キャリアデザインマガジン

日本キャリアデザイン学会 キャリアデザインマガジン第14号


カテゴリー: 2005年04月04日
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□    キャリアデザインマガジン 第14号 平成17年4月4日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.cdi-j.jp/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 私のキャリア観 東京大学社会科学研究所教授 佐藤博樹(2)
2 キャリア辞典「就職協定」
3 キャリアイベント情報

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【学会からのおしらせ】

◆日本キャリアデザイン学会は、以下のとおり研究会を開催いたします。
 非会員の方もご参加いただけます。
 定員まで残りわずかです。お早めにお申し込み下さい。

 日 時:平成17年4月15日(金)18:30〜20:30
 場 所:NECユニバーシティ3階301教室(東京都港区芝)
 http://www.mapion.co.jp/front/Front?uc=4&ino=BA363590&grp=nec&pg=1
 テーマ:「女性キャリア形成研究史」
   −国立女性教育会館における女性のキャリア形成に関わる事業の変遷−
 講 師:中野洋恵 国立女性教育会館研究国際室長
 コメンテーター:佐藤博樹 東京大学社会科学研究所教授
 定 員:70人(先着順)
 参加費:日本キャリアデザイン学会会員は無料、非会員は3,000円
 申込先:会員番号、会合名、所属・氏名を明記のうえ、
     cdgakkai@hosei.org まで電子メールでお申し込みください。

◆日本キャリアデザイン学会中間大会(於:千葉県野田市)の参加受付を開始
 しました。

 日 時:2005年6月4日(土)・5日(日)
 場 所:千葉県野田市鶴奉7-1 野田市役所
 テーマ:「まちづくりとキャリアデザイン」
 内 容:1日め(4日)
    ・市内見学会(会員向け)、公開講演会(市民向け)
     2日め(5日)
    ・シンポジウム「地場産業と地域のキャリア形成」
    ・シンポジウム「地方自治体とキャリアデザインの課題」
    ・懇親会 17:00〜 於 野田東武ホテル
 詳細は、http://www.cdi-j.jp/events/event-20050604.htmlをご覧下さい。
 定 員:100人
 参加費:一般行事参加費 会員2,500円、非会員4,000円
     懇親会参加費 会員・非会員とも5,000円
 申込先:会員番号(会員の方のみ)、氏名、連絡先(住所・電話番号等、会
     員の方は不要)、市内見学会(1日め)、講演会(1日め)、シン
     ポジウム(2日め)、懇親会(2日め)の参加の有無を明記のうえ、
     中間大会申込専用アドレス cdi-appli@hosei.orgまでお申し込みく
     ださい。
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1.私のキャリア観
  〜「キャリア」をめぐる有識者インタビューです〜

「就労多様化とキャリアデザイン(2)」(5回連載)
                 東京大学社会科学研究所教授 佐藤博樹

【第2回】若年非典型とキャリアデザイン

−−−−−女性パートの話をいろいろ伺いましたが、最近のもうひとつの変化
として、先生は若年パートの問題をあげられました。

佐藤 これまでは、高校を出たら製造業に正社員で就職するというのがひとつ
の一般的なパターンでしたが、90年代に正社員の求人が極端に落ち込みました。
そこで卒業後に無業になったり、有期の仕事につく人が一気に増えた。これは
かつてないことで、新卒で正社員にならなかった人のキャリア形成をどう作る
かが大きな課題になっています。

−−−−−フリーターとか、新卒無業とかですね。正社員として就職できず、
有期のアルバイトをしているとか。

佐藤 新卒者が有期の仕事を2年、3年やって、ずっとそれか、ということな
んですが、そこの先のキャリアをどう作っていくかということで、その会社で
正社員に登用される、あるいはほかの会社の正社員として採用されるにはどう
したらいいか。ひとつ大事なのは、アルバイトで働いた経験をどう評価するか
ということです。アルバイトだから能力開発につながらない仕事なのか、とい
うと必ずしもそうでもないし、そこが新しい課題ですね。

−−−−−有期雇用だと、契約更新があるとしても、基本的には雇用量の柔軟
性を確保したいということですから、企業が主体的に能力開発をしようという
インセンティブは働きにくいですね。

佐藤 ただ、小売業で非正社員を使っているのが本当に数量的な調整だけのた
めなのか、というと、そうでもない。たとえばファミリーレストランでは一店
舗に2人しか正社員がいないことが多いですが、なぜそこまで有期でやらなけ
ればいけないのかは実はよくわかりません。人材育成にそれほど長い人的資源
投資が必要ないと思っているのか、あるいは働く人の方がそれほど長く働くつ
もりがないのか。いずれにしても、なぜ有期なのか、ということはきちんと考
えなければいけない。

