キャリアデザインマガジン

日本キャリアデザイン学会 キャリアデザインマガジン118号


カテゴリー: 2015年02月10日
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□    キャリアデザインマガジン 第118号 平成27年2月6日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.career-design.org/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 学会からのお知らせ

2 キャリア辞典「ブラック企業」(2)

3 私が読んだキャリアの1冊 
  遠藤保仁著『変えていく勇気 日本代表であり続けられる理由』
  
4 キャリアイベント情報

5 学会活動ニュース

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1 【学会からのお知らせ】

◆学会監修『キャリアデザイン支援ハンドブック』好評発売中!

 キャリアデザイン学会が総力をあげた解説書!
 近年大きく広がっているキャリアデザイン支援、その基礎知識と理論・手法、
実践におけるポイントを解説し、先進事例を紹介した関係者・実務家必携の文
献です。2014年10月刊。B5判260ページ・本体3,000円+税。学会会員は20%割
引で購入できます。

 ご購入はこちらから http://www.career-design.org/maga/04.html

◆第4回中京支部研究会を開催します。

 若年者の就労支援はますます重要なテーマとなっています。この研究会では、
若年労働研究の第一人者である太田聰一慶應義塾大学経済学部教授と、地域若
者ステーションを中心に若年支援活動に取り組み大きな成果を上げている深谷
潤一NPO法人ICDSキャリアデザイン・サポーターズ理事長をお招きし、研究と
実務双方から若年者に関する最新の知見を報告いただき、参加者間での議論を
深めます。

日 時:2015年3月21日(土) 14:30~17:00 (受付 14:00) 
テーマ:「若年者就労支援を考える」
講 師:太田聰一 慶応義塾大学経済学部教授
    「学卒時の労働市場状況が若年者にもたらす影響について―展望」
    深谷潤一 NPO法人ICDSキャリアデザイン・サポーターズ理事長
  「NEET状態の若年者への就労支援がキャリア決定自己効力に及ぼす影響」
参加費:会員/無料、 一般/3,000円(事前申込制)
懇親会:研究会後に会費3,000円前後で交流会を開催します。
定 員:50名 
会 場:名古屋大学東山キャンパス 教育学部2階第3講義室
    http://www.educa.nagoya-u.ac.jp/info/access.html

 詳細・お申し込みはこちらから
 http://www.career-design.org/pub/sonota.html

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2 キャリア辞典

「ブラック企業」(2)

  昨年(2014年)4月、カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファース
トリテイリングがパート・アルバイト約16,000人を正社員転換すると発表して
世間を驚かせた。「ユニクロはブラック企業」などとウェブ上などで批判を浴
びる中、同社が2014年8月期の連結純利益が増益から一転減益になる見通しと
発表した直後のタイミングであった。同年4月12日付の日本経済新聞によれば、
同社の柳井正社長は記者会見で「「ブラック企業」との外部からの批判も影響
したのか」との質問に対して「一つのきっかけにはなったかもしれない」と答
えたという。

 また、本年(2015年)1月28日付日本経済新聞によれば、次期社長就任が決
定したワタミフードサービスの清水邦晃常務は「世間の『ブラック企業』との
批判を真正面から受け止める必要がある」「過酷な労働環境の「ブラック」イ
メージは、居酒屋の客数減や介護施設の入居率の低下、食事宅配の販売数の伸
び悩みにつながった」と率直に述べ、居酒屋に定休日を設定するなど、労働環
境改善を最優先し業績回復につなげる考えを示したという。

 こうした事例からうかがわれるのは、労働条件が悪ければ人材確保に支障を
きたすことを通じて業績悪化につながる可能性があることは当然として、「ブ
ラック企業」との世評(これはその企業が本当にブラック企業であることを示
すものでは必ずしもない)が企業イメージの悪化につながり、業績にまで悪影
響を及ぼすというレピュテーションリスクも決して小さなものではない、とい
うことだろう。つまり、もし私たちがブラック企業をなくしたいと願うのであ
れば、ブラック企業の商品やサービスを利用しないことには一定の効果がある、
ということのようだ。

