バートランド・ラッセルに関するメルマガ

バートランド・ラッセルに関するメール・マガジンn.44


カテゴリー: 2007年10月20日
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バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン
 2007/10/20:n.0044 (2006/12/21 創刊) (毎週土曜or日曜日発行)
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HP(main): http://www005.upp.so-net.ne.jp/russell/index.htm 
Blog: http://green.ap.teacup.com/russellian/ (あるRussellianの呟き)
Blog その2(Google Blogger): http://russell-j.blogspot.com/ ・
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 ■ 目 次 ■

(1) ラッセルの著作や発言からの引用(新規にアップ or 再編集してアップ)
(2) ラッセルに関する著作等からの引用(再編集しアップロード)
(3) 編集後記

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(1) ラッセルの著作や発言からの引用(新規にアップ or 再編集してアップ)
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★「モスクワに平身低頭?」(松下訳)
  http://russell.cool.ne.jp/beginner/DBR2-01.HTM
 
 「・・・。私は最近、あなたの著作からのある引用文を読みましたが、それ
 には、あなたがあなたの愛する英国を水爆攻撃にさらすよりは、むしろ喜ん
 で平身低頭して(←腹ばいになって)モスクワ(ロシア)に降参するとあり
 ました。あなたは何年間も知的白痴のようにふるまってきたのだから、その
 ようなことをあなたが言っていると聞いても、私は驚きはいたしません。偉
 大な愛国者や勇敢な人々を輩出したことで歴史的に有名な偉大な国家(英国)
 が、−−恐怖の心理から「いかなる犠牲をはらっても平和を」というような
 ことを言い、ついには全面的降伏を言うような−−あなたのような人間を生
 み出すことができたとはまことに残念なことです。あなたは、愛国的な同胞
 の幾人かから、勇気をもらう(→彼らの'爪の垢'でも煎じて飲む')といい
 でしょう。・・・。

(ラッセルからの返事・1960年9月6日)
 拝 復
 あなたのお手紙は下品な悪口雑言だらけです。私はモスクワ(ロシア政府)に
 平身低頭している(←モスクワまで腹ばいになっていく)という発言は、もし
 そのような言葉を私がかつて言ったというのなら、それは私の敵が捏造した
 ものです。それにもかかわらず、そのような'偉業'を88歳の私に可能で、核
 兵器による差迫った破壊から、私の同胞あるいはいかなる人間でも、護るた
 めに何か効果的なことができるとすれば、私はそうするように努力するでし
 ょう。ただし、私はワシントン(米国政府)にもまた平身低頭しなければい
 けないでしょう。人類の絶滅という事態が近い将来にくる可能性が非常にあ
 るということは、多分に、硬直した独断家たちの、怒りにより閉ざれた精神
 のせいだと私には思えます。  敬 具 バートランド・ラッセル

★ラッセル「『ロシア共産主義』第2版(1948年版)へのノート」
  http://russell.cool.ne.jp/15T-NOTE.HTM
  
 この本は1920年に書かれたものだが、2点を除いて訂正なしで再版される。
 つまり私は、自分が筆者ではなかった一つの章(松下注:ラッセルと結婚直前
 だったドラ・ブラックが書いた章 Pt.1, chap.4: Art and Education)を除
 いた。他方、新しい用語法にならって多くの箇所で「共産主義」という語を
 「社会主義」に変えた。1920年には、この2つの言葉の間に今日存在してい
 るような鋭い区別はまだなかったから、このように訂正しなければ間違った
 印象を与えることになるであろう。いま書くなら、いくつかのことでは違っ
 た言い方をするであろうが、すべての主要な点で、私は1920年の私のロシア
 共産主義観を今もそのまま持ち続けている。それ以後のロシア共産主義の発
 展は、私がかつて予想したものとそれほど異なったものではなかった。
  1948年10月記 

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(2) ラッセルに関する著作等からの引用(再編集しアップロード) 
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★「『ドイツ社会主義』及び『ロシア共産主義』の簡単な紹介」
  http://russell.cool.ne.jp/RV-GSD.HTM
 
