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 バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメールマガジン 
  2006/12/**: n.0001 (2006/12/** 創刊)  (毎週土曜or日曜日発行)
 HP: http://www005.upp.so-net.ne.jp/russell/index.htm       
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 ■ 目 次 ■

 (1) ラッセル格言集
 (2) 連載1:松下彰良(訳)『ラッセル自叙伝』(AB22-080)
 (3) 連載2:松下彰良(訳)『ラッセル教育論』(AB22-080)
 (4) ラッセル関係インターネット情報源
 (5) 再掲:ラッセル「郷土愛と愛国心」
 (6) アドホック・エッセイ「『幸福論』を訳し終えて」

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(1) ラッセル格言集
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[n.0008:退屈の定義]

 '退屈'は、本質的には、事件を望む気持ちのくじかれた状態をいい、事件は
必ずしも愉快なものでなくてもよく、'倦怠の犠牲者'にとっては、今日と昨日
を区別してくれるような事件であればよい。
 ★出典: http://russell.cool.ne.jp/beginner/HA14-010.HTM
 ★過去ログ: http://russell.cool.ne.jp/beginner/AXIOM-2006.HTM
(人の不幸を喜ぶ人間性/それは「退屈」が原因の1つ/戦争さえも戦闘地域
が海外であれば・・・;しかし戦争が長引くと厭戦気分が大きくなり、早く戦
争が終わってほしいと願う人間の身勝手さ、思慮のなさ)
         〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 Boredom is essentially a thwarted desire for events, not necessarily
 pleasant ones, but just occurrences such as will enable the victim
 of ennui to know one day from another. 


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(2) 連載1:松下彰良(訳)『ラッセル自叙伝』(AB22-080)
   http://russell.cool.ne.jp/beginner/AB22-080.HTM
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 ・・・。第一次世界大戦が始まると、ウィトゲンシュタインは−−彼は非常
に愛国心が強かったが−−、オーストリア軍の将校になった。最初の数ケ月間
は、まだ彼と手紙のやりとりが可能であった。しかし、それもまもなく不可能
になった。そうして、第一次世界大戦休戦の日(1918年年11月11日)の約一ヶ月
後に、モンテ・カッシーノからの彼の手紙を受け取るまで、彼との間は音信不
通となった(注:ということは、約4年間音信不通?)。その手紙には、彼は
休戦日の数日後にイタリア軍の捕虜になったが幸いにも原稿は無事だと書かれ
ていた。彼は'塹壕'の中で本を書き上げており、それを私に読んでもらいたが
っているように思われた。彼は、'論理学'について考えている時には、近くで
砲弾が破裂したとしても、そのような'些細なこと'にはまったく気付かないよ
うな種類の人間であった。彼はその本の原稿を私に送って来た。その原稿につ
いて、私は、ラルワースで、J.ニコー及びドロシー・リンチと議論した。そ
れが、後に Tractatus Logico-Philosophicus(『論理哲学論考』)というタイ
トルで出版された本であった。・・・。

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(3) 連載2:松下彰良(訳)『教育論』(AB22-080)
   http://russell.cool.ne.jp/beginner/OE02-110.HTM
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 合わさって人間の理想的な性格の基礎を形作ると思われる4つの特質を取り
上げてみよう。即ち、活力(Vitality)、勇気(Courage)、感受性(Sensiti-
veness)、知性(Intelligence)の4つである(右図参照)。このリストは完全
であると私は言うつもりはない。しかし、この4つの特質がそなわれば、我々
は良い方向に進むことができると、私は考えている。さらに、若い人たちの肉
体や感情や知性を適切に取り扱えば(世話をすれば)、これらの特質はいずれ
もごくありふれたものにできる、と私は固く信じている。順に考察してみよう。
 活力は、精神的特質というよりも、むしろ、生理的な特質である。まったく
健康な場合には、おそらく'活力'は常に存在していると思われる。しかし、年
をとるにつれて衰退する傾向にあり、老年になるとしだいに衰えてなくなって
いく。身体的に丈夫な子供の場合は、'活力'は、学校にあがるまでに急速に最
高点に達するが、その後、教育によって減らさる傾向にある。'活力'があれぱ、
何ら特別に楽しい事情がまったくなくても、生きていると感じることの中に喜
びが存在する。'活力'は喜びを高め、'苦痛'を減少させる。'活力'は、どんな
出来事にも興味を持つことを容易にし、しかも、興味を持つことによって、精
神の健全さ(正気であること)のために不可欠であるところの'客観性'を促進
する。そして、人間は、(しだいに活力の衰えとともに)自分のことに注意を
奪われ、見たり聞いたりすることや自分に直接関係のないものに興味を抱くこ
とができなくなる。これは、人間にとって非常に不幸なことである。なぜなら、
それは、よくて退屈を、悪くすれば憂うつ症を伴うからである。それは、また、
ごく例外的な場合を除いては、'有用性'に対する致命的な障害となる(実際に
役立つことを習得できなくなる)。'活力'は、外界に対する興味を増進する。
また、困難な仕事をする力を増進する。さらに、活力は自分が生きていること
を楽しいものにするため、'ねたみ'に対する安全装置になる。'ねたみ'は、人
間の不幸の大きな源泉の一つであるので、このことは、活力の非常に重要な長
所である。活力は、もちろん、様々な悪い性質と両立する。たとえば、健康な
トラのような場合である。また、活力がなくても、いろんな最良の性質が存在
する場合がある。たとえば、ニュートンやロックは、活力が非常に少なかった。
しかし、二人とも、'短気'で'ねたみ'深かったが、彼らがもっと健康であれば
そういうことはなかったであろう。ニュートンが健康で、日常の快楽を楽しむ
ことができていれば、イギリスの数学を百年以上にわたってダメにしてしまっ
たライプニッツとの論争も、おそらく、すべて避けられたとことであろう。そ
れゆえ、限界はあるにしても、私は、活力を全ての人々が持つべき大切な特質
の一つに数える。

