バートランド・ラッセルに関するメルマガ

編集後記 『幸福論』,『教育論』,『結婚論』のラッセルの三部作


カテゴリー: 2016年09月10日
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 バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン
  no.0499_2016/09/10 (2006/12/21 創刊/毎週土曜or日曜日発行)

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     ■ 目 次 ■
          
(1)ラッセルの著書及び発言等からの引用
(2)ラッセルに関する記述や発言等
 編集後記

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(1) ラッセルの著書や発言等から
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■「(ほぼ日刊)ラッセルの言葉366」
      n.0881~n.886 を発行しました。
   http://archive.mag2.com/0001626338/index.html

  以下,1つだけ再録します。

◆ n.0883 ラッセル『結婚論』第九章 人生における恋愛の位置 n.9

 現代世界には,もうひとつ,恋愛(感情)の十全な発展にとって,もっと心理的な
障害となるものが存在している。それは,多くの人びとが感じている,自分の個性が
損なわれはしないか(そのままの自分個性を保てないのではない)という恐怖(心)
である。これは,愚かな恐怖であり,またかなり現代的な恐怖(心)である。(注:
安藤訳では,rather を「どちらかと言えば」と訳されているが,ここでは「かなり」
の意味と思われる。即ち、昔は個性をそれほど重要視しておらず,個性尊重は現代的
な考えである,といった意味と思われる。)個性は,それ自体が目的ではない。個性
は,(個性が)実を結ぶために世界と接触しなければならないものであり,世界と接
触することで個性は孤立化をまぬがれなければならない。ガラス箱の中に入れられた
個性はしぼんでしまうが,人間的接触に惜しげなく(自由に)費やされた個性は豊か
になる。
 恋愛と,(自分の)子供と,(自分の)仕事は,個人と世界の他の人々との実り豊
かな接触の大きな源泉である。これらのなかで,普通,恋愛が時間的には最初にくる
(注:子どもは恋愛の結果,また定職を持つのは家族を養うため)。のみならず,愛
情(夫婦愛)は,親としての愛情が最良のかたちで発達するためには必須である。と
いうのも,子供は,とかく両親の特徴(性格)を再生しがちであり,両親が愛しあっ
ていない場合は,それぞれの親は,自分の特徴が子供に現われたときにだけ喜び,相
手の特徴が現われたときには苦痛を感じることになるからである。
 仕事は,常に人を外界との実り多い接触に導くことができるわけでは決してない。
仕事がそのような接触に導くことがができるかどうかは,仕事にたずさわる精神にか
かっている。もっぱら金銭だけが動機となっているような仕事には,この価値を持ち
得ないのであって,ある種の献身 -人に対してであれ,物に対してであれ,あるい
は,単なる夢に対してであれ- が具現化されているような仕事にだけがそのような
価値を持つことができる。
 また,愛(注:異性愛/現在では異性とは限らない)そのものも,独占欲(所有欲)
の強いものにすぎない場合には,無価値である。その場合は,愛情は,単に金目当て
の仕事と同じレベル(水準)にある。今我々が話しているような価値を愛が持つため
には,その愛は,愛する人(愛する対象)の自我を自分の自我と同じように大切に思
い,相手の感情や望みを,自分のことのようによく理解しなければならない。即ち,
相手をも(同様に)包みこんでしまうように,自己本位の感情を,意識的にだけではな
く,本能的に拡大しなければならない(のである)。こういうことをすべて困難にし
てしまったのは,現代の闘争的な競争社会と,一部はプロテスタンティズムから,一
部はロマン主義運動から生まれた,愚かな個性礼賛であった。 

