紀型モノ造り」


カテゴリー: 2017年05月22日
【中国生産現場から品質改善・経営革新】第529号「20世紀型モノ造り」
■ 第529号 ■=========================================================
回回回》 中国生産現場から品質改善・経営革新 《回回回

■ 発行責任者:林@クオリティマインド
■ http://www.quality-mind.com/ 

中国広東省東莞在住の品質改善・経営革新コンサルタントが、
世界の工場・中国の生産現場から毎週月曜日にお届けしております。

品質改善、生産性改善などの実例を現場視点で発信いたします。
中国の生産現場でご活躍の皆様、日本国内で中国企業に負けないよう頑張って
おられる皆様に是非読んでいただきたいメルマガです。

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TWI(企業内訓練)の無料説明会はあと2回開催します。
詳しくは編集後記の後に。

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■■ INDEX ■■
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第529号(2017年5月22日)
■本日のテーマ: 20世紀型モノ造り
■失敗から学ぶ: 続・ノウハウとノウホワイ
■今週の雑感: 方針管理勉強会

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■本日のテーマ: 20世紀型モノ造り

 先週は久しぶりに「無料工場診断」で中国民営企業を訪問した。
昨年は大きなプロジェクトが2件入っており、無料工場診断に出かける時間
が取れなかった。そんな訳で久しぶりの無料工場診断訪問となった。

この企業は、新興市場向けの電子製品を大量に生産している。
ベルトコンベアに大量の作業員を配置し生産する方式を「20世紀型モノ造り」
と呼んでいる。名称は私の勝手な定義なので、一般的に通用するかどうかは
分からないが、同一機種を大量に生産する方式と考えていただければ良い。

それに対して「21世紀型モノ造り」は、多品種少量生産に適応したモノ造りだ。
2001年から切り替わったと言う意味ではないが、顧客の要求が多様化した時代
に適応するために進化して来た生産方式だ。日本では20世紀末から「21世紀型
モノ造り」に替わって来ている。

この企業の経営陣は、次の問題を抱えていると認識している。
・離職率が高く作業者が定着しない。
・現場監督者の能力が足りない。
解決策として「現場監督者研修」を研修企業に依頼して来た。たまたまこの
研修企業が我々のパートナーだったので、研修講師と一緒に我々も工場診断に
立ち会う事になった。しかしこの企業の問題は監督者の研修だけでは解決困難
だろう。監督者の研修で作業員の離職率を下げられるとは思えない。

現場診断により、以下の点を確認した。
・離職率は1年で現場作業者全員が入れ替わる高水準。
・月例の品質会議の資料を見ると、重大不良発生の原因が「作業不良」であり、
 その対策は「作業者の再指導」「該当作業者に罰金」となっている。

では21世紀型モノ造りを導入すれば問題が解決するかと言うと、多分無理だ。
高離職率のまま21世紀型モノ造りを導入すれば、更に混乱するだけだろう。
作業者は、採用条件の月給がそこそこ良いので応募して来る。しかし給与条件
は毎日10時間労働の残業代が含まれている。新規採用者は1週間程働いてそれ
に気がつく。短期間で離職する者が多い。

この企業に問題解決の方策がないかと言うとそうではない。
多くの日系企業は、20世紀型モノ造りでも結果を出して来ている。
離職率が高いので、作業工程を分割し短期間で作業習熟出来る様にする。
20世紀型モノ造りはこのような活用が可能だ。

この企業には以下のアドバイスをした。
・生産効率を上げて残業時間を減らす。
 具体的には、50人1ラインの編成を30人1ラインとする。現在7ラインの
 稼働を10ラインとすれば、現状の生産量はほぼ確保出来る。
 その上で作業改善をして編成効率を上げれば生産効率が上がる。
 人数が少ない方が、編成効率を上げやすくなる。
 生産効率が上がれば、残業なしでも同じ給与を払えるだろう。
・直行率(現状96%)を上げる。
 電子製品の組み立てでは初回量産時に直行率95%程度は達成可能だ。この
 状況から、改善を継続し3ヶ月以内に直行率99%以上になる様に初期流動
 管理をする。改善のコツは高速で改善を回す事だ。不良品を放置し、まとめ
 て不良解析・対策をするのではなく、不良発生時に即解析・対策を繰り返す。
・不良解析の能力を上げる。
 不良解析を「作業ミス」で終わりにしない。なぜ作業ミスが発生するのか
 原因を突き止めなければ有効な対策は打てない。
・新人作業員の作業訓練効率を上げる。
 TWI(企業内訓練)を活用すれば、作業訓練効率を上げるだけではなく、
 監督者と作業員の信頼関係が出来、離職率も下がるはずだ。