 逆にいえば、ブラック企業が存在するのは、私たちがその顧客になっている
からだということでもあるのだろう。なぜ私たちは、「ブラック企業かもしれ
ない」と言われる企業の顧客になるのか?商品やサービスが魅力的だからだろ
うか?もちろんそうだろう。ユニクロがプロテニスプレーヤーの錦織圭選手と
タイアップした商品はたいへんな人気であり、それが欲しい人は「ブラック企
業」という評判が気になってもユニクロで買うよりない。

 しかし、多くの場合私たちにとって魅力的な商品、サービスとは、「安くて
便利」であることが多いのではないだろうか。私たちが商品やサービスに安価
さを求めるほどに、それを提供する人たちの賃金は上がりにくくなるだろう。
同じように、私たちが利便性を求めるほどに、働く人の労働時間は長くなりが
ちだ。牛丼店「すき家」などを展開するゼンショーも「ブラック企業」と呼ば
れることが多いが、しかし午前2時に280円の牛丼を提供するためには深夜のワ
ンオペが必要だったという面があることも否定できまい。

 昨年、人手が確保できなくなったゼンショーは「すき家」全店舗の6割で営
業時間の短縮を余儀なくされた。ワタミは定休日を設定するという。今まで利
用したいときにはいつでも開いていた店が、時に閉まるようになるわけだ。こ
れは働く人にとって就労環境を改善する効果が期待できるし、人材確保にも役
立つだろう。

 それだけではない。賃金を上げるためにもっとも効果的なのは、生産性を上
げることだ。いついっても店が開いているということは、利用客の少ない時間
帯であっても開店しているということだから、生産性が高いはずがない。利用
客の少ない時間帯を閉店すれば、その分売上は低下するだろうし、その時間帯
に利用していた顧客には不便を強いることになるだろう。しかし、閉店するこ
とで人件費だけではなく用役費なども不要になるため、生産性向上効果は大き
い。閉店が賃金の引き上げにつながることは十分に期待できる。

 結局のところ、働く人の賃金や就労環境を改善するためには、消費者が価格
の上昇や利便性の低下を容認することも求められるのだろう。私たちは消費者
であると同時に、多くの場合は労働者でもある。そう考えれば、消費者として
の自分が不便を甘受することは、労働者としての自分の労働条件を改善するこ
とでもあるのだろう。ブラック企業をなくせるかどうかは、案外私たちの意識
にかかっているのかもしれない。
                       (編集委員 荻野 勝彦)

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3 私が読んだキャリアの1冊

『変えていく勇気 日本代表であり続けられる理由』三笠書房 2014年7月
 
 遠藤保仁著 文藝春秋、2014年12月

 日本のサッカーファンであれば、遠藤保仁氏を知らない人はいないだろう。
今年1月には、国際Aマッチ150試合目に出場したベテラン選手だ。1980年
に鹿児島県で生まれ、1998年、鹿児島実業高校を卒業し、横浜フリューゲ
ルスに加入。翌年、京都パープルサンガに移籍。2001年からガンバ大阪に
所属。1999年、FIFAワールドユース選手権大会では準優勝に貢献。2
003年から10年連続でJリーグベストイレブンに選出されている。200
8年にAFCチャンピオンズリーグMVP、2009年にはアジア年間最多優
秀選手賞を受賞。2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2014年ブラ
ジルの3大会連続でワールドカップ代表に選出されており、日本代表の国際A
級マッチに最多出場記録を更新している、現役のプロサッカー選手である。

 この年末年始の間に、キャリアデザインやリーダーシップ、経営哲学にかか
わる本を何冊か読みこんだが、今回は、「変えていく勇気 日本代表であり続
けられる理由」の著者である遠藤保仁氏のメッセージを添えながら読みどころ
を紹介したい。

