バートランド・ラッセルに関するメルマガ

編集後記 官邸 対 省庁 -「素晴らしき新世界 Brave New World」の実現


カテゴリー: 2018年04月07日
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 (週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン
  no.0579_2018/04/07 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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     ■ 目 次 ■
          
(1)ラッセルの著書及び発言等からの引用
(2)ラッセルに関する記述や発言等
 編集後記

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(1) ラッセルの著書や発言等から
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■「(ほぼ日刊)ラッセルの言葉366」
      n.1354~n.1358 を発行しました。   

  「(ほぼ日刊)ラッセルの言葉366」は,4月から土曜日も休刊としています。
  以下,1つだけ再録します。
    http://archives.mag2.com/0001626338/20180406060000000.html

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 ラッセル『権力』(Power, 1938) 第16章 権力哲学 n.11
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 第16章 権力哲学 n.11

 次に,ニーチェの英雄崇拝をとりあげてみると、(ニーチェによれば)出来損ない
で無能な連中("the bungled and botched"」は英雄の(ために)犠牲になるべきで
ある。ニーチェを称賛する読者は、もちろん,自分は英雄(の一人)だと確信し、一方
(これに対し),あくどい陰謀によって自分(英雄である私)を出し抜いたならず者
の誰それは、出来損ないで無能な連中の一人である。その結果,ニーチェの哲学は優
れている,ということになる。しかし、別の誰それもまたニーチェの哲学(英雄崇拝)
を読み、同様に称賛する場合、いったいどちら(の読者)が英雄であるかをどうやっ
て決定したらよいであろうか。(歩み寄りは考えられないことから)戦争による他な
いことは明白である。そうして,二人のうちの一人が勝利を得た場合,勝利を得た者
は,権力を維持し続けることによって,英雄の称号に対する権利を証明し続けなけれ
ばならないであろう。そのために,彼は活発な秘密警察を創設しなければならない。
彼は常に暗殺を恐れて暮らさなければならない。他の者たちは皆,密告(delation)
を恐れてびくびくするであろう。そうして,英雄崇拝は、恐怖で震える臆病者
(poltroons)からなる国家を生み出して終わるであろう

 これと同様の問題が,信念の結果が心地よい(pleasant 愉快な)ものであればその
信念は正しいとするプラグマティズムの理論に関しても生ずる。いったい誰にとって
心地よいというのか? スターリンに対する信念(スターリンを信ずること)は、ス
ターリンにとっては心地よいが、トロツキーにとっては不愉快である。ヒトラーに対
する信念(ヒトラーを信じること)は、ナチスにとっては心地よいが、しかし,ナチ
スが強制収容所(捕虜収容所)にぶちこんだ人々(ナチスによって強制収容所に入れ
られた人々)にとっては、不愉快である。次の問いの答えを決められるのは、むきだ
しの(権)力しかない。即ち、ある信念が真実だということを証明してくれるような心
地よい結果を享受できる者は果して誰であろうか?

Chapter 19: Power Philosophies, n.11

Take, next, Nietzsche's cult of the hero, to whom the "bungled and botched"
 are to be sacrificed. The admiring reader is, of cource, convinced that he
 himself is a hero, whereas that rascal so-and-so, who has got ahead of him 
by unscrupulous intrigues, is one of the bungled and botched. It follows 
that Nietzsche,s philosophy is excellent. But if so-and-so also reads it, 
and also admires it, how is it to be decided which is the hero? Obviously 
only by war. And when one of the two has achieved victory, he will have to
 keep on proving his right to the title of hero by remaining in power. 
In order to do this, he must create a vigorous secret police; he will live
 in fear of assacination, every one else will be terrified of delation, and
 the cult of heroism will end by producing a nation of trembling poltroons.

The same sort of troubles arise with the pragmatist theory that a belief is
 true if the conseauences are pleasant. Plesant to whom? Belief in Stalin is
 pleasant for him but unpleasant for Trotsky. Belief in Hitler is pleasant 
for the Nazis, but unpleasant for those whom they put in concentration 
camps. Nothing but naked force can decide the question : Who is to enjoy the
 pleasant consequences which prove that a belief is true?
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/POWER16_110.HTM
	

■「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」
      n.1309~1313号 を発行しました

 4月から「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」も土曜日も休刊としています。
  以下,1つだけ再録します。

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 R英単語・熟語 sublime 【(v) 昇華させる;高める | (adj.) 崇高な】
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★ sublime 【(v) 昇華させる;高める | (adj.) 崇高な,荘厳な;高尚な,卓越し
       た | (n) 高尚;荘厳】

* sub + limin [limen 識閾(しきいき):意識作用が出現し始めたり消失し始めた
りする境界]
* sublime beauty 崇高な美しさ
* subliminal (adj.):意識にのぼらない;潜在意識の
* sublimate (v):(人を)高める
* sublimation (n):(精神分析)昇華
   http://russell-j.com/beginner/reitan-s140.htm

<用例1>
This may seem a poor and tawdry result of researches into such sublime 
concepts as ‘duty’, ‘self-denial’, ‘ought’, and so forth, but I am 
persuaded that it is the total of the valid outcome, except in one 
particular.
[「義務」,「自已否定」,「当為」(・・・すべし)などの高尚な概念の探求の結果と
しては,これは貧弱かつ卑俗だと思われるかもしれない。しかし私は,ある一点を除け
ば,それが正当な結果の全てであると確信している。]
 出典:ラッセル『自伝』第3巻第1章「英国への帰国」
     http://russell-j.com/beginner/AB31-260.HTM