以上を3ヶ月程度繰り返せば、生産効率は1.6倍以上になると試算した。
ここからまとめ造りを止めるなど、全体のレイアウト変更を含む大掛かりな
改善をして行けば21世紀型生産方式に近づいて行くはずだ。

今回の工場診断では、「枯れた製品」を新興市場向けに再活用する、という
気付きを得る事が出来た。まだ物が十分行き渡っていない新興市場に対し既に
原価償却が終わっている製品を生産すれば、そこそこ利益が得られるだろう。
今までは、中国で生産した物を日本を初めとした先進国に輸出する、中国市場
で販売する、という戦略の日系企業が多かったと思う。アフリカ、南米などの
新興市場向けに、過去の製品を再活用する事を検討するのも良いかも知れない。




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■失敗から学ぶ: 続・ノウハウとノウホワイ

 先週は作業標準を現場の判断で改変して核臨界事故を発生させた事例を紹介
した。今週も同様に作業標準の改変で発生した事故を紹介したい。

城島後楽園遊園地で発生した「スカイショット」(ゴムによって座席を上方に
打ち上げる逆バンジー遊具)の事故だ。座席を吊るすワイヤーとゴムの連結部
はねじ止めされており、ねじのゆるみを防ぐために割りピンが使われていた。
割りピンは、ねじ軸のピン穴に通し折り返して固定する。割りピンは折り返す
ため、交換すると再利用出来なくなる。メンテナンス作業を効率化するために、
割りピンをスナップピンに変更した。スナップピンとはピン材料の弾性を利用
し、脱着が可能となっている。一般的には「β」の形をした形状になっており、
ベータピンと呼ばれている。

参考:ベータピン↓(事故事例の物ではありません)
http://tinyurl.com/l3mjlgp

何度も使用している間に、ピンの弾性が弱くなり抜けてしまったのだろう。
当然メンテナンス要員は、安全が第一であり、安全と効率をトレードオフする
べきではない事は知っていたと思われる。しかしベータピンが緩んでしまう事
を想定出来なかったのであろう。(判断のミス)

「ゆるみ止めピンを交換する」と言うノウハウは分かっていても、ノウホワイ
が作業者に伝わっていなかった。

設計者は設計FMEAなどにより緩み止めピンの脱落と言う潜在リスクを把握して
おり、割りピンを使用し定期交換対象としていたはずだ。
メンテナンスマニュアルにノウハウ(方法)だけではなくノウホワイ(理由)
が記述されていれば、この事故は防げたはずだ。

設計FMEAは設計者だけのモノではない、メンテナンス作業にも展開すべきだ。
設計FMEAで検出した潜在故障を、工程FMEAやメンテナンス作業にも展開する
仕組みを作り、製造時、メンテナンス時にリスク管理が出来ているかどうか
レビューするとよい。APQP(先行品質保証計画)のCP(コントロールプラン)
にここまで記述してある例を見た事はないが、APQPをここまで深めておけば
ベストプラクティス事例になるだろう。

今回の失敗事例は「失敗百選」中尾政之著を参考にさせていただいた。
http://tinyurl.com/h7qehby




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■今週の雑感: 方針管理勉強会

 先週末は東莞和僑会の方針管理勉強会に参加した。この勉強会は昨年から
始めており、今年で第二期目だ。東莞和僑会の富田理事が、中国工場設立から
10年余り社内で実践して来た方針管理を伝授していただいている。
第一期の参加企業は、メンバーを替えて参加されている。更に今期から弊社を
含め3社が新たに参加して合計7社で年末まで勉強し、来年の事業計画を策定
する。

弊社は零細企業なので2人だけの参加だが、もう1人パートナー企業の社長も
参加させていただいている。彼女は、KPI管理の指導も出来る人だが、あえて
参加してもらった。それは、富田理事が指導する方針管理はたんなる手法では
なく、従業員を事業計画に参加させ、経営者マインドを育成し、事業計画達成
のコミットメントを高める方法論だからだ。

