「異文化交差点」(にほんごNPO)

『異文化交差点』Vol.170(にほんごNPO)


カテゴリー: 2017年09月01日
◆◇◆◇◆◇◆◇|異||文||化|╋|交||差||点|◆◇◆◇◆◇◆◇
       ~~~Culutural Crossroads~~~~~       
             Vol.170 September         2017/9/1
 
            特定非営利活動法人 浜松日本語・日本文化研究会
                   http://nihongonpo.hannnari.com/
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

☆『異文化交差点』は〈にほんごNPO〉発行のニューズレターです。会員と
会の活動を支援してくださる方に月1回毎月1日に配信しています。

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◇日本語クラス(平成29年度)の日程◇
 http://nihongonpo.hannnari.com/school2017.html

━ C O N T E N T S ━
  ●にほんごNPOだより…
   ○思い出BOX(第13回)……………田野聖一
    ●にほんごNPO諸事雑感……………加藤庸子
     ○まっちゃかふぇ………………………杉本英雄
      ●ごげんかせんといけん………………杉本英雄
       ○編集後記

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■□■にほんごNPOだより■□■

●第13回日本語スピーチコンテストのご報告

8月6日(日)、浜松市市民協働センターにおいて
第13回 日本語スピーチコンテストが行われました。
(主催:にほんごNPO 
共催:公益財団法人浜松国際交流協会,浜松市市民協働センター)

本年の参加者は中学生が7名、大人が7名(内高校生1名)、合計14名でした。
開場が共催の浜松市市民協働センター2Fギャラリーに移り、広く開かれた
開場には出場者を除き、76名の来場がありました。

本年、中学生の部には、日本語初期レベルの生徒が2名参加しました。
他の5名は滞日年数が5年以上で、日常会話は支障なくできるレベルの生徒で
した。しかし、そうした幼少期に来日した生徒達が「書く」能力を身に着ける
のは思いのほか大変です。苦心しながら全体の構成を考え、表現を模索し、
話し言葉と書き言葉の違いを学び、勇気を出してスピーチにチャレンジした生
徒達の顔は皆一様に輝いていました。指導者の皆さんの献身的なご指導に感謝
申し上げます。

本年も11名の学校関係者が来場くださり、普段は教室で所在なさげにしてい
る生徒達が、将来を見据え、様々な問題を乗り越えていこうとする強い思いを
堂々とスピーチをする姿に感銘をうけられたようです。

成人の部の参加者は、滞日年数に大きな差がありました。2年未満であっても
日本語を勉強したい、聴衆の皆さんに自分の思いを伝えたいという強い思いが
あれば、ここまで立派なスピーチができるようになるのだ、と心の底から感銘
を受けました。

<中学生の部>
1位 パシーナ ジミー(清竜中学3年)「勇気をもって」
2位 オベデンシア ハナ ユキ アドラオ(与進中学3年)「愛する気持ち」
3位 アンニサ リスキア(中郡中学2年)「いっしょに」

<成人の部>    
1位 鈴木 アマンダ (浜松東高校1年 フィリピン)「経験が一番の先生」
2位 デデ ハンドリアンシャ(インドネシア)「日本に来る前に考えた事、今考えている事」
3位 寺田 あかり(フィリピン)「幸せな生活」
3位 川上 まりあ(フィリピン)「私のこれからの目標」

入賞者及び出場者に、にほんごNPOより賞状と賞品をお贈りしました。

今月号には、中学生の部で1位になったパシーナ ジミーさんの原稿を掲載
します。また、次号から数回にわたり、出場してくださった一部の方の原稿を
掲載する予定です。どうぞ、お楽しみに。

最後になりましたが、今回の日本語スピーチコンテストにご協力くださった多
くの皆さんに心からお礼申し上げます。
ありがとうございました。


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2017.8.6 第13回 日本語スピーチコンテストより

<中学生の部>1位

「勇気をもって」      パシーナ・ジミー(清竜中学校)

今日、僕は、清竜中学校の外国人生徒を代表して来ています。
清竜中には16人の外国人生徒がいます。今年の4月、外国人支援担当の
伊豆丸先生から外国人生徒の学級委員を任されました。
僕にとって初めての学級委員です。

学級委員の仕事は、色々あります。先生からの連絡事項を伝えたり、配布物を
配ったり、話し合いを呼び掛けたりします。5月には、昼休みにみんなで集ま
ってもらい、外国人生徒のよくないところについて、話し合い、その改善点を
3年生が中心になってまとめました。8つの改善点が、出ました。
ここでいくつか紹介します。

(1)「取り出し」の時には、授業の先生に許可をもらってから行く。
(2)教室に支援に来られた先生に「お願いします。ありがとうございました。」
 と言う。
(3)優しい言葉遣いをする。
(4)宿題をしっかり出す、などです。