 十九世紀を一つの歴史的時期として際立たせたものが、社会主義思想の誕生で
 あったとするならば、二十世紀はその死で特徴づけられることになるのであろ
 うか。結論を出す前に、まさにその(社会主義)誕生の時に書かれた、哲学者
 ラッセルの二冊の本、分析と批判と予見の書を是非読んでほしい。・・・。
 
★河合秀和(訳)『ロシア共産主義』の訳者解説
  http://russell.cool.ne.jp/15T-KAI.HTM
  
 ・・・。たしかに現実政治は単純に敵・味方に人々を分ける。それだからこそ、
 職業政治家はそもそも職業的に政治を正直に討議することができなくなり、ま
 さにそれ故に政治について確実な理解を求めることが知識人の課題、さらには
 すべての市民の政治的義務となるのである。たとえ敵に歓迎され味方を裏切る
 ことになろうと、これ以外に共産主義についての真実を求める方法があるのか
 と、ラッセルは問いかけたのである。・・・。
 
★石橋湛山「ラッセルの露国観」
  http://russell.cool.ne.jp/TANZAN.HTM
  
 英国の学者バァトランド・ラッセル氏が、米国の雑誌『ネーション』の7月31
 日及8月7日号に掲げた労農露国視察記は、内外に、非常な評判となった。既
 に我国にも、今月其翻訳を出した雑誌が一、二ある。蓋しラッセル氏が、社会
 評論家として此頃の売れっ児である為めでもあろうが、又其記す処が、氏の人
 物から判断して、可成り信ずるに足る為めであろう。・・・。
 
★「ラッセルはロシア革命をどう見ているのか」
  http://www005.upp.so-net.ne.jp/russell/INOMA-01.HTM
  
 ここに訳出した文章は、猪俣津南雄(一八八九〜一九四二)がアメリカ合衆国に
 留学中、妻ベルタの親戚ないしは知人と思われる女性に出したと考えられる手
 紙の下書きの断片である。これの書かれた時期は内容からみて一九二〇年の後
 半、つまりラッセルのロシア訪問の報告がセンセイションをまき起こしていた
 頃と思われる。・・・。
 」
 
★(巻頭言)江上照彦「私の三題噺」
  http://www005.upp.so-net.ne.jp/russell/EGAMI4.HTM
 
 ・・・。ところで(次に)イデオロギー、すなわち政治的信条というのも、これ
 と一脈相通ずる性質をもっている。たとえば、共産主義の他に対する態度には、
 独善的で狭量で、わが仏尊しとして、他のいっさいを否定するようなところが
 あるが、その点では宗教と似たり寄ったりだ。こんなことは今さら私が言うま
 でもないことで、ラッセルがもうずっと以前に、「ボルシェビズムは宗教であ
 る」と言っている。彼によると、・・・。
 ・・・。

★江戸川乱歩「哲学者ラッセルと探偵小説」
  http://russell.cool.ne.jp/RANPO-2.HTM
  
 ロンドン・ディテクション・クラブというイギリス探偵作家のクラブがある。
 初代会長は、G.K.チェースタトン、二代目は E.C.ベントリー、三代目はド
 ロシー・セイヤーズ女史で、会員は探偵作家三十名ほどの古風で皮肉な会であ
 る。例会には会長が僧侶のガウンを着て、奇妙な儀軌(会則)を読み上げ、その
 うしろには、会の表象である髑髏(どくろ)をビロードの台にのせたのを、一人
 の従者がうやうやしく捧げて侍立(じりつ)するといった調子だが、昨年(1953
 年)秋の例会には、哲学者バートランド・ラッセルが賓客として列席した。
 ラッセルは非常な探偵小説好きで、一年三百六十五日欠かさず毎晩一冊ずつ探
 偵小説を読むといわれている。そのために名誉賓客として招待されたのである。
 ・・・。
 
