栗野的視点

栗野的視点(No.485):ローカルビジネスこそ次世代ビジネス(1)~「農村が都市を包囲する」戦略


カテゴリー: 2014年06月06日
栗野的視点(No.485)                    2014年6月6日
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ローカルビジネスこそ次世代ビジネス
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 ビジネスの基本は消費者がたくさんいる場所でサービスなり商品を提供すること
である。この基本に従えば過疎地ではビジネスは成り立たないことになる。
 ところが、あえて過疎地に出店する企業もある。彼らに共通しているのは地元密
着の非拡大路線。そこが旧来型ビジネスと大きく異る。

◆「農村が都市を包囲する」戦略

 古くはイオンやヤマダ電機も地方から全国制覇を成し遂げた企業であり、彼らに
共通しているのは「ルーラル出店」。ルーラルとは田園とか農村という意味で、ア
ーバンの対義語である。
 それまでの立地はアーバン戦略で、人が多く集まる都心部に出店するのが常識で、
いかにいい立地を押さえるかで勝敗が決まった。
 当時、この戦略で売り上げを伸ばしていたのがダイエーやベスト電器だったが、
いまはともに見る影もない。ダイエーはかつては相手にさえしていなかったイオン
の子会社になり、ベスト電器もヤマダ電機の軍門に降り、いまや細々と生きている
感じだ。両社ともに市場から社名が消えるのはそう遠くない先だろう。

 逆に出店コストが嵩むアーバンを避け、ルーラルに出店して行ったのがイオンや
ヤマダ電機(ルーラルとアーバンの中間ぐらいか)で、ともにいまの勝ち組である。
ルーラル戦略といえば聞こえはいいが、要は「農村が都市を包囲する」ゲリラ戦略
である。
 しかし、この「農村」戦略をバカにしてはいけない。それどころか過去の歴史を
紐解けば覇者は常に地方出身者である。天下統一を果たした織田信長は「尾張の田
舎者」と揶揄されていたし、明治政府の立役者は皆地方の田舎侍達だった。
 流通業に至っては栄枯盛衰は世の常で、一定サイクルでトップが入れ替わってい
る。しかも、そのサイクルは年々短くなっており、現在、勝ち組と言われているイ
オン、ヤマダ電機はすでに凋落の傾向さえ見て取れる。セブン&アイ・ホールディ
ングスが一人勝ちになるのか、それとも同じ轍を踏むのかはもう少し見なければ分
からない。

 イオン、ヤマダ電機の転換点はトップに立った瞬間であり、彼らはその頃から戦
略を「農村」から「都市」へと変えている。ゲリラ戦から正規戦への転換である。
そういえばファーストリテイリングもそうだった。
 軍隊も企業も、およそ組織と名が付くものはベンチャー、ゲリラの場合は既成観
念にとらわれず変幻自在だが、ひと度正規軍になると組織は肥大化し、既成観念に
とらわれ、融通が利かなくなって自滅への道を歩み始める。
 正規軍になった組織が目指すのは拡大への道。他を倒し自らが生き残るためにひ
たすら拡大戦略を突き進むしかなくなる。
 そういえば日本もジャパン・アズ・ ナンバーワンと言われた途端に転がり落ち
た。組織に最も勢いがあるのはトップを伺う立場にいる時で、頂点に立った時が衰
退の始まりとはなんとも皮肉な話だ。

 ・こちらも一読を。
  「栗野的視点(No.356):勝利の方程式~”農村”戦略で伸びる企業・コメリ」
(http://www.liaison-q.com/kurino/Komeri1.html)

◆中堅グループの合併・資本提携が加速

 数の論理を追い求め、拡大への道を突っ走るグループと、拡大路線とは別の所に
活路を見出そうというグループに分かれ、流通業の2極化はますます進んでいる。
 問題なのは前者の道を歩む第2グループだろう。例えば九州の地場スーパー、サ
ンリブ・マルショクグループは8期連続減収になり、大分県内で不採算4店舗を閉鎖
した。
 同グループに残された選択肢はそう多くない。第1グループのどこかの傘下に入
るか、第2グループ内で合併相手を探すかだ。

 こうした動きはこの1、2年、全国で顕著に見られ、山陽マルナカ(岡山市)はイ
オンの子会社に、天満屋ストア(岡山市)はイトーヨーカ堂(東京)と資本提携。
スーパー大栄(北九州市)はイズミ(広島市)と資本・業務提携し、マルキョウ
(福岡市)も西日本鉄道グループの西鉄ストアと資本提携した。

 いずれにしろ共通しているのは消費者を置き去りにした企業の生き残りの論理で、
そのツケはいつも消費者に回ってくる。
 こう言えば反論が飛んできそうだ。とんでもない。消費者のためを思うからこそ
の拡大だ、と。
 もちろん、そういう側面を否定はしないが、中堅企業が大手に傘下に入ると、そ
れまでの独自仕入れが1本化され、ユニークな商品が棚から消えていき、どこで買
っても同じものばかりということになり、商品の選択の幅を狭めていく。
 例えばダイエーや山陽マルナカの棚にはイオンのプライベート商品がめだつよう
になったし、他の商品もイオンで売られているものばかりになり、面白さに欠けて
きた。
 さらに言うなら、合併・資本提携による競合店舗の廃止(従来ならスクラップア
ンドビルドと言うところだろうが、ビルドはほとんどない)で、郊外や中心部から
ショッピングセンターが撤退。廃墟が広がりつつある。それでも、建設直後に廃墟
になっている中国のショッピングモールよりははるかにマシだが。
                              (続く)

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栗野 良
 ジャーナリスト(Technology & Economy)
 中小企業経営アドバイザー
 ベンチャー支援組織「リエゾン九州」代表

   中小企業の活性化をテーマにメルマガ配信、各種講演活動等を
   行っています。
   講演・講師等の依頼は下記へtel/faxあるいはメールで。
 
OFFICE KURINO 〒811-1362
福岡市南区長住5-11-23-403

 E-mail kurino@liaison-q.com
 HP  http://www.liaison-q.com(九州・岡山の技術・頑張る企業収録)
 
 ブログ「栗野的視点~ジャーナリスト・栗野の辛口コラム」
       http://blog.goo.ne.jp/kurino30 
 ブログ「栗野的風景~フォトエッセー」
        http://blog.livedoor.jp/kurino30/
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