キャリアデザインマガジン

日本キャリアデザイン学会 キャリアデザインマガジン第77号


カテゴリー: 2008年08月05日
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□    キャリアデザインマガジン 第77号 平成20年8月4日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.cdi-j.jp/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 キャリア辞典「人間力(2)」
2 私が読んだキャリアの1冊 大竹文雄『格差と希望』
3 キャリアイベント情報

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【学会からのおしらせ】

◆学会ホームページ リニューアルのお知らせ
 日本キャリアデザイン学会は学会ホームページをリニューアルし、視認性の
 向上、内容の拡充をはかりました。ぜひご利用ください。
 なお、リニューアルにともない、アドレスが変更となっておりますので、ご
 注意ください。
 新アドレス → http://www.career-design.org/

◆日本キャリアデザイン学会 2008年度第5回研究大会・総会の参加申込を受
 け付け中です。
 日 時:2008年9月27日(土)・28日(日) 
 テーマ:「キャリアデザイン : 個人の責任と支援者の役割−「自律」「協
     働」−」 
 会 場:京都産業大学
  ※大会の詳細、およびお申込は学会ホームページでお願いします。
   http://www.career-design.org/content/view/33/1/

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1 キャリア辞典
  〜「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです〜

 「人間力」(2)

 「人間力」の経済財政諮問会議における初出は、平成14年5月13日に開催さ
れた平成14年第12回経済財政諮問会議に提出された民間議員ペーパー「経済活
性化戦略中間整理とりまとめに当たって−6つの戦略、25のアクションプロ
グラム−」らしい。その中で、経済を活性化するための6つの戦略として「技
術力、人間力、経営力、産業発掘、地域力、グローバル化」が示されていて、
「人間力戦略」は具体的には「大学の中の人材、日本的経営システムの中で十
分に能力を発揮していない人材を活用するとともに、日本の明日を担う多様な
人材の育成に今から着手する。」となっている。そのアクションプログラムと
しては「大学改革」「時代の要請する人材育成」「個性ある義務教育」「生涯
現役社会を支える労働法制、社会保障制度等の整備等」「挑戦者支援」があげ
られており、さらに重要施策例として「大学改革(競争的大学環境造り)」
「新分野人材育成倍増」「IT国民皆教育」「障害者の自立支援」が示されて
いる。
 この回の議事録をみると、この民間議員ペーパーは当時の吉川洋議員が説明
していて、人間力戦略については「技術にしても、あるいは、それをニーズに
結びつけるにしても、元にあるのは人間だということで、去年の小泉内閣の基
本方針、いわゆる「骨太の方針」以来、広い意味での知恵、あるいは人間とい
うのが結局は経済の一番底にあるものだということを言っているわけです。こ
こではそれを「人間力戦略」という形で表現して、大学の改革、新分野の人材
育成倍増、ITの国民皆教育などが特に重要だということで述べております」
と説明されている。現時点での「人間力」の印象とはずいぶん異なってみえる
のではないだろうか。
 また、当時の小泉純一郎首相もこれにふれて、「要するに人が大事であって、
日本というのは資源がないけれども、ここまで発展したのは人材、新しい言葉
で「人間力」という言葉を使いましたけれども、学校においても、企業におい
ても、政治にしても、結局は人」と述べ、「いかに人間が大事か、人材が大事
か」「人の能力、魅力が大事か」など、「人の大事さ」を繰り返し強調した。
これは結局「経済発展に資する優れた人材」といったくらいの意味であろう。
これがさらに詳細な定義を得るのは、翌年の内閣府の「人間力戦略研究会」の
報告書を待たなければならない。
                         (編集委員 荻野勝彦)