−−−−−有期を増やす、正社員を減らすということで、慣性が働いているだ
けの可能性もあると。

佐藤 たいして考えず、なんとなく安そうだから有期にしておけ、ということ
があるんじゃないでしょうか。たしかに日本では正社員を解雇するのは難しい
ですが、他方で、正社員なら他の店に異動させることができるわけですからね。

−−−−−小売業の人に聞いた話ですが、雇い止めはしないまでも、契約更新
のときに労働条件を変更したいということはあるのだそうです。時給はともか
く、勤務日や勤務時間帯を減らすとか、変えるとか。

佐藤 なるほど、それがやれるかどうか、ということですね。

−−−−−話を元に戻して、新卒で正社員になれずにやむなくパートになった
人が、これからどうすればいいかということですが。産業界にも、たとえば日
本経団連の「2005年版経営労働政策委員会報告」などをみても、いわゆるフリ
ーターでも人物本位でいい人がいれば採用して育成しよう、という気運が出て
きているようです。

佐藤 まず、有期契約でもフルタイムで働くことですね。短時間はよくないと
思うんですよ。毎日、職場に出て一日働けば、働くということの基本的を学べ
る。いろいろ考えるのはまずそこを過ぎてからでもいいのです。それからもう
少し上のレベルの仕事を経験し、それから正社員に、というステップです。そ
れを企業の側がちゃんと評価してあげるっていうことが大事です。

−−−−−日本経団連の報告書も、フリーターでも有意義な経験や知識を蓄積
している人がいる、ということに注目しているようです。

佐藤 そうそう。アルバイトだっていい仕事と悪い仕事がある。アルバイトだ
って教育訓練をしっかりやってくれる会社もあるわけです。しかしそういう情
報がない。社員として勤めたって、ろくに教育訓練してくれない会社だってた
くさんあるんです、実は。

−−−−−うーん、まあ、あるでしょうね。

佐藤 逆にアルバイトだって、アルバイトを店長にするくらいにしっかり教育
訓練する会社だってたくさんあるわけだから、アルバイトが全部同じなんてこ
とはない。そういうことが若い人たちにわかるようにしてあげれば、アルバイ
トで働く場合もそうした会社を選ぶことができるし、採用するほうだってアル
バイト経験を評価しやすい。

−−−−−そういうシステムがあることを訴求して、安価でいいアルバイトを
集めようという会社もありますね。

佐藤 安い賃金で働いても、あそこで3年働いて店長候補になっていたら、ほ
かのどこでも通用するみたいな、たとえば別の外食チェーンで正社員の店長候
補で採用してもらえるとかね。そういう会社はアルバイトの能力評価をしたり
しいます。

−−−−−評価は必ずしていますよね。きちんとした制度はなくて、時給に反
映されていないとしても、やっぱり仕事振りや能力をみて、次はリーダーにす
るとか、これまで週3日だったけど次の契約は週2回でいいとか。

佐藤 やってるんですよ。で、今のところは、どこそこで店長やってましたと
か、調理場のリーダーでしたとかいう企業ブランドなんだよね。まあ、それで
いいのかもしれない、それも評価の結果なんだから。社員の転職も同じですね。
この会社で何年いてこのポジションなら、どの程度の職業能力があると判断で
きるでしょ。それで大きな間違いはない。だから、アルバイトをしっかり育て
ている会社は、わが社はアルバイトをこういうふうに使っています、というの
をどんどん言えばいい。そういう情報がもっと流れるようにすることが大事で、
企業はいまCSRとかいろいろ言われていますが、そういう情報がもっと外に
見えるようにしたほうがいいよね。人材育成とかキャリア開発とか賃金水準と
か、それがそこで働いている人の評価にもなるんだから。

−−−−−たしかに、その会社に入ろうという人にとっても重要な情報ですね。
実務的には難しいものがありますが。

佐藤 確かに賃金水準なんか、企業がいちばん出したくない情報ですね。いい
話ばかりじゃないしね。 (つづく)
                 (聞き手・文責:編集委員 荻野勝彦)

 佐藤 博樹(さとう ひろき)
 東京大学社会科学研究所教授。産業社会学専攻。専門は人的資源管理、労使
 関係、社会調査。著書に「ユニオン・アイデンティティ大作戦」(1991、共
 著、総合労働研究所)、「人事管理入門」(2002、共著、日本経済新聞社)、
 「男性の育児休業」(2004、共著、中公新書)ほか多数。