<用例2>
But my interest was of a very sentimental kind, owing to the fact that it 
was an unconscious sublimation of sex, and an attempt to escape from 
reality.
[しかし,それは無意識的な性の昇華であり,また現実からの逃避の試みであるという
ことに原因があるものであり,それゆえ私の関心は,非常に感傷的なものであった。]
 出典:ラッセル『自伝』第1巻第2章「青年期」
     http://russell-j.com/beginner/AB12-040.HTM

<参考例1>
The beauty o fht statue ws magnificient and sublime.
[その像の美しさはすばらしく,崇高であった。]
 出典:宮川幸久『英単語ターゲット1900(四訂版)』p.419

<参考例2>
I was overwhelmed by her sublime beauty.
[私は彼女の崇高な美しさに圧倒された。
 出典:『東大英単語熟語 鉄壁』p.459]

<参考例3>
The colors of the painting were sublime.
[その絵の色使いは卓越していた。]
 出典:『キクタン super 12000』p.129

<参考例4>
Subliminal advertising television (= that is shown for too short a time for
 one to be conscious of it) has been banned.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.


★「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2」 n.1053~1057

 4月から「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2」は土曜日も休刊としています。

1)n.1053:R『結婚論』第五章 キリスト教倫理 n.10:キリスト教教育
   https://russell-j.com/wp/?p=3640

2)n.1054:R『結婚論』第五章 キリスト教倫理 n.11:感情のこもった言葉
   https://russell-j.com/wp/?p=3643

3)n.1055:R『結婚論』第五章 キリスト教倫理 n.12:男の道学者による性的な美徳
     の強調
   https://russell-j.com/wp/?p=3647

4)n.1056:R『結婚論』第五章 キリスト教倫理 n.13:教父たちの女性に対する罵り
     言葉
   https://russell-j.com/wp/?p=3650

5)n.1058:R『結婚論』』第六章 ロマンティックな恋愛 n.1:野蛮な男女関係
   https://russell-j.com/wp/?p=3654


★「ラッセルの言葉_画像版」

 日本語 version : n.0517j-0523 を投稿
 英 語 version : n.0517e-0523 を投稿

  一つだけ再録します。
    http://russell-j.com/smart_r366/r366g_j0520.html

 「愛国心教育」の意図

 彼ら(少年少女)は外国の過失は教えられるが,自国の過ちは知らされない。自国
が関与してきた戦争は全て自衛のための戦争であり,他国が行った戦争は侵略戦争だ
と思うように仕向けられる。予期に反して、自国が他国を征服するときは,文明を広
めるために,福音の光を灯すために,高い道徳や禁制やその他の同様な高貴なことを広
めるためにそうしたのだと信じるように教育される。

They (= Boys and girls ) are informed of the misdeeds of foreign States, but
not of the misdeeds of their own state. They are led to suppose that all the
 wars in which their own State has engaged are wars of defence, while the 
wars of foreign States are wars of aggression. They are taught to believe 
that when, contrary to expectation, their own country does conquer some 
foreign country, it does so in order to spread civilization, or the light of
 the gospel, or a lofty moral tone, or prohibition, or something else which
 is equally noble.
 出典: Education and the Social Order, 1932, chap. 10:Patriotism in 
Education (George Allen and Unwin ed.) p.137.
 詳細情報:なし

 <寸言>
 自分の生命をかえりみずに,戦ってくれる兵隊さんがいなくなると困るので,国民に
幅広く「愛国無罪」の感情を植え付けようとする。 

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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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 今回もお休み

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 編集後記 官邸 対 省庁 -「素晴らしき新世界 Brave New World」の実現
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 官僚(省庁)は,時の政権に対してではなく,全体(= 国家ではなく、国民全体)
に対する奉仕者として日々任務を遂行するというのが「建前」であり、安倍政権以前
は、まがりなりにも実質が伴っていた。
 しかし、内閣人事局が創設され、中央省庁の幹部約600人の人事を官邸(副官房長
官が、従って結局は、官房長官及び総理大臣)が掌握する体制ができて以後は、「保
身=命」の官僚たちは、官邸の意向に沿うことが第一であり、官邸からのおかしな指
示に対してはっきり物を言わなくなり、官邸の指示がなくても「官邸の意向を忖度で
きること」が官僚が身につけるべき重要な素質になってしまった。

 従来は「省」益あって「国」益なしということで、特に財務省(旧大蔵省)が強大
な実権をもっていたが、どこを勘違いしたのか、そういった弊害をなくすには、総理
大臣の権力を米国大統領のように強化する必要があると考える者(安倍総理など)が
現れた。そうして現在のような政治経済体制や社会体制を生み出した。

 権力者から指示がなくても権力者の意向を忖度して自己規制する社会は、オルダス
・ハクスリーが描いた全体主義的な「素晴らしき新世界(Brave New World)」である
が、それはソ連や中国のような共産主義国だけでなく、資本主義国でも実現できるこ
とを,安倍総理は見事に示してくれたと言える。 (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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