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(4) ラッセル関係インターネット情報源
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 不思議の国の哲学
→ http://www.geocities.jp/sstst716/fushiginokuni-no-tetsugaku/hatter.html
 NHKスペシャルラストメッセージ・湯川秀樹(2006年11月6日)
→ http://blog.livedoor.jp/kaz055/archives/50813427.html

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(5) 再掲: ラッセル「郷土愛と愛国心」
   → http://russell.cool.ne.jp/beginner/KYODO-AI.HTM
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(6) 「『幸福論』を訳し終えて」 (アドホック・エッセイ&備忘録)
    → http://russell.cool.ne.jp/ad060809.htm
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  ラッセルの The Conquest of Happiness, 1930 については、安藤貞雄氏に
よるすぐれた訳(岩波文庫版)があるにもかかわらず、このホームページに
松下訳を連載するにいたった理由については、松下訳の最初に書いたので、そ
れについてはあらためて書かないが、邦訳をし終わって、次のような感想を持
った。常識的なことばかりかもしれないが、列記すると、

(1)まだまだ自分も勉強が足りない(これは当たり前なので、詳細は省略)
(2)英語のできる人は、すぐれた翻訳をするとは限らない。その原因としては、
 1)英語ができても、日本語が必ずしもできるとは限らない。
 2)日本語ができても、古い日本語を使っていて、若い人の言語感覚にあわな
  い場合がある。
 3)一般常識・知識は時代によって異なるが、古い世代は、現代の若い世代が
  もっている一般常識・知識を持っていないこともあるし、またその逆もあ
  る。
 4)現在では、インターネットという優れた検索ツール(ただし間違いも非常
  に多い)が存在するが、昔はそのような便利なものがなく、調査のための
  参考図書が限られていた。従って、時間の関係で、あるところまで調べて
  わからなければ、あきらめてあいまいなまま訳してしまうケースも少なく
  なかった?。
 5)'意訳'のしすぎ、あるいは直訳すぎること。正確かもしれないが意味が通
  らない訳文(直訳しすぎ)より、ニュアンスは少し違うかもしれないが理
  解できる訳文(意訳)の方がベターである。しかし、ニュアンスが大事だ
  と思う場合は、意訳のしすぎには抵抗感を覚える。
 6)論理的思考の不十分さ。論理的に考えればそのように訳せないはずなのに、
  論理的思考が甘いために、平気で非常識な訳をしてしまうことがある。
 7)単純な不注意
 8)出版予定期日にせかされ、翻訳作業のための時間が余りとれず、見切り発
  車(出版)してしまう。

 安藤訳から、上記にあてはまるものを、少しだけ、以下紹介してみたい。も
ちろん、私の誤解かもしれないので、その場合は(掲示板あるいは、メールに
て)ご教授いただきたい。

 5)意訳のしすぎと思われる例(その1)
(However that may be, the prodigious success of these modern dinosaurs,
who,like their prehistoric prototypes, prefer power to intelligence, is
 causing them to be universally imitated./しかしながら、こういう、現代
 の恐竜とも言うべき(意志ばかり強固な)人種は、前史時代のその原型と同様
 に、知性よりも(権)力を好み、驚異的な大成功を収めたので、万人の模倣する
 ところとなっている。)
★安藤貞雄氏は、「現代の恐竜とも言うべき'大富豪たち'は、・・・。」と訳さ
れている。しかし、感性や知性が乏しく、意志だけ強固な政治家その他、多様な
競争の哲学の信奉者を指している(大富豪だけではない)と思われ、「意訳のし
すぎ」ではないだろうか。)。

 (その2)
(What might be called hygiene of the nerves has been much too little
studied/神経衛生学と呼んでよいようなものは、従来、ほとんどと言ってよい
ほど研究されてこなかった)
★安藤氏は、hygiene of the nerves を「神経生理学」(neurophysiology)と
訳されているが、ラッセルが考えているのは、純理論的な研究というよりは、
臨床科学的な、治療法も含めた「精神衛生学」のようなものであろうか。因み
に、神経生理学の研究は、米国において1930年代後半から始まったとのことで
ある。本書が出たのは1930年であることに注意。

 6)論理的思考が不十分な例
(People could not read or write, they had only candles to give them light
after dark, the smoke of their one fire filled the only room that was not
 bitterly cold./人びとは、読み書きができなかった。暗くなってからのあかり
 は、ろうそくしかなかった。ひどく寒くはない部屋は一つしかなく、その部屋は
 その部屋にしかない暖炉の火の煙が充満していた。)
★安藤貞雄訳では、「一つの炉端の火の煙が、ひどく寒くはない一つっきりの部屋
に充満していた。」となっている。これでは部屋が1つしかないようにもとられか
ねないので、松下訳の方がより適訳だと思われる。

 7)単純な不注意と思われる例
(It is many centuries since the little boys of London town could enjoy 
such pleasures as this rhyme suggests, /ロンドンの下町の少年たちがこの童
謡が示しているような'楽しみ'を享受できたのは、何世紀も前のことである。
★安藤氏は、「ロンドン市の男の子」と訳されているが、これでは'シテイ(ロンド
ン旧市部)在住の子供'ととられる恐れがある。あくまでも、'タウン'=下町の子供
を指しているのではないか。

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■編集・発行:(松下彰良・まつしたあきよし)
■ご意見・ご感想・お問合わせはお気軽に :  matusitaster@gmail.com
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