社内の方針管理、目標管理を実践するために、経営者自ら目標達成のPDCAを
回す仕組みを作らねばならない。目標を幹部職員とともに策定し、幹部職員の
目標達成コミットメントを高める。従って経営者本人のコミットメントが一番
重要だ。社内に目標管理システムを確立し、PDCAが回る仕組みを作る。長期・
中期計画を立て、翌年度の方針を立てるのは経営者の役割だからだ。経営者も
この勉強会に参加する事が条件となっている。

また、他社のメンバーと一緒にグループディスカッションをし、相互学習に
より学習効果を高める様にしている。目標達成のためには、現場能力を高める
事が必要であるため、参加企業の工場見学会もやっている。この工場見学に
より、ベンチマーキング、ベストプラクティスが可能になる。

先週の勉強会会場となった企業では、去年の勉強会で訪問した企業の良い点を
いくつも導入していた。工場見学受け入れ企業のメンバーもモチベーションが
あがる。

理論や手法を学ぶだけではなく、他社との交流で更に意欲が高まる。
最後の懇親会では、参加者の「夢」を語ってもらった。経営者も自分の夢を
語った。出張で参加出来なかった総経理も、電話で夢を語った。
夢を語るメンバーはピカピカ光っている。彼らは社内でも夢を語り合うのを
習慣にしているそうだ。私も見習わなくてはいけない。




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■■ 編集後記 ■■

最後まで読んでいただきありがとうございます。

また北朝鮮がミサイルを打ち上げた様ですね。困ったモノです。
北の標的になる確率は日本が一番高いのではないでしょうか。
日本人はもっと危機意識を高めないとダメですね。国会での議論の体たらくを
見るとつくづくそう感じます。

では、また来週。
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★☆ 第四期TWI導入サポート企業様募集中 ☆★

TWI導入サポートの詳細はこちら↓をご参照ください。
http://quality-mind.com/?p=1997

第一期、第二期のTWI導入サポート企業様の成果発表会
・第一回TWI成果発表交流会↓
http://quality-mind.com/?p=1588
・第二回TWI成果発表交流会↓
http://quality-mind.com/?p=1722

TWIに関する記事↓
http://quality-mind.com/?s=TWI

標準作業要領は決まっているが、標準作業指導法は決まっていない。
設備には取扱説明書があるが、個々の作業者には取扱説明書はない。
そのような現場で、監督職は毎日生産目標、品質目標を達成するよう仕事を
しています。

ロボットや設備は、同じ操作をすれば同じ結果が返ってきます。
しかし人間には複雑な感情があるがゆえに、同じやり方で同じ結果は得られる
とは限りません。

工程を細分化し、単純作業を人海戦術で行うモノ造りをしていた頃と比較する
と、現場監督職に要求される能力は格段にレベルアップしています。

日本では、終戦後米国から導入されたTWI(企業内訓練)により、製造現場の
監督職のレベルアップを図ってきました。それが戦後の焼け野原から、「モノ
造りニッポン」と呼ばれるまでに成長する原動力だったと言ってよいでしょう。

TWI-JI(仕事の教え方)を導入することにより、作業者への指導方法が標準
化し、誰が教えても、誰に教えても、いつ教えても同じ結果が得られるように
なります。その結果作業のバラツキを抑え、品質、生産性のばらつきを抑える
ことができます。

TWI-JR(人の扱い方)を導入することにより、職場の人間関係が改善し、
コミュニケーションが活発となり、職場環境が改善され、従業員の
モチベーションが上がります。

弊社では、2015年よりTWI導入支援のサービスをご提供しています。
日本産業訓練協会の公認トレーナー(中国人)が、直接御社の中国人監督職に
TWIの訓練をします。また中国の生産現場指導歴20年の現場改善コンサル(日本
人)も生産現場でアドバイスを差し上げます。

TWI-JI、TWIーJRに関して詳しくお知りになりたい、ご相談をされたいという
経営者様のために、TWIの説明会を開催します。

日時:4月26日(水)15:00~17:00(終了)
   5月2日(火)15:00~17:00(終了)
   5月3日(水)15:00~17:00(終了)
   5月9日(火)15:00~17:00(終了)
   5月23日(火)15:00~17:00
   5月30日(火)15:00~17:00
場所:弊社オフィス
   東莞市莞城区東城西路181号 金澳大厦二期C座502室
費用:無料

お申し込みはこのメールにご返信ください。

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