 この著書は、遠藤氏が現役選手として、サッカー技術の向上やチーム力を高
めるための経験談に加え、ワールドカップ優勝の夢やプレーを続けるためにキ
ャリアデザインを描き、監督や仲間と葛藤するなかで、進化し続けるメッセー
ジが盛りだくさんである。

 遠藤選手は、日本代表監督であるジーコ、オシム、岡田、ザックのもとでプ
レーしてきた。2014年11月には、アギーレ監督にも招聘されている。J
リーグの各チームで常にレギュラーとしてプレーできることは決して簡単なこ
とではない。ましてや日本代表に抜擢されてプレーができる人はほんの一握り
だ。遠藤選手は、プロフィールにもあるように2002年から2014年まで
12年間、日本代表メンバーに入っている。冒頭、長く代表でプレーできてい
る秘訣や、それぞれの代表に起用され続けている理由に、ついて簡素に述べて
いる。

 それは、これです、とはっきり言えたらいいのにと思うこともあれば、いろ
んなことが思いあたるし、その全てが正解のような気もする、と。

 1998年にプロ入り。初ゴールは、苦い思い出と回想している。チームが
3-2で勝った試合。後半終了間際に遠藤選手の1点で同点とし、延長で逆転
勝利した直後、先輩から、前半からの試合展開で幾度のチャンスがある中、
ゴールを割れなかった、「決める時にきちんと決めろ」と罵声を浴びた。1-
2で終了間際まで苦しい戦いの中、チームの前線で点を入れなければ、チーム
全体が苦しむことになる。先輩の言葉にプロとしての自覚が芽生えることにな
った。

 トルシエ監督時代には練習時でさえ「もっと気迫を前面に出せ」と何度も指
摘され、自分のカラーを出せば「いつからスターになったんだ」と激が飛んで
いた。自分らしさにこだわりすぎ、監督に理解してもらえなければ使ってもら
えない現実を振り返っている。ジーコ監督の下では、海外経験組が日本代表を
固める時代の変化を感じ、さすがに、試合に出るためにはクールに戦うのでは
なく、闘志をはっきりと伝える重要さに気が付く。一生懸命は、どの時代もあ
たり前。相手よりもひとつ前でボールを触り、絶対に負けない。相手に競り勝
ち、チームに貢献するプレーを増やす。チーム力を考えた起点はここにあった。
チームのために汗を流す、この積み重ねがフロント、監督、仲間への信頼につ
ながると心と体に沁みこんでいった。正直、あたり前のようにも聞こえること
だが、ここはプロフェッショナルの世界である。皆のレベルが最高峰の中、大
きな壁があったに違いない。一人のプレーヤーからリーダーへの基礎は、この
時代に築かれている。

 2006年7月、オシム監督が就任。それまでJEF千葉で指揮を執ってい
た軍曹の信条は、全員が「考えて、走る」。遠藤選手は、とにかく走って、頑
張るサッカーには抵抗があったようだ。これには、それなりの理由があった。
プロ最初のJ1チーム、レシャック監督からの指導で、DNAにもなっている事。
それは、サッカーは動かなくてもボールを動かせば楽しむことができ、勝てる
ことを学び、この理想のスタイルにこだわってきたからだ。オシム監督から、
ある試合、ボランチではなく、トップ下になりゴールに絡めと指示があった。
これには、足が速くもなく守備が苦手な遠藤選手の能力を発揮させるためにオ
シム監督が下した挑戦でもあった。代表で残るための厳しさではあったが、プ
レーヤーとしての幅を広げ、その後、前線を読み、攻撃の起点となり、あらゆ
る場面で得点につながるパスを出せる選手に進化したと振り返っている。

