バートランド・ラッセルに関するメルマガ

編集後記 北朝鮮に対する温度差ー米国、韓国、日本(及び中国、ソ連)


カテゴリー: 2017年09月09日
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 (週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン
  no.0550_2017/09/09 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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     ■ 目 次 ■
          
(1)ラッセルの著書及び発言等からの引用
(2)ラッセルに関する記述や発言等
 編集後記

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(1) ラッセルの著書や発言等から
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■「(ほぼ日刊)ラッセルの言葉366」
      n.1183~n.1188 を発行しました。
   http://archive.mag2.com/0001626338/index.html

  以下,1つだけ再録します。
    http://archives.mag2.com/0001626338/20170907084414000.html

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  ラッセル『権力』(Power, 1938) 第8章 経済力(経済的な権力)n.7
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 一国家内における経済力(経済的権力)は,究極的には,法と世論(の支持)に由
来するが,それは容易に一定の自立性を獲得する。一国家内の経済力(経済的権力)
(例:個々の大企業や経済団体)は,贈収賄(汚職)によって法に影響を及ぼすことが
できるし,宜伝によって世論に影響を及ぼすこともできる。(また)一国家内の経済
力(経済的権力)は,政治家たちの自由を阻害する債務を彼ら(政治家たち)に負わ
せることもできる。(注:みすず書房刊の東宮訳では「政治家の自由に干渉する★義
務を彼らに負わせることもできる」と訳されている)。それは(一国家内の経済力)
は,財政上の危機を引きおこすぞと威嚇することもできる。しかし,それ(一国家内
における経済力(経済的権力))がやり遂げることができることにはきわめて明瞭な
(力の)限界がある。シーザーは却って債権者(資金を提供してくれた人たち)に
助けられて権力を得たが(was helped to power by),債権者たちはシーザーが
(権力獲得に)成功しなければ返済の希望がないと思っていた。しかし,シーザーは
(権力獲得に)成功すると,彼は債権者たちを無視するほど強力になった(強力にな
り債権者たちを無視した)。シャルル五世(フランス王)は皇帝の地位を買収するの
に必要な金をフッガー家から借りたが,皇帝になるとフッガー家を無視して(snapped
 his fingers at),フッガー家の人々は貸した金を失ってしまった(原注参照)。シテ
ィ・オブ・ロンドン(ロンドンの金融街)も,今日,(第一次世界大戦後の)ドイツ
の復興を援助してこれと似た経験をした。ティッセン(注:Fritz Thyssen, 1873-
1951:ドイツ最大の鉄鋼トラストの会長で,国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)の
最大のパトロン)もヒットラーの政権獲得を援助して,同様の経験をしている。

(* 原注:フッガ一家(の人々)は,決してハプスブルク家の借り手に抵抗することが
できなかった。フッガー家が金を貸した相手は,シャルル五世だけでなく,彼に貸す
前に皇帝マキシミリアンに,彼に貸した後にスペイン系ハプスブルク家の子孫に金を
貸した。『フッガー(家)ニューズレター』の序文には,こう書かれている。「少な
くとも四百万ダカット金貨を(ハプスブルク系の)スペインの王たちはフッガー家か
ら借りたが,まったく返済しなかった。たとえ,西方と東方のハプスブルク家との商
取引から生じる損失は八百万フローリンにのぼると見積もっても(注:accrue from 
生じる/if = even if),過大評価ではない。・・・。もし彼ら(フッガー家)が存
在しなければ,ドイツにおける宗教改革は,おそらく何の抵抗も受けずに勝利したで
あろう。このフッガー家の最も有能な人々は,一世紀に渡って努力した。しかし(そ
れにもかかわらず),同家(注:貸し手)の多くの後継者たちに残されたものは,法
外なほど高価な羊皮紙の山と,二重にも三重にも抵当に入った不動産だけであった)
(注:つまり,抵当権がいっぱいついていたので、そんなものがいくらあっても処分
できないのでどうしようもなかった,ということ)。

Chapter VIII: Economic Power, n.7

Economic power within a State, although ultimately derived from law and 
public opinion, easily acquires a certain independence. It can influence law
by corruption and public opinion by propaganda. It can put politicians under
 obligations which interfere with their freedom. It can threaten to cause a 
financial crisis. But there are very definite limits to what it can achieve.
 Caesar was helped to power by his creditors, who saw no hope of repayment 
except through his success; but when he had succeeded he was powerful enough
 to defy them. Charles V borrowed from the Fuggers the money required to buy
 the position of Emperor, but when he had become Emperor he snapped his 
fingers at them and they lost what they had lent (* see note). 
The City of London, in our own day, has had a similar experience in helping
German recovery ; and so has Thyssen in helping to put Hitler into power.
(note: The Fuggers never could resist a Habsburg borrower. They lent money, 
not only to Charles V, but to the Emperor Maximilian before him, and to his
 Spanish descendants after him. The Introduction to the Fugger News Letters 
says: "At least four million ducats had been borrowed from the Fuggers by 
the Spanish kings and never repaid, and it is not exaggeration if the losses
 accruing from their business transactions with the Hapsburgs (Habsburgs) in
 the west and east are estimated at eight million florins.... But for them
 (the Fuggers) the Reformation in Germany would probably have triumphed 
without opposition. The most capable members of this House strove for a 
century, but nothing remained to their innumerable heirs but an inordinately
 costly pile of parchments and heavily mortgaged landed property.)
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/POWER08_070.HTM
	