これらをみんなで決めてからは、お互いに注意をしあって行動しています。
話し合いは楽しかったし、みんなとの一体感も生まれました。

正直なところ、僕は外国人と一緒にいるとリラックスできます。
それは、考え方が似ているからです。外国人の中では、僕は話したいことが
自由に話せます。

しかし、日本人のグループの中では、僕は上手く話すことができません。
それは日本語の問題じゃありません。自分の考えを言うことが恐いからです。
僕は外国人で、日本人と考え方が違います。僕の意見は、ばかにされないか、
笑われないか、否定されないかと、みんなの反応が恐いからです。

6月に道徳でグループ活動がありました。僕は伊豆丸先生に来てほしいと
お願いしました。グループでの話し合いで、自分の意見を話すことに、いつも
ためらいがあるからです。話し合いの最後に、僕はフィリピンでの考えを発表
しました。

日本では、14歳くらいのお母さんは、非難されることもありますが、
フィリピンでは家族全員が応援し、子育てをサポートすることを話しました。
みんなは、「そうなんだ、初めて知ったよ」と言ってくれました。
フィリピンの考えを受け止めてくれたことが、とても嬉しかったです。

違いを言葉にすることは、勇気がいります。しかし、黙っていると誰にも伝わ
らないことが、この時わかりました。この経験から、僕はこれからも勇気をも
って、自分の考えを話していこうと思っています。でも、もし、日本人の考え
方と違っていたら、それは笑わないで、どこが違うか 教えてください。

僕の夢は、病院の看護師になることです。同じ団地に、祖父が住んでいます。
通院には僕が付き添います。祖父を助けるうちに、病気の人を助けたい、日本
語が話せないフィリピン人を病院でサポートしたいと思うようになりました。

看護師になるためには、高校を卒業して、専門学校で勉強をします。僕は高校
生になると、自分の物は自分で買わなくてはいけません。僕たちはお小遣いが
もらえないので、それが、普通です。そのために、朝は仕事をし、夜に勉強を
する定時制の高校に入りたいです。自分で働いて、もらったお金から、感謝の
気持ちを込めて、少しずつ両親に渡していきたいです。
 
これからも日本人と外国人が仲良くなるように、勇気をもっていきたいです。
このような勇気が、お互いの違いを知り、認め合い、理解することに、つなが
る、と思います。

勇気をもって、日本で生きていくために。

皆さま、ご清聴をありがとうございました。


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■□■思い出BOX■□■

◆カレー………………………………………………………………………田野聖一

インドネシア出張に行った。

チアンジュールの送り出し機関を訪ねる。
スウェンダーさんは40代の男性だ。
送り出し機関のスタッフで、高校でも教えている。

3日目にロンボク島に行った。夜の便でバンドンから飛ぶ。
スウェンダーさんが空港まで送ってくれた。昼食はチアンジュールで食べた。

「何か食べたい物がある。」
「バッソが食べたい。」
知り合いの店に連れて行ってくれる。

バッソはインドネシアの肉だんごだ。ソフトボール大の物が出て来る。
「この店名物のお化けバッソだ。」
スウェンダーさんが笑う。
「こんなに食べられないよ。」
「そりゃそうだ。家族4人で食べる量だよ。」
自分用には普通サイズを頼んでいた。
 
夕方になってもおなかが空かない。晩ごはんはバンドンで食べる。
吉野家に連れて行かれた。私は日本から来たばかりだ。
「どうして吉野家へ。」
「ここのカレーが好きなんだ。チアンジュールに吉野家はない。」

まぁいいかと牛丼を頼んだ。味は日本と変わらない。あれっと思って尋ねた。
「スウェンダーさん、来週日本に行くんだよね。」
「うん行くよ。」
カレーも日本と同じだった。


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●○●にほんごNPO諸事雑感●○………………………………………加藤庸子

【算数・数学の学習語彙の教え方】

これは、きのう(30日)担当した「第3回 外国人の子ども支援員養成講座」
のメインテーマだった。8月は、この講座のためにあった、と言ってもいいく
らい、準備に時間を費やした。何と言っても、算数・数学は私の苦手教科だっ
たからだ。

10年前にH中学で指導補助者のコーディネーターを務めたときは、コーディ
ネートをするだけではなく、ボランティアで日本語を教えていたのだが、数学
支援は他の指導者にお任せし、遠く距離を置いていた。

10年が経ち、多少経験を積んで、算数や数学を外国人の子どもたちに教える
コツというものをおぼろげながらに掴んできた。その「ぼんやりとしたコツ」
を文字化するのに、約1か月という時間が必要だったのである。

数学のリライト教材など、教材研究の面では、NPOの子ども支援メンバーの
果たしてくれた役割が非常に大きかった。これらは自信をもって講座で紹介す
ることができた。佐々木しのぶさん作成の「関数」のリライト教材を紹介した
際には、ため息が漏れた。山下仁さん作成の「式の値すごろく」にグループで
取り組んでもらったときには、楽しそうな声が会場いっぱいに広がった。