Chapter IX: The place of love in human life, n.9

There is another more psychological obstacle to the full development of love
 in the modern world, and that is the fear that many people feel of not 
preserving their individuality intact. This is a foolish and rather modern 
terror. Individuality is not an end in itself; it is something that must 
enter into fructifying contact with the world, and in so doing must lose its
 separateness. An individuality which is kept in a glass case withers, 
whereas one that is freely expended in human contacts becomes enriched. 
Love, children, and work are the great sources of fertilizing contact 
between the individual and the rest of the world. Of these love is usually 
chronologically the first. Moreover, it is essential to the best development
 of parental affection, since a child is apt to reproduce the 
characteristics of both parents, and if they do not love each other, each 
will only enjoy his own characteristics when they appear in the children, 
and will be pained by the characteristics of the other parent. Work is by no
 means always capable of bringing a man into fruitful contact with the outer
 world. Whether it does so or not depends upon the spirit in which it is 
undertaken. Work of which the motive is solely pecuniary cannot have this 
value, but only work which embodies some kind of devotion, whether to 
persons, to things, or merely to a vision. And love itself is worthless 
when it is merely possessive; it is then on a level with work which is 
merely pecuniary. In order to have the kind of value of which we are 
speaking, love must feel the ego of the beloved person as important as one's
 own ego, and must realize the other's feelings and wishes as though they 
were one's own. That is to say, there must be an instinctive and not merely
 conscious extension of egoistic feeling so as to embrace the other person 
as well. All this has been rendered difficult by our pugnacious competitive
 society, and by the foolish cult of personality derived partly from 
Protestantism and partly from the Romantic Movement.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM09-090.HTM

■「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」
      n.0836~0841号 を発行しました
   http://archive.mag2.com/0001623960/index.html

  以下,1つだけ再録します。

◆ R英単語・熟語 n.0837 up to【~まで;次第で;義務で;企んで】

★ up to【(最大で)~まで;次第で;義務(責任)で;(良くないことを)企んで】

* live up to A : Aを信条として生きる
   http://russell-j.com/beginner/reitan-u024.htm

<用例1>
Nor do I deny that money, up to a certain point, is very capable of 
increasing happiness; beyond that point, I do not think it does so.
[金銭も,ある点までは幸福を非常に増進できるものであることを,私は否定しない。
(しかし)その限界を越えれば,幸福をより増進するとは思えない。
 出典:ラッセル『幸福論』第三章「競争」]
     http://russell-j.com/beginner/HA13-040.HTM

<用例2>
Every day for about a fortnight, we plunged him up to the neck in the sea, 
in spite of his struggles and cries.
[約二週間,私たちは,毎日のように,抵抗して泣き叫んでも,息子をどっぷり首のとこ
ろまで,海の中に押し入れた。
 出典:ラッセル『教育論』第二部 性格の教育_第4章「恐怖心」]
     http://russell-j.com/beginner/OE04-060.HTM

<用例3>
So many things were forbidden me that I acquired the habit of deceit, in 
which I persisted up to the age of twenty-one..
[あまりに多くのことが禁じられていたので,私は人を欺く習慣を身につけ,それは21
歳(訳注:英国では21歳が成人。)まで持続した。
 出典:ラッセル『自伝』第1巻第2章「青年期」]
     http://russell-j.com/beginner/AB12-010.HTM

<参考1>
It is up to you to finish the task.
[その仕事を終えるのは君の義務だ。
 出典:森一郎『試験にでる英熟語』p.30]

<参考2>
It is up to you to inform the public of the facts.
[講習にその事実を知らせるのは君の義務だ。
 出典:『アナリシス英熟語3000 .2.1』p.56]

<参考3>
It's up to you to decide which restaurant we will be dining at. / God knows
 what he has been up to recently.
[どのレストランで夕飯を食べるかは君が決めていいよ。/彼が最近何を企んでいる
のか分かったもんじゃない。
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟 語鉄壁』p.488]

<参考4>
Up to ten people (= any number between one and ten) can sleep in this tent.
 / Everyone has his part to play, from the office boy up to the President.
[ 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.]


★「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2」

1)n.537: 「高潔な」人々-自分を高潔だ(悪を懲らしめている)と思っている人々
     http://russell-j.com/wp/?p=1622

2)n.538: 自然なままで素朴な親の本能は,子供に対して自分の肉体の一部が外在化
    されたものに対するように同じ感情を抱くものである。
     https://twitter.com/russellian2/status/772559813855158273

3)n.539: 「習慣は第二の天性である」Habit is second nature!
     http://russell-j.com/wp/?p=1630