 2007年12月、病に倒れたオシム監督に代わり、岡田監督が就任。指示
は明確で、「常にチームで勝利すること」。岡田監督の腹心には、すでに遠藤
選手がいた。トップ下を経験したボランチは、リーダーの頭角を示しながら、
各選手の調子、戦略戦術の相談など、監督と十分なコミュニケーションがとれ
ることで、目標が共有できていた。しかし、南アフリカW杯ベスト16の壁は
破れなかった。それは、「守備だけでは、限界がある。つまり攻撃の強化」、
名言にもなった「それぞれの選手が個として勝負できるようになる」こと。プ
ロ意識をさらに向上させる源泉となった。

 ブラジルW杯を目指すべくザック監督が就任したチームの下で、遠藤選手は、
目標を高く持ち、「W杯優勝」そして「自分たちのサッカー」を掲げて核人材
の一人としてチームを引っ張って行った。そのカギは、攻撃的なサッカーであ
り、先制点を取ること。しかし、6月14日のコートジボアール戦で本田選手
が先制の1点をあげるものの衝撃的な逆転。得意とするコンパクトな攻撃的な
サッカーだけでは、壁が破れない。戦略パターンの複数化が必要で、「個の
力」においては世界との差がまだまだ大きい。遠藤選手は、2試合途中出場と
いった現実と、予選敗退について、さらに「個の成長」が必要だと述べている。
世界で戦うための条件である。

 遠藤選手は、年齢を重ねれば、若手と比べても筋力も落ち、体力的にも多少
きつくなる。しかし、それに応じたプレーをして、いくつになっても代表を目
指したいと述べている。

 それは、代表であることのかけがえのなさを知っているほかに違いない。サ
ッカーで刺激を受けて、気付いて、気付かされて、修正して、少しずつ変わり
ながら成長する。それを繰り返していく。そう言えば、冒頭、これまで生き残
ってこれているのは、「プロとして、サッカーを楽しんでいる」と一つの答え
を出していた。世界レベルにおけるサッカーの環境変化の中で、進化し続けて
いる遠藤選手のキャリアデザインからサラリーマンである今の自分に檄を入れ
たい。(著書の編集協力者:佐藤俊)
                       (編集委員 内田 勝久)

※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
 日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。

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4 キャリアイベント情報
  -キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します-

◆厚生労働省委託 仕事と介護の両立支援事業「今日からできる仕事と介護の
 両立支援 実践セミナー -100社の取り組みから見えたポイント-」

(東京会場)
 日 時 平成27年2月17日(火)14:00~16:30
 場 所 東京ウィメンズプラザ ホール(東京都渋谷区)
(大阪会場)
 日 時 平成27年2月20日(金)14:00~16:30
 場 所 梅田スカイビル A会議室(大阪市北区)

 参加費 無料(先着順・予約制)
 詳 細 https://www.wiwiw.com/g/lite/2015symposium.html

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5 学会活動ニュース

◆2014年11月1日(土)
 関西支部第5回研究大会 於 関西大学千里山キャンパス
 参加者 約40人

◆2014年12月21日(日)
 常務理事会・委員長等合同会議 於 学習院大学

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【編集後記】

 今号から、石川了(労務行政研究所)と平野恵子(文化放送キャリアパート
ナーズ就職情報研究所)が広報委員会に加わりました。次号からは新メンバー
も執筆します。従来以上に楽しく読める情報誌をめざしてまいりますので、引
き続きご愛読よろしくお願いします。(O)

【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.career-design.org/

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
  
  このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
  無断転用はお断りいたします。
 このメールマガジンの文責はすべて執筆者にあり、日本キャリアデザイン学
会として正確性などを保証するものではありません。

【日本キャリアデザイン学会広報委員会】

 青木猛正 埼玉県立特別支援学校校長
 石川了  労務行政研究所
 内田勝久 富士電機株式会社社長室広報IR部
 荻野勝彦 トヨタ自動車株式会社渉外部
 平野恵子 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所
 堀内泰利 慶応義塾大学SFC研究所
 山野晴雄 慶應義塾大学講師

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail info@career-design.org
   〒181-0012 東京都三鷹市上連雀1-12-17
   三鷹ビジネスパーク2号館 ぶんしん出版内

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