算数・数学はピラミッド教科だという。基礎がしっかりしていないと上に積み
上がっていかないという意味だ。これは、自分の中学高校生時代を振り返って
みてもよく分かる。ちょっとサボるととたんに分からなくなり、半泣き状態で
テスト勉強をしたものだ。

小学校低学年で来日し、掛け算、割り算、分数など基礎的な学習を積み上げる
ときに、日本語力が十分ではなかった子どもたちが大勢いる。母語で、十分に
基礎を積み上げて来なかった子どもたちも、日本の学校での学びにはついてい
けない。中学生年齢で来日する子の中には、しっかり数学のピラミッドを積み
上げてきた子どもたちもいるが、この子どもたちの前には日本語の大きな壁が
立ちはだかっている。

講座を担当してみて痛切に感じることは、「いい教材が足りない」ということ
だ。日本語力だけでなく、文化的背景も、学びへの意欲も、基礎学力も異なる
子どもたちに合った教材を用意するのは並大抵のことではない。指導者に重い
負担がのしかかる。一日も早く、外国人の子どもたちが算数・数学のピラミッ
ドを築き上げていくための体系的な教材が欲しい。


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□■□まっちゃかふぇ【AIが導く未来・真相編】………………………杉本英雄

…あなた、歩きスマホしてませんか?

老いも若きも、スマホが体の一部になったかのように歩いている人がこんなに
多く見受けられるのは、ハッキリ申しましょう、異常事態です。しかし中毒患
者というものは、自分のその状態に全く気づかないのが常です。

スマホだけではありません。AIの急速な進歩と普及、自動運転の実用化(まさ
に“自動”車の実現です!)、ロボットの“家電”化…「IOT」という技術は、
世の中のあらゆるもの─モチロン究極的には人間も─ネットにつなごうという
ものです。

SFドラマや映画は、人工知能やロボットが人間のように意識と心を持って独立、
人間を支配あるいは滅亡させることばかりを描いてきました。しかし今最も現
実味を帯びているのは、人間自身が自らの意思決定や判断、記憶までもITに委
ねてしまおうとすることです。やがてネットに“接続”された人々は、AIが決
めたことに従う毎日となります。人間の“自動化”です。

歯止めなく進められるITの先に、人間が人間でなくなる未来が見えてきました。
ITが人間の脳を破壊するようになる…それは具体的にどんなプロセスを経るか、
いろいろ探っているうちに昔読んだ本を思いだしました。「致死性ソフトウエ
ア」(新潮文庫/グレアム・ワトキンス)、1997年に翻訳発行されたこの作品、
自分はたぶんその頃に読んだはずですが、内容も結末もまったく覚えていませ
んでした。それでまるで初めて読むかのように、今回再読しました。

1997年というと日本にようやくインターネットがニュースで取り上げられた頃
です(ニュースステーションで久米宏が紹介した)。かれこれ20年も前の作品
ですが、今回読んでみて、今まさにこの状況が現実となってきている!と思い
ました。作品では、“コンピュータ中毒症”というものが出てきますが、それ
は今のスマホ中毒に置き換えてもまったく遜色ありません。

ワープロの普及により、私たちは既に漢字を書く能力を手離し始めています。
これなど、脳破壊の最初の兆候といえましょう。

ここ最近、スマホのアプリでひそかに人気が出ているAIがあることをご存知で
しょうか。「SELF(セルフ)」というもので、会話ができるAIです。評判はた
いへんよく、スマホが相談相手、人生のパートナーと化しつつあります。やが
ては、AIのいうとおりに生きようとする人々が出てくるでしょう。

「青い鯨」というゲームがあり、このゲームに従って自傷行為に至り、最後に
は自ら生命を断ってしまうという、まるで小説のような事も起きています。


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●○【ごげんかせんといけん】─21世紀日本語日本文化起源への旅…杉本英雄

No.071「ほうほうの体」

…ほうほうの体とは、どんな体なのでしょうか?そもそも「てい」と「からだ」
は意味が違うんでしょうか。「ほうほう」とは?なにげに使いますが、よく考
えるとサッパリ意味がわかりません(笑)。

と、ここでググる前に、将来人間でなくなってしまう前に(まっちゃかふぇ参
照)、頭を使ってみましょう。

ひょっとしたら、「放放の体」ではないでしょうか。何かに襲われて逃げる際
に、身につけているものを放り出して逃げ出す、その姿ではないでしょうか。

(グーグル実行)

…ホウホウ(笑)、「ほうほう」は「這う這う」と書くのだそうです!ご存知
でしたか?

つまり這いつくばった無様な様で逃げ出す様子、というわけです。「てい」は
体裁です。体と書く代わりに、「態」とも書くそうです。

ちなみに、英語にはこういう言い回しがないようです。crawl awayが近いでし
ょうか。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《編者後記》今年の夏も、お盆休みがなくても大禍なく無事に乗り切ることが
出来ました(笑)。これから年末年始に向けてエネルギーを蓄えていくことに
なります。(杉)
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