2 私が読んだキャリアの1冊

 『格差と希望』 大竹文雄著 筑摩書房 2008.6.25

 この本は、著者が2005年度・2006年度に日本経済新聞に毎月1回連載した
「経済論壇から」を時系列に並べ、その間に「追記」として現時点における著
者のコメントを付すとともに、他のメディアに著者が寄稿した関係する内容の
エッセイが配置されているという面白い構成をとっている。格差問題などを小
泉構造改革の「負の側面」とし、社会政策、経済政策の転換を求める論調が広
がったこの時期に、なにがテーマとされ、どのような議論が行われたのかが一
望できることに加え、行動経済学など最新の経済学研究の成果も取り入れた解
説が付されており、まさにオビの惹句にあるとおりの「気鋭の経済学者による
明快な時代診断」の書といえそうだ。
 したがって、取り扱われているテーマも多岐にわたっているが、著者も指摘
しているとおり、その議論の形には驚くほど共通する部分がある。著者のいう
とおり、「具体的な事件を通して、私たちは意外に普遍的な問題を議論してい
た」のであり、その中での著者の立場は「経済学の視点で世の中を見る」とい
うものだった。もちろん異なる立場もあるだろうが、効果的な政策のあり方を
考えるうえではやはりゆるがせにできない視点であるに違いない。
 さて、その中でもやはり多くを占めているのは「格差問題」だ。著者は人口
に膾炙した感のある「構造改革が格差を拡大させ、貧困を増やした」といった
俗説には批判的であり、格差拡大の主因は高齢化であるとの主張で一貫してい
る。規制緩和に関しては、かつて享受していた規制のレントを失った人にとっ
ては格差拡大を感じるかもしれないが、新規参入を果たした人にとっては格差
は縮小しているとの立場である。そして、本当の意味で問題とすべき格差は就
職氷河期に就職難に直面した若年世代の間に発生している格差であり、その原
因はすでに就労していた年長世代の既得権が守られたことにあるという。これ
に対する対策は教育・訓練の充実であり、それが喫緊の課題だとしている。も
っとも、高齢化が進展し、中高年の政治的プレゼンスが高まっていくなかでは、
それは容易ではないことも指摘されている。それではどうするか。これに対す
る明確な解答はこの本にはないようだ。
 実際、これは大変な難問のように思える。ただ、いかに教育訓練を行ったと
しても、それが最終的にそれに見合った職に就くことにつながらなければ格差
の問題は解消されないことには注意が必要なように思える。逆に、能力開発に
有意義な職に就くことができれば、自動的に教育訓練の問題は解決される。も
ちろん、適切な政策運営や技術革新によって有意義な職の求人が十分に増えて
いけば問題はないし、それが最も目指すべきところでもあろうが、そうでない
場合はどうするか。強制的な早期引退かワークシェアリングによって職を再分
配することが必要だが、これはもちろん政治的に困難だろうし、生産性も低下
する心配が大きい。
 こうしたとき、それほど大きな効果はないのかもしれないが、業績に対して
より寛大な会社制度にしていくということも、案外大切なのではないか。著者
も指摘しているように、企業としてみれば後継人材育成の観点から一定の若年
者を採用するニーズはあるはずである。「失われた10年」においては、業績は
悪くとも仕事は忙しいというのが多くの実態であったのだから、なおさらだ。
このとき、著者は本書で「既得権を持つ正社員が賃金の引き下げに応じていた
ら」と悔やむ。しかし、中長期的な人材育成の観点から採用を行ったことに起
因する業績悪化が許容されるのであれば、それは新規雇用という意味では同じ
ことではなかろうか。企業・経営者が過度に短期的な利益を追及されないよう
にしていくことは、この点においても重要であるように思える。
 そして、これに関してもうひとつ大切に思えるのが、適切な金融政策だ。あ
る程度以上のインフレであれば、これも著者が別の場所で指摘しているところ
だが、名目賃金は上昇させつつ実質賃金は切り下げる、ということができる。
業績も同じで、売上などもとりあえず名目では上がる。こうした状況であれば、
正社員の実質賃金を抑制することで新規採用を維持するという対応も比較的容
易であったに違いない。私は金融のことはわからないが、デフレは人事担当者
にとっても賃金施策を大きく制約する、まことに迷惑なものだったとはいえる
ように思える。
                         (編集委員 荻野勝彦)
 ※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
  日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。


3 キャリアイベント情報
  〜キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します〜

◆中央職業能力開発協会(JAVADA)セミナー
「グループによる語り合い」を通じた学生のキャリア形成支援セミナー
 <1回目>平成20年8月19日(火)10:00-18:00〜8月20日(水) 8:30〜16:30
 <2回目>平成20年9月1日(月)10:00〜18:00〜9月2日(火) 8:30〜16:30
 於 海外職業訓練協会(OVTA)(千葉県千葉市) 
 http://www.javada.or.jp/jigyou/jinzai/kouza_d.html

◆中央職業能力開発協会(JAVADA)キャリア・シート(CADS&CA
 DI)活用セミナーセミナー 「CADS&CADIを活用した"納得できる
 キャリア形成”支援法セミナー」
  平成20年9月24日(水) 9:30-17:00
 於 エル・おおさか 708号室(大阪市中央区)
  http://www.javada.or.jp/jigyou/jinzai/cads_cadi.html

◆法政MBAセミナー2008「組織カウンセリングとキャリア支援型人材マネジメ
 ント」
 平成20年11月1日(土) 14:00−16:00
 於 法政大学ボアソナードタワースカイホール(東京都千代田区)
 http://www.i.hosei.ac.jp/~hbs/
  ※本学会の渡辺三枝子会長、川喜多喬常務理事が出講します。


【編集後記】
 先日内閣改造が行われ、今回は5人がめでたく?初入閣を果たしました。位
人臣を極める、と昔から言いますが、総理大臣を頂点とする政治家のキャリア
の中でも、大臣といえばたいへんな到達点なのでしょう。さて、そこに至るキ
ャリアの道のりはどのようなものなのか、それは国益の観点から合理的なしく
みなのかどうか…と、あれこれ関心がふくらむところです。(O)


【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.cdi-j.jp/

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◆学会監修・菊地達昭編著『キャリアデザインへの挑戦』優待販売のお知らせ

・本学会の菊地達昭・常務理事編により、学会創立期のメンバーなど、有識者
 58人の「私のキャリアデザイン論」(『文部科学通信』に連載)を集大成し
 た図書『キャリアデザインへの挑戦』が、経営書院から出版されました。
 定価1890円(税込み)のところ、会員には特別に3割引(1323円)で販売を
 いたします。
  *経営書院(FAX:0120(73)3641、e-mail:sato-ken@sanro.co.jp)へ直接
   申し込んで下さい。その際、宛名に経営書院『キャリアデザインへの挑
   戦』係と書き、冊数、 宛名、送り先住所、送り先連絡先電話番号、会
   員番号を明記してください。
    なお郵送料はご負担下さい。折り返し振込用紙を同封しますので到着後
   1週間以内にお振込下さい。

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
  
  このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
  無断転用はお断りいたします。

 編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部担当部長)
      児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail cdgakkai@hosei.org
   〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1

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