4)n.540: 過度な懐疑も独断もともにさけるべき
     http://russell-j.com/wp/?p=1635

5)n.541: 教育の第一の役割 - 知識への愛や自ら考える力を育むこと
     http://russell-j.com/wp/?p=1639

6)n.542: 独断論者と懐疑論者 - どちらも社会に災難を引き起こす
     http://russell-j.com/wp/?p=1642

7)n.543: 若者は全員、自衛隊の体験をしたほうがよいと言う稲田防衛大臣
     http://russell-j.com/wp/?p=1650


★ Twitter

1)(2016.09.05) 自然なままで素朴な親の本能は,子供に対して自分の肉体の一部が
       外在化されたものに対するように同じ感情を抱くものである。
        https://twitter.com/russellian2/status/772559813855158273

2)(2016.09.06) 独身の女性の先生を雇う習慣は心理学的にはまったくまちがってい
       る。
        https://twitter.com/russellian2/status/772920399407386624

3)(2016.09.07) 親は子供のこととの関連で(念頭において)行動しなければならな
       いが,子供は自分自身と自分の外の世界との関連で行動しなければな
       らない。
        https://twitter.com/russellian2/status/773285083532832769
 
4)(2016.09.08)(同情心の)本能的な芽ばえがあれば広い同情心を養うことは主に知
       的な事柄である。
        https://twitter.com/russellian2/status/773642968636862464

5)(2016.09.09) 対等な人間に対する愛情は愛情のうちで最上のものであり,幸福で
       恐怖心のないところに育つ見込みがずっと多い。
        https://twitter.com/russellian2/status/774009101135208448

6)(2016.09.10) 愛情を檻(おり)に閉じこめてしまう人は,愛情が自由で自発的で
       あるときにのみ発揮される美と喜びを殺してしまう。
        https://twitter.com/russellian2/status/774393902279249920

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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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 今回はお休み

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 編集後記 『幸福論』,『教育論』,『結婚論』のラッセルの三部作
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 岩波文庫に,安藤貞雄訳で,ラッセル三部作(哲学以外の一般向けの本)として,
『幸福論』,『教育論』,『結婚論』が含まれています。この中で、『幸福論』(原題
は The Conquest of Happiness 幸福の獲得/幸福は棚からぼたもちのように手に入
るものではなく、獲得するもの、という意味合い)、出版後80年たった現在でも世界
中で読み継がれています。
 ラッセルのポータルサイトに The Conquest of Happiness の full text を掲載し
ていますが、Google Analitycs によると,ラッセルのポタルサイトへの最近1ケ月
のアクセス数約8,000件のうち、The Conquest of Happiness は実に 3,147件/国別
でトップ5をあげると,インドから614件,米国から573件,パキスタンから312件,
ケニアから297件、英国から122件/となっています。)これまでインドやアフリカ
などからはアクセスがあまりありませんでしたが、最近の無線ネットワークの拡大
が大きな影響を与えていることが想像されます。/都市別に見ると、New Delhi 380
件,Nairobi 297件,Mumbai 119件,Lahore 99件, Chicago 79件、 Hong Kong 71件
,New York 71件,Karachi 58件,London 55件となっています。

 『教育論』(On Education, 1926)も英文の全文を掲載していますが,閲覧者数
はこの1ケ月で79件だけです。
 『結婚論』(Marriage and Morals, 1929)については現在,邦訳を(対訳で)連
載中ですが、これも full text をホームページに掲載する予定です。予想される閲
覧者数は多分『教育論』と似たようなものだろうと予想されます。
 第二次世界大戦後、世界各国で性が自由化されたので、ラッセルの『結婚論』は
歴史的価値はあるが、今では時代遅れだろうと思っているひとがけっこういるよう
ですが、熟読すればそうでないことをわかってもらえると思います。特に、「試験
結婚 trial marriage」 や「優生学」や「家族と国家」などの諸章は,現在でも大
きな論議を呼びそうな話題をとりあげており,お薦めです(ただし、該当の章だけ
を読みだけでは誤読をする恐れがありますが・・・)。 (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
■ご意見・ご感想・お問合せはお気軽に : matusitaster@gmail.com

■登録・解除・変更はこちら: http://russell-j.com/R3HOME.HTM
■WEBサイト: http://russell-j.com/
     ( top page: http://russell-j.com/index.htm )
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