■「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」
      n.1138~1143号 を発行しました
   http://archive.mag2.com/0001623960/index.html

  以下,1つだけ再録します。
    http://archives.mag2.com/0001623960/20170906060000000.html

★ frustrate (v)【欲求不満にさせる,イライラさせる;失望させる;挫折させる】

* frustration (n):挫折,失敗;失望;(心理)欲求不満
* frustrating (adj.):挫折感を抱かせるような,いらだたしい
* be frustrated at [with] ~に不満を抱く
* be frustrated in ~に失敗する
   http://russell-j.com/beginner/reitan-f062.htm

<用例1>
They did all that they could to frustrate our efforts to make them known. 
frustrate .
[彼らは,それら(の事実)を一般に知らせようとする我々の努力を挫折(失敗)させ
るため,できるかぎりの力を尽くしていたのである。]
 出典:ラッセル『自伝』第3巻第4章「バートランド・ラッセル平和財団」
     http://russell-j.com/beginner/AB34-200.HTM

<用例2>
And in that case the relation of parent and child will be harmonious from 
first to last, causing no rebellion in the child and no feeling of 
frustration in the parent. .
[そして,その場合には,親子関係は,最初から最後まで調和しており,子供には反抗心
はおきないし,親には挫折感をもたらさないだろう。]
 出典:ラッセル『幸福論』第13章「家族」
     http://russell-j.com/beginner/HA24-090.HTM

<用例3>
I remember vividly the first evening when she bathed me, when I considered
 it prudent to make myself stiff, as I did not know what she might be up to.
 She finally had to call in outside assistance, as I frustrated all her 
efforts.
[彼女が私を入浴させた最初の夜のことをはっきりと記憶している。その時は,身体を
こわばらせるていることが分別ある行為であると考えた。というのは,彼女が何を企
てているのか私には理解できなかったからである。彼女のあらゆる努力を私が失敗に
終わらせたので,最後には彼女は外部の助けを求めなければならなかった。]
 出典:ラッセル『自伝』第1巻第1章「幼少時代」
     http://russell-j.com/beginner/AB11-140.HTM

<参考1>
The child became easily frustrated when she couldn't do the puzzle.
[パズルが解けずにその子どもはすぐにいらだった。]
 出典:宮川幸久(編著)『英単語ターゲット1900(四訂版)』p.215

<参考2>
I got more and more frustrated because my PC kept on freezing.
[PCがフリーズしてばかりいるので,私はだんだんイライラしてきた。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.263

<参考3>
The students' indifference frustrated the teacher.
[生徒たちの無関心さはその教師を失望させた。]
 出典:『きくたん super 12000 - 聞いて覚えるコーパス英単語』p.15

<参考4>
After two hours' frustrating delay, our train at last arrived.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.


★「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2」 n.881~886

1)n.881: H. G. ウェルズとの出会い
     http://russell-j.com/wp/?p=2953

2)n.882: H. G. ウェルズの「自己中」
     http://russell-j.com/wp/?p=2956
     
3)n.883: 労働党を支持して贅沢に暮らす英国王の愛人(レディ・ウォーリック)
     http://russell-j.com/wp/?p=2959
  
4)n.884: H. G. ウェルズの弱点ー大衆におもねることもあり・・・
     http://russell-j.com/wp/?p=2964

5)n.885:思想と想像力の解放者としての H. G. ウェルズ
     http://russell-j.com/wp/?p=2967

 ウェルズの重要性は,主として,思想と想像力の解放者としてであった。ウ
ェルズは,彼が描かなければ若者たちが思いつかないだろういろいろな可能性
を,若者たちが心に描くのを助長するような種類の,魅力的なあるいは魅力的
でないありうる(実現可能性のある)社会の絵をつくり上げる(構成する)こと
ができた。彼は時々これをとても啓発的なやり方でやっている。『盲人の国』
はプラトンの洞窟の寓話を現代の言葉でやや悲観主義的に言い直したものであ
る。彼の(彼が描いた)多様なユートビアは,それ自身,それほど一様のもの
(がんじょうなもの)ではないが,あとで実を結ぶ可能性のある思想の口火を
切る(導火線に火をつける)ように意図されている。彼は常に合理主義的であ
り,現代人の心が陥りやすい(とりこになりやすい)多様な形態の迷信を回避
している。彼の科学的方法への確信は,健全かつ人を元気づけるものである。
彼の一般的な楽天主義(彼が概ね楽天的であること)は,世界の現状は楽天主
義を維持することを難しくしているが,ごく普通なものになりつつあるやや怠
惰な悲観主義よりも,もっとずっと良い結果に導きそうである。H. G. ウェル
ズは,いくらか留保すべき点(注:前述の「少し打算的な側面」など)がある
にもかかわらず,社会制度や人間関係の双方について,正気かつ建設的な思考
への重要なカであったとみなすべきであろう。私は現時点においてそれが誰に
なるかは知らないが,彼が後継者(たち)を持つことを期待する。

Wells's importance was primarily as a liberator of thought and 
imagination. He was able to construct pictures of possible societies,
 both attractive and unattractive, of a sort that encouraged the young
 to envisage possibilities which otherwise they would not have thought
 of. Sometimes he does this in a very illuminating way. His Country of
 the Blind is a somewhat pessimistic restatement in modern language of
 Plato's allegory of the cave. His various Utopias, though perhaps not
 in themselves very solid, are calculated to start trains of thought 
which may prove fruitful. He is always rational, and avoids various 
forms of superstition to which modern minds are prone. His belief in 
scientific method is healthful and invigorating. His general optimism,
although the state of the world makes it difficult to sustain, is much
 more likely to lead to good results than the somewhat lazy pessimism
 which is becoming all too common. In spite of some reservations, 
I think one should regard Wells as having been an important force 
toward sane and constructive thinking both as regards social systems
 and as regards personal relations. I hope he may have successors, 
though I do not at the moment know who they will be.
 出典: H. G. Wells, 1953.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1037_WELLS-060.HTM

 <寸言>
 日常にかまけしぼみがちな想像力を(優れた)文学者や芸術家は解放してく
れる。子どもの頃は皆想像力がたくましくても,分別がつく大人になるにつれ
、想像力の「暴走」に自ら歯止めをかけるようになってしまう。そうしてしだ
いにコンピュータやロボットで代替可能にしていき、自分で自分の首をしめる
ことになる。

5)n.886:ジョウゼフ・コンラッドとの出会い
          http://russell-j.com/wp/?p=2971
   

★「ラッセルの言葉_画像版」

 日本語 version : n.0307j-0313j を投稿
 英 語 version : n.0307e-0313e を投稿

 ひとつだけあげておきます。
 http://russell-j.com/smart_r366/r366g_j0307.html

 「従順な国民をつくるための教育」

 教育をある明確な信念を注入する手段であると考えている人々と,教育は自立的な
判断力を養う(生み出す)べきものであると考えている人々との間には,意見の一致
はまったくない。

There can be no agreement between those who regard education as a means of
 instilling certain definite beliefs, and those who think that it should 
produce the power of independent judgement.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Introduction.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE-PREF.HTM

 <寸言>
 新保守主義を標榜する政治家や評論家の多くは,「義務」教育については,自立的な
判断ができる「人間」を養うよりも,彼らが「国民」として備えるべきと考える知識
や感性を子供たちにに注入し,法律や秩序を守り,国家のためになる人間を養うことが
重要と考えているのではないか? 

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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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★インターネット情報源
1)(瀧本住人のブログ) 「核の言説史 前史 1868-1944 究理とれんとげんの時代(ラ
    ッセル「原子のABC」その他)」
     https://ameblo.jp/ohjing/entry-11210152500.html

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 編集後記 北朝鮮に対する温度差ー米国、韓国、日本(及び中国、ソ連)
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 今日は北朝鮮の建国記念日です。記念日にあわせて行われる可能性が高いと予想さ
れている威嚇行為(大陸間弾道ミサイルの発射あるいは新たな核実験)はまだ行われ
ていません。大規模な太陽フレアーの発生により無線やGPSが影響を受けているの
で,その影響が消えるまで見合わせているのでしょうか?

 「◯◯◯◯に刃物」ということで、米軍の攻撃を受けてやぶれかぶれの状態になれ
ば,金正恩は韓国や日本に攻撃をしかけかねません。北朝鮮に対する石油の全面禁輸
を米国や日本の政府はやりたがっていますが、これは金政権の崩壊につながりますの
で、やぶれかぶれになって,戦争の火蓋を切る可能性は否定できません。
 北朝鮮が反撃してくれば米軍は徹底的に北朝鮮をたたき、金政権を打倒できるでし
ょうが、その過程で韓国や日本に数万人の犠牲者がでる可能性があります。その可能
性がある以上,戦争につながりそうな政策に韓国が強行に反対するのは自然なことで
す。

 これに対し、トランプは韓国は弱腰だと悪態をついています。現時点では、北朝鮮
が米国に大陸間弾道ミサイルを複数打っても撃ち落とせる可能性がありますので、米
国は北朝鮮攻撃の口実と機会をねらっている可能性があります(安倍首相も少し同調
している?)。そういった行為が韓国や日本にどういった被害を及ぼす可能性がある
か、米国は本土を攻められたことがないために実感が余りわかないのでしょう。核兵
器による被害も実感できないでしょうし・・・。(松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
■ご意見・ご感想・お問合せはお気軽に : matusitaster@gmail.com

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