★ラッセルに関するQ&A
 [質問]
  ラッセルは「共産主義が全世界を覆い尽くしても、人類が絶滅するよりはマ
  シ」という意味のことを言ったそうですが、それはいつの事で、どの本に書
  かれているのでしょうか?(できたら英語の原文もお願いします)

 [回答]
 「共産主義が全世界を覆い尽くしても、人類が絶滅するよりはマシ」といっ
 たスローガン(やキャッチフレーズ)を最初に言ったのはいつかということ
 をピン・ポイントで特定することは難しいと思われます。そのような表現を
 発見してもそれが最初とは限りません。私もどこかでラッセルがそのような
 言葉を使っているのを複数回読んでいますが、今思い出せません。
 しかしラッセルのホームページのラッセル年譜をじっくり見ていただければ、
 いつ頃からそのようなことを言い始めたか、想像はできると思われます。
 以前、このML(ラッセルのメーリングリスト)にも書いたことがあると思
 いますが、ラッセルは「理論的な」「絶対」平和主義者であったことは一度
 もありません。第一次世界大戦の時は反戦運動で投獄されましたが、第二次
 世界大戦の時は、ヒットラーに対しては戦わなければならないと主張しまし
 た。戦後は、スターリンの圧政(1,000万人がシベリアで強制労働のため死亡
 といわれている。)に対しては戦わなければならないといい、「ほんの」一時
 期(1949年前後)、核兵器の拡散を阻止するためにソ連を原爆でおどかすよう
 な発言もしたと、指摘されています(本人は人に指摘されるまではそのような
 ことを言ったことを忘れていたと『自叙伝』で書いています。なお、アメリカ
 に続いてソ連も原爆を保有するようになってからはそのような発言をしていま
 せん。)。

 ラッセルのソ連に対する態度は、1953年3月5日、スターリンの死亡(葬儀委
 員長はフルシチョフ)以後急速に変わっていきます。
 ラッセルがはっきり態度を変えた、というか「腹を決めた」のは、1954年3月
 1日のビキニにおける水爆実験がきっかけです。その年の12月23日には、BBC
 を通じて核兵器の禁止・廃止を世界に訴えた演説は大変有名です。(Portraits
 from Memory にも収録) この中では、「共産主義が全世界を覆い尽くして
 も、人類が絶滅するよりはマシ」という言葉は使っていませんが、そのような
 言葉を使っていなくてもすでにラッセルは、この言葉通りの考え方になってい
 ます。すなわち、理論的な絶対平和主義者ではなくても、「実質的な」「絶対」
 平和主義者になっていたといえます。
 なお、谷川徹三氏(第2代ラッセル協会会長)は、「全体的破滅を避けるとい
 う目標は、他のあらゆる目標に優位せねばならない」 というスローガンに対
 し、「アインシュタインの原則」と命名しましたが、アインシュタインより
 もラッセルの方が先に同様のことをいっていると思われます。
 ラッセル=アインシュタイン宣言(アインシュタインは死亡直前に署名:
 『ラッセル自叙伝』第3巻参照)も、ラッセルが草稿を執筆しアインシュタイ
 ンに送ったものですが、(だいぶ前の)世界科学者会議会長の何とかという人
 は、思いこみからか、アインシュタインが書いたものとして、「アインシュタ
 イン=ラッセル宣言」と表現していました。(注:ラッセルはアインシュタイ
 ンをたてようとしていたので、アインシュタイン=ラッセル宣言となっていて
 も不思議ではないと言う人もいます。ただし先に名前が来るほうがメインだと
 いう前提が必要ですが。)
 
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(3) 編集後記 
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 メルマガの第44号をお届けします。
 
 今回は「ラッセルと共産主義」を特集しました。ラッセルは「反共主義者」と
 して有名ですが、ラッセルの真意を誤解あるいはわかっていて曲解する人が少
 なくありません。表面上、ラッセルの考え方がいろいろ変ったからかもしれま
 せんが、基本的な考え方はあまり変っていません。
 次回は、「ラッセルの訃報記事及び追悼文など」を特集する予定です。
 (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良・まつしたあきよし)
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