2.キャリア辞典
  〜「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです〜

 「就職協定」

 4月に入り、就活シーズンが本格化している。かつては、就活スケジュール
を規定する「就職協定」というものが存在していたのだが、すでに9年前にな
る1996年に廃止されているから、今では就活の当事者である学生さんたちには
耳慣れない言葉になっているかもしれない。現時点でこれにあたるのは経団連
が発表している「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」だが、これ
とて聞いてピンとくる人は多くはないだろう。
 新卒就職に関しては、優れた人材を早期・確実に獲得したい企業サイドと、
選考活動やその後の「拘束」などで学業・学事が妨げられることを懸念する学
校サイドとの間で、古くから問題意識が持たれてきた。1950年頃、希少な大卒
者をめぐる獲得競争は過熱しており、1952年にはすでに当時の文部省が一種の
ガイドラインを示している。その翌年には、大学、日経連、文部省、労働省を
中心とした「就職問題懇談会」が発足し、推薦開始を10月1日とする「就職協
定」がスタートしている。しかし、これは特段の強制力を持たない「紳士協定」
であったため、協定破りで抜け駆けをする「紳士協定を守らない紳士」が後を
絶たず、10年後の1962年に日経連が就職協定廃止を宣言し、いったん中断した。
 その後は、大学だけによる「申合せ」で日程を一応決めてはいたものの、そ
の効果はほとんどなく、採用の早期化がエスカレートした。大学3年生での内
定は当たり前、大学2年生にまで企業の手がのびるという「青田買い」が行わ
れた時期だ。この事態を憂慮した関係者は、就職協定廃止10年後の1972年、7
月1日(もちろん、4年生の)を選考開始とする就職協定を復活させた。その
後、1976年にはスケジュールが見直され、10月1日企業訪問開始、11月1日選
考開始となった。しかし、この協定も当初から有名無実だったようだ。1971年
には、今度は労働省が青田買いや拘束などへの世論の批判を背景に協定からの
離脱した。その翌年からは、官庁を含まない、大学と企業による協定づくりの
模索がはじまることになる。
 1986年には、8月20日会社訪問開始、11月1日内定解禁という、大学と企業
による就職協定が再スタートした。1992年には、選考開始が8月1日前後目標
内定解禁は10月1日と見直された。ところが、この協定もやはり紳士協定で拘
束力が弱かった上に、そもそも協定自体が「就職協定遵守懇談会」参加企業し
か拘束しないという基本的な問題もあり、就職・選考活動の秩序維持には大き
な効力は発揮しなかった。1986年に52社で発足したこの懇談会は、就職協定が
廃止される1996年には312社まで拡大したが、それでも全国の新卒採用者数の
約1割しかカバーできなかったという。
 このような就職協定の有名無実化を受け、1996年に日経連が「正直者がバカ
を見る協定は無意味」として廃止を主張し、翌年度の採用からは、企業は「倫
理憲章」を発表し、大学は「要請」を発表して、双方が「申合せ」するという
現行のパターンに移行することになる。
 残念ながら、廃止の翌年からまたしても選考活動の早期化が進んだ。それに
よって、結果的にかつての就職協定に選考日程の秩序に一定の貢献があったこ
とが証明されたことになる。過去の経緯をみてみると、就職協定はおおむね10
年サイクルで廃止されたり復活したりしているようだ。1996年の廃止から来年
で10年、そろそろ協定の復活があるのだろうか。
                        (編集委員 荻野勝彦)


3 キャリアイベント情報
  〜キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します〜

◆(財)大阪生涯能力開発振興協会・(財)大阪労働協会
 「「若年無業者」の実情と支援を考えるフォーラム」
 4月16日(土)11:30〜16:00
 於 エル・おおさかエル・シアター(大阪市中央区)
 http://www.adash.or.jp/kouza2005f/neet-c.htm

◆読売国際会議2005
 4月フォーラム「人口減少 日本モデルの構築」
 4月15日(金)13:00〜16:30
 於 経団連ホール(東京都千代田区)
 http://info.yomiuri.co.jp/event/04001/200503246794-1.htm

◆女性と仕事の未来館/映画「ベアテの贈りもの」 製作委員会 
 「戦後60年 日本の女性はここまで来た」
 4月23日(土)14:00〜16:00  
 於 女性と仕事の未来館4階ホール(東京都港区)
 http://www.miraikan.go.jp/topix_index/index0149.html


[編集後記]

 4月1日、各社では一斉に入社式が行われ、社会人1年生のフレッシュマン
たちに向けて経営者たちが期待を語りました。報道によれば、「コンプライア
ンス」や「CSR」といった流行語?もさることながら、やはり「挑戦」ある
いは「自己変革・自己改革」、そして「行動力」などのことばが多かったよう
です。今も昔も、若者への期待は活力と主体性ということで、それほど変わっ
てはいないのかもしれません。少なくとも、今年はかつてよくみられた「この
会社をいつやめてもいいという気持ちで」などという訓示はどうやら姿を消し
たようで、ようやくこのあたりは混迷を脱したというところでしょうか。いず
れにしても、職業キャリアの第一歩を踏み出した新入社員のみなさんには、そ
れぞれの職場で大いに活躍を期待したいものです。(O)


【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.cdi-j.jp/

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
  
  このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
  無断転用はお断りいたします。

 編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部企画室担当部長)
      児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail cdgakkai@hosei